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六章 星詠みの杖の優美なる日常
第186話 ケイと華麗なる終幕
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第三の天使との決着。
それは、もう一つの戦いの終わりを示していた。
この世界と表裏の存在にある次元深層領域の一つ。
かつて第一の天使が棲み処としていた場所にネームレスはいた。
「……ん、終わったかなー。よしよし」
機械仕掛けの剣を片手に、ネームレスは頷く。
彼女の視界端に展開されたモニターでは、今まさに0号が中央都市から姿を消したところだった。
「よくわかんない第二ラウンドが始まったと思って焦ったけど、すぐに終わってよかったよー」
ふにゃふにゃと疲れ切った様子でネームレスは項垂れる。
その周囲は、無数の蝶の残骸が散らばっていた。
「――何故だ。何故君が僕達の邪魔をする」
蝶の主、博士の名を持つ01は不機嫌そうにそう言う。
その体はボロボロで、激しい戦闘があった事を示していた。
今にも飛び掛からんばかりの怒りが浮かび上がった顔に、ネームレスはわざとらしく怯えて揶揄う。
「いやぁ、だってあの天使獲ろうとしてたでしょ」
「天使は全て、トリムの供物とする。そうすることでアレは真の意味で完成するのだ」
「知ってる知ってる。鏡界との接続を安定させるために強固な器にしてから運用するんでしょ? わかってるって」
「……そこまで知っているなら何故」
「――そうだね、私も知りたいところだ。君が、何故裏切ったのか」
突如、世界が裂ける。
裂け目から現れた紳士風の男――教授は朗らかな笑みを携えてそう問い掛けた。
「あ、教授も来たんだ。トリムは? 一緒じゃないの?」
「あの子はまだ起きていられる時間が短くてね。今は眠っているよ」
「そっかぁ」
互いに得物は構えない。
しかし、その眼は確かに挙動を細かに捉えていた。
「最初に言っておくけど、私は裏切った訳じゃないよ」
「ほう」
「ならなぜ僕を攻撃した? 見ろ、折角の制服がボロボロじゃないか」
「あー、はいはい」
ネームレスが指を鳴らす。
すると制服が一瞬黒い炎に包まれた。
そして次の瞬間にはまるで新品のように綺麗な制服へと様変わりしている。
博士はそれを確認して頷いた。
「ん、いいだろう。話してみろ、理由を」
「なーんかムカつくんだけど。そもそも、説得に応じず無理矢理あそこに行こうとしたの博士じゃん。まあいいや」
ネームレスはそう言うと、白い椅子を召喚し腰を下ろす。
次いでテーブルとティーパーティーのセット。
最後に二人分の椅子を出して座るように促した。
「たまには私からティーパーティーに誘おうかな。ゆっくりお話しようよ」
「何を悠長な……」
「では、お言葉に甘えて」
すんなりとネームレスの誘いを受けた教授を見て、博士もため息混じりに席に着く。
それを確認したネームレスは口を開いた。
「では早速本題。今回博士を止めた理由だけど……トリムの完成にもっと効率の良い方法があるから、なんだよねぇ」
「……ほう」
「成程、聞く価値はあるか」
ネームレスはクッキーを口に放り込み、美味しそうに食べる。
そして、身を乗り出して得意げに言った。
「では、救世と探求が断れないであろう提案を」
■
俺の手を離れた幼女形態は、あまりにも恐ろしい破壊力を秘めていた。
半ば本能でうごく幼女の姿。
それを見ているだけの俺は、まるで美少女ゲーをオートで進めているような気分だった。
そして今。
俺は完全に回復し、気持ちの良い目覚めと共に夕陽を眺めている。
ベッドの上で、悲し気に夕陽を眺める少女。
そう、俺はもうロリではない。
ロリの期間は終わったのだ。
ロリシエラピックアップ期間は終了である。復刻は未定でーす。
あんなの続けてたら美少女じゃなくて変態ばっか集まってくるからな。
俺は美少女を集めたいんだよ。
そして百合の花園築くんだい!
そう考えると、今の景色は壮観であった。
眠る俺を心配して付き添っていたクラムちゃんとリンカちゃんは、ベッドに上半身を預けるようにして眠っている。
そしてヒカリちゃんは人吞み蛙の上で気持ちよさそうに爆睡中。
……いいなぁ、あの上で俺も寝てみたいなぁ。
「――今帰ったよ^^」
「あら、ようやく戻ってきたのね」
転移魔法陣が現れ、0号が帰ってくる。
朝に出ていって夕方に帰ってくるとは。
大分暴れたんだねぇ。
俺が両腕を広げると、0号は光の粒子となり俺の身体の中へと溶けていく。
『―0号さんが入室しました―』
脳内が急に古のチャット欄になった。
『ただいま^^ 遅くなったねぇ』
声がウキウキの星詠みの杖君は、明らかに機嫌が良さそうである。
何か良い事でもあったのかい?
『はっはっは、実はお昼頃には既に事は済んでいたんだ。ここまで遅くなったのはショッピングをしていてねぇ^^』
おいおい、主が高熱でつらいつらい><だったのに、優雅にショッピングかい?
『あれがつらい人間のやることか? カメラで見させて貰ったが、大したものじゃないか。君は需要を理解するのが上手いねぇ』
へへっ、なんというか考える前に体が動いた結果って感じっすね。
心に従った結果っす。
『素晴らしい。という事で、後で私の為だけにロリシエラになって貰う。当然、拒否権はない。その為のお着替えセットを買ってきたんだ。特に、あの体躯に合うサイズのえちえち衣装は探すのに苦労した』
うーん、直球でキモイな。
『もっとツンデレヒロインっぽく』
気持ち悪いっ!
最低! 変態ッ!
私の事を、そんな目で見るなっ!
このロリコンっ!
『あ~^^これこれ。独りでいると相棒ニウムが摂取出来ないから困るねぇ。五臓六腑に染み渡るよ』
あるんだ、五臓と六腑……。
というか、俺後でまた幼女になるんだ……。
『ソルシエラがまた幼女になっちゃった!? 海水浴場型ダンジョンを攻略していたフェクトム総合学園の一同。しかし、ソルシエラが罠から皆を庇って幼女になってしまう。幼女になったソルシエラは任務のことなどすっかり忘れ、目の前に広がる海にはしゃいでしまい――』
夏イベ始まっちゃった。
本編に一切関係ないギャグ時空の夏イベ始まっちゃった。
『配布SRはこの私【常夏の銀星:0号】だ。期間限定ピックアップは【常夏の幼星:ソルシエラ】だよ^^ 同じパーティーに入れると相乗効果があるんだねぇ』
夏のソシャゲは水着ピックアップという名の魔物が潜むからな……。
ナナちゃんも大丈夫だろうか。
夏は運営がプレイヤーの財布を絞りに来る地獄の期間だから、不安だ。
どうしよう、ナナちゃんがお金欲しさに配信者になったら。
流石に止めるしかないよ。
『デモンズギアの面目丸つぶれだねぇ。……あ、そう言えばあとで紹介したい生物がいるんだ』
なんで生物って括りなんですか???
絶対厄ネタじゃないですか。
『違うよ^^ 美少女の事を布教したらその良さに気が付いた子なんだ。けれど、まだ右も左も分からないし受けも攻めも分からないから教えてあげようと思ってねぇ』
なーんだ、★ヨミ先生としての知り合いか。
焦ったよ、君の事だから人造生物とか持ってくるかと思った。
『私はそんな非常識な事はしないから安心したまえ。いやぁ、それにしても美少女の寝顔はいいねぇ。勿論、君の寝顔が一番だが★』
も~、星詠みの杖君ったらぁ><
『キャッキャッ』
やっぱり脳内に星詠みの杖君がいると落ち着くね。
俺達、マジで一心同体。
『つーか、マブ? マジで最高のダチって感じw?』
俺は星詠みの杖君と脳内でキャッキャッと騒ぐ。
が、その顔は夕陽に照らされて薄っすら微笑んでいるだけであった。
ちなみに、ここで誰が最初に目覚めるかでルートが変わるんですねぇ。
『事前セーブは基本』
さて、最初に目覚めるのは誰かな?
俺は既に幼女から元に戻った時にするべきことを決めていたぞ。
『用意周到が過ぎる。……あ、そう言えば君の手帳が見られていたね』
うっかり見られちゃった★。
でも大丈夫。
この部屋、そんなのばっかだから。
やたらボロボロのクマのぬいぐるみとか、古い髪飾りとか、そんなのがたーくさんある。
でもぜーんぶ意味ない。
フラグだけがある、そんなお部屋。
後で模様替えはするけどね!
ソルシエラに似合う古城の中のような部屋に!
『ベッドは広くしたまえ。その方が貪る時に便利だ』
だがベッドが小さい方が密着する理由になるのでは?
『ディベート完全敗北。投了だ』
それと、模様替えするなら誰かと一緒に行きたいわよ。
そしてその子の選んだぬいぐるみとかクッションとか置くの。
統一された部屋のなかで、少しだけ浮いた女の子らしい家具。
これが俺の死後に心を抉る装置として機能するんだ^^
『……死ぬ気なのか?』
まさか。
俺は美少女を泣かせるようなことはしないよ。
この学園都市の美少女が流す涙は、俺達で拭うペロよ。
『舐めてない? 涙舐めてない? 裁判長!』
美少女が美少女の涙を舐めるのは当然の事!
よって俺は無罪放免!
『なら君の涙を舐めても構わないねぇ^^』
怪物に新たなロジックを与えてしまった。
「……んぅ、あれ、ケイ起きてたの?」
ワクワク脳内裁判が盛り上がりを見せる頃、最初に目覚めたのはクラムちゃんだった。
首に付いてるエッチ探知ッチが普通に似合っているね。
でもそれをロリシエラに付けようとしてたのは普通にどうかと思う。
幼女にそういうのは駄目だよ。
『急に真面目になるな』
「あら、まだ寝ていても良かったのに」
俺はいつもの余裕な笑みを浮かべる。
するとクラムちゃんは安堵したような、悲しそうな顔をした。
わかる……わかるぞ……!
クラムちゃんの複雑な感情が手に取るようにわかる……!
最近、曇らせばっかりだったから少しだけサービスしてあげることにしよう。
これが飴と鞭ってやつですぜ。
「ねえ、ケイ。体はもう大丈夫なの?」
「おかげさまでね。……クラム、こっちに座りなさい」
俺はそう言って、クラムちゃんを手招きする。
クラムちゃんは素直に従い、俺の傍に腰を下ろした。
星詠みの杖君、心のシャッターチャンスだ。
CG回収も忘れるんじゃないぞ!
『っしゃぁ!』
俺はふっと笑って、手を伸ばす。
そして、クラムちゃんの頭を撫でた。
これぞ、我が国に伝わる対美少女奥義「頭撫で撫で」である。
これはかつてラノベ主人公と二次創作イキりオリ主にのみ伝授された技。
彼等に並ばずとも、俺も大和魂を持つ美少女として恥じない頭撫で撫でをさせてもらう。
「……けっ、ケイ!?」
「昼間の事はよく覚えてないわ。でも、どうしてかしらね。……貴女が頑張ってくれたことだけは、何故だかわかるの」
「別に、私は何も」
見て見て! クラムちゃんが照れてるよ、かわいいね!
『でもこの構図って頭撫でてる方がラスト付近で死なない? この後死ぬフラグびんびんなんだけど』
俺じゃなかったら即死だった。
というか、なんなら昼に数回死んでいる。
「ふふっ、照れてるのかしら」
「っ、別に照れてなんかないし」
クラムちゃんはそう言ってそっぽを向く。
そして頭撫で撫でから抜け出した。
……ははは、油断したな!
俺の攻撃はまだ終わっていない!
「本当に……今回は助かったわ」
少しシリアスめな声色でそう言った俺を見て、クラムちゃんは再び目を合わせる。
それを確認して、俺は言った。
「ありがとう、クラムお姉ちゃん」
「……え?」
「…………え? なんで、私貴女の事をおっ、お姉ちゃんって――」
瞬間、俺の血液中に存在する美少女粒子が活性化し、驚異的な速度で分裂を繰り返す。
これにより生まれた熱エネルギーは頬を朱くし、俺は人為的に照れ顔を作り出すことに成功していた。
……んー、夕陽で顔が朱いから分かりづらいな。
もう少し血中の美少女粒子濃度をあげるか。
『ずっと何言ってんだ』
「……い、今クラムお姉ちゃんって」
「言ってないわ」
「え、でも」
「言ってない。……そうでしょう?」
今度は俺が視線を逸らす番だった。
顔を朱くして目を逸らすソルシエラの姿。
どうだいクラムちゃん。
君の眼には、これが極上の獲物に見えるのではないか。
『やっぱり誘い受けじゃないか! Q.E.D.!』
クラムちゃんは俺のトラップによく引っ掛かるからね。
たまにはこういうご褒美もなくては。
「とにかく、ありがとう。助かったわ、それだけ……って何ニヤニヤしてるのよ」
「だってぇ、今私の事お姉ちゃんって言ってたしぃ?」
「……クラム、私聞き分けの悪い子は嫌いよ?」
「はいはい、クラムお姉ちゃんは聞き分けの悪い子ですよー」
あくまで今回だけは劣勢に。
そう、まるでクラソル過激派の描いた同人誌のように。
『見たまえ。これが美少女に対する向き合い方の一つの正解だ』
『成程』
ん?
ねえ今なにか居なかった?
『いないよ^^』
そっかぁ。
とにかく、今はクラムちゃん相手に「幼女時代の呼び方が体に染みついていたソルシエラ」をせねば。
いやぁ、これが刺さる相手でよかった。
「ね、もう一度言ってくれない? お願い、ね?」
「嫌よ」
俺はふいっ、と顔を背けた。
そのときも、顔は朱くするし耳も朱くしている。
「ねー、お願い」
「嫌」
「一回でいいの、一回!」
ニヤニヤしながらお願いしてくるクラムちゃんと、恥ずかし気にそして少し不機嫌そうに断る俺。
ポイントはこの時のソルシエラが等身大の少女の顔を覗かせていることである。
クラムちゃんはソルシエラが普通の女の子になると喜ぶからね。
今回はサービスしちゃうぞぉ^^
『わぁい^^』
やがて、騒ぐ俺達に釣られて、ヒカリちゃんとリンカちゃんも目を覚ますだろう。
が、その時まではひとまず。
「お姉ちゃんって言ってよぉ!」
「くたばりなさいお姉ちゃん」
「そうじゃないって!」
このコンテンツをしゃぶりつくそうねぇ^^
それは、もう一つの戦いの終わりを示していた。
この世界と表裏の存在にある次元深層領域の一つ。
かつて第一の天使が棲み処としていた場所にネームレスはいた。
「……ん、終わったかなー。よしよし」
機械仕掛けの剣を片手に、ネームレスは頷く。
彼女の視界端に展開されたモニターでは、今まさに0号が中央都市から姿を消したところだった。
「よくわかんない第二ラウンドが始まったと思って焦ったけど、すぐに終わってよかったよー」
ふにゃふにゃと疲れ切った様子でネームレスは項垂れる。
その周囲は、無数の蝶の残骸が散らばっていた。
「――何故だ。何故君が僕達の邪魔をする」
蝶の主、博士の名を持つ01は不機嫌そうにそう言う。
その体はボロボロで、激しい戦闘があった事を示していた。
今にも飛び掛からんばかりの怒りが浮かび上がった顔に、ネームレスはわざとらしく怯えて揶揄う。
「いやぁ、だってあの天使獲ろうとしてたでしょ」
「天使は全て、トリムの供物とする。そうすることでアレは真の意味で完成するのだ」
「知ってる知ってる。鏡界との接続を安定させるために強固な器にしてから運用するんでしょ? わかってるって」
「……そこまで知っているなら何故」
「――そうだね、私も知りたいところだ。君が、何故裏切ったのか」
突如、世界が裂ける。
裂け目から現れた紳士風の男――教授は朗らかな笑みを携えてそう問い掛けた。
「あ、教授も来たんだ。トリムは? 一緒じゃないの?」
「あの子はまだ起きていられる時間が短くてね。今は眠っているよ」
「そっかぁ」
互いに得物は構えない。
しかし、その眼は確かに挙動を細かに捉えていた。
「最初に言っておくけど、私は裏切った訳じゃないよ」
「ほう」
「ならなぜ僕を攻撃した? 見ろ、折角の制服がボロボロじゃないか」
「あー、はいはい」
ネームレスが指を鳴らす。
すると制服が一瞬黒い炎に包まれた。
そして次の瞬間にはまるで新品のように綺麗な制服へと様変わりしている。
博士はそれを確認して頷いた。
「ん、いいだろう。話してみろ、理由を」
「なーんかムカつくんだけど。そもそも、説得に応じず無理矢理あそこに行こうとしたの博士じゃん。まあいいや」
ネームレスはそう言うと、白い椅子を召喚し腰を下ろす。
次いでテーブルとティーパーティーのセット。
最後に二人分の椅子を出して座るように促した。
「たまには私からティーパーティーに誘おうかな。ゆっくりお話しようよ」
「何を悠長な……」
「では、お言葉に甘えて」
すんなりとネームレスの誘いを受けた教授を見て、博士もため息混じりに席に着く。
それを確認したネームレスは口を開いた。
「では早速本題。今回博士を止めた理由だけど……トリムの完成にもっと効率の良い方法があるから、なんだよねぇ」
「……ほう」
「成程、聞く価値はあるか」
ネームレスはクッキーを口に放り込み、美味しそうに食べる。
そして、身を乗り出して得意げに言った。
「では、救世と探求が断れないであろう提案を」
■
俺の手を離れた幼女形態は、あまりにも恐ろしい破壊力を秘めていた。
半ば本能でうごく幼女の姿。
それを見ているだけの俺は、まるで美少女ゲーをオートで進めているような気分だった。
そして今。
俺は完全に回復し、気持ちの良い目覚めと共に夕陽を眺めている。
ベッドの上で、悲し気に夕陽を眺める少女。
そう、俺はもうロリではない。
ロリの期間は終わったのだ。
ロリシエラピックアップ期間は終了である。復刻は未定でーす。
あんなの続けてたら美少女じゃなくて変態ばっか集まってくるからな。
俺は美少女を集めたいんだよ。
そして百合の花園築くんだい!
そう考えると、今の景色は壮観であった。
眠る俺を心配して付き添っていたクラムちゃんとリンカちゃんは、ベッドに上半身を預けるようにして眠っている。
そしてヒカリちゃんは人吞み蛙の上で気持ちよさそうに爆睡中。
……いいなぁ、あの上で俺も寝てみたいなぁ。
「――今帰ったよ^^」
「あら、ようやく戻ってきたのね」
転移魔法陣が現れ、0号が帰ってくる。
朝に出ていって夕方に帰ってくるとは。
大分暴れたんだねぇ。
俺が両腕を広げると、0号は光の粒子となり俺の身体の中へと溶けていく。
『―0号さんが入室しました―』
脳内が急に古のチャット欄になった。
『ただいま^^ 遅くなったねぇ』
声がウキウキの星詠みの杖君は、明らかに機嫌が良さそうである。
何か良い事でもあったのかい?
『はっはっは、実はお昼頃には既に事は済んでいたんだ。ここまで遅くなったのはショッピングをしていてねぇ^^』
おいおい、主が高熱でつらいつらい><だったのに、優雅にショッピングかい?
『あれがつらい人間のやることか? カメラで見させて貰ったが、大したものじゃないか。君は需要を理解するのが上手いねぇ』
へへっ、なんというか考える前に体が動いた結果って感じっすね。
心に従った結果っす。
『素晴らしい。という事で、後で私の為だけにロリシエラになって貰う。当然、拒否権はない。その為のお着替えセットを買ってきたんだ。特に、あの体躯に合うサイズのえちえち衣装は探すのに苦労した』
うーん、直球でキモイな。
『もっとツンデレヒロインっぽく』
気持ち悪いっ!
最低! 変態ッ!
私の事を、そんな目で見るなっ!
このロリコンっ!
『あ~^^これこれ。独りでいると相棒ニウムが摂取出来ないから困るねぇ。五臓六腑に染み渡るよ』
あるんだ、五臓と六腑……。
というか、俺後でまた幼女になるんだ……。
『ソルシエラがまた幼女になっちゃった!? 海水浴場型ダンジョンを攻略していたフェクトム総合学園の一同。しかし、ソルシエラが罠から皆を庇って幼女になってしまう。幼女になったソルシエラは任務のことなどすっかり忘れ、目の前に広がる海にはしゃいでしまい――』
夏イベ始まっちゃった。
本編に一切関係ないギャグ時空の夏イベ始まっちゃった。
『配布SRはこの私【常夏の銀星:0号】だ。期間限定ピックアップは【常夏の幼星:ソルシエラ】だよ^^ 同じパーティーに入れると相乗効果があるんだねぇ』
夏のソシャゲは水着ピックアップという名の魔物が潜むからな……。
ナナちゃんも大丈夫だろうか。
夏は運営がプレイヤーの財布を絞りに来る地獄の期間だから、不安だ。
どうしよう、ナナちゃんがお金欲しさに配信者になったら。
流石に止めるしかないよ。
『デモンズギアの面目丸つぶれだねぇ。……あ、そう言えばあとで紹介したい生物がいるんだ』
なんで生物って括りなんですか???
絶対厄ネタじゃないですか。
『違うよ^^ 美少女の事を布教したらその良さに気が付いた子なんだ。けれど、まだ右も左も分からないし受けも攻めも分からないから教えてあげようと思ってねぇ』
なーんだ、★ヨミ先生としての知り合いか。
焦ったよ、君の事だから人造生物とか持ってくるかと思った。
『私はそんな非常識な事はしないから安心したまえ。いやぁ、それにしても美少女の寝顔はいいねぇ。勿論、君の寝顔が一番だが★』
も~、星詠みの杖君ったらぁ><
『キャッキャッ』
やっぱり脳内に星詠みの杖君がいると落ち着くね。
俺達、マジで一心同体。
『つーか、マブ? マジで最高のダチって感じw?』
俺は星詠みの杖君と脳内でキャッキャッと騒ぐ。
が、その顔は夕陽に照らされて薄っすら微笑んでいるだけであった。
ちなみに、ここで誰が最初に目覚めるかでルートが変わるんですねぇ。
『事前セーブは基本』
さて、最初に目覚めるのは誰かな?
俺は既に幼女から元に戻った時にするべきことを決めていたぞ。
『用意周到が過ぎる。……あ、そう言えば君の手帳が見られていたね』
うっかり見られちゃった★。
でも大丈夫。
この部屋、そんなのばっかだから。
やたらボロボロのクマのぬいぐるみとか、古い髪飾りとか、そんなのがたーくさんある。
でもぜーんぶ意味ない。
フラグだけがある、そんなお部屋。
後で模様替えはするけどね!
ソルシエラに似合う古城の中のような部屋に!
『ベッドは広くしたまえ。その方が貪る時に便利だ』
だがベッドが小さい方が密着する理由になるのでは?
『ディベート完全敗北。投了だ』
それと、模様替えするなら誰かと一緒に行きたいわよ。
そしてその子の選んだぬいぐるみとかクッションとか置くの。
統一された部屋のなかで、少しだけ浮いた女の子らしい家具。
これが俺の死後に心を抉る装置として機能するんだ^^
『……死ぬ気なのか?』
まさか。
俺は美少女を泣かせるようなことはしないよ。
この学園都市の美少女が流す涙は、俺達で拭うペロよ。
『舐めてない? 涙舐めてない? 裁判長!』
美少女が美少女の涙を舐めるのは当然の事!
よって俺は無罪放免!
『なら君の涙を舐めても構わないねぇ^^』
怪物に新たなロジックを与えてしまった。
「……んぅ、あれ、ケイ起きてたの?」
ワクワク脳内裁判が盛り上がりを見せる頃、最初に目覚めたのはクラムちゃんだった。
首に付いてるエッチ探知ッチが普通に似合っているね。
でもそれをロリシエラに付けようとしてたのは普通にどうかと思う。
幼女にそういうのは駄目だよ。
『急に真面目になるな』
「あら、まだ寝ていても良かったのに」
俺はいつもの余裕な笑みを浮かべる。
するとクラムちゃんは安堵したような、悲しそうな顔をした。
わかる……わかるぞ……!
クラムちゃんの複雑な感情が手に取るようにわかる……!
最近、曇らせばっかりだったから少しだけサービスしてあげることにしよう。
これが飴と鞭ってやつですぜ。
「ねえ、ケイ。体はもう大丈夫なの?」
「おかげさまでね。……クラム、こっちに座りなさい」
俺はそう言って、クラムちゃんを手招きする。
クラムちゃんは素直に従い、俺の傍に腰を下ろした。
星詠みの杖君、心のシャッターチャンスだ。
CG回収も忘れるんじゃないぞ!
『っしゃぁ!』
俺はふっと笑って、手を伸ばす。
そして、クラムちゃんの頭を撫でた。
これぞ、我が国に伝わる対美少女奥義「頭撫で撫で」である。
これはかつてラノベ主人公と二次創作イキりオリ主にのみ伝授された技。
彼等に並ばずとも、俺も大和魂を持つ美少女として恥じない頭撫で撫でをさせてもらう。
「……けっ、ケイ!?」
「昼間の事はよく覚えてないわ。でも、どうしてかしらね。……貴女が頑張ってくれたことだけは、何故だかわかるの」
「別に、私は何も」
見て見て! クラムちゃんが照れてるよ、かわいいね!
『でもこの構図って頭撫でてる方がラスト付近で死なない? この後死ぬフラグびんびんなんだけど』
俺じゃなかったら即死だった。
というか、なんなら昼に数回死んでいる。
「ふふっ、照れてるのかしら」
「っ、別に照れてなんかないし」
クラムちゃんはそう言ってそっぽを向く。
そして頭撫で撫でから抜け出した。
……ははは、油断したな!
俺の攻撃はまだ終わっていない!
「本当に……今回は助かったわ」
少しシリアスめな声色でそう言った俺を見て、クラムちゃんは再び目を合わせる。
それを確認して、俺は言った。
「ありがとう、クラムお姉ちゃん」
「……え?」
「…………え? なんで、私貴女の事をおっ、お姉ちゃんって――」
瞬間、俺の血液中に存在する美少女粒子が活性化し、驚異的な速度で分裂を繰り返す。
これにより生まれた熱エネルギーは頬を朱くし、俺は人為的に照れ顔を作り出すことに成功していた。
……んー、夕陽で顔が朱いから分かりづらいな。
もう少し血中の美少女粒子濃度をあげるか。
『ずっと何言ってんだ』
「……い、今クラムお姉ちゃんって」
「言ってないわ」
「え、でも」
「言ってない。……そうでしょう?」
今度は俺が視線を逸らす番だった。
顔を朱くして目を逸らすソルシエラの姿。
どうだいクラムちゃん。
君の眼には、これが極上の獲物に見えるのではないか。
『やっぱり誘い受けじゃないか! Q.E.D.!』
クラムちゃんは俺のトラップによく引っ掛かるからね。
たまにはこういうご褒美もなくては。
「とにかく、ありがとう。助かったわ、それだけ……って何ニヤニヤしてるのよ」
「だってぇ、今私の事お姉ちゃんって言ってたしぃ?」
「……クラム、私聞き分けの悪い子は嫌いよ?」
「はいはい、クラムお姉ちゃんは聞き分けの悪い子ですよー」
あくまで今回だけは劣勢に。
そう、まるでクラソル過激派の描いた同人誌のように。
『見たまえ。これが美少女に対する向き合い方の一つの正解だ』
『成程』
ん?
ねえ今なにか居なかった?
『いないよ^^』
そっかぁ。
とにかく、今はクラムちゃん相手に「幼女時代の呼び方が体に染みついていたソルシエラ」をせねば。
いやぁ、これが刺さる相手でよかった。
「ね、もう一度言ってくれない? お願い、ね?」
「嫌よ」
俺はふいっ、と顔を背けた。
そのときも、顔は朱くするし耳も朱くしている。
「ねー、お願い」
「嫌」
「一回でいいの、一回!」
ニヤニヤしながらお願いしてくるクラムちゃんと、恥ずかし気にそして少し不機嫌そうに断る俺。
ポイントはこの時のソルシエラが等身大の少女の顔を覗かせていることである。
クラムちゃんはソルシエラが普通の女の子になると喜ぶからね。
今回はサービスしちゃうぞぉ^^
『わぁい^^』
やがて、騒ぐ俺達に釣られて、ヒカリちゃんとリンカちゃんも目を覚ますだろう。
が、その時まではひとまず。
「お姉ちゃんって言ってよぉ!」
「くたばりなさいお姉ちゃん」
「そうじゃないって!」
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シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
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ママと中学生の僕
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
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最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
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これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
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サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
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Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
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