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五章 決めるぜ! ミステリアスムーブ!
第156話 行動開始! 力を合わせろデモンズギア!
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どうやら、彼等は見た目で俺達を判断していたようだ。
俺が男装美少女(男)になった途端、スルーされた。
別に怪しまれている訳でもないし、これなら活動も容易だろう。
でも、少し寂しいよぉ……。
『私がいるよ^^』
やったぁ!
『喜んでくれて嬉しいねぇ。いいかい、最後に頼れるのは私だ。一番君を理解しているのも私だ。だから、今の君が寂しいと思うのは間違いなんだよ^^』
洗脳フェーズ入ったな。
『心の弱ったソルシエラを自分に依存させる概念、アリです』
なしです。
ヤバイ怪物と二人きりになっちゃったよぉ。
今まで美少女と一緒にわくわく日常四コマしてたのに、一人だけ急に学園都市の最悪な世界にぶち込まれちゃった……。
俺もレイちゃんと一緒に寝たかったよぉ。
『ロリシエラとロリレイのコンビだって!?』
おい、俺までロリにするな。
君はどこまで節操がないんだ。
『だが考えてほしい。ロリの隣にはロリがいるべきじゃないか? 偉そうにふんぞり返るロリレイに対して、無邪気に拍手するロリシエラ……これだ!』
どれだよ。
『これは売れるぞぉ! よォし、冬に出す本は決まったな! ソルシエラロリ化本だ。それで人類に新たなソルシエラの可能性を知らしめてあげよう。人類を遥かに凌駕したこの私が、貴様らを導いてやろうというのだ』
性癖押し付けるラスボス?
やってることは相棒を勝手に幼女にしてはぁはぁしているだけでは?
『それのどこか変なんだ? じゃあなんだ、君はロリシエラとロリレイの組み合わせはコンテンツとしては不適切だと?』
そんな事は言ってないじゃん^^
最高だっての!
本当ならロリシエラの実現性について朝まで議論したいところだが、今はそんな余裕ないからな。
俺のミステリアスムーブを待っている美少女が三人もいるんだから。
『確か、逃げることが可能なゲートを探す、だったか?』
そうだね。
まあ探さないけどね!
だって転移出来っから!
俺だけはいつでも逃げられるからさ!
『ミステリアス美少女にあるまじき発言』
うるさいやい。
とりあえず、ミステリアス美少女タイムのためには今回はいつも以上に準備がいる。
ジルニアス学術院の時と違って今回は敵が分からないので、まずは敵を知るところから始めたい。
それから場所、相手の性格、状況から相応しいミステリアス美少女タイムを考えよう。
今回は曇らせ三銃士の、トウラク君、クラムちゃん、リンカちゃんがいないからね。
心のままに強キャラソルシエラができるわよ!
スーパーミステリアス美少女タイムわよ!
『と言っても何処に行けば良いのやら。これだけの数を操っているんだ、それなりに大掛かりな仕掛けがあるだろうし、わかりやすいとは思うのだが』
俺達は今、観光客に紛れて大通りを歩いている。
が、それらしいものは見つからない。
となると、クローマ音楽院の校舎か、俺が知らないだけでシンボルのような塔があるのか……あるいは地下か。
クローマ音楽院は古い学院だから、増築を繰り返すうちに色々とエリアに空白ができたという設定を俺は知っている。
原作では、この空白を利用してトウラク君がヒロイン達とクローマの自治区を逃げ回るのだ。
その時、見張りを立てながらの順番にシャワーを浴びたり、逃避行の中で夜景を眺めたりと、割とラブコメに寄った回だった事を覚えている。
その時も何度かトウラク君たちは廃棄された地下通路などを移動していた。
地下に何かあってもおかしくはないぞ。
悪い奴っていっつも地下に何か作るからな!
『エイナを攫ってくるかい? 彼女なら、地下も索敵できる』
もれなくブチギレ六波羅さんも付いてくるだろソレ。
止めろってなんで敵増やすんだよ。
『とはいっても、私では充分に探索出来ないからねぇ。いやぁ、困った困った。はっはっは』
笑っている星詠みの杖君を他所に俺は考える。
探知は難しい……なら、クローマ音楽院のデータベースを調べるのはどうだろうか。
これだけの規模の悪事なら、魔力にしろ電力にしろ膨大なエネルギーが一点に流れる箇所があるはずだ。
それを調べて、潜入したい。
リュウコちゃんの言葉を信じるなら、クローマにも手伝っている人がいるようだしデータベースには必ず何かしらあるだろう。
と、なると。
『と、なると』
「『電子に強い子がいるねぇ』」
俺達は、迷うことなく転移魔法陣を展開しその中へと飛び込んだ。
目的地は勿論――。
■
同時刻、フェクトム総合学園のとある一室。
デモンズギアでも随一の演算能力を持つ成功体第二号、シエルは震えていた。
その顔は、いつもの無表情からは打って変わって驚き目が見開かれている。
「こ、こんな事はあり得ません故……」
それは彼女の演算能力をもってもイレギュラーである。
こと電脳戦において最強の彼女が、目の前のそれについていけていなかった。
「――配布の単発チケット一回でピックアップを引けた……!? その後の単発も恒常とはいえ人権キャラを引いている……。 な、なぜこのような豪運が……!」
シエルを圧倒する存在、それはガチャの確率収束である。
今まで天井続きでガチャは百連からが本番だと思っていたシエル。
彼女はこの結果にエラーを吐き出していた。
「とっ、とりあえずスクショを上げて自慢しなければ……今までフレに煽られた分煽り返します故」
震える小さな手で、シエルはスマホを操作し始める。
事務作業や雑務を手伝い、ミロクにおねだりしてミユメに作ってもらった化物スペックスマホは、今やソシャゲとSNSの為だけの薄い板に成り下がっていた。
「ふふふ……嫉妬の声が心地よい故」
シエルは暫くニコニコした後、ふと思った。
「今なら、完凸も容易なのでは? 今の私は、運が良いです故」
哀れ、演算能力が高い筈の彼女は見事に運営の罠にハマっていた。
シエル、余裕の課金スタートである。
「ここで臆病になって中途半端な個数を買うのは情弱。私のように賢いデモンズギアは、今後の事を考えてオマケが豪華な最高額を選びます故」
シエルはそう言っていちごみるくを片手に課金を始めた。
彼女は知らない。
この完凸を目指す判断が地獄である事。
そして、課金がミロクにばれて滅茶苦茶に怒られる事。
そして。
「む、既視感」
今から自己中心的な姉とその契約者に拉致されるという事。
興味のないアニメが垂れ流しにされていたモニターの前に転移魔法陣が現れる。
そしてその中から現れたのは、やはり見覚えがある姿だった。
「……ソルシエラ、その姿で会うのはジルニアス学術院以来です故」
「そうね。でもほぼ毎日顔を合わせているのだから、特に話す事もないでしょう?」
「いえ、私にはあります故。こうしてソルシエラの姿で私の前に姿を現したということは、間違いなくまた何かに巻き込むつもりでしょう!?」
シエルはかしこいデモンズギアだった。
「今はイベント周回で忙しい故! 一周でも多く! 一つでも多くのボックスを開けて素材を――」
そう言ったシエルの前に、一枚のカードが落ちた。
「……え?」
「ここに、十万円分のギフトカードがあるわ」
「っ!?」
反応が変わったシエルを見て、ソルシエラは嗤う。
「十分程度でいいの。それだけで、優秀な貴女なら全て済むでしょうから。貴女の貴重な十分、私にくれないかしら」
「なっ……」
それはあまりにも魅力的な提案。
ただ十分の仕事で十万円の課金が可能になるという悪魔の誘いだ。
「……本当に、その程度で済むのですか? 嘘は、許しません故」
「とある学院のデータベースに潜入してほしいのよ。十分かどうかは、貴女の頑張り次第ね」
「データベースに潜入?」
「ええ、可能でしょう?」
シエルは、その言葉にゆっくりと立ち上がる。
そして、その手に持ったギフトカードをポケットに入れながら言った。
「五分もいりません故……!」
シエルは力強くそう宣言した。
デモンズギア成功体第二号、シエル。
順調にソシャゲ廃人への道を爆走中である。
俺が男装美少女(男)になった途端、スルーされた。
別に怪しまれている訳でもないし、これなら活動も容易だろう。
でも、少し寂しいよぉ……。
『私がいるよ^^』
やったぁ!
『喜んでくれて嬉しいねぇ。いいかい、最後に頼れるのは私だ。一番君を理解しているのも私だ。だから、今の君が寂しいと思うのは間違いなんだよ^^』
洗脳フェーズ入ったな。
『心の弱ったソルシエラを自分に依存させる概念、アリです』
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ヤバイ怪物と二人きりになっちゃったよぉ。
今まで美少女と一緒にわくわく日常四コマしてたのに、一人だけ急に学園都市の最悪な世界にぶち込まれちゃった……。
俺もレイちゃんと一緒に寝たかったよぉ。
『ロリシエラとロリレイのコンビだって!?』
おい、俺までロリにするな。
君はどこまで節操がないんだ。
『だが考えてほしい。ロリの隣にはロリがいるべきじゃないか? 偉そうにふんぞり返るロリレイに対して、無邪気に拍手するロリシエラ……これだ!』
どれだよ。
『これは売れるぞぉ! よォし、冬に出す本は決まったな! ソルシエラロリ化本だ。それで人類に新たなソルシエラの可能性を知らしめてあげよう。人類を遥かに凌駕したこの私が、貴様らを導いてやろうというのだ』
性癖押し付けるラスボス?
やってることは相棒を勝手に幼女にしてはぁはぁしているだけでは?
『それのどこか変なんだ? じゃあなんだ、君はロリシエラとロリレイの組み合わせはコンテンツとしては不適切だと?』
そんな事は言ってないじゃん^^
最高だっての!
本当ならロリシエラの実現性について朝まで議論したいところだが、今はそんな余裕ないからな。
俺のミステリアスムーブを待っている美少女が三人もいるんだから。
『確か、逃げることが可能なゲートを探す、だったか?』
そうだね。
まあ探さないけどね!
だって転移出来っから!
俺だけはいつでも逃げられるからさ!
『ミステリアス美少女にあるまじき発言』
うるさいやい。
とりあえず、ミステリアス美少女タイムのためには今回はいつも以上に準備がいる。
ジルニアス学術院の時と違って今回は敵が分からないので、まずは敵を知るところから始めたい。
それから場所、相手の性格、状況から相応しいミステリアス美少女タイムを考えよう。
今回は曇らせ三銃士の、トウラク君、クラムちゃん、リンカちゃんがいないからね。
心のままに強キャラソルシエラができるわよ!
スーパーミステリアス美少女タイムわよ!
『と言っても何処に行けば良いのやら。これだけの数を操っているんだ、それなりに大掛かりな仕掛けがあるだろうし、わかりやすいとは思うのだが』
俺達は今、観光客に紛れて大通りを歩いている。
が、それらしいものは見つからない。
となると、クローマ音楽院の校舎か、俺が知らないだけでシンボルのような塔があるのか……あるいは地下か。
クローマ音楽院は古い学院だから、増築を繰り返すうちに色々とエリアに空白ができたという設定を俺は知っている。
原作では、この空白を利用してトウラク君がヒロイン達とクローマの自治区を逃げ回るのだ。
その時、見張りを立てながらの順番にシャワーを浴びたり、逃避行の中で夜景を眺めたりと、割とラブコメに寄った回だった事を覚えている。
その時も何度かトウラク君たちは廃棄された地下通路などを移動していた。
地下に何かあってもおかしくはないぞ。
悪い奴っていっつも地下に何か作るからな!
『エイナを攫ってくるかい? 彼女なら、地下も索敵できる』
もれなくブチギレ六波羅さんも付いてくるだろソレ。
止めろってなんで敵増やすんだよ。
『とはいっても、私では充分に探索出来ないからねぇ。いやぁ、困った困った。はっはっは』
笑っている星詠みの杖君を他所に俺は考える。
探知は難しい……なら、クローマ音楽院のデータベースを調べるのはどうだろうか。
これだけの規模の悪事なら、魔力にしろ電力にしろ膨大なエネルギーが一点に流れる箇所があるはずだ。
それを調べて、潜入したい。
リュウコちゃんの言葉を信じるなら、クローマにも手伝っている人がいるようだしデータベースには必ず何かしらあるだろう。
と、なると。
『と、なると』
「『電子に強い子がいるねぇ』」
俺達は、迷うことなく転移魔法陣を展開しその中へと飛び込んだ。
目的地は勿論――。
■
同時刻、フェクトム総合学園のとある一室。
デモンズギアでも随一の演算能力を持つ成功体第二号、シエルは震えていた。
その顔は、いつもの無表情からは打って変わって驚き目が見開かれている。
「こ、こんな事はあり得ません故……」
それは彼女の演算能力をもってもイレギュラーである。
こと電脳戦において最強の彼女が、目の前のそれについていけていなかった。
「――配布の単発チケット一回でピックアップを引けた……!? その後の単発も恒常とはいえ人権キャラを引いている……。 な、なぜこのような豪運が……!」
シエルを圧倒する存在、それはガチャの確率収束である。
今まで天井続きでガチャは百連からが本番だと思っていたシエル。
彼女はこの結果にエラーを吐き出していた。
「とっ、とりあえずスクショを上げて自慢しなければ……今までフレに煽られた分煽り返します故」
震える小さな手で、シエルはスマホを操作し始める。
事務作業や雑務を手伝い、ミロクにおねだりしてミユメに作ってもらった化物スペックスマホは、今やソシャゲとSNSの為だけの薄い板に成り下がっていた。
「ふふふ……嫉妬の声が心地よい故」
シエルは暫くニコニコした後、ふと思った。
「今なら、完凸も容易なのでは? 今の私は、運が良いです故」
哀れ、演算能力が高い筈の彼女は見事に運営の罠にハマっていた。
シエル、余裕の課金スタートである。
「ここで臆病になって中途半端な個数を買うのは情弱。私のように賢いデモンズギアは、今後の事を考えてオマケが豪華な最高額を選びます故」
シエルはそう言っていちごみるくを片手に課金を始めた。
彼女は知らない。
この完凸を目指す判断が地獄である事。
そして、課金がミロクにばれて滅茶苦茶に怒られる事。
そして。
「む、既視感」
今から自己中心的な姉とその契約者に拉致されるという事。
興味のないアニメが垂れ流しにされていたモニターの前に転移魔法陣が現れる。
そしてその中から現れたのは、やはり見覚えがある姿だった。
「……ソルシエラ、その姿で会うのはジルニアス学術院以来です故」
「そうね。でもほぼ毎日顔を合わせているのだから、特に話す事もないでしょう?」
「いえ、私にはあります故。こうしてソルシエラの姿で私の前に姿を現したということは、間違いなくまた何かに巻き込むつもりでしょう!?」
シエルはかしこいデモンズギアだった。
「今はイベント周回で忙しい故! 一周でも多く! 一つでも多くのボックスを開けて素材を――」
そう言ったシエルの前に、一枚のカードが落ちた。
「……え?」
「ここに、十万円分のギフトカードがあるわ」
「っ!?」
反応が変わったシエルを見て、ソルシエラは嗤う。
「十分程度でいいの。それだけで、優秀な貴女なら全て済むでしょうから。貴女の貴重な十分、私にくれないかしら」
「なっ……」
それはあまりにも魅力的な提案。
ただ十分の仕事で十万円の課金が可能になるという悪魔の誘いだ。
「……本当に、その程度で済むのですか? 嘘は、許しません故」
「とある学院のデータベースに潜入してほしいのよ。十分かどうかは、貴女の頑張り次第ね」
「データベースに潜入?」
「ええ、可能でしょう?」
シエルは、その言葉にゆっくりと立ち上がる。
そして、その手に持ったギフトカードをポケットに入れながら言った。
「五分もいりません故……!」
シエルは力強くそう宣言した。
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