かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない~現代ダンジョンのある学園都市で、俺はミステリアス美少女ムーブを繰り返す~

不破ふわり

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五章 決めるぜ! ミステリアスムーブ!

第148話 調査中! ドラゴンガール!

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 見てみて、美少女二人がデートしてるよ可愛いね!

『二人……二人?』

 二人だろ!
 いつもよりもはしゃいでいるトアちゃんと、その後ろを付いて回る俺の姿を見ろ。

 黒髪クール系のお姉様だろ!

『ちょっと前までおっとり清楚系とか言ってなかった?』

 俺の美少女形態は無限にあるぞ。
 好きな属性を組み合わせて、君だけの美少女を作りだそう!

 というわけで、今の俺はトアちゃんにとってのお姉様です。
 こういう百合も良いものだ……。

「ねえ次はあっちに行こう! あそこの屋台のたこ焼きが美味しいんだって!」
「うん、行こうか」

 体いっぱいで表現するトアちゃんを見る俺の眼はさぞ優しい事だろう。
 そして俺の美少女イヤーは自分たちに関する言葉を一キロ先でも聞き逃さない。

 聞こえる……聞こえるぞ、俺達の美少女百合っぷりに騒めく民衆の声が……!

『時々発揮するその人外っぷりはなんなんだ』

 俺は今、気分が良い。
 大変、気分が良い。

 美少女になって、美少女とデート。
 これ程の至福があるだろうか。

「見て、これ今なら一個サービスだって!」
「よかったね」

 食い物の話しかしてないけど、凄く可愛いね。
 というか、良く今まで皆と一緒の食事量で済んでたね。

 いっぱい食べる君が好き。

『ソル×トア……うーん』

 なんでそこはすんなり納得してくれないんだよ。
 トアちゃんをご覧よ。

 どう考えてもクラムちゃんみたいに攻撃特化じゃないでしょ。
 きゃわわで臆病な食いしん坊だよ。

 まさかこの子まで攻めとか言わねえよな?
 無理矢理解釈を捻じ曲げる程、君も堕ちてないよな?

『別に文句はないさ。ただ……少し違和感というか。流石に良い子過ぎて懐疑的になってしまうというか』

 人を信じるという事を知らないのかね。
 
『君は空無カノンで痛い目見た事を忘れたのかい?』

 一度裏切られたとしても、それは信じる事をやめる理由にはならないぞ。
 俺は何時いかなる時でも美少女を信じる。

 そして、その笑顔を守るんだ!
 トアちゃん、今日はいっぱいお食べ。
 大丈夫、お金が無くなっても俺が出すから。

 俺の財布が空になっても大丈夫。
 ここに換金アイテムあるからね。

『今、天使の事換金アイテムって言った?』

 換金アイテムであり、装備を作る素材でもある。
 偉大な存在だよ天使は。

 やはり天使は人間の味方なのかもしれない。

「……んぐっ、よし! 食べた! 次行こう!」
「えっ」

 いつの間にか買って、いつの間にか食べ終わっていたトアちゃんは俺の手を引いて歩きだした。

 あの、俺のたこ焼き……。

「トアちゃん?」
「ん、どうしたの?」
「俺のたこ焼き……」
「私」
「え?」
「その姿なら、私って言いなよ。流石に悪目立ちしちゃうって」

 俺の手を握ったトアちゃんはそう言って立ち止まった。
 え、急にそういうガチ目の指導……?

 いやまあトアちゃんがそう言うなら従う――って誰だコイツ!?

『え?』

 見てみろトアちゃんじゃないぞ、美少女の輝きが違う!
 今まで見ていたのはなんだ、幻覚か!?

 無料版だとトアちゃんとのデートはここまでなのか!?

『またなんか始まった……』

 なんで俺がおかしいみたいな扱いなんだよ!
 俺は美少女の輝きが変わったって言ってるだけだろ!

『それがおかしいって言ってるんだよねぇ』

 それにこの輝きは……って、あれ?
 普通にトアちゃんだ。

 心の美少女アイを凝らしてもう一度トアちゃんを見てみれば、いつも通りの輝きを持っていた。

「あ、あれ?」
「どうしたのケイ君。あ、今はケイちゃんの方が良いかな……?」

 こてんと首を傾げるトアちゃんの姿は、今までと変わらない。

「……確かに、今はケイちゃんの方が良いかな」

 あるぇ?
 おっかしいな。

 ネームレスかと思ったんだけど。

『ネームレスの事が頭から離れていないんじゃないかな^^ だから、見間違ってしまう。確かに身長はトアに近いしねぇ。無意識の内に、彼女に惹かれているんじゃないかな』

 しまった、ソルシエラ受け邪教に補足されてしまった。

 星詠みの杖君、落ち着け。
 ネームレスは一応敵だぞ。

『だからこそ燃えるのだ。ネームレスの真正面からの愛情表現にたじたじのソルシエラ。そして未だに一歩踏み出せずに毎回悔しい思いをしているクラム。この関係は、美しい……』

 この関係性厨め。

 いいさ、俺はトアちゃんと一緒に百合デート楽しむから。
 トアちゃんとのデートにノイズはいらない。

「じゃあ、改めて行こうかトアちゃん」
「うん! あっちに美味しいクレープ屋さんがあるんだよ!」

 トアちゃんはニッコリ笑って歩き出す。
 ソルトアてえてえ。










 渡雷リュウコは優秀な探索者であった。

 本人にそのつもりがなくとも、理事会からの評価は高い。

 能力においては、他のSランクと比べても異質。
 おまけに、金銭以外の要求は滅多にせず、価値観も人並。

 任務の遂行能力も申し分ないとくれば、彼女に対する信頼が大きいのも当然の事である。

 ――故に、ソルフィに出会った一時間後には既にリュウコは任務を完了していた。

「ふぅ、意外と何とかなった」

 クローマ音楽院の商業区。
 一般のビルに偽装した研究所をリュウコは制圧していた。

「お疲れ様、バルティウス」

 彼女のそばには二メートル程の赤い龍。
 
 トカゲのような顔に堅牢な鱗、そして蝙蝠のような羽と、大衆が思い浮かべる龍のイメージそのものであった。

「よーしよしよし」

 傍で犬のように頬をこすりつける赤龍を撫でつつ、リュウコは壊滅した研究所を写真に収める。
 
 そして、リュウコは辺りを暫く見渡してふと思った。

「……Sランクのクローンってどこ?」

 曰く、ここはSランクのクローン実験の施設だったはずだ。
 が、思い返してみればそのクローンとやらが出てきた記憶がない。

 とりあえず全員を焼いて制圧してみたは良い物の、肝心のクローン技術は存在しなかった。

「あれぇ? もしかして、ここってただの末端では? 本拠地は別の場所にあるとか。どう思うバルティウス」

 主の問いに、バルティウスは首を傾げる。
 しかし、次の瞬間には何かに気が付いたかのように歩き出し、床を鼻先で小突いた。

「む、ここ掘れワンとな」

 リュウコは近寄って床を観察する。
 その箇所だけ、タイルの色が違った。

「流石だね。よーしよしよし……じゃあ、ここぶち壊して」

 完全に扱いが犬のバルティウスは、嬉しそうに足で床を踏み抜く。
 すると向こうにぽっかりと地下へと続く穴が広がった。

「んー、ここからが本当の戦いかぁ。嫌だなぁ、帰りたい」

 そうは言いつつ、リュウコは地下へと続く階段へと踏み出す。
 バルティウスはその後ろに続こうとして、思いきり両翼をぶつけた。

 悲しそうに鳴くバルティウスを見て、リュウコは呆れる。

「元に戻ればいいでしょ……。ほら、戻って戻って」

 リュウコはそう言うと、手をパンパンと叩く。

 その瞬間、入り口を塞いでいたバルティウスの巨躯はみるみる変化していき、最後には銀色の粘体になった。
 水飴のような体をうにょうにょと動かしながら、バルティウスはリュウコの傍へ向かう。

 それを確認したリュウコは再び歩き出した。

「いつでも戦えるように準備しておいてね。私本体はクソ雑魚だからね?」

 バルティウスは体を波打って返事をする。

 そんな一人と一体の前に、破壊された扉が現れた。
 分厚い鉄の扉が、まるでガラス細工のように割れている。

 その光景を見て、リュウコは悟った。

「うわぁ……」

 Sランクの知り合いに、同じことを出来る少女がいる。
 物体を凍らせて、強度関係なく破壊する暴君のような少女だった。

「あれのクローンなら流石に他の子にもヘルプで入って欲しいなぁ」

 そんな事を呟きながら、リュウコはそっと部屋の中を覗き込む。
 
 部屋の中は、既に何ものかによって荒らされたあとだった。

 割れた水槽に、周囲を覆う霜。
 そして、小さな足跡。

 足跡はリュウコ達が来た道とは別の道へと続いていた。
 つまるところ、この部屋にはもう誰もいない。

 それらの情報から色々と悟ったリュウコは、顔を手で覆って天井を仰いだ。

「逃げてる……絶対に面倒臭い事になる……」

 Sランクのクローンですら面倒臭いのに、ソレが逃げ出したとなればリュウコの仕事は倍だ。

 無残に散った休日の予定に思いを馳せながら、リュウコはその足跡を追う。




 幸いなことに、程なくして外に出ることができた。
 いや、逃げ出したことを考えれば最悪だろうか。

 扉を開けた先には、商業区でも人の往来が激しいエリアであった。

 丁寧に扉を閉めて完全に外に出たリュウコは再び天を仰ぐ。

「oh……」

 どうやらこれから、本格的にSランクのクローン探しをするしかないらしい。
 その事実を認識した瞬間、リュウコの中で何かが弾けた。

「うん、一旦休もう。研究所は破壊したし。処理班も呼んだし。私、仕事した。うん!」

 リュウコは普通の女子高生である。
 人と違うところを強いてあげるなら、龍を操れるぐらいだろうか。

 それ以外は等身大の女子高生である彼女に、休日を台無しにしてまで暴君のクローンを探すメンタルはなかった。

 が、報酬はきっちり全額欲しい。
 そう考えた故の折衷案。
 
 それこそが、一時的な休憩である。

「バルティウス、ほら戻って」

 リュウコが手を広げる。

 すると、バルティウスの体は粒子と成ってリュウコの中へと消えていく。
 粒子が全て体の中に入ったのを確認して、リュウコは胸に手を当てて言った。

「この辺に数量限定の美味しいクレープがあるんだよ。その名も――」

「「ゴルゴタの丘クレープ! ……ん?」」

 声が誰かと重なり、リュウコは横を見る。

 そこには、自分と同じように頭に「?」を浮かべた金髪の少女と、なんとも言えない顔をしている黒髪の少女の姿があった。
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