138 / 255
四章 騎双学園決戦
第136話 献身
しおりを挟む
天使の出現により、辺りは混沌を極めていた。
不意の出現と、その夥しい数も理由であるのだが。
一番の問題はそれを互いに敵学園の仕業であると思っている事であった。
本来は力を合わせて戦う筈の所を、両学園共に相手への憎悪を加速させたのである。
が、そうではない者もいた。
「うーん、面倒臭い」
ユキヒラは温厚な笑みを浮かべて適当な空間にナイフを投げる。
するとそのナイフは、向かった先にたまたま出現した天使に直撃し爆発四散した。
「理事長も人が悪い。こうなることが分かっていたんだろうね。はっはっは」
「会長! ここは危険です。すぐに領地戦を終わらせて逃げましょう!」
共に防衛を担当していた生徒が叫ぶ。
しかし、ユキヒラは首を横に振った。
「領地戦は終わらせられないね」
ユキヒラはナイフを辺りに放りなげる。
その全てが、偶然天使の出現箇所へと飛んでいき天使を悉く殺した。
未来を確定し、自分の投げた方向に必ず天使が現れる様に仕向けているのだ。
「天使によるダンジョンコアへの侵食が始まっている。ここで下手に動けば、巻き戻しが行われない可能性が高い。僕達に出来る事は、天使を全て殺して領地戦を正しい形で終わらせる事」
領地戦の為に用意されたダンジョンコアを上書きするようにあふれてくる天使。
その存在がある限り、撤退は許されない。
「っ、ですが会長! このままでは……!」
「というかさ」
ユキヒラは先程から意見をしてきた生徒へとナイフを投げた。
ナイフは肩に突き刺さり、生徒は苦悶の表情と共に倒れる。
「なっ、何をするんですか!」
「君、誰なのかな」
「……は?」
ユキヒラはナイフを天使に放り投げ続けながら微笑む。
が、その笑みの奥には確かに怒りがあった。
「生徒数が多いから、顔を覚えていないと思った? 馬鹿にされるのは悲しいなぁ」
「っ、気付いていたのか!?」
生徒は驚愕し叫ぶ。
その足にさらにナイフが刺さった。
「ぐぁっ!? まっ、待ってくれ! 全部言うから許し――」
言い終わる前に、ナイフに刻まれた魔法式が発動し小規模の爆発が起きた。
ユキヒラは血の染みだけが残ったその場所を見ながら呟く。
「あー、ごめん。もう全部聞いた後だからさ。それにしても……巻き戻しがないと、これは流石に無理だね」
人だったものの破片を見ながらユキヒラはため息をつく。
そして、通信を繋げた。
「あ、もしもし聞こえるかな? ミズヒ君」
『どうした』
通信の先で、ミズヒは意外にも冷静に返事をした。
「いやぁ、大丈夫かなって思ってさ。天使、湧いてきたでしょ」
『ん? 天使とは?』
噛み合わない会話に首を傾げたユキヒラは五秒先の会話を見て納得した。
「ああ、その白い鳥だよ。それね、天使って言って騎双学園の兵器でもうちの兵器でもない悪い奴。殺しておっけー」
『そうか。それを聞いて安心した。もうすでに、千体以上は焼き払った後だからな』
「流石はSランク。じゃあ、君はそのまま騎双学園のダンジョンコアを攻略してくれ」
『いいのか。話を聞くに、天使がいるのは異常事態のようだが』
ミズヒの言葉に、ユキヒラは新たなナイフを生み出しながら笑う。
「大丈夫大丈夫。これは領地戦として終わらせるのが唯一の最善の方法だからさ」
『わかった、出来るだけ早めに決着をつけてくる』
「お願いねー」
通信を終わらせて、ユキヒラは息をするようにまた天使を殺す。
「六波羅君、どう動くんだろうなぁ」
その声色は、天使を前にした時よりも面倒臭そうなものだった。
■
「いいねェ! 盛り上がってきたじゃねェか!」
六波羅は天使を斬り殺しながら笑った。
彼の背後には既に多くの天使の死骸が転がっている。
『あ、あの天使がいるなら領地戦はやめるべきじゃ……』
「馬鹿か。今領地戦やめたらこの空間の生徒の死体はどうなるんだよ。慌てて俺達が止めるとでも思ったんだろうけどよォ、んな訳ねェよなァ!」
六波羅は戦場を駆ける。
通り過ぎ様に、生徒を殺しかけていた天使を殺し、蹂躙していく。
彼が助けた生徒の中には、御景学園の生徒も混じっていた。
『いやだぁ、めんどくさいぃ!』
「でもよエイナ、天使を殺せばボーナスだぜェ! 今の高級マンションだけじゃなくて、飯ももっと豪華に出来るし、テメェの好きな香水だって買えちまう!」
六波羅はエイナという俗物系デモンズギアの扱いを熟知していた。
『え、ボーナスまじっすかぁ!』
「マジだぜ大マジ!」
『ラーメンのトッピングも自由に!?』
「全トッピング大盛り替え玉自由にしやがれェ!」
『うおおおお流石リーダー! 星穿形態移行完了ですぅ!』
六波羅の手の中で、双剣が繋がり弓へと形を変える。
それを見た六波羅は満足げに二つにへし折った。
『あっ、すぐ折ったぁ。けどいいですよ! だってお金のためですもんね!』
「ははっ、いいねェ、ノってきたじゃねえか!」
必中を付与された二つの剣が舞う。
多くの天使を切り捨て、凄まじい速度で殲滅していく一方で、しかし彼は生徒の救助も行っていた。
「あっ、ありがとうございます六波羅さん!」
助けた生徒が頭を下げようとしたところを制止して、六波羅は自陣を指さす。
「後ろに下がって隊列を組みなおせ。最低でも三人で行動しろ。危なくなったら逃げろ、後は俺が片付ける」
「っ、はい!」
『流石リーダー。助けた奴から後々ふんだくろうって考えですねぇ!』
「お前と一緒にすんな」
ため息を吐きつつ、六波羅は再び駆け出す。
向かう先は一つ。
御景学園のダンジョンコアである。
(あっちも攻略続行してんだろ。こっからは速度勝負といこうぜ)
十二秒間の絶対的な時間は、いかなる戦況でも覆す事が可能である。
だからこそ、六波羅は勝利を前提に行動していた。
『……ん? あっ、リーダーマズいです!』
不意に、エイナが叫んだ。
「あ?」
『ルトラがこっちに凄い速度で来ます! ……え? これは、まさか――』
エイナの驚いた反応に気を向けた一瞬。
すぐ目の前に、幽鬼がいた。
「ッ!?」
「一振り」
黒い太刀が、六波羅目掛けて抜かれる。
まるで閃光が煌めいたかと錯覚するほどの刹那の一太刀。
(回避は出来ねェ、なら――)
六波羅は、それを理解した次の瞬間には必中効果の先を太刀へと定めていた。
双剣が、刀へ目掛けて因果を捻じ曲げ向かう。
辺りに凄まじい衝撃波を与えながら、両者の剣は激突した。
「ッ、おいおい随分なご挨拶だなァ!」
「おかしいな。一振りで殺せるはずだったんだけど」
首を傾げる青年は、地面を蹴って距離をとる。
そして、刀を鞘へと納めた。
「おい、てめェ名前は」
「……牙塔トウラク」
「そうか。俺は六波羅だ。エイナの契約者やってんだが……お前のその黒い太刀がルトラって奴か?」
「悪いけど、敵と無駄話をするつもりはないんだ」
トウラクはそう言って太刀を構える。
その姿を見て、エイナが言った。
『マズいですリーダー。ルトラ……暴走してます。あれじゃあ、以前と同じで姉様に処分されちゃいますよ』
エイナの言葉を聞いて、六波羅はトウラクを観察する。
それから、面白くなさそうにため息をついた。
「明星計画の要がこれじゃあ駄目だなァ。ちっとは期待してたんだが」
六波羅もまた、双剣を構える。
そして、挑発するように言った。
「来いよルーキー。先輩が優しく指導してやるからよ」
「……ルトラ三振り」
トウラクは冷え切った声で相棒に命令する。
そして、次の瞬間には凄まじい速度で駆け出していた。
■
あ、あの……なんかおかしくないっすかね……?
『あ、ルトラが暴走してるねぇ。よっしゃ! 封印してやろうねぇ!』
ちょっ、急に星詠みの杖としての役割果たそうとしないで!
「あれが、トウラクなの……!?」
「すっご執行官と互角じゃん」
天使の住処で、俺達は仲良く領地戦の行方を見守っていた。
歩けど歩けど他に天使がいないので、暇になった俺から提案したのである。
二人がずっと俺でマウント合戦してるのがそろそろ精神的にきつくなってきたという事情もあった。
星詠みの杖君にお願いして、領地戦を見せてもらっていたのだが……。
「これは、異常事態ね」
ヤバいっす。
たぶんあれは天使だし、トウラク君も暴走してるし。
あれー!?
これってトウラク君がルトラちゃんとの絆をさらに深めて強くなるイベントなんだけど!
六波羅さんの顔が、面白くない奴を相手にしているときの顔なんだけどー!
『相棒、星詠みとしての責務を果たす時だ。見たまえ、ルトラはもう駄目だ。契約者に飲み込まれたか、それともまた彼女自身が暴れたくなったのか。わからないが、アレではデモンズギア使いとしては失格だよ』
ほ、星詠みの杖君、チャンスをくれ!
トウラク君は主人公なんだ! 闇堕ちイベントの一つくらいあってもいいだろう!
ここからさらに強くなるんだよぉ!
彼の心の強さを信じてやってくれ!
「……どうしたのソルシエラ」
俺の様子がおかしい事に気が付いたクラムちゃんが、心配そうに俺の顔を覗き込む。
「別に、何でもない」
「嘘だよ。そんな辛そうな顔して、一体何が」
「――トウラクだよね」
クラムちゃんの疑問に、勝手にリンカちゃんが答えた。
おい、話が拗れる予感しかしないぞ。
「君は、ずっとトウラクを信じて、そして託して来た。私には、詳しい事はわからない。でも、二人の間に強い絆があった事だけは知ってるよ」
かませ役と主人公の間に絆なんてある訳ないだろ。
精々が、性癖をちょっと狂わせただけじゃないか!
俺は何もしてない! 無罪だ!
『どうしてそれが無罪だと思っているんだろうねぇ』
無罪だろ!
俺は美少女だぞ!
「本当は、トウラクを助けに行きたいって顔してるよ」
「別に……そんな事思ってないわ」
主人公だし大丈夫でしょ。
多少、チャートに変更があっても問題ないって。
それに、六波羅さんが止めるだろうしね。
「暇つぶしみたいに領地戦を見る提案をしてたけど、本当はトウラクが心配だったんでしょ。だから……」
「そんな訳ないじゃない」
リンカちゃんは相変わらず思い込みが激しい。
ここはまた仲良くクラムちゃんと喧嘩して貰ってお茶を濁すしか――。
「はぁ、貴女も頑固だよね」
突然、背後から抱きしめられる感触。
いつの間に背後にぃ!?
これって、クラムちゃんが俺を抱きしめてるってコト!?
『スチル回収! ッしゃぁ!』
昂る星詠みの杖君、混乱する俺。
俺達をおいて、二人はさらに加速していく。
「いいじゃん、助けに行っても。少しくらい我儘になってもさ」
「……いや、だから私は」
「星詠み、でしょ? でも、君はソルシエラである前に一人の女の子なんだ」
リンカちゃんが俺の手を優しく握り頷く。
ヤバイ、美少女に促されて望まない形で原作介入しちゃう!
ミステリアス美少女タイム強制発動しちゃう!
『嬌声発動!?』
脳みそ腐ってんのか?
「大丈夫、私達もついてる。だから行こう」
「でも、私……」
「……0号が止めているの?」
「っ」
リンカちゃんは、そう言って悲しい目で俺を見る。
ヤバイ!
これはいよいよ収拾がつかなくなるぞ!
『あ、呼ばれたねぇ! 行かないとねぇ!』
あ、待てコラ勝手に出るなぁ!
「――はははっ、流石に気付かれてしまったか」
俺達の目の前に魔法陣が広がり、俺そっくりの美少女が姿を現わす。
この場において一番話をややこしくする存在、0号の登場だ。
「0号……!? え、これって、なんでソルシエラが二人に!?」
クラムちゃんは驚き声を上げる。
それは、そうだよね。驚くよね。
「ソルシエラが契約したデモンズギアの中に潜む悪魔。それがこの0号。この子を蝕む最悪な存在だよ」
「……ッ、成程ね」
やばい0号が敵認定されちゃった。
けど俺は知らないからな。
『相棒、もう話の流れ的に彼等を救いに行くしかないだろう。そこまで上手く話を誘導するから任せたまえ!』
好きにやってくれよ、もう。
「久しぶりだねぇ、吾切リンカ。そして、君は初めましてか。確か……そうだ、綺羅螺クラムだったか。マスターとは仲良くしてくれているようだねぇ」
相変わらず悪そうな笑顔が上手だ。
こうなると俺はもう悲劇のヒロインムーブしか残されていないわよ……。
「駄目ッ、0号! この人たちには手を出さないで!」
「ん、随分と必死だな……ははっさては君、この人間共の事を好いているな?」
おいしれっとカプ厨としての需要を満たそうとしてんじゃねえよ。
「……別に、そんな事はない」
「嘘が下手だねぇ。悪戯を隠す幼子のようだ。そんな所も愛おしい」
俺へと近づいて来る0号に立ちはだかるように、クラムちゃんが前に飛び出す。
その周囲には、大量のマーちゃんズがいた。
『星詠みの杖君! 慎重にね! あれ全部爆弾だからね!』
『煽りすぎた』
『貴様ァ!』
演算とか得意じゃないのか君は!
安易に自分の欲を満たそうとするからそうなるんだ!
「おやおや、どうしたのかな。私は呼ばれたから出てきただけなのにねぇ」
「……っ、お願い。この子にトウラクを救わせて」
0号は考える素振りを見せた後、すんなりと頷いた。
「いいだろう」
「え?」
「い、いいの?」
驚く二人を前に、0号はニヤリと笑う。
「ただし、マスターがより深く私と繋がることが条件だ。さらに溶け合い、愛し合おうじゃないかぁ!」
両手を広げて、謳うように高らかに。
その姿は、悪役でしかない。
「でも、それじゃあ」
「っ、コイツ……!」
やばいやばいやばいやばい!
クラムちゃんがブチギレ寸前ですってぇ!
『おい、なんでこんなに煽るんだよ!』
『どうしようもなく、見ているだけの二人……。しかし、だからこそ結ばれたときにその愛は激しく燃えるんだねぇ!』
『カプ厨も大概にしろ!』
あー、これは失敗です。
0号はもう完全に「クラ×ソル」か「リン×ソル」のイベントシーンだと思ってやがる。
くそっこうなったら止められない。
どうしてこんな子に育ってしまったんだ!
やっぱネットサーフィンって害にしかならねえな!
「マスター、彼を助けたいのだろう。ならば、選択肢はもはや一つ」
両手を広げて一歩、また一歩と近付いてくる0号。
そんな彼女に今にも飛び掛からんばかりのクラムちゃんを見て、俺は遂に口を開いた。
「……わかったわ」
「っ!? ケイ!?」
ちょ、本名!
「駄目だよ、ケイ! ここでアイツの誘いに乗っちゃ!」
クラムちゃんまで!?
出来ればこの姿の時はミステリアス美少女としてソルシエラ呼びして欲しいんだけど。
「……今の私はソルシエラよ」
「そうだ。君はソルシエラ。私の契約者だ」
0号はノリノリである。
君、楽しそうだな。
しょうがないので乗ってあげるよ。
「……ありがとう、二人共。貴女達のおかげで、覚悟ができたわ」
「違う、私はそんなつもりで言ったわけじゃない!」
「そうだよ! お願い、考え直して! あのトウラクとかいう奴なら、私が止めに行くから!」
流石に勝てないでしょ。
「それでは、クラムが傷ついてしまう。……傷つくのは、私だけでいい」
ここでズルズルと長引かせると、さらにあのカプ厨が暴走しかねない。
なので、さっくりと終わらせてもらおう。
「いい子だ。さあ、来るんだ」
「駄目!」
「行かないで!」
二人の制止を振り切って、俺は一歩踏み出す。
そして振り返って、いつものミステリアススマイルではない、メインヒロインスマイルで言った。
「ありがとう」
『君も楽しんでるだろう? やぶさかではないだろう?』
『うるさいやい』
俺とは離れているのに、心を読んだかのように星詠みの杖君からテレパシーが飛んで来た。
完全に否定は出来なかった。
こういう美少女も「良い」ということは知っているから……。
「お願い0号。力を貸して」
「ああいいとも」
そう言って、0号は俺を強く抱きしめた。
その瞬間、俺の体に突如として痛みが走り出す。
「ぁっが!?」
痛い痛い痛い!
え!? なんで!?
『ちょっと、痛いんだけど!』
『リアリティを出すために、トラック7割分の苦痛を与えているんだ^^』
『先に言えよぉ!』
『苦しみに歪んだ顔も美しいねぇ。まあ、あの二人には見せてやらないがね!』
それどういう対抗心?
「ケイ!」
「こ、ないで……!」
苦しむ俺を見て、クラムちゃんがマーちゃんズを操ろうとしていたので咄嗟に叫ぶ。
そして、振り返って再び笑ってみせた。
「二人とも……ありがとう」
「「……っ」」
辛そうな美少女の顔は悲しい……。
そういうのは、俺だけで自給自足するから笑っておくれ……。
「これで私達のプレリュードは終わりだ! ここから私達の本当の舞台を始めようじゃないかぁ!」
悲しむ美少女二人と、叫ぶイカれデモンズギア。
そして理不尽に7割トラックの苦しみを味わう俺。
混沌とした場に魔法陣が展開され、辺りを紫色の光が包み込んだ。
もうどうにでもなっちゃえー☆
不意の出現と、その夥しい数も理由であるのだが。
一番の問題はそれを互いに敵学園の仕業であると思っている事であった。
本来は力を合わせて戦う筈の所を、両学園共に相手への憎悪を加速させたのである。
が、そうではない者もいた。
「うーん、面倒臭い」
ユキヒラは温厚な笑みを浮かべて適当な空間にナイフを投げる。
するとそのナイフは、向かった先にたまたま出現した天使に直撃し爆発四散した。
「理事長も人が悪い。こうなることが分かっていたんだろうね。はっはっは」
「会長! ここは危険です。すぐに領地戦を終わらせて逃げましょう!」
共に防衛を担当していた生徒が叫ぶ。
しかし、ユキヒラは首を横に振った。
「領地戦は終わらせられないね」
ユキヒラはナイフを辺りに放りなげる。
その全てが、偶然天使の出現箇所へと飛んでいき天使を悉く殺した。
未来を確定し、自分の投げた方向に必ず天使が現れる様に仕向けているのだ。
「天使によるダンジョンコアへの侵食が始まっている。ここで下手に動けば、巻き戻しが行われない可能性が高い。僕達に出来る事は、天使を全て殺して領地戦を正しい形で終わらせる事」
領地戦の為に用意されたダンジョンコアを上書きするようにあふれてくる天使。
その存在がある限り、撤退は許されない。
「っ、ですが会長! このままでは……!」
「というかさ」
ユキヒラは先程から意見をしてきた生徒へとナイフを投げた。
ナイフは肩に突き刺さり、生徒は苦悶の表情と共に倒れる。
「なっ、何をするんですか!」
「君、誰なのかな」
「……は?」
ユキヒラはナイフを天使に放り投げ続けながら微笑む。
が、その笑みの奥には確かに怒りがあった。
「生徒数が多いから、顔を覚えていないと思った? 馬鹿にされるのは悲しいなぁ」
「っ、気付いていたのか!?」
生徒は驚愕し叫ぶ。
その足にさらにナイフが刺さった。
「ぐぁっ!? まっ、待ってくれ! 全部言うから許し――」
言い終わる前に、ナイフに刻まれた魔法式が発動し小規模の爆発が起きた。
ユキヒラは血の染みだけが残ったその場所を見ながら呟く。
「あー、ごめん。もう全部聞いた後だからさ。それにしても……巻き戻しがないと、これは流石に無理だね」
人だったものの破片を見ながらユキヒラはため息をつく。
そして、通信を繋げた。
「あ、もしもし聞こえるかな? ミズヒ君」
『どうした』
通信の先で、ミズヒは意外にも冷静に返事をした。
「いやぁ、大丈夫かなって思ってさ。天使、湧いてきたでしょ」
『ん? 天使とは?』
噛み合わない会話に首を傾げたユキヒラは五秒先の会話を見て納得した。
「ああ、その白い鳥だよ。それね、天使って言って騎双学園の兵器でもうちの兵器でもない悪い奴。殺しておっけー」
『そうか。それを聞いて安心した。もうすでに、千体以上は焼き払った後だからな』
「流石はSランク。じゃあ、君はそのまま騎双学園のダンジョンコアを攻略してくれ」
『いいのか。話を聞くに、天使がいるのは異常事態のようだが』
ミズヒの言葉に、ユキヒラは新たなナイフを生み出しながら笑う。
「大丈夫大丈夫。これは領地戦として終わらせるのが唯一の最善の方法だからさ」
『わかった、出来るだけ早めに決着をつけてくる』
「お願いねー」
通信を終わらせて、ユキヒラは息をするようにまた天使を殺す。
「六波羅君、どう動くんだろうなぁ」
その声色は、天使を前にした時よりも面倒臭そうなものだった。
■
「いいねェ! 盛り上がってきたじゃねェか!」
六波羅は天使を斬り殺しながら笑った。
彼の背後には既に多くの天使の死骸が転がっている。
『あ、あの天使がいるなら領地戦はやめるべきじゃ……』
「馬鹿か。今領地戦やめたらこの空間の生徒の死体はどうなるんだよ。慌てて俺達が止めるとでも思ったんだろうけどよォ、んな訳ねェよなァ!」
六波羅は戦場を駆ける。
通り過ぎ様に、生徒を殺しかけていた天使を殺し、蹂躙していく。
彼が助けた生徒の中には、御景学園の生徒も混じっていた。
『いやだぁ、めんどくさいぃ!』
「でもよエイナ、天使を殺せばボーナスだぜェ! 今の高級マンションだけじゃなくて、飯ももっと豪華に出来るし、テメェの好きな香水だって買えちまう!」
六波羅はエイナという俗物系デモンズギアの扱いを熟知していた。
『え、ボーナスまじっすかぁ!』
「マジだぜ大マジ!」
『ラーメンのトッピングも自由に!?』
「全トッピング大盛り替え玉自由にしやがれェ!」
『うおおおお流石リーダー! 星穿形態移行完了ですぅ!』
六波羅の手の中で、双剣が繋がり弓へと形を変える。
それを見た六波羅は満足げに二つにへし折った。
『あっ、すぐ折ったぁ。けどいいですよ! だってお金のためですもんね!』
「ははっ、いいねェ、ノってきたじゃねえか!」
必中を付与された二つの剣が舞う。
多くの天使を切り捨て、凄まじい速度で殲滅していく一方で、しかし彼は生徒の救助も行っていた。
「あっ、ありがとうございます六波羅さん!」
助けた生徒が頭を下げようとしたところを制止して、六波羅は自陣を指さす。
「後ろに下がって隊列を組みなおせ。最低でも三人で行動しろ。危なくなったら逃げろ、後は俺が片付ける」
「っ、はい!」
『流石リーダー。助けた奴から後々ふんだくろうって考えですねぇ!』
「お前と一緒にすんな」
ため息を吐きつつ、六波羅は再び駆け出す。
向かう先は一つ。
御景学園のダンジョンコアである。
(あっちも攻略続行してんだろ。こっからは速度勝負といこうぜ)
十二秒間の絶対的な時間は、いかなる戦況でも覆す事が可能である。
だからこそ、六波羅は勝利を前提に行動していた。
『……ん? あっ、リーダーマズいです!』
不意に、エイナが叫んだ。
「あ?」
『ルトラがこっちに凄い速度で来ます! ……え? これは、まさか――』
エイナの驚いた反応に気を向けた一瞬。
すぐ目の前に、幽鬼がいた。
「ッ!?」
「一振り」
黒い太刀が、六波羅目掛けて抜かれる。
まるで閃光が煌めいたかと錯覚するほどの刹那の一太刀。
(回避は出来ねェ、なら――)
六波羅は、それを理解した次の瞬間には必中効果の先を太刀へと定めていた。
双剣が、刀へ目掛けて因果を捻じ曲げ向かう。
辺りに凄まじい衝撃波を与えながら、両者の剣は激突した。
「ッ、おいおい随分なご挨拶だなァ!」
「おかしいな。一振りで殺せるはずだったんだけど」
首を傾げる青年は、地面を蹴って距離をとる。
そして、刀を鞘へと納めた。
「おい、てめェ名前は」
「……牙塔トウラク」
「そうか。俺は六波羅だ。エイナの契約者やってんだが……お前のその黒い太刀がルトラって奴か?」
「悪いけど、敵と無駄話をするつもりはないんだ」
トウラクはそう言って太刀を構える。
その姿を見て、エイナが言った。
『マズいですリーダー。ルトラ……暴走してます。あれじゃあ、以前と同じで姉様に処分されちゃいますよ』
エイナの言葉を聞いて、六波羅はトウラクを観察する。
それから、面白くなさそうにため息をついた。
「明星計画の要がこれじゃあ駄目だなァ。ちっとは期待してたんだが」
六波羅もまた、双剣を構える。
そして、挑発するように言った。
「来いよルーキー。先輩が優しく指導してやるからよ」
「……ルトラ三振り」
トウラクは冷え切った声で相棒に命令する。
そして、次の瞬間には凄まじい速度で駆け出していた。
■
あ、あの……なんかおかしくないっすかね……?
『あ、ルトラが暴走してるねぇ。よっしゃ! 封印してやろうねぇ!』
ちょっ、急に星詠みの杖としての役割果たそうとしないで!
「あれが、トウラクなの……!?」
「すっご執行官と互角じゃん」
天使の住処で、俺達は仲良く領地戦の行方を見守っていた。
歩けど歩けど他に天使がいないので、暇になった俺から提案したのである。
二人がずっと俺でマウント合戦してるのがそろそろ精神的にきつくなってきたという事情もあった。
星詠みの杖君にお願いして、領地戦を見せてもらっていたのだが……。
「これは、異常事態ね」
ヤバいっす。
たぶんあれは天使だし、トウラク君も暴走してるし。
あれー!?
これってトウラク君がルトラちゃんとの絆をさらに深めて強くなるイベントなんだけど!
六波羅さんの顔が、面白くない奴を相手にしているときの顔なんだけどー!
『相棒、星詠みとしての責務を果たす時だ。見たまえ、ルトラはもう駄目だ。契約者に飲み込まれたか、それともまた彼女自身が暴れたくなったのか。わからないが、アレではデモンズギア使いとしては失格だよ』
ほ、星詠みの杖君、チャンスをくれ!
トウラク君は主人公なんだ! 闇堕ちイベントの一つくらいあってもいいだろう!
ここからさらに強くなるんだよぉ!
彼の心の強さを信じてやってくれ!
「……どうしたのソルシエラ」
俺の様子がおかしい事に気が付いたクラムちゃんが、心配そうに俺の顔を覗き込む。
「別に、何でもない」
「嘘だよ。そんな辛そうな顔して、一体何が」
「――トウラクだよね」
クラムちゃんの疑問に、勝手にリンカちゃんが答えた。
おい、話が拗れる予感しかしないぞ。
「君は、ずっとトウラクを信じて、そして託して来た。私には、詳しい事はわからない。でも、二人の間に強い絆があった事だけは知ってるよ」
かませ役と主人公の間に絆なんてある訳ないだろ。
精々が、性癖をちょっと狂わせただけじゃないか!
俺は何もしてない! 無罪だ!
『どうしてそれが無罪だと思っているんだろうねぇ』
無罪だろ!
俺は美少女だぞ!
「本当は、トウラクを助けに行きたいって顔してるよ」
「別に……そんな事思ってないわ」
主人公だし大丈夫でしょ。
多少、チャートに変更があっても問題ないって。
それに、六波羅さんが止めるだろうしね。
「暇つぶしみたいに領地戦を見る提案をしてたけど、本当はトウラクが心配だったんでしょ。だから……」
「そんな訳ないじゃない」
リンカちゃんは相変わらず思い込みが激しい。
ここはまた仲良くクラムちゃんと喧嘩して貰ってお茶を濁すしか――。
「はぁ、貴女も頑固だよね」
突然、背後から抱きしめられる感触。
いつの間に背後にぃ!?
これって、クラムちゃんが俺を抱きしめてるってコト!?
『スチル回収! ッしゃぁ!』
昂る星詠みの杖君、混乱する俺。
俺達をおいて、二人はさらに加速していく。
「いいじゃん、助けに行っても。少しくらい我儘になってもさ」
「……いや、だから私は」
「星詠み、でしょ? でも、君はソルシエラである前に一人の女の子なんだ」
リンカちゃんが俺の手を優しく握り頷く。
ヤバイ、美少女に促されて望まない形で原作介入しちゃう!
ミステリアス美少女タイム強制発動しちゃう!
『嬌声発動!?』
脳みそ腐ってんのか?
「大丈夫、私達もついてる。だから行こう」
「でも、私……」
「……0号が止めているの?」
「っ」
リンカちゃんは、そう言って悲しい目で俺を見る。
ヤバイ!
これはいよいよ収拾がつかなくなるぞ!
『あ、呼ばれたねぇ! 行かないとねぇ!』
あ、待てコラ勝手に出るなぁ!
「――はははっ、流石に気付かれてしまったか」
俺達の目の前に魔法陣が広がり、俺そっくりの美少女が姿を現わす。
この場において一番話をややこしくする存在、0号の登場だ。
「0号……!? え、これって、なんでソルシエラが二人に!?」
クラムちゃんは驚き声を上げる。
それは、そうだよね。驚くよね。
「ソルシエラが契約したデモンズギアの中に潜む悪魔。それがこの0号。この子を蝕む最悪な存在だよ」
「……ッ、成程ね」
やばい0号が敵認定されちゃった。
けど俺は知らないからな。
『相棒、もう話の流れ的に彼等を救いに行くしかないだろう。そこまで上手く話を誘導するから任せたまえ!』
好きにやってくれよ、もう。
「久しぶりだねぇ、吾切リンカ。そして、君は初めましてか。確か……そうだ、綺羅螺クラムだったか。マスターとは仲良くしてくれているようだねぇ」
相変わらず悪そうな笑顔が上手だ。
こうなると俺はもう悲劇のヒロインムーブしか残されていないわよ……。
「駄目ッ、0号! この人たちには手を出さないで!」
「ん、随分と必死だな……ははっさては君、この人間共の事を好いているな?」
おいしれっとカプ厨としての需要を満たそうとしてんじゃねえよ。
「……別に、そんな事はない」
「嘘が下手だねぇ。悪戯を隠す幼子のようだ。そんな所も愛おしい」
俺へと近づいて来る0号に立ちはだかるように、クラムちゃんが前に飛び出す。
その周囲には、大量のマーちゃんズがいた。
『星詠みの杖君! 慎重にね! あれ全部爆弾だからね!』
『煽りすぎた』
『貴様ァ!』
演算とか得意じゃないのか君は!
安易に自分の欲を満たそうとするからそうなるんだ!
「おやおや、どうしたのかな。私は呼ばれたから出てきただけなのにねぇ」
「……っ、お願い。この子にトウラクを救わせて」
0号は考える素振りを見せた後、すんなりと頷いた。
「いいだろう」
「え?」
「い、いいの?」
驚く二人を前に、0号はニヤリと笑う。
「ただし、マスターがより深く私と繋がることが条件だ。さらに溶け合い、愛し合おうじゃないかぁ!」
両手を広げて、謳うように高らかに。
その姿は、悪役でしかない。
「でも、それじゃあ」
「っ、コイツ……!」
やばいやばいやばいやばい!
クラムちゃんがブチギレ寸前ですってぇ!
『おい、なんでこんなに煽るんだよ!』
『どうしようもなく、見ているだけの二人……。しかし、だからこそ結ばれたときにその愛は激しく燃えるんだねぇ!』
『カプ厨も大概にしろ!』
あー、これは失敗です。
0号はもう完全に「クラ×ソル」か「リン×ソル」のイベントシーンだと思ってやがる。
くそっこうなったら止められない。
どうしてこんな子に育ってしまったんだ!
やっぱネットサーフィンって害にしかならねえな!
「マスター、彼を助けたいのだろう。ならば、選択肢はもはや一つ」
両手を広げて一歩、また一歩と近付いてくる0号。
そんな彼女に今にも飛び掛からんばかりのクラムちゃんを見て、俺は遂に口を開いた。
「……わかったわ」
「っ!? ケイ!?」
ちょ、本名!
「駄目だよ、ケイ! ここでアイツの誘いに乗っちゃ!」
クラムちゃんまで!?
出来ればこの姿の時はミステリアス美少女としてソルシエラ呼びして欲しいんだけど。
「……今の私はソルシエラよ」
「そうだ。君はソルシエラ。私の契約者だ」
0号はノリノリである。
君、楽しそうだな。
しょうがないので乗ってあげるよ。
「……ありがとう、二人共。貴女達のおかげで、覚悟ができたわ」
「違う、私はそんなつもりで言ったわけじゃない!」
「そうだよ! お願い、考え直して! あのトウラクとかいう奴なら、私が止めに行くから!」
流石に勝てないでしょ。
「それでは、クラムが傷ついてしまう。……傷つくのは、私だけでいい」
ここでズルズルと長引かせると、さらにあのカプ厨が暴走しかねない。
なので、さっくりと終わらせてもらおう。
「いい子だ。さあ、来るんだ」
「駄目!」
「行かないで!」
二人の制止を振り切って、俺は一歩踏み出す。
そして振り返って、いつものミステリアススマイルではない、メインヒロインスマイルで言った。
「ありがとう」
『君も楽しんでるだろう? やぶさかではないだろう?』
『うるさいやい』
俺とは離れているのに、心を読んだかのように星詠みの杖君からテレパシーが飛んで来た。
完全に否定は出来なかった。
こういう美少女も「良い」ということは知っているから……。
「お願い0号。力を貸して」
「ああいいとも」
そう言って、0号は俺を強く抱きしめた。
その瞬間、俺の体に突如として痛みが走り出す。
「ぁっが!?」
痛い痛い痛い!
え!? なんで!?
『ちょっと、痛いんだけど!』
『リアリティを出すために、トラック7割分の苦痛を与えているんだ^^』
『先に言えよぉ!』
『苦しみに歪んだ顔も美しいねぇ。まあ、あの二人には見せてやらないがね!』
それどういう対抗心?
「ケイ!」
「こ、ないで……!」
苦しむ俺を見て、クラムちゃんがマーちゃんズを操ろうとしていたので咄嗟に叫ぶ。
そして、振り返って再び笑ってみせた。
「二人とも……ありがとう」
「「……っ」」
辛そうな美少女の顔は悲しい……。
そういうのは、俺だけで自給自足するから笑っておくれ……。
「これで私達のプレリュードは終わりだ! ここから私達の本当の舞台を始めようじゃないかぁ!」
悲しむ美少女二人と、叫ぶイカれデモンズギア。
そして理不尽に7割トラックの苦しみを味わう俺。
混沌とした場に魔法陣が展開され、辺りを紫色の光が包み込んだ。
もうどうにでもなっちゃえー☆
29
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる