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四章 騎双学園決戦

第129話 猜疑

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【領地戦頑張ろう】御景学園 総合 part842


129:名無しの生徒 ID:rABLnLpMj
なんか学園騒がしくない?
何かあったの?

130:名無しの生徒 ID:+gvw/+66Y
昨日、ウチの生徒が騎双学園に襲われたんだってさ


133:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
騎双学園が違法な兵器を利用してたんだって
怖いよね。まだアイツら俺達に逆らう気なんだよ?


134:名無しの生徒 ID:aewbzUeO4
それマジなの?
先輩も同じこと言ってたけど、ソースがないだろ
 

135:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
前スレに動画載っているから見てみな
あ、閲覧注意ね
結構グロいから

 
137:名無しの生徒 ID:1nQKvG76I
襲われたのって一年生なんでしょ?
入学してまだ半年もたってないのに可哀そうに
 
 
140:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
>>137しかも他の生徒を助けたらしいよ?
そんな正義感ある子に対して酷いよな、アイツら
 

143:名無しの生徒 ID:RirinK58agr
動画は確かに騎双学園の制服が写ってたけど、これって別の学園の可能性はないの?
今なら騎双学園のせいにし放題だからちょっかい掛けたとかは?

 
146:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
>>143でもあの騎双学園だぞ?
俺達を領地戦の前に襲って戦力を削ごうって魂胆かも

 
149:名無しの生徒 ID:Mx2jPlHqz
私もそう思うわ
アイツらマジで屑だから
この前も他の学園のダンジョン奪ってた
 

150:名無しの生徒 ID:TjRajp8X7
胸糞悪いなぁ
俺、今回襲われた子に前に助けて貰ったことあったんだ 
早く治ってくれるといいけど 


151:名無しの生徒 ID:Su/Rp57KX
襲われたのって一年でも優秀な子だったんでしょ?
次期生徒会のメンバー候補でもう生徒会活動を手伝ってたとか


153:名無しの生徒 ID:Cjo7kJpY8
>>151彼氏がデモンズギア使いで有名な子だよ
本人も強くて、次の測定でAランクに行くんじゃないかって噂されてた
あと、すっごく可愛い
 

156:名無しの生徒 ID:JLJ3PQxEY
可愛いんだ……じゃあ尚更許せねえな
 

157:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
たぶんアイツら領地戦でも何かしてくるだろ
俺達はそんなの全部ぶち破って倒してやろうぜ!


160:名無しの生徒 ID:X2A3lUL9K
当然だ。マジで許せねえもん騎双学園

163:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
これまだ知らない人たち居るから、俺教えてくるわ
領地戦前にこんなふざけた事されて黙ってられるかよ
 
165:名無しの生徒 ID:YhcnG2UCK
私も友達に教えてあげよう
 

167:名無しの生徒 ID:N4jTIw2NA
俺も後輩に言うわ
気を引き締めてかからねえとな
 

171:名無しの生徒 ID:l8uBIiT1a
勝った気でいたけど、これじゃあ最後まで本気で戦ったほうがよさそうだね
 

174:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
どうせ最後は蘇生されるんだし、全員殺す気でいこうぜ
じゃないと、その子が報われないよ
 

177:名無しの生徒 ID:i23tbfbE7
そうだな絶対に殺すわ

 
180:名無しの生徒 ID:blHGCuxXs
領地戦で滅茶苦茶にしてやる!
 

182:名無しの生徒 ID:JYO/jj1kill
領地戦でアイツらがなにかしてきても絶対に俺達は勝つぞ! 

185:名無しの生徒 ID:CfaMeVEHt
>>182当然だ!
 











「っ、ははははは。やっぱりぬるま湯に浸かってる様な奴は駄目だな」

 ダイブギア上の掲示板のウィンドウを閉じて、青年は笑った。

 廃ビルの上層階。
 彼が住まいとする薄汚れたオフィスの中、割れた窓ガラスから風が入りこみ彼の金髪を揺らす。
 僅かに見えた目は、気でも触れたかのように血走っていた。

「――やあ、ジョー君。計画は順調かな?」
「……ああ、教授か。相変わらず後ろから出てくるんだな」
「ははは、実は君の作業が終わるまでずっと後ろでお茶の準備をしていたりしてね」

 振り返れば、教授は持ち込んだテーブルの上にティーカップとお菓子の盛られた皿を並べている。
 細やかな装飾の為された食器やテーブルに対して、教授が椅子の代わりとして腰を下ろしたのは瓦礫。

 ハンカチを敷いて、美しい所作で座る彼の姿は違和感しか感じられない。

(相変わらず恐ろしい奴だ。その上、ネームレスとかいう強い奴までいやがる。俺達が生き残ったのはただの気まぐれにすぎねえな)

 ジョーは、長い間アラクネとして生き残ってきた。
 野生の本能と呼べるほどに洗練された勘が、今の自分は生かされているのだと訴えている。
 彼等に逆らってはいけない。

 ファーストコンタクトの時のように攻撃をすれば、今度こそアラクネごと壊滅するだろうと予想していた。

「どうかな、一緒にお茶でも。ネームレスは何やら忙しいようでね」
「じゃあ、遠慮なく」

 ジョーは教授の向かいに腰を下ろす。
 そして、作法など気にせずに一気に紅茶を飲み干した。

「どうかな、味は」
「金の味がする。高いもんはうめえな」
「ははは、気に入ってくれてよかった」

 教授は笑ってジョーのティーカップに紅茶を新たに入れる。
 ジョーはそれに礼を言いつつ、皿の上にあったクッキーを手に取った。

「それで、今日は何の用だ」
「計画が明日に迫っているだろう? だから、激励……いや、単に誰かとお茶を楽しみたかっただけかもしれないね」

 教授は微笑んで、ティーカップに口をつける。
 その間も、ジョーは皿の上のお菓子を鷲掴みにして口に運んでいた。

「それで、天使の使い勝手はどうかな?」
「悪くねえ。既に騎双学園と御景学園の奴らで試した。Sランクと風紀委員長には、まあ効かなかったな。やっぱアイツらは高ランク同士で潰し合ってくれないと困る」
「その為の仕込みもしたのだろう?」
「ああ」

 ジョーは口元を歪める。

「アイツら馬鹿だからよ、少し切っ掛けを与えてやれば大義とかほざいて殺し合いやがる。あー嫌だね、自分たちは安全な場所にいて、裁く立場だと思ってる奴ってのは」
 
 クッキーを纏めて口の中にいれて、咀嚼する。
 そして味もわからぬままに、一気に紅茶で流し込んだ。

「俺達を無能だとか不要だとか、散々ほざいて捨てやがった屑共に思い知らせてやるよ。この世界で生き残るべき人間は誰かってのをな」
「……それは楽しみだ」

 ジョーは愉快そうにくつくつと笑っている。
 
「おや」

 いつの間にか、紅茶の匂いに釣られて多くのアラクネ達が集まっていた。
 欠けた天井、穴の開いた壁、崩れた扉、割れた硝子。
 至る所から顔をのぞかせる飢えた亡者。

 その姿を見て、教授は微笑んだ。

「ありもので悪いが、ティーパーティーでもしようか」

 
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