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三章 閃きジーニアス
第102話 生贄ノンストップ
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ミユメが目を覚ましたのは、夕陽が沈む頃だった。
茜色から次第に蒼紫色に染まっていく空を見て、ミユメは自分が今まで眠っていたことに気が付く。
「あ、起きた?」
「ん……トアちゃん、もしかして私寝てたっすか?」
ミユメの問いに、トアは微笑み頷く。
どうやら、トアの肩に寄り添う形で眠っていたようだ。
「あんまり何もないから、寝ちゃったっすね」
クレープ片手にベンチで談笑した所までは覚えている。
が、どうにも起伏のない平穏な時間に気が緩み眠ってしまっていたようだ。
「ヒカリちゃんのお手伝いもあったから、疲れてたのかも?」
「そんなに貧弱な体じゃないと思ってたんすけどね。いやぁ、すみません。別に起こしてくれても良かったんすよ?」
その言葉に、トアは「別にいいよ」と言って静かに首を横に振った。
「たまには、こういう時間も悪くないなって思ったんだ。平和で、何もしない時間。……今までは、ずっと忙しかったから」
借金や、騎双学園への潜入など、様々な事があった。
こうして時間を贅沢に消費することなど出来なかったのである。
こんな時間は今この瞬間だからこそ。
「ミユメちゃん――私のお願い聞いてくれないかな」
ここから先はまた少しだけ騒がしくなりそうだ。
■
曰く、深夜に一緒に来て欲しい場所があるとのこと。
真剣な顔でそう切り出したトアを前に、ミユメが断る理由は存在しなかった。
トアに対して悪印象を抱いていなかったというのも理由の一つだが、何よりも大きい理由は。
(ルカさん、どこ行ったんすかね)
ルカが姿を消してたのだ。
医務室にも生徒会室にもその姿はなく、ミユメの唯一の断る理由になりえた検査の予定も消失したのである。
深夜という事でまたそこそこの時間を待つことにはなったのだが、今回は妙に時間の経過が早く感じられた。
あっという間に時刻は零時を過ぎ、ミユメはトアと一緒にとある場所へと来たのである。
「えーと、ここかな……?」
トアはどこか自信なさげにしながら、一つのラボの前で足を止めた。
辺りに人の気配は無く、ポツポツと点在する明かりだけが薄暗く廊下を照らしている。
「ここっすか?」
「うん。その筈なんだけど……」
トアは辺りをキョロキョロと見渡しながら言った。
どこか不安げな表情を浮かべながら、しきりに首を傾げている。
ミユメはそんなトアを見て、口を開いた。
「……コニエ先輩に呼ばれたんすか?」
「うえっ!? な、なんで分かったの!?」
「だって、このラボはコニエ先輩のラボですし」
そう言ってミユメは目の前の扉を指さす。
トアはそれを聞いて、納得したような声を上げた。
「そ、そうなんだ。知らなかった」
「どうして、ここに私を?」
「えっと……」
トアは逡巡する。
それは、事の発端であるコニエも、ケイもいないからだ。
(ケイ君は情報を集めるって行って戻ってこないし……どうしよう)
ケイは、予め自分が戻らない場合はコニエに指示を仰ぐ様にと言っている。
が、しかしコニエが姿を表すことは無い。
(予定、狂っちゃったかな?)
どうしたものか、とトアが内心で首を傾げているとミユメが隣で声を上げた。
「あ、ルカさん」
「え」
薄暗い廊下の奥から、乱れた金髪の少女が歩いてくるのが見えた。
その傍らには、廊下を泳ぐ様に主に付き従うルルイカの姿。
「……ミユメ、こんな所で何をしているのですか」
一歩、また一歩と幽鬼のようにふらつきながら近づいてくるルカを見て、ミユメは無意識の内に一歩下がっていた。
代わりに、トアが武装を展開して立ちはだかる。
「ルカさんこそ、どうしてここにいるっすか」
「質問しているのは私ですよ、ミユメ。どうして、コニエのラボに貴女がいるのですか。コニエと仲直り……と、言うにはおかしな時間ですよね」
ルカはそう言うと、トアを睨みつけた。
「唆されましたか? そこの生徒に」
「ルカさん、私は――」
「黙りなさい」
怖ろしく冷たい声。
ミユメは普段とは違うルカの姿にトアの陰に隠れて、顔だけをのぞかせる。
「ルカさん? どうしたっすか、怖いっす……」
「ミユメ、帰りましょう。貴女と共にいる生徒は敵です」
ルカは、そう言ってトアを指さす。
「コニエと共に、貴女を連れ出そうとしたのでしょう。ですが、その計画は既に失敗に終わりました」
「……そんな」
トアは絶望したかのような声を上げる。
コニエという少女が立てたという計画。
しかし、その発端である少女は疎か自分の仲間もいない今、トアに出来ることは限られていた。
「――っ」
「ほう、収束砲撃ですか」
重砲が唸りを上げ、光を集め始める。
が、既に間合いはトアの得意とする遠距離ではない。
「前衛がいない砲手など、敵ではないですね。ルルイカ」
主の言葉に甲高い声で返事をしたルルイカは廊下の床へと潜り込む。
再び静寂が辺りを支配した刹那、トアの背後から尾が飛び出してきた。
「後ろっ!?」
銃口を向けようとするが、間に合う訳もない。
その腕から重砲を叩き落とされたトアは、そのまま壁へと叩きつけられた。
「トアちゃん! ……ルカさん、もうやめるっす! トアちゃんは悪くないっすよ!」
「そうですね。私もそう思います」
「だったら――」
「けれど、それでも許すわけにはいきません。これは、二人の為でもありますから」
ルカはそう言って、トアへと近づく。
抵抗を許さないように、周囲をルルイカが弧を描き泳ぎ続けているため、重砲を再び手にすることは出来そうもない。
ルカは、トアの姿を見てどこか安堵したように微笑んだ。
「怪我はなさそうですね。トアさん、コニエから頼まれたのでしょう? ここに来るようにと」
「……っ、私は」
「大丈夫です。貴女は頼まれただけ。……だから、早くこの場から去ってください。今日の事は、出来るだけ早く忘れて」
「え?」
意外にも、ルカはそう言ってトアを逃がそうとしていた。
疲れ切った目は光を一切感じないが、それでも焦燥感だけは伝わった。
「どうして……」
「早く。これが彼女に知られたら、きっと貴方もコニエみたいに」
「――彼女って、誰かな? 私、気になるなー」
跳ねるような明るい声が、聞えた。
同時に、トアの視界に一匹の蝶が映る。
見覚えのある、黒い蝶だ。
ルカはそれに気が付くと、弾かれたように顔を上げた。
そして、声の聞こえた方に向き直る。
「カノン、待ってください。彼女は――」
「知ってるよ。コニエに手を貸して、ミユメを連れ出そうとした。でしょ?」
蝶が集まり、次第に人の形を成していく。
変哲もない茶髪に白衣の彼女は、見間違う事もなく空無カノンその人であった。
「や、トアちゃん。ゴーストハントを手伝ってくれてありがとうね? あの時は楽しかったよ。だから、残念だなぁ」
「カノン!」
「大丈夫だって、ルカ。安心してよ。まだどうこうするつもりはないからさ」
カノンはそう言って、ニッコリと笑った。
その間も、周囲を蝶が覆っていく。
その光景を前に、ミユメは困惑する事しかできなかった。
(これは、何がどうなっているっすか?)
いつもと様子が違う姉とルカ。
そして、襲われたトア。
自分を取り巻く環境が今まさにその偽りのベールを脱ぎ、本当の姿を現そうとしている。
優しかった筈の周囲の人間が争う姿を見てミユメは妙な胸騒ぎを覚えた。
しかし、それよりも。
(どういうことっすか。これ……どうして、どうして……こんなに急にお腹が空いて……)
何よりも異常なのは自分の体。
こんな状況下で、異常なまでの空腹がミユメを襲っていた。
まるで、この時間にそうなるようにと作られたかのような飢餓というべき空腹。
こんな事を考えている場合じゃないと思いつつも、ミユメの頭の中は何かを食べる事でいっぱいになっていた。
「う、うぅ……」
「ミユメちゃん?」
「ミユメ……! っ、遅かった。トアさん、離れてください。ルルイカ!」
困惑するトアを引き離し、ルカはルルイカで、廊下の壁と床を尾で叩く。
すると、壁と床が波打ちミユメを覆い閉じ込めた。
先程、自分と戦っていた筈のルカの突然の行動にトアが目を白黒させている中、カノンはそれを見て簡素な笑い声を上げる。
「あはは、無駄だって。そんなので、ミユメちゃんが止まる訳無いじゃん」
包囲していた壁に、亀裂が走る。
そう認識したが最後、次の瞬間にはルルイカが作った包囲網はあっという間に崩れ去っていた。
「――」
中から一つの影が飛び出してくる。
それは人に非ず。
流線型の頭部と、不揃いの鱗を無数に持つ爬虫類のような肌。
鞭のように地面を叩く尾に鋭利な爪をもつ手足は、まるで小型の龍のようであった。
二足歩行によりかろうじて人型のシルエットは保っているものの、そこからは知性というものを一切感じさせない。
「ミユメちゃん……?」
その光景が信じられずに、トアは呆然と名前を呼ぶ。
すると、その生物はトアの方を見た。
その口元からは、粘性の高い唾液を垂らし、鋭利な牙を覗かせている。
まるで、餌を観察しているかのようだった。
「っ、ミユメやめてください!」
視線から察したルカは、再びルルイカを操作する。
その生物の周囲を泳ぎ回るルルイカは、尾を叩き再び床を波のように揺らす。
そして生物がバランスを崩した瞬間に尾による一撃を直接本体へ向けて放った。
「――」
が、あり得ない角度に首が動きその動きを捉えると、両腕で受け止める。
尾を受け止められたルルイカが再び床に飛び込もうとした隙をついて、背びれを掴んだソレは、大口を開けてルルイカに噛みついた。
「ルルイカ!」
ジタバタと暴れるルルイカを見て、ルカは慌ててルルイカを消失させる。
獲物が消失したことにより、空を切った牙がガチリと音を鳴らした。
「え、あ、あれがミユメちゃん……?」
「そうだよー。正確には、理の魔眼だけどね。元は、石化の魔眼と共にとあるダンジョン主が持っていた聖遺物なんだ」
カノンはニコニコと答える。
その姿にはまるで焦燥感がない。
「カノン、ミユメが飢餓状態に陥っています! 早く、データロイドを食べさせ――っ!」
カノンへと意識が向いた次の瞬間には、ミユメが大口を開けてルカへと飛び込んでいた。
人を優に超えた身体能力からの飛び込みには、距離というものは意味をなさない。
自分へ迫ってくるミユメ。
その光景がスローモーションのように感じられる中、ルカは死を悟る。
が、その時両者の間に蝶が舞った。
「等分された死」
蝶が、トアとルカを庇うように壁を構築する。
そして無数につらなり縄のようになると、ミユメへと巻き付き拘束した。
「駄目だよルカ。あの状態のミユメちゃんには常に警戒しないと。いつもと違って人も食べるんだから」
「……カノン、ありがとうございました」
「友達だもん。助けるよ」
カノンはピースサインを向けて笑うと、縛られたミユメへと向かっていった。
「いやぁ、一日とはいえこの学院から出ていたからねー。飢餓になるのが早かったなー。今日の検査も、サボったでしょ?」
「……すみません」
「別にいいよ。誰にでもミスはあるって。まあ、私みたいな天才には許されないんだけどねー」
カノンは、縛られたミユメの頭を愛おしそうに撫でた。
口を蝶の縄で塞がれたミユメは、暴れ狂うが拘束が外れることは無い。
「二人とも、離れて。今からご飯の用意するから」
カノンがそう言うと、ルカは慌ててトアを連れて後ろに下がる。
それを確認したカノンもミユメから離れた。
そして、ミユメを指さす。
「トアちゃんはさ、アレを見てもまだあの子に関わりたいと思うかな?」
「……え?」
「あれはまだ未完成だから人じゃないよ。見てて」
等分された死が、三人の前で格子状になる。
どうやら、安全地帯を作り上げたようだ。
安全地帯の向こう側で、拘束が解けたミユメが体を身震いさせる。
その前に、突然生徒が現れた。
ジルニアス学術院の制服を着たその生徒は、ミユメを確認すると攻撃を仕掛ける。
が、人による拳は鱗に阻まれて、まるでダメージを与えていない様だった。
「――」
ミユメは獣のような声を上げると、生徒に頭から齧り付き、そのまま腕をあらぬ方向へと曲げて、捕食を始める。
その行動の全ては野生動物となんら変わりがなかった。
「ひぃっ……! 人っ……人を食べて……!」
「大丈夫。あれはデータロイドって言って、人によく似た餌だから。意思もないし、人型ってだけだよ」
カノンが、トアの反応を楽しみながらそう解説する。
その間もミユメは食べ続け、あっという間に人一人を平らげてしまった。
が、まだ満たされないのか、次は三人に目を向けて一気に駆け出す。
振りかぶった腕は、格子状の等分された死によって防がれ、三人に届くことはなかった。
その光景に、トアは思わず尻もちをつく。
「うーん。やっぱりこの段階まで仕上がってると、普通のデータロイドじゃ満足しないね。うんうん、良い兆候だ」
「カノン、早く次のデータロイドを出してください」
「慌てない慌てない。新しく、この状態のミユメちゃんの為に極上のデータロイドを作ったから、さっそく食べさせよう」
そう言って、カノンが指を鳴らす。
すると、格子に噛みつくミユメの背後に、再び生徒が現れた。
それは小さな体躯に可愛らしいツインテール。
見覚えのある姿を見て、ルカはすぐに気が付く。
「コニエ……!?」
「そう、正解」
カノンはニッコリと笑った。
「貴女まさか、人をデータロイドに変えたのですか!?」
「うん、そうだよ」
平然と答えるその姿を見て、ルカは何かに気が付きカノンへと縋りつく。
「やめてください! 今すぐコニエをあそこから出して! でないと、食べられてしまう!」
「ははは、なに言ってるのルカ」
カノンは首を傾げた。
「餌なんだから、食べられるのは当たり前でしょ」
「……ぁ、嘘。駄目。駄目です、そんな事」
ルカはうわ言のようにそう呟くと、等分された死の格子へとしがみつき叫んだ。
「ミユメ! 駄目です! アレは本物のコニエです! お願いだから気が付いて!」
「無駄だよ。あの状態では気が付かない。それに、今のミユメちゃんには、コニエは極上の獲物に映っていると思うよ」
「カノン……! 貴女はっ、貴女は本当に壊れてしまったんですか……!」
「え? なに言ってるのルカ。どうしたの?」
困惑したカノンは首を傾げた。
眉をしかめて、本当に理解していないように言葉を続ける。
「私、なにか良くない事をしちゃった?」
「……っ」
無邪気な子供のような問い。
その姿を前に、ルカの頭の中でかつてのコニエの言葉が響く。
『アタシら、終わってんだよ』
その言葉の意味を、ルカはようやく理解した。
(私が、カノンを止めなかったから。ずっと、カノンに笑っていてほしかったから)
始まりは、純粋な願いだったはずだ。
水晶のように澄んでいて、無垢で、だからルカは手を貸した。
いつからだろうか。
その願いが、歪み始めたのは。
(私は分かっていた。気が付いていた。でも、否定したらカノンが消えてしまうから、自ら命を断ってしまうから……)
友達に生きていてほしいというルカの願いは、残酷な真実となって突き付けられる。
コニエは死に、ミユメは慕っていた人間を食らう。
ただ一人の笑顔を守るための行動が引金となって、最悪のシナリオが作り上げられていた。
「ルルイカ!」
「等分された死」
生み出されたルルイカが、等分された死により押さえつけられる。
ルカがカノンを見れば、楽し気にカノンもまた此方を見つめていた。
純粋だと思っていた目は、ただの空虚であった。
「っ、駄目です! ミユメ!」
「大丈夫だよ、あの子に食べられる人間は二人だけだから」
ルカは、カノンの言葉を理解することをやめていた。
とにかくこの戦いをやめさせなければならないという感情だけが、頭を動かしている。
(収束砲撃ならあるいは――)
そう思ってトアを見る。
しかし、その思考を先読みされたかのようにトアの周囲を等分された死が舞っていた。
少しでも動けば命はないと言外に警告するその蝶たちを見て、ルカは自分たちが無力であることを知る。
全てが、遅すぎた。
「ミユメ、やめて! 逃げてください、コニエ!」
悲痛な叫びは届かない。
ミユメは、獣のような唸り声を上げながら向き合う。
極上と称された餌を前に、ミユメは涎を垂らして大口を開けて駆け出す。
鋭利な爪が、コニエ目掛けて振り下ろされた。
「――くだらない」
空気を裂いて進む腕が、ピタリと停止する。
その少女は、いつの間にかそこにいた。
「心底、くだらないわ」
呆れたような失望したような声。
その声に、カノンは初めて笑顔を消して顔を歪めた。
「……ソルシエラ」
「また会ったわね。博士」
冷たい視線をカノンに向けると、ソルシエラはミユメの腕を掴み投げ飛ばした。
それから、コニエへと障壁を展開して庇うようにミユメと対峙する。
「邪魔しないでくれるかなぁ?」
カノンの言葉に、ソルシエラは薄っすらと笑みを浮かべる。
「ふふっ、貴女には借りがあるもの。返してあげないと」
笑うソルシエラの前に、魔法陣が展開される。
ルカはすぐに気が付いた。
今まで見たことのない、新たな魔法式で構築されている。
(あれは一体……!?)
魔法陣から生み出されたのは、一振りの翡翠色の大鎌。
ソルシエラはそれを手に取ると、美しい所作で構える。
「さて、ミユメ――私と踊りましょうか」
ソルシエラの翡翠色の瞳がミユメを捉えていた。
茜色から次第に蒼紫色に染まっていく空を見て、ミユメは自分が今まで眠っていたことに気が付く。
「あ、起きた?」
「ん……トアちゃん、もしかして私寝てたっすか?」
ミユメの問いに、トアは微笑み頷く。
どうやら、トアの肩に寄り添う形で眠っていたようだ。
「あんまり何もないから、寝ちゃったっすね」
クレープ片手にベンチで談笑した所までは覚えている。
が、どうにも起伏のない平穏な時間に気が緩み眠ってしまっていたようだ。
「ヒカリちゃんのお手伝いもあったから、疲れてたのかも?」
「そんなに貧弱な体じゃないと思ってたんすけどね。いやぁ、すみません。別に起こしてくれても良かったんすよ?」
その言葉に、トアは「別にいいよ」と言って静かに首を横に振った。
「たまには、こういう時間も悪くないなって思ったんだ。平和で、何もしない時間。……今までは、ずっと忙しかったから」
借金や、騎双学園への潜入など、様々な事があった。
こうして時間を贅沢に消費することなど出来なかったのである。
こんな時間は今この瞬間だからこそ。
「ミユメちゃん――私のお願い聞いてくれないかな」
ここから先はまた少しだけ騒がしくなりそうだ。
■
曰く、深夜に一緒に来て欲しい場所があるとのこと。
真剣な顔でそう切り出したトアを前に、ミユメが断る理由は存在しなかった。
トアに対して悪印象を抱いていなかったというのも理由の一つだが、何よりも大きい理由は。
(ルカさん、どこ行ったんすかね)
ルカが姿を消してたのだ。
医務室にも生徒会室にもその姿はなく、ミユメの唯一の断る理由になりえた検査の予定も消失したのである。
深夜という事でまたそこそこの時間を待つことにはなったのだが、今回は妙に時間の経過が早く感じられた。
あっという間に時刻は零時を過ぎ、ミユメはトアと一緒にとある場所へと来たのである。
「えーと、ここかな……?」
トアはどこか自信なさげにしながら、一つのラボの前で足を止めた。
辺りに人の気配は無く、ポツポツと点在する明かりだけが薄暗く廊下を照らしている。
「ここっすか?」
「うん。その筈なんだけど……」
トアは辺りをキョロキョロと見渡しながら言った。
どこか不安げな表情を浮かべながら、しきりに首を傾げている。
ミユメはそんなトアを見て、口を開いた。
「……コニエ先輩に呼ばれたんすか?」
「うえっ!? な、なんで分かったの!?」
「だって、このラボはコニエ先輩のラボですし」
そう言ってミユメは目の前の扉を指さす。
トアはそれを聞いて、納得したような声を上げた。
「そ、そうなんだ。知らなかった」
「どうして、ここに私を?」
「えっと……」
トアは逡巡する。
それは、事の発端であるコニエも、ケイもいないからだ。
(ケイ君は情報を集めるって行って戻ってこないし……どうしよう)
ケイは、予め自分が戻らない場合はコニエに指示を仰ぐ様にと言っている。
が、しかしコニエが姿を表すことは無い。
(予定、狂っちゃったかな?)
どうしたものか、とトアが内心で首を傾げているとミユメが隣で声を上げた。
「あ、ルカさん」
「え」
薄暗い廊下の奥から、乱れた金髪の少女が歩いてくるのが見えた。
その傍らには、廊下を泳ぐ様に主に付き従うルルイカの姿。
「……ミユメ、こんな所で何をしているのですか」
一歩、また一歩と幽鬼のようにふらつきながら近づいてくるルカを見て、ミユメは無意識の内に一歩下がっていた。
代わりに、トアが武装を展開して立ちはだかる。
「ルカさんこそ、どうしてここにいるっすか」
「質問しているのは私ですよ、ミユメ。どうして、コニエのラボに貴女がいるのですか。コニエと仲直り……と、言うにはおかしな時間ですよね」
ルカはそう言うと、トアを睨みつけた。
「唆されましたか? そこの生徒に」
「ルカさん、私は――」
「黙りなさい」
怖ろしく冷たい声。
ミユメは普段とは違うルカの姿にトアの陰に隠れて、顔だけをのぞかせる。
「ルカさん? どうしたっすか、怖いっす……」
「ミユメ、帰りましょう。貴女と共にいる生徒は敵です」
ルカは、そう言ってトアを指さす。
「コニエと共に、貴女を連れ出そうとしたのでしょう。ですが、その計画は既に失敗に終わりました」
「……そんな」
トアは絶望したかのような声を上げる。
コニエという少女が立てたという計画。
しかし、その発端である少女は疎か自分の仲間もいない今、トアに出来ることは限られていた。
「――っ」
「ほう、収束砲撃ですか」
重砲が唸りを上げ、光を集め始める。
が、既に間合いはトアの得意とする遠距離ではない。
「前衛がいない砲手など、敵ではないですね。ルルイカ」
主の言葉に甲高い声で返事をしたルルイカは廊下の床へと潜り込む。
再び静寂が辺りを支配した刹那、トアの背後から尾が飛び出してきた。
「後ろっ!?」
銃口を向けようとするが、間に合う訳もない。
その腕から重砲を叩き落とされたトアは、そのまま壁へと叩きつけられた。
「トアちゃん! ……ルカさん、もうやめるっす! トアちゃんは悪くないっすよ!」
「そうですね。私もそう思います」
「だったら――」
「けれど、それでも許すわけにはいきません。これは、二人の為でもありますから」
ルカはそう言って、トアへと近づく。
抵抗を許さないように、周囲をルルイカが弧を描き泳ぎ続けているため、重砲を再び手にすることは出来そうもない。
ルカは、トアの姿を見てどこか安堵したように微笑んだ。
「怪我はなさそうですね。トアさん、コニエから頼まれたのでしょう? ここに来るようにと」
「……っ、私は」
「大丈夫です。貴女は頼まれただけ。……だから、早くこの場から去ってください。今日の事は、出来るだけ早く忘れて」
「え?」
意外にも、ルカはそう言ってトアを逃がそうとしていた。
疲れ切った目は光を一切感じないが、それでも焦燥感だけは伝わった。
「どうして……」
「早く。これが彼女に知られたら、きっと貴方もコニエみたいに」
「――彼女って、誰かな? 私、気になるなー」
跳ねるような明るい声が、聞えた。
同時に、トアの視界に一匹の蝶が映る。
見覚えのある、黒い蝶だ。
ルカはそれに気が付くと、弾かれたように顔を上げた。
そして、声の聞こえた方に向き直る。
「カノン、待ってください。彼女は――」
「知ってるよ。コニエに手を貸して、ミユメを連れ出そうとした。でしょ?」
蝶が集まり、次第に人の形を成していく。
変哲もない茶髪に白衣の彼女は、見間違う事もなく空無カノンその人であった。
「や、トアちゃん。ゴーストハントを手伝ってくれてありがとうね? あの時は楽しかったよ。だから、残念だなぁ」
「カノン!」
「大丈夫だって、ルカ。安心してよ。まだどうこうするつもりはないからさ」
カノンはそう言って、ニッコリと笑った。
その間も、周囲を蝶が覆っていく。
その光景を前に、ミユメは困惑する事しかできなかった。
(これは、何がどうなっているっすか?)
いつもと様子が違う姉とルカ。
そして、襲われたトア。
自分を取り巻く環境が今まさにその偽りのベールを脱ぎ、本当の姿を現そうとしている。
優しかった筈の周囲の人間が争う姿を見てミユメは妙な胸騒ぎを覚えた。
しかし、それよりも。
(どういうことっすか。これ……どうして、どうして……こんなに急にお腹が空いて……)
何よりも異常なのは自分の体。
こんな状況下で、異常なまでの空腹がミユメを襲っていた。
まるで、この時間にそうなるようにと作られたかのような飢餓というべき空腹。
こんな事を考えている場合じゃないと思いつつも、ミユメの頭の中は何かを食べる事でいっぱいになっていた。
「う、うぅ……」
「ミユメちゃん?」
「ミユメ……! っ、遅かった。トアさん、離れてください。ルルイカ!」
困惑するトアを引き離し、ルカはルルイカで、廊下の壁と床を尾で叩く。
すると、壁と床が波打ちミユメを覆い閉じ込めた。
先程、自分と戦っていた筈のルカの突然の行動にトアが目を白黒させている中、カノンはそれを見て簡素な笑い声を上げる。
「あはは、無駄だって。そんなので、ミユメちゃんが止まる訳無いじゃん」
包囲していた壁に、亀裂が走る。
そう認識したが最後、次の瞬間にはルルイカが作った包囲網はあっという間に崩れ去っていた。
「――」
中から一つの影が飛び出してくる。
それは人に非ず。
流線型の頭部と、不揃いの鱗を無数に持つ爬虫類のような肌。
鞭のように地面を叩く尾に鋭利な爪をもつ手足は、まるで小型の龍のようであった。
二足歩行によりかろうじて人型のシルエットは保っているものの、そこからは知性というものを一切感じさせない。
「ミユメちゃん……?」
その光景が信じられずに、トアは呆然と名前を呼ぶ。
すると、その生物はトアの方を見た。
その口元からは、粘性の高い唾液を垂らし、鋭利な牙を覗かせている。
まるで、餌を観察しているかのようだった。
「っ、ミユメやめてください!」
視線から察したルカは、再びルルイカを操作する。
その生物の周囲を泳ぎ回るルルイカは、尾を叩き再び床を波のように揺らす。
そして生物がバランスを崩した瞬間に尾による一撃を直接本体へ向けて放った。
「――」
が、あり得ない角度に首が動きその動きを捉えると、両腕で受け止める。
尾を受け止められたルルイカが再び床に飛び込もうとした隙をついて、背びれを掴んだソレは、大口を開けてルルイカに噛みついた。
「ルルイカ!」
ジタバタと暴れるルルイカを見て、ルカは慌ててルルイカを消失させる。
獲物が消失したことにより、空を切った牙がガチリと音を鳴らした。
「え、あ、あれがミユメちゃん……?」
「そうだよー。正確には、理の魔眼だけどね。元は、石化の魔眼と共にとあるダンジョン主が持っていた聖遺物なんだ」
カノンはニコニコと答える。
その姿にはまるで焦燥感がない。
「カノン、ミユメが飢餓状態に陥っています! 早く、データロイドを食べさせ――っ!」
カノンへと意識が向いた次の瞬間には、ミユメが大口を開けてルカへと飛び込んでいた。
人を優に超えた身体能力からの飛び込みには、距離というものは意味をなさない。
自分へ迫ってくるミユメ。
その光景がスローモーションのように感じられる中、ルカは死を悟る。
が、その時両者の間に蝶が舞った。
「等分された死」
蝶が、トアとルカを庇うように壁を構築する。
そして無数につらなり縄のようになると、ミユメへと巻き付き拘束した。
「駄目だよルカ。あの状態のミユメちゃんには常に警戒しないと。いつもと違って人も食べるんだから」
「……カノン、ありがとうございました」
「友達だもん。助けるよ」
カノンはピースサインを向けて笑うと、縛られたミユメへと向かっていった。
「いやぁ、一日とはいえこの学院から出ていたからねー。飢餓になるのが早かったなー。今日の検査も、サボったでしょ?」
「……すみません」
「別にいいよ。誰にでもミスはあるって。まあ、私みたいな天才には許されないんだけどねー」
カノンは、縛られたミユメの頭を愛おしそうに撫でた。
口を蝶の縄で塞がれたミユメは、暴れ狂うが拘束が外れることは無い。
「二人とも、離れて。今からご飯の用意するから」
カノンがそう言うと、ルカは慌ててトアを連れて後ろに下がる。
それを確認したカノンもミユメから離れた。
そして、ミユメを指さす。
「トアちゃんはさ、アレを見てもまだあの子に関わりたいと思うかな?」
「……え?」
「あれはまだ未完成だから人じゃないよ。見てて」
等分された死が、三人の前で格子状になる。
どうやら、安全地帯を作り上げたようだ。
安全地帯の向こう側で、拘束が解けたミユメが体を身震いさせる。
その前に、突然生徒が現れた。
ジルニアス学術院の制服を着たその生徒は、ミユメを確認すると攻撃を仕掛ける。
が、人による拳は鱗に阻まれて、まるでダメージを与えていない様だった。
「――」
ミユメは獣のような声を上げると、生徒に頭から齧り付き、そのまま腕をあらぬ方向へと曲げて、捕食を始める。
その行動の全ては野生動物となんら変わりがなかった。
「ひぃっ……! 人っ……人を食べて……!」
「大丈夫。あれはデータロイドって言って、人によく似た餌だから。意思もないし、人型ってだけだよ」
カノンが、トアの反応を楽しみながらそう解説する。
その間もミユメは食べ続け、あっという間に人一人を平らげてしまった。
が、まだ満たされないのか、次は三人に目を向けて一気に駆け出す。
振りかぶった腕は、格子状の等分された死によって防がれ、三人に届くことはなかった。
その光景に、トアは思わず尻もちをつく。
「うーん。やっぱりこの段階まで仕上がってると、普通のデータロイドじゃ満足しないね。うんうん、良い兆候だ」
「カノン、早く次のデータロイドを出してください」
「慌てない慌てない。新しく、この状態のミユメちゃんの為に極上のデータロイドを作ったから、さっそく食べさせよう」
そう言って、カノンが指を鳴らす。
すると、格子に噛みつくミユメの背後に、再び生徒が現れた。
それは小さな体躯に可愛らしいツインテール。
見覚えのある姿を見て、ルカはすぐに気が付く。
「コニエ……!?」
「そう、正解」
カノンはニッコリと笑った。
「貴女まさか、人をデータロイドに変えたのですか!?」
「うん、そうだよ」
平然と答えるその姿を見て、ルカは何かに気が付きカノンへと縋りつく。
「やめてください! 今すぐコニエをあそこから出して! でないと、食べられてしまう!」
「ははは、なに言ってるのルカ」
カノンは首を傾げた。
「餌なんだから、食べられるのは当たり前でしょ」
「……ぁ、嘘。駄目。駄目です、そんな事」
ルカはうわ言のようにそう呟くと、等分された死の格子へとしがみつき叫んだ。
「ミユメ! 駄目です! アレは本物のコニエです! お願いだから気が付いて!」
「無駄だよ。あの状態では気が付かない。それに、今のミユメちゃんには、コニエは極上の獲物に映っていると思うよ」
「カノン……! 貴女はっ、貴女は本当に壊れてしまったんですか……!」
「え? なに言ってるのルカ。どうしたの?」
困惑したカノンは首を傾げた。
眉をしかめて、本当に理解していないように言葉を続ける。
「私、なにか良くない事をしちゃった?」
「……っ」
無邪気な子供のような問い。
その姿を前に、ルカの頭の中でかつてのコニエの言葉が響く。
『アタシら、終わってんだよ』
その言葉の意味を、ルカはようやく理解した。
(私が、カノンを止めなかったから。ずっと、カノンに笑っていてほしかったから)
始まりは、純粋な願いだったはずだ。
水晶のように澄んでいて、無垢で、だからルカは手を貸した。
いつからだろうか。
その願いが、歪み始めたのは。
(私は分かっていた。気が付いていた。でも、否定したらカノンが消えてしまうから、自ら命を断ってしまうから……)
友達に生きていてほしいというルカの願いは、残酷な真実となって突き付けられる。
コニエは死に、ミユメは慕っていた人間を食らう。
ただ一人の笑顔を守るための行動が引金となって、最悪のシナリオが作り上げられていた。
「ルルイカ!」
「等分された死」
生み出されたルルイカが、等分された死により押さえつけられる。
ルカがカノンを見れば、楽し気にカノンもまた此方を見つめていた。
純粋だと思っていた目は、ただの空虚であった。
「っ、駄目です! ミユメ!」
「大丈夫だよ、あの子に食べられる人間は二人だけだから」
ルカは、カノンの言葉を理解することをやめていた。
とにかくこの戦いをやめさせなければならないという感情だけが、頭を動かしている。
(収束砲撃ならあるいは――)
そう思ってトアを見る。
しかし、その思考を先読みされたかのようにトアの周囲を等分された死が舞っていた。
少しでも動けば命はないと言外に警告するその蝶たちを見て、ルカは自分たちが無力であることを知る。
全てが、遅すぎた。
「ミユメ、やめて! 逃げてください、コニエ!」
悲痛な叫びは届かない。
ミユメは、獣のような唸り声を上げながら向き合う。
極上と称された餌を前に、ミユメは涎を垂らして大口を開けて駆け出す。
鋭利な爪が、コニエ目掛けて振り下ろされた。
「――くだらない」
空気を裂いて進む腕が、ピタリと停止する。
その少女は、いつの間にかそこにいた。
「心底、くだらないわ」
呆れたような失望したような声。
その声に、カノンは初めて笑顔を消して顔を歪めた。
「……ソルシエラ」
「また会ったわね。博士」
冷たい視線をカノンに向けると、ソルシエラはミユメの腕を掴み投げ飛ばした。
それから、コニエへと障壁を展開して庇うようにミユメと対峙する。
「邪魔しないでくれるかなぁ?」
カノンの言葉に、ソルシエラは薄っすらと笑みを浮かべる。
「ふふっ、貴女には借りがあるもの。返してあげないと」
笑うソルシエラの前に、魔法陣が展開される。
ルカはすぐに気が付いた。
今まで見たことのない、新たな魔法式で構築されている。
(あれは一体……!?)
魔法陣から生み出されたのは、一振りの翡翠色の大鎌。
ソルシエラはそれを手に取ると、美しい所作で構える。
「さて、ミユメ――私と踊りましょうか」
ソルシエラの翡翠色の瞳がミユメを捉えていた。
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