83 / 232
三章 閃きジーニアス
第82話 敗北ミーティング
しおりを挟む
敗北者にも朝は来る。
おはようございます……敗北者です……。
『敗北者その2です……』
昨晩は完全にミステリアス美少女として負けてしまった。
もう完膚なきまでの敗北だった。
俺と同じ収束砲撃に、鎖による拘束。
それに転移魔法まで。
あの、のらりくらりと躱すような言動も、俺とは違うミステリアスを感じた。
ミステリアス美少女は、常に優位に立たなければならない。
切札を先に切ったほうからミステリアスポイントが減っていくシステム上、ソルシエラという存在が既に公になっているのも不利だったのだろう。
あっちは本当に知らない謎の美少女だった。
仮面に合成音声まで付けて。
しかも黒いフード付きの外套ですって。
そんなの……ミステリアス美少女わよ……!
『この私の収束砲撃が……真似された……結構、心に来るものがあるねぇ』
星詠みの杖君、我々の敗北だ。
驕っていたんだ。
この世界にはミステリアス美少女は俺達しかいないと。
その驕りが人を弱くした……。
冷静に考えれば、俺達はミステリアス美少女の始祖でもなければ、唯一の存在でもない。
偉大なミステリアス美少女達の背を見て高みを目指した一人のミステリアス美少女でしかなかったんだ。
『はい……』
学園都市に他のミステリアス美少女がいる可能性なんて充分にあったじゃないか。
それに気が付かずに……俺は……。
『相棒……。今回は言い訳のしようがないし、本当になんて言ったらいいのか……』
俺は、まださらに上を目指せるという事なんだな!!!
『ん?』
俺は無意識のうちに自分のミステリアス美少女に対して妥協をしていたのかもしれない。
もっと心の底からの渇望を!
ミステリアス美少女に成りたいという切なる願いを!
俺には、意志の強さが足りなかった……!
『意志だけならずば抜けていると思うんだけどねぇ』
そんなことは無い。
俺が本当にミステリアス美少女なら、あそこであのネームレスとかいうミステリアス美少女を手玉にとれたはずだ。
奴の正体を看破できたはずだ!
知識すら劣っていたぞ。
ミユメちゃんの言う事が本当なら、あの子の発明品は全てネームレスがその知識を与えたことになる。
ミユメちゃんとどういう関りがあるんだ……!
あのミステリアス美少女もスピンオフのキャラなのかな?
かなり強かったし、あの子が本編にいないのも謎なんだよね。
『何か、彼女の正体の手掛かりでもあればいいんだけどねぇ』
手掛かりならあるぞ。
あの合成音声を俺の美少女イヤーで聞き分けたんだが、その中で聞き覚えのある声がいくつか使われていた。
ミロク先輩にミズヒ先輩にトアちゃん。
あとは浄化ちゃんにミユメちゃん。それとトウラク君とミハヤちゃんとリンカちゃん、後はルトラもあったな。
それにえーっと……あ、六波羅さんだ。後、エイナちゃん。
それ以外はわかんね。
いくつか美少女の声が混じっていたけれど、判別はつかなかった。
『君の体って本当に人と同じ作りしてる? 誤解を恐れず言うならば、すっげえキモイんだが』
美少女と原作キャラの声は聞き取れるだろ。
なに言ってんだ。
そしてもう一つの手掛かり。
ネームレスは以前の訓練場での俺とミズヒ先輩の戦いを見ていた。
あの時点で俺を観測していたという事は、騎双学園の一件でも手出しは出来たという事。
それでも傍観者に努め、ミユメちゃんの時に出てきた理由があるはずだ。
やはり、ミユメちゃんの周囲から調べていく他ないだろう。
『ふむ、ではジルニアス学術院だねぇ』
その通り。
そして今、まさに生徒会室では会議をしていた。
流石は美少女先輩方。
行動が迅速だぜ!
朝、すぐに全員が生徒会室に集合していた。
話す議題は勿論、あのネームレスとかいうミステリアス美少女についてである。
朝も早いという事もあって、トアちゃんとナナちゃんはお眠のようだ。
かわいいねぇ。
「――以上が、私とミユメの知る全てだ」
昨晩の戦いについて、ミズヒ先輩はそう締めくくった。
話を最後まで黙って聞いていたミロク先輩は、目をゆっくりと開けるとそのまま何も言わずに天井を仰いだ。
「ミロク……?」
「少し情報を整理させてください……。問題が全て解決したと思ったのにまた何やらおかしなことに巻き込まれた気がして、少し眩暈が」
「……私が来たのが原因っすよね。すみませんでした」
ミロク先輩の様子を見て、ミユメちゃんが立ち上がり深々と頭を下げる。
今にも泣きそうなその顔は、見ているだけで心が痛む。
「いえ、ミユメちゃんのせいではないですよ。ミズヒの言っていることが本当なら……私たちは既にそのネームレスという存在に監視されていたという事ですから。今まで不干渉だったというのに、今になって現れたという事は私達とミユメちゃんの接触がトリガーになったという事。調べるならここからですね」
ミロク先輩は、冷静に言葉を並べていく。
すごい。この人、メタ推理無しにきちんと考えてる……。
『普段の君が考えていないだけでは?』
うるさいやい。
でもこれなら、マジでミロク先輩の方が先にネームレスにたどり着く可能性もあるんじゃないか!?
「それに、ジルニアス学術院の人工的に天才を造る計画でしたか。それも関連がありそうです」
あ、やべ。
俺のせいで変な袋小路に迷い込んじゃった。
ミロク先輩ごめんなさい……それ、ミステリアス美少女っぽくしたかったから適当に言った嘘なんです。
ジルニアス学術院って、他の学園に比べてまともな人しかいない場所なんで、そんな倫理を捨てたような研究はしていないんです……。
だって、生徒会長が善人だし。
『やっぱりアレ、嘘だったんだねぇ』
当たり前だろ。
ネームレスに負けたくないなって。
ミズヒ先輩が最近ソルシエラに対してもフレンドリーだから、少しでもミステリアス美少女としての格を保ちたいなって……!
「じゃ、じゃあ結局ジルニアス学術院に行くんだね」
トアちゃんが眠そうな目を擦りながら言った。
「そうですね。御景学園の方に、交渉時期を少し早めてもらうように頼んでみます。生徒会に接触した時に、ネームレスについて聞いてみましょう。という事で――」
ミロク先輩は、手をぱちんと叩く。
「ジルニアス学術院に誰が行くか、決めましょうか」
わーい!
俺、行きたーい!
スピンオフを肌で感じ、ジルニアス学術院のまだ見ぬ美少女と出会いたーい!
『さっきまでの粛々とした態度はどこ行ったんだ』
うるせえ。
いつまでもくよくよしてられるか!
あっちがミステリアス美少女として上なら、こっちはより多くの美少女先輩方から美少女というものを学び強くなる必要があるだろうが!
これは理にかなってるんだよ!
『そうかな……そうかも……』
「じゃあ、まずはケイ君は確定として他に誰か立候補いますか?」
「え?」
「どうしましたケイ君」
「俺、行って良いんですか」
「勿論。次期生徒会長として経験を積むことも大事ですよ。それに、さっきからずっと難しい顔で考え事して、余程気になっているみたいですから」
優しい。
なんか、次期生徒会長とか聞こえたけど、それは一旦置いて優しい。
「では、私が行こう。何か出ても焼却すればいいんだろう?」
自信満々に手を上げてミズヒ先輩はそう言った。
駄目だ、この人こういう系には不向きすぎるわ。
でもそれは俺がカバーするので問題ないっす。
そんなこんなでミズヒ先輩に決まりかけた瞬間、意外にもトアちゃんが手を上げた。
「……いや、私が行くよミズヒちゃん」
普段は消極的な彼女からは珍しい発言だ。
トアちゃんも日々成長しているという事なのだろうか。
俺も同級生ミステリアス美少女として誇らしいよ。
「ミズヒちゃんは、Sランクとしてもっとやるべきことがあると思うんだ。それに、フェクトム総合学園を守るなら絶対にミズヒちゃんの力がいる」
トアちゃんの言葉に、ミズヒ先輩は目を伏せ考えこんだ。
それから、トアちゃんの方を見て言う。
「任せて、良いんだな?」
「うん。大丈夫。私、頑張るから!」
胸の前で拳を握って、トアちゃんは何度も頷く。
やる気十分って感じだ。
「はい、であれば決まりですね。ちなみに私は、支援企業との契約がありますのでまたお留守番です……。ミズヒ、きちんと書類整理を手伝ってくださいね」
「……ああ」
もしかしてミズヒ先輩、また事務作業が嫌で立候補したんじゃ……。
「それは不要でしょう。ミズヒが参加すると作業効率が30%低下します故」
今まで黙っていたナナちゃんの突然の発言にミズヒ先輩が手から焔を生み出して見せる。
「は? Sランクには余裕なのだが?」
無理しないでくださいミズヒ先輩。
あと、室内で火を出さないで。危ないから。
そうやってやいのやいのと騒いでいると、ミユメちゃんが再び頭を下げた。
美少女が安易に頭を下げちゃいけないよ。
「皆さん、本当にありがとうっす! 私なんかの為に……!」
「別に感謝されるほどの事ではない。ミユメには、私のダイブギアも依頼しているのだからな」
「そうですよ。むしろ、数億の品をただで作ってもらっているこちらが明らかに施されている側というか」
それは本当にそう。
でも元をたどればネームレスの知識らしいし……そういえば、どうしてわざわざミユメちゃんに作らせるんだ?
もう! ネームレスってなんなのよ!
考えれば考える程ミステリアス美少女として完璧なムーブすぎる!
『ネームレス……一体何者なんだ……!』
ああ! それ俺が言われたいやつじゃんかぁ!
止めてよ星詠みの杖君!
それ、敗北を認めたことになるからさぁ!
ミステリアス美少女に対する尊厳破壊だぞ!
「私達に出来る事なら何でもします。だから、困ったことがあったら遠慮なく言ってくださいね」
「……はいっす!」
ほら、見たまえ星詠みの杖君。
これを守るために我々ミステリアス美少女がいるのだ。
気が引き締まる思いだろ。
『さっき、ジルニアス学術院の新しい美少女わーい^^みたいなこと言ってなかったかい?』
何を言うか。
我々は常に厳として美少女の道を極めるのみ。
そこに妥協は許されないのだよ。
「それじゃあ、ケイ君、トアちゃん、お願いしますね」
「「はい!」」
俺達は力強く頷く。
ジルニアス学術院のまだ見ぬ美少女楽しみー^^
おはようございます……敗北者です……。
『敗北者その2です……』
昨晩は完全にミステリアス美少女として負けてしまった。
もう完膚なきまでの敗北だった。
俺と同じ収束砲撃に、鎖による拘束。
それに転移魔法まで。
あの、のらりくらりと躱すような言動も、俺とは違うミステリアスを感じた。
ミステリアス美少女は、常に優位に立たなければならない。
切札を先に切ったほうからミステリアスポイントが減っていくシステム上、ソルシエラという存在が既に公になっているのも不利だったのだろう。
あっちは本当に知らない謎の美少女だった。
仮面に合成音声まで付けて。
しかも黒いフード付きの外套ですって。
そんなの……ミステリアス美少女わよ……!
『この私の収束砲撃が……真似された……結構、心に来るものがあるねぇ』
星詠みの杖君、我々の敗北だ。
驕っていたんだ。
この世界にはミステリアス美少女は俺達しかいないと。
その驕りが人を弱くした……。
冷静に考えれば、俺達はミステリアス美少女の始祖でもなければ、唯一の存在でもない。
偉大なミステリアス美少女達の背を見て高みを目指した一人のミステリアス美少女でしかなかったんだ。
『はい……』
学園都市に他のミステリアス美少女がいる可能性なんて充分にあったじゃないか。
それに気が付かずに……俺は……。
『相棒……。今回は言い訳のしようがないし、本当になんて言ったらいいのか……』
俺は、まださらに上を目指せるという事なんだな!!!
『ん?』
俺は無意識のうちに自分のミステリアス美少女に対して妥協をしていたのかもしれない。
もっと心の底からの渇望を!
ミステリアス美少女に成りたいという切なる願いを!
俺には、意志の強さが足りなかった……!
『意志だけならずば抜けていると思うんだけどねぇ』
そんなことは無い。
俺が本当にミステリアス美少女なら、あそこであのネームレスとかいうミステリアス美少女を手玉にとれたはずだ。
奴の正体を看破できたはずだ!
知識すら劣っていたぞ。
ミユメちゃんの言う事が本当なら、あの子の発明品は全てネームレスがその知識を与えたことになる。
ミユメちゃんとどういう関りがあるんだ……!
あのミステリアス美少女もスピンオフのキャラなのかな?
かなり強かったし、あの子が本編にいないのも謎なんだよね。
『何か、彼女の正体の手掛かりでもあればいいんだけどねぇ』
手掛かりならあるぞ。
あの合成音声を俺の美少女イヤーで聞き分けたんだが、その中で聞き覚えのある声がいくつか使われていた。
ミロク先輩にミズヒ先輩にトアちゃん。
あとは浄化ちゃんにミユメちゃん。それとトウラク君とミハヤちゃんとリンカちゃん、後はルトラもあったな。
それにえーっと……あ、六波羅さんだ。後、エイナちゃん。
それ以外はわかんね。
いくつか美少女の声が混じっていたけれど、判別はつかなかった。
『君の体って本当に人と同じ作りしてる? 誤解を恐れず言うならば、すっげえキモイんだが』
美少女と原作キャラの声は聞き取れるだろ。
なに言ってんだ。
そしてもう一つの手掛かり。
ネームレスは以前の訓練場での俺とミズヒ先輩の戦いを見ていた。
あの時点で俺を観測していたという事は、騎双学園の一件でも手出しは出来たという事。
それでも傍観者に努め、ミユメちゃんの時に出てきた理由があるはずだ。
やはり、ミユメちゃんの周囲から調べていく他ないだろう。
『ふむ、ではジルニアス学術院だねぇ』
その通り。
そして今、まさに生徒会室では会議をしていた。
流石は美少女先輩方。
行動が迅速だぜ!
朝、すぐに全員が生徒会室に集合していた。
話す議題は勿論、あのネームレスとかいうミステリアス美少女についてである。
朝も早いという事もあって、トアちゃんとナナちゃんはお眠のようだ。
かわいいねぇ。
「――以上が、私とミユメの知る全てだ」
昨晩の戦いについて、ミズヒ先輩はそう締めくくった。
話を最後まで黙って聞いていたミロク先輩は、目をゆっくりと開けるとそのまま何も言わずに天井を仰いだ。
「ミロク……?」
「少し情報を整理させてください……。問題が全て解決したと思ったのにまた何やらおかしなことに巻き込まれた気がして、少し眩暈が」
「……私が来たのが原因っすよね。すみませんでした」
ミロク先輩の様子を見て、ミユメちゃんが立ち上がり深々と頭を下げる。
今にも泣きそうなその顔は、見ているだけで心が痛む。
「いえ、ミユメちゃんのせいではないですよ。ミズヒの言っていることが本当なら……私たちは既にそのネームレスという存在に監視されていたという事ですから。今まで不干渉だったというのに、今になって現れたという事は私達とミユメちゃんの接触がトリガーになったという事。調べるならここからですね」
ミロク先輩は、冷静に言葉を並べていく。
すごい。この人、メタ推理無しにきちんと考えてる……。
『普段の君が考えていないだけでは?』
うるさいやい。
でもこれなら、マジでミロク先輩の方が先にネームレスにたどり着く可能性もあるんじゃないか!?
「それに、ジルニアス学術院の人工的に天才を造る計画でしたか。それも関連がありそうです」
あ、やべ。
俺のせいで変な袋小路に迷い込んじゃった。
ミロク先輩ごめんなさい……それ、ミステリアス美少女っぽくしたかったから適当に言った嘘なんです。
ジルニアス学術院って、他の学園に比べてまともな人しかいない場所なんで、そんな倫理を捨てたような研究はしていないんです……。
だって、生徒会長が善人だし。
『やっぱりアレ、嘘だったんだねぇ』
当たり前だろ。
ネームレスに負けたくないなって。
ミズヒ先輩が最近ソルシエラに対してもフレンドリーだから、少しでもミステリアス美少女としての格を保ちたいなって……!
「じゃ、じゃあ結局ジルニアス学術院に行くんだね」
トアちゃんが眠そうな目を擦りながら言った。
「そうですね。御景学園の方に、交渉時期を少し早めてもらうように頼んでみます。生徒会に接触した時に、ネームレスについて聞いてみましょう。という事で――」
ミロク先輩は、手をぱちんと叩く。
「ジルニアス学術院に誰が行くか、決めましょうか」
わーい!
俺、行きたーい!
スピンオフを肌で感じ、ジルニアス学術院のまだ見ぬ美少女と出会いたーい!
『さっきまでの粛々とした態度はどこ行ったんだ』
うるせえ。
いつまでもくよくよしてられるか!
あっちがミステリアス美少女として上なら、こっちはより多くの美少女先輩方から美少女というものを学び強くなる必要があるだろうが!
これは理にかなってるんだよ!
『そうかな……そうかも……』
「じゃあ、まずはケイ君は確定として他に誰か立候補いますか?」
「え?」
「どうしましたケイ君」
「俺、行って良いんですか」
「勿論。次期生徒会長として経験を積むことも大事ですよ。それに、さっきからずっと難しい顔で考え事して、余程気になっているみたいですから」
優しい。
なんか、次期生徒会長とか聞こえたけど、それは一旦置いて優しい。
「では、私が行こう。何か出ても焼却すればいいんだろう?」
自信満々に手を上げてミズヒ先輩はそう言った。
駄目だ、この人こういう系には不向きすぎるわ。
でもそれは俺がカバーするので問題ないっす。
そんなこんなでミズヒ先輩に決まりかけた瞬間、意外にもトアちゃんが手を上げた。
「……いや、私が行くよミズヒちゃん」
普段は消極的な彼女からは珍しい発言だ。
トアちゃんも日々成長しているという事なのだろうか。
俺も同級生ミステリアス美少女として誇らしいよ。
「ミズヒちゃんは、Sランクとしてもっとやるべきことがあると思うんだ。それに、フェクトム総合学園を守るなら絶対にミズヒちゃんの力がいる」
トアちゃんの言葉に、ミズヒ先輩は目を伏せ考えこんだ。
それから、トアちゃんの方を見て言う。
「任せて、良いんだな?」
「うん。大丈夫。私、頑張るから!」
胸の前で拳を握って、トアちゃんは何度も頷く。
やる気十分って感じだ。
「はい、であれば決まりですね。ちなみに私は、支援企業との契約がありますのでまたお留守番です……。ミズヒ、きちんと書類整理を手伝ってくださいね」
「……ああ」
もしかしてミズヒ先輩、また事務作業が嫌で立候補したんじゃ……。
「それは不要でしょう。ミズヒが参加すると作業効率が30%低下します故」
今まで黙っていたナナちゃんの突然の発言にミズヒ先輩が手から焔を生み出して見せる。
「は? Sランクには余裕なのだが?」
無理しないでくださいミズヒ先輩。
あと、室内で火を出さないで。危ないから。
そうやってやいのやいのと騒いでいると、ミユメちゃんが再び頭を下げた。
美少女が安易に頭を下げちゃいけないよ。
「皆さん、本当にありがとうっす! 私なんかの為に……!」
「別に感謝されるほどの事ではない。ミユメには、私のダイブギアも依頼しているのだからな」
「そうですよ。むしろ、数億の品をただで作ってもらっているこちらが明らかに施されている側というか」
それは本当にそう。
でも元をたどればネームレスの知識らしいし……そういえば、どうしてわざわざミユメちゃんに作らせるんだ?
もう! ネームレスってなんなのよ!
考えれば考える程ミステリアス美少女として完璧なムーブすぎる!
『ネームレス……一体何者なんだ……!』
ああ! それ俺が言われたいやつじゃんかぁ!
止めてよ星詠みの杖君!
それ、敗北を認めたことになるからさぁ!
ミステリアス美少女に対する尊厳破壊だぞ!
「私達に出来る事なら何でもします。だから、困ったことがあったら遠慮なく言ってくださいね」
「……はいっす!」
ほら、見たまえ星詠みの杖君。
これを守るために我々ミステリアス美少女がいるのだ。
気が引き締まる思いだろ。
『さっき、ジルニアス学術院の新しい美少女わーい^^みたいなこと言ってなかったかい?』
何を言うか。
我々は常に厳として美少女の道を極めるのみ。
そこに妥協は許されないのだよ。
「それじゃあ、ケイ君、トアちゃん、お願いしますね」
「「はい!」」
俺達は力強く頷く。
ジルニアス学術院のまだ見ぬ美少女楽しみー^^
25
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
月額ダンジョン~才能ナシからの最強~
山椒
ファンタジー
世界各地にダンジョンが出現して約三年。ダンジョンに一歩入ればステータスが与えられ冒険者の資格を与えられる。
だがその中にも能力を与えられる人がいた。与えられたものを才能アリと称され、何も与えられなかったものを才能ナシと呼ばれていた。
才能ナシでレベルアップのために必要な経験値すら膨大な男が飽きずに千体目のスライムを倒したことでダンジョン都市のカギを手に入れた。
面白いことが好きな男とダンジョン都市のシステムが噛み合ったことで最強になるお話。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる