かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない~現代ダンジョンのある学園都市で、俺はミステリアス美少女ムーブを繰り返す~

不破ふわり

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二章 蒼星の少女

第62話 静観と幼馴染

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 気持ちいいいいいいい!

 スーパーミステリアス美少女タイム気持ちいいいいいい!

『気持ちいいいいいいい!』

 星詠みの杖君、今回も完璧な演出だったじゃないかぁ。
 流石は竹馬の友。ソウルメイト。無二の親友。

『はっはっは。今回は特に風にこだわってねぇ、せっかくの新衣装なんだから少しでも存在感をアピールしないと』

 こんなに理解のある杖君が傍にいるなんて、幸せ。
 衣装も良かったし、センスが良いねぇ。

『どんどん黒を増やしていこう。今は、こうして不穏な衣装カラーの方がミステリアス美少女だ』

 分かっているねぇ。
 そうだとも。今は黒で良い。
 そして、最後の最後。
 俺のミステリアス美少女としてのヒロインパワーが溜まったその時改めて究極最強完璧美少女新衣装として真っ白なドレスを用意するのだ。

『これが昂るという感情……! 素晴らしいよ、相棒!それに君だって最後のあの短刀でのトドメ。何枚も上手感がでて、私には思いつかなかった素晴らしい演出だぁ』

 えへへ、照れちゃうねぇ。
 六波羅さんを普通にボコボコにしても何故か根性で立つだろうし、麻痺毒としての意味もあるんだよね。
 それに、ミステリアス美少女が真正面から必殺技をぶつけるって、滅多にない事だしあそこで使うのは違うかなって。

『君が契約者で本当に良かったよ』

 こっちこそ!

「『いえーい!』」

 心の中で仲良くハイタッチ。
 さてさて、後はミロク先輩でも助けてパパっとハッピーエンドと行きましょうかねぇ。

『であれば妹の気配がする場所にいこうか。先程からシエルの気配を感じているんだよねぇ』

 シエルねぇ……俺、その子知らないんだよなぁ。

 原作で正体が明かされたデモンズギアは、ルトラ、エイナ、シヤク、ソルフィの四体だけだ。
 他の二体が行方不明なので、理事会はこの四体で厄災に挑む計画を立案した。
 そしてなんやかんやでトウラク君がルトラをスーパールトラにして見事勝利したのである。

 つまり、他のデモンズギアは原作の空白であり未知の領域なのだ。

 ま、それを言ったらこの星詠みの杖君が未知の固まりなんですけどね、わはは!

『ビルの最上階にいるようだ。転移をしよう』

 あ、その前に衣装は元に戻しておいてね。

『む、いいのかい?』

 これは六波羅さん相手に一瞬だけ出した強フォームのような扱いなんだ。
 Sランク相手に一度だけ見せたという事実こそが重要なんだよ。

 だから、安売りはいけない。

『言われてみれば確かに。では、元に戻そう』

 衣装がいつものゴスロリ衣装に変わる。
 ふむ、しっくりくるな。

『じゃあ、改めて行こうか』

 青紫色の魔法陣を潜って俺はビルの最上階を見下ろす位置に移動する。
 
 こうして冷静に街を見下ろすと、俺と六波羅さんの戦いがいかに激しかったのかが実感できた。
 というか殆ど、壊したの六波羅さんじゃね? 
 あの人、躊躇なしにエイナちゃんを解放してたけど、理事会に怒られない? 大丈夫?

『素晴らしい砲撃だった。私も姉として鼻が高い』

 感情由来の特別な砲撃だからね。
 指定範囲が広がればさらにヤバイ事も俺は知っている。

 まあ、学園自治区なんてダンジョンコアで出来てるし、コアが生きていれば直すなんて簡単か。 

 それよりも、ここからどうするのかが問題だよ。

『蒼星ミロクを助けに行くんじゃないのかい?』

 それはそうなんだけど、どうすればミステリアス美少女なのかが問題なんだよねぇ。
 ソルシエラが介入する意味がないと、俺がただの美少女の押し売りになってしまう。

 ミステリアス美少女は出しゃばってはいけないからな。

『成程……む、何か来るな』

 え?

 星詠みの杖の言葉にビルを見る。
 なんか、一部が赤くなってきているような……って、危ねぇ!

 ビルの壁が融解し、何やら極太のビームが俺のいる方向に飛んできた。

 俺はサッと回避して、とりあえずカッコよく宙に浮く。
 ……って別に俺を狙ったわけじゃねえのかよ。

『この砲撃はシエルだろうか。ふむ……あの偏屈にしては少し雑多が過ぎる砲撃だな。どれ、中を見てみようじゃないか』

 砲撃によって空いた穴の向こうを遠くからそっと見つめた。
 どうやら中は実験施設の様で、真っ白い壁と床が目につく。

 そして、実験室の中央にはやたらデカい化物みたいな犬がいた。
 あー、コイツが撃ってきたのか。

 ん? 犬の後ろにいるあの人ってミロク先輩じゃね?
 あ、ミズヒ先輩とトアちゃんもいるじゃん。

 たどり着いたんだ。良かったね。
 ところで、対峙して何を話してるの?

『聞こえないねぇ。とりあえず、あの犬をしばきまわして三人を助けるかい?』

 星詠みの杖がそう提案する。
 が、俺はその案を却下した。

 成程……まだ俺達が動くには早いぞ、星詠みの杖君。

『ほう、どういう事かな。君、美少女は助けるのだろう』

 ああそうだ。
 全ての美少女は幸せになる権利と義務がある。

 だが、この構図……ミズヒ先輩とトアちゃんがミロク先輩を助ける方が美しくないか?

『え?』

 いいかい、星詠みの杖君。
 美少女にも役割りが存在する。
 
 ミズヒ先輩とトアちゃん、そしてミロク先輩は幼馴染同士。
 彼女らの間には、俺では到底踏み込むことの出来ない領域が存在するのだ。

 ならば、ここでミロク先輩を助けるのは誰が美しいのか。

 ソルシエラが助ける?
 NOだね。それは美しくない。
 仮にソルシエラとミロク先輩がぐっちょぐちょの百合関係だったのなら助けるのは良いだろう。
 が現実は違う。ソルシエラとミロク先輩の関係性は薄い。 

『擬音が汚い……』

 次に、俺が那滝ケイとして助ける案だ。
 これもNO。
 というか、ギルティ。
 男が入り込んでミロク先輩を助けたら、それはもうただのハーレム物になってしまう。
 は? そんなの意味わからん最悪。俺は百合園を築きたいの!
 
 ならば、どう世界が進行するのが美しいか。

 そう、ミズヒ先輩とトアちゃんがミロク先輩を助けるのだ。
 これがGood。世界の美しい形であり、今宵の物語の見せ場はここにあるのだ。

 普段は助けられてばかりの臆病系幼馴染と少し不器用な武人系幼馴染に助けられる清楚系お姉さんとかメッチャ良くないです?
 普段は助けてあげる側のしっかり者のミロク先輩が、二人に助けられるのってこう……グッとこない?

『すみません、まだ履修していない範囲です。それと、いつにも増して早口で怖い』

 そうかぁ。
 じゃあ、今度一緒に勉強しようね。
 ヒノツチ文化大祭が近いし、そこで百合本を買い漁ろう。
 原作通りなら、アレって実質健全なコミケだし。

『美少女は奥が深いねぇ』

 幼馴染系は特に貴重な属性だよ。
 こればっかりは先天性であり、完全に運だ。

 だからこそ、あの三人の関係性は大切にしなければ。
 と、言う訳で俺の今回の方針を発表します。

『はい』

 とりあえず、様子見。
 マジで危なそうならソルシエラで。ミズヒ先輩達でいけそうならそのまま放置。
 後は高度な柔軟性をもって、臨機応変に対応。

『でも、あの生物から私の妹の気配するよ? 本当に彼女達に任せて大丈夫かい?』

 ……一応、もう収束砲撃を準備しておこうか。

 俺は銃口を犬に向ける。
 銃口の先には、六波羅さんの時の砲撃よりもずっと威力の抑えられた小さな魔法陣が展開されていた。

 まあ、あの犬程度ならこれで大丈夫か。

『いつでも百発百中狙えるからねぇ』

 星詠みの杖君の頼もしい言葉に頷きながら俺は三人の行く末を見守ることにした。
 
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