最強☆はいぱー美少女烈伝

拝 印篭

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振り向けば君がいた

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 物語は、2012年3月12日まで遡ります。

 その日、私、「村咲司むらさきつかさ」12歳。この春から中学生 が、春から通う学校の下見に同郷の、と、いいますか、両親がお世話になっている旅館のお坊ちゃまであるところの「 徳永薫とくながかおる」くん と一緒に東京に出てきた正にその日でありました。

 前日に起こった未曾有の大災害「東日本大地震」に巻き込まれ、私達のおうちたる旅館、「水明荘」の安否も知れぬまま、遠く離れた東京でも、交通の麻痺や停電騒ぎ、果ては大きなビルから外壁が崩れたりといったハプニング満載の中、私と薫くんも、大ピンチの真っただ中におりました。

「ったく、つかさが【お金降ろすのは明日でいいよ】なんて言うから、今日まで待ってたら銀行がストップしちまってるじゃねーか!」

「うわーん! ごーめーんーなーさーい! だって、天下のみずほ大銀行様が地震で機械が壊れるとか、絶対想像なんてできないよー!」

 ぐぎゅるるるるるぅー 
 おなかも盛大にあやまっておりますぅー。

「おなかぺこりだねぇ。薫くーん」

「まさか、ホテルから追い出されるとは思わなかったしなぁ」

「朝食代わりのアーモンド、もう無いよねぇ?」

「おまえ、俺より3粒も多く食べたじゃないか! 乳の中に貯めてんだろーが!」

 このこのっ! と、お乳を鷲掴みにされて痛いよー!

 普通なら、こんな変態行為は、良識ある大人が窘めてくれるでしょうが、皆、自分が生き残るためだけで手一杯であります。

 加えて、薫くんの容姿がまた、とても男の子に見えない位かわいい服装なんです。
 オレンジ色のボーダーのロングTシャツに、私とシェアできるように荷造りしたキャロットのジーンズ、白のダッフルコートで控えめに隠しつつ、かわいらしいショートヘアーの上にちょこんと乗っかった白いベレー帽が、アクセントになり、そりゃあもう、辛抱たまらんぜよ! なフェミニンなスタイルになっています。

 一方の私ときたら、上下ピンクのジャージに上着だけ肌寒いので、ユニ黒のダウンを着こんだもっさい女子。良く言って、締切間近の売れっ子漫画家ファッションという、女子力だけでもフリーザ様とクリリン以上の格差に半ば諦めモードに。

 平日昼間でありながら、人通りが少な過ぎるアキバの街中を歩いてきたけど。

 近隣のコンビニの棚は空っぽ。商品の補充のあてもなし。
 閉まる筈の無いマックやら吉ぎゅーまで閉店休業。
 二人して何か食べる物を探して上野から歩いてきちゃったのに!

 元々は上野で宿泊したんだけどね。おもてなしが不可能なので閉鎖しますって言われた時はどうしようか迷ったけれど。
 
 たしか本当なら、とある文豪の生家とかで朝ごはん食べれる予定だったのに。くやちぃー!

 地震のせいでほとんどのお店が閉店中。名物のメイドさんも居ない街、秋葉原。

 あ、着ぐるみのかいじゅうさんが居る。ピンクでかわいい。
 あ、チラシくれるの? ありがとう、かいじゅうさん。
 スイーツショップ スイートペリル!? お店開けてるのかしら?

「おーい、荷物になるだけだろ! いちいち受け取らなくていいんだよ!」

「待ってぇーっ! かいじゅうさん、またね」

 とてとてとかけ寄ってチラシを見せてみる。

「ここならお店開いてるよ。何か食べられるかも」

「あのなぁ、俺ら、今残金880円しかないんだよ。こーゆー店だと客単価千円位にはなっちまうだろ!? 二人で食べるのは不可能だよ。くっそぉ! 銀行が、金降ろせればなぁ」

 ああ、無念。みんな貧乏が悪いんやー!
 
 そんなことを考えていると、信号が青になりました。
 食べられない、その現実に打ちのめされながらのたのたと横断歩道を渡っていると、

「危ないっ!」

 薫くんが、私を押し倒してきました。

「いやん! こんなところじゃだめー!」

「バカか?」

 そんなヨタを話してると

 ドカン! と、凄い音と共に私の目の前で、大きなトラックがガードレールに突っ込んできました。

 ぷしゅー!! と、白いけむりをはきながら動かなくなったトラックから、人が出てきました。

「大丈夫ですか?」

 助けにかけ寄った人がいます。東京砂漠にも、助け合いの精神はあったのです。

「ぎゃぁぁぁぁっ!」

 え?

 よく見ると、助けにいった人の腕がありません!?

 あ、道路に腕がころがってる!?

 ええ? え? これ? なに?

「ひゃっはー! 今から、お前ら何人殺せるか、ボーナスステージだぜぇひゃっはー!!」
 
 ええええっ! 何なのこの人? 状況わかってるの?

 そんな空気読めない人が、鉈を持って次々と通行人に襲い掛かっています。

 あ、私達の方に来た~!

「ぼけっとするな! さっさと逃げろ!」

 薫くんが私と怖い人との間に入って守ってくれます。

 ああっ、し・あ・わ・せ! 女の喜びを感じちゃいます。

「ヒャッハー! 勇ましい女だなぁ! すきすきだぜぇ!」

「「キモッ!」」

 思わず薫くんとハモっちゃいました。

 あ、さっきのかいじゅうさん? こっちに来ます。

「ヒャッハー!」

 鉈を振り下ろしてきたヒャッハー系の人が、薫くんに襲い掛かります。
 が、紙一重で躱すと、逆にバキっ、と一撃! ロシアンフックというそうです。

「ぐげぇぇぇっ!」

 顔を押さえて仰け反る悪い人に向かってかいじゅうさんが、体当たりします。

「ぎゃん!」

「キャスト オフ!」

 かいじゅうさんがはじけ飛び、ええええっ! 中から出てきたのは、

「女の子?」

 薫くんの言う通り、可愛らしい女の子です。しかも、あれは?

「ええええっ! 【ウイッチバンカーの最高峰にして、魔王の名を頂く者、序列5位、怪獣王女メリュジーヌ、そして、現在もっとも完成されたウイッチバンカー】と呼ばれるあの人は!!」

「そうです。わたしが、【怪獣王女  石廊崎舞歌いろうざき まいか】で~す!!」
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