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乙女心はあんまり伝わってない
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眩しいから、きっと朝。
なんとなく体がだるいけど、まぁ起きるか。
「お、おはようアンリ」
「……おはよーござます」
また寝すぎたらしく、クロードはもういなかった。
こんなきょどったキースさん置いていかれても困るんだけどなぁ。
しかもテンション低いまま挨拶返しちゃったから、キースさん困ってるっぽい。
…あーあーはいはい、私が悪いんですよ。
共同生活を円滑にするには、我慢と演技は必要なんだわ。
ぐっと伸びをして、気持ちリセット。
昨日の事はちょい引きずるぐらい心にダメージくらったけど、キースさんが悪いんじゃないししょうがない!
誰も悪くない!
いや、私をこの世界に召喚したヤツ、お前はマジ許さねぇ…。
さらに両腕を上げて、ラジオ体操的深呼吸。
ふーー……よし、元気よくいこう。
「もう朝ごはん食べました?私お腹すいたんですけど!」
私の謎の動きと変わり身に、キースさんは一瞬怯んだみたいだけど
「そ、うか」
反射で返事をしてから、こほんと咳払いをして立て直した。
きっとこれがキースさんの切り替えモーションなんだろう。
「そうだタルトは好きかい?朝からクレアが焼いてきてくれたんだ」
おう、また差し入れきてる…。
「食べたいです、お茶いれますね!」
よし、割り切って仲良くしていこう!
寧ろ私が人畜無害だってこと思い知ってもらわないとね!
***
「よくお菓子貰ってるみたいですけど、キースさん甘いの好きなんですか?」
キースさんもクロードも、話しかけやすい雰囲気だし正義の味方な仕事だしーで安心してたけど
思い返すと個人的な情報何も知らないんだよね。
私も自分の事は"記憶喪失"の一点張りで話してないわけだし、
そりゃお互い歩み寄る要素0だわ!
もっとガツガツコミュニケーションとっていかないとね!
「いや、甘い物は嫌いではないけど…自分では買わないかな」
「そうなんですか?争うようにお菓子貢がれてるから好きなのかと思ってましたよ」
普通憧れの人へのプレゼントって、その人が好きな物を贈るもんじゃない?
「クロードが甘党だから、お菓子を頂けるのは嬉しいけどね」
「確かにクロードもウケがよさそうだけど…」
プレゼント攻撃効いてないみたいだなこれは。
色々渡してみた中で反応が良かったからって理由でお菓子攻撃が続いてるだけなのかも。
「キースさんは何をもらえたら嬉しい?リクエストしたら欲しい物差し入れしてくれると思いますよ~」
「欲しい物、か…あまり考えたことがないな。気になったものは自分で直ぐに買ってしまうからね」
まじか、いいね経済回してる!兵士って給料いいの?
「…アンリは何が欲しいのかな?」
「私は昨日全部買ってもらったからなぁ…」
ダメだ、話が膨らまない。
しかも得た情報がクロードが甘党ってだけじゃん。
どうせなら本人情報が欲しい。自分の事を話したって心許した感がほしい。
あ、私の欲しいものこれじゃん!キースさんの情報が欲しい!
「キースさんって兄弟はいますか?クロードとは何か仲いい兄弟みたいな空気出てますけど」
質問に一言付けたして、淡々とした事情聴取にならないように気を付ける。
「兄が二人、姉が一人居るよ。僕が一番下だったから、確かにクロードは弟分みたいなものかもね」
「同僚とそんなに仲がいいっていいですね!付き合い長いんですか?」
「訓練校からの付き合いだから、もう4年になるのかな…。アンリは?ご兄弟はいるのかな」
「私は一人っ子なんだけど、親戚が近くにいたから気分的には姉と弟がいるみたいな」
おっとつい私の事も喋っちゃった、記憶喪失なのにな。
いや…親戚関係は覚えてても変じゃないよね?セフセフ!
「………」
「…え、何その笑顔?何ひとりっこうらやましい?」
無言で笑顔を向けられているなう。
これどんな反応?
「一人娘なんだね」
「そーです…」
そーですけど、何か?
って聞いて何か言われたら困るから言わない。
一人っ子ダメだった?怖いわー自分のこと話すの怖いわ~。
違う話題振ろう。
定番かつ基本なのが家族構成、これは済。
出身地とかも話題にいいんだけどこの世界の事分からないから使えない。
あー年齢とか?
「そういえばキースさん幾つですか?私21ですけど」
「えっ」
「何歳ですか~って」
年を聞くのはあんまりよろしくなかったのかな?
そんなの気にするのは大人の女性だけかと思ってたけど。
「27だ…来月28になる」
「もうすぐ誕生日なんですか!うっわーこりゃ山のようなプレゼントが見れるわ!聞いちゃったからには私も何か送りますよ、何にしよっかなぁ」
人に何かを贈るのは、結構好きだ。
選ぶのも楽しいし、喜ばれると嬉しいし。
被らないように、定番から少し外しつつ値が張らず、自分では買わなさそうだけど貰って嬉しい物を選ぶのが好きなの!
私はネタにもゴミにもならないギリギリを攻めるのが好きなのさ!
「って言ったけどお金なかったわ!何か作ろうかな、時間はあるし。何色が好きですか?」
「気を使わなくていいよ、気持ちだけで」
「いいからいいから、どうせ気持ち程度の物になりますから。好きな色はなんですか?」
「…青、かな」
青か~ほんと流行って…る
あ、そういうことか
「なるほど我らのファッションリーダー…」
見事に青色ばっかりな服も、青いインクも。
どうやらキースさんの好きな色だけは周知の事実だったようだ。
なんとなく体がだるいけど、まぁ起きるか。
「お、おはようアンリ」
「……おはよーござます」
また寝すぎたらしく、クロードはもういなかった。
こんなきょどったキースさん置いていかれても困るんだけどなぁ。
しかもテンション低いまま挨拶返しちゃったから、キースさん困ってるっぽい。
…あーあーはいはい、私が悪いんですよ。
共同生活を円滑にするには、我慢と演技は必要なんだわ。
ぐっと伸びをして、気持ちリセット。
昨日の事はちょい引きずるぐらい心にダメージくらったけど、キースさんが悪いんじゃないししょうがない!
誰も悪くない!
いや、私をこの世界に召喚したヤツ、お前はマジ許さねぇ…。
さらに両腕を上げて、ラジオ体操的深呼吸。
ふーー……よし、元気よくいこう。
「もう朝ごはん食べました?私お腹すいたんですけど!」
私の謎の動きと変わり身に、キースさんは一瞬怯んだみたいだけど
「そ、うか」
反射で返事をしてから、こほんと咳払いをして立て直した。
きっとこれがキースさんの切り替えモーションなんだろう。
「そうだタルトは好きかい?朝からクレアが焼いてきてくれたんだ」
おう、また差し入れきてる…。
「食べたいです、お茶いれますね!」
よし、割り切って仲良くしていこう!
寧ろ私が人畜無害だってこと思い知ってもらわないとね!
***
「よくお菓子貰ってるみたいですけど、キースさん甘いの好きなんですか?」
キースさんもクロードも、話しかけやすい雰囲気だし正義の味方な仕事だしーで安心してたけど
思い返すと個人的な情報何も知らないんだよね。
私も自分の事は"記憶喪失"の一点張りで話してないわけだし、
そりゃお互い歩み寄る要素0だわ!
もっとガツガツコミュニケーションとっていかないとね!
「いや、甘い物は嫌いではないけど…自分では買わないかな」
「そうなんですか?争うようにお菓子貢がれてるから好きなのかと思ってましたよ」
普通憧れの人へのプレゼントって、その人が好きな物を贈るもんじゃない?
「クロードが甘党だから、お菓子を頂けるのは嬉しいけどね」
「確かにクロードもウケがよさそうだけど…」
プレゼント攻撃効いてないみたいだなこれは。
色々渡してみた中で反応が良かったからって理由でお菓子攻撃が続いてるだけなのかも。
「キースさんは何をもらえたら嬉しい?リクエストしたら欲しい物差し入れしてくれると思いますよ~」
「欲しい物、か…あまり考えたことがないな。気になったものは自分で直ぐに買ってしまうからね」
まじか、いいね経済回してる!兵士って給料いいの?
「…アンリは何が欲しいのかな?」
「私は昨日全部買ってもらったからなぁ…」
ダメだ、話が膨らまない。
しかも得た情報がクロードが甘党ってだけじゃん。
どうせなら本人情報が欲しい。自分の事を話したって心許した感がほしい。
あ、私の欲しいものこれじゃん!キースさんの情報が欲しい!
「キースさんって兄弟はいますか?クロードとは何か仲いい兄弟みたいな空気出てますけど」
質問に一言付けたして、淡々とした事情聴取にならないように気を付ける。
「兄が二人、姉が一人居るよ。僕が一番下だったから、確かにクロードは弟分みたいなものかもね」
「同僚とそんなに仲がいいっていいですね!付き合い長いんですか?」
「訓練校からの付き合いだから、もう4年になるのかな…。アンリは?ご兄弟はいるのかな」
「私は一人っ子なんだけど、親戚が近くにいたから気分的には姉と弟がいるみたいな」
おっとつい私の事も喋っちゃった、記憶喪失なのにな。
いや…親戚関係は覚えてても変じゃないよね?セフセフ!
「………」
「…え、何その笑顔?何ひとりっこうらやましい?」
無言で笑顔を向けられているなう。
これどんな反応?
「一人娘なんだね」
「そーです…」
そーですけど、何か?
って聞いて何か言われたら困るから言わない。
一人っ子ダメだった?怖いわー自分のこと話すの怖いわ~。
違う話題振ろう。
定番かつ基本なのが家族構成、これは済。
出身地とかも話題にいいんだけどこの世界の事分からないから使えない。
あー年齢とか?
「そういえばキースさん幾つですか?私21ですけど」
「えっ」
「何歳ですか~って」
年を聞くのはあんまりよろしくなかったのかな?
そんなの気にするのは大人の女性だけかと思ってたけど。
「27だ…来月28になる」
「もうすぐ誕生日なんですか!うっわーこりゃ山のようなプレゼントが見れるわ!聞いちゃったからには私も何か送りますよ、何にしよっかなぁ」
人に何かを贈るのは、結構好きだ。
選ぶのも楽しいし、喜ばれると嬉しいし。
被らないように、定番から少し外しつつ値が張らず、自分では買わなさそうだけど貰って嬉しい物を選ぶのが好きなの!
私はネタにもゴミにもならないギリギリを攻めるのが好きなのさ!
「って言ったけどお金なかったわ!何か作ろうかな、時間はあるし。何色が好きですか?」
「気を使わなくていいよ、気持ちだけで」
「いいからいいから、どうせ気持ち程度の物になりますから。好きな色はなんですか?」
「…青、かな」
青か~ほんと流行って…る
あ、そういうことか
「なるほど我らのファッションリーダー…」
見事に青色ばっかりな服も、青いインクも。
どうやらキースさんの好きな色だけは周知の事実だったようだ。
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