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軟禁生活始まりました
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窮屈じゃなく、柔らかいベットでぐっすり寝た翌日。
「とりあえず、敬語は止めて下さい。ハッキリしないうちからその対応はおかしいですよね」
昨日と同じ食堂から運ばれた朝食を3人で食べる。
たまごを挟んだパンをいただく私は、サイズ感がおかしいウィンナーに豪快に齧りつくキースさんに告げた。
口調も見た目も上品ぶってるけど、食べ方はワイルドだなこの人。
向かいでナイフで切り分けてるクロードとは対照的だ。
まぁ私も後で齧り付くわけですが。
「貴女こそ、どうぞ楽にしてください」
「するよ!元々敬語苦手だからね」
「えーもうちょっと続けてもいいのに。面倒な事になっちゃうよ?」
「敬語"つかわせてる"って罪悪感が私の中でやばいの。騙してる気がして心苦しいの!勝手に対応変えたキースさんが悪いのに何で私が申し訳なくならなきゃならないの、おかしいよね」
共同生活一日目。
寝ながら考えた屁理屈を並び立てて説得し、お互いに敬語はなしでと決まった。
根本的な意識改善はできなかったけど、表面的な解決にはなった。かな!
「今日はおれもキースさんも仕事だから一人になるけど、本でも読んでゆっくりしててね」
「はいはいよー」
それと、なんていうか、結局説得できずに軟禁されることになった。
リアリーテという貴族の娘さんが居るらしいんだけど、失踪したという噂があるらしくそれが私なのではないかと問い合わせの手紙を送ってしまったらしい。
ので、返事が届いて、別人だと判明するまではお嬢様として保護されてあげることにした。
私にも休息は必要だし、今のうちにこの世界のことを情報収集しておくつもり。
別に、昨日の畑仕事のせいで筋肉痛だからってだけじゃないのだよ。
ちなみにお嬢様はクロード情報によると黒髪で、菫色の瞳で、華奢な17歳の女の子だそうだ。
言うまでも無くもちろん別人だけど、よくよく聞いてさらにどこをどう解釈すれば一致点が髪色のみで勘違いできたのか謎すぎるわ。
まぁキースさんは噂のみで、実際そのリアリーテとは面識がないらしいから…いや、やっぱ納得できないな。
「外には出れないように魔法を組ませてもらうよ。これも貴女の為だ、悪く思わないでほしい」
「はいはい私の安全の為ね、ありがとうございまーす。因みに外に行こうとしたらどうなるの?」
「捕獲用の魔法を転用してるから、麻痺して気絶しちゃうよ。帰ってきたら玄関で倒れてるとかやめてね?」
「こっわ!聞いてなかったら試してた!そういうのは聞く前に説明しといてよね」
仕事は、3人でローテーションを組んでいるらしい。
詰所で待機&書類仕事・巡回&外回りの仕事・休みをまわすらしいけど、休みで出歩いても声をかけられることも多いとか。
でも3日に一回休みってよくない?超クリーン。
しかもお昼ご飯は寮に帰ってくるらしいし、夜勤もなく帰ってこれるそうな。
詰所に誰も居なかったら寮に来るように、と一応24時間体勢いつでもお呼び下さいって姿勢らしいけど、歩いた感じスラム的な場所もなかったしきっとまったりした職場なんだろうなぁ。
朝食を食べ終え、私が洗い物をしている間に身支度を済ませた2人に皿を託して見送った。
クロードの部屋の隣は書庫として使っているらしく、好きに見ていいと言われたので早速漁りに行こうと思う。
***
書庫、と聞いて図書室のようなものを想像したけど、実際は物置だった。
平積みされた本の塔がいくつもあり、崩れている山もちらほら。
てっぺんに木彫りの人形がぎっしり配置されている本の山は、何かのアート気取りなんだろうか。
他に布を巻かれた剣、多分木製の車輪、ランプとかの大物も隠れていた。
頭に帽子を3つ程乗せられているクマのぬいぐるみが一番気になるわ。
よく見ると靴や手袋、ペンや口紅なんかも転がっている。
「ゴミ屋敷一歩手前…」
という散らかりっぷりだ。
遠回しに暇なら綺麗にしといて、って言われてるのだとしたらやってもいいけど、整理するにも棚か箱がないとなぁ。
まぁ送ってしまったらしい貴族への手紙の返事が来るまではここで待機なので、用意してくれたらやってあげよう。
とりあえず、今日は読書だ。
るるぶやまっぷるみたいな雑誌があればこの世界の勉強になるし、楽しめるから一石二鳥なんだけど…分厚いハードカバーしかないな。
一番近くにあった本を、とりあえず開く。
ぱらぱら…
ぱたん。
次。
ぱららら…
ぱたむ。
「……なるほど」
字ぐらい読めるわ!ってクロードに言った私だけど、どうやらこの世界の文字は読めないみたい。
やられた…え、勉強しなきゃだめかなコレ…私英語ですら中学から平均点ギリとれるレベルなのに…。
筆記体やタイ語っぽくて、模様にしか見えない。
読書は潔く諦めよう…。
あぁ、本気で学校行きたい。馴染むためじゃなく、純粋に学びたい…。
開始早々に暇つぶしの手段を失った私は、寮の中のうろうろする。
とは言っても、二人の部屋を物色するぐらいしかすることないけどね!
「とりあえず、敬語は止めて下さい。ハッキリしないうちからその対応はおかしいですよね」
昨日と同じ食堂から運ばれた朝食を3人で食べる。
たまごを挟んだパンをいただく私は、サイズ感がおかしいウィンナーに豪快に齧りつくキースさんに告げた。
口調も見た目も上品ぶってるけど、食べ方はワイルドだなこの人。
向かいでナイフで切り分けてるクロードとは対照的だ。
まぁ私も後で齧り付くわけですが。
「貴女こそ、どうぞ楽にしてください」
「するよ!元々敬語苦手だからね」
「えーもうちょっと続けてもいいのに。面倒な事になっちゃうよ?」
「敬語"つかわせてる"って罪悪感が私の中でやばいの。騙してる気がして心苦しいの!勝手に対応変えたキースさんが悪いのに何で私が申し訳なくならなきゃならないの、おかしいよね」
共同生活一日目。
寝ながら考えた屁理屈を並び立てて説得し、お互いに敬語はなしでと決まった。
根本的な意識改善はできなかったけど、表面的な解決にはなった。かな!
「今日はおれもキースさんも仕事だから一人になるけど、本でも読んでゆっくりしててね」
「はいはいよー」
それと、なんていうか、結局説得できずに軟禁されることになった。
リアリーテという貴族の娘さんが居るらしいんだけど、失踪したという噂があるらしくそれが私なのではないかと問い合わせの手紙を送ってしまったらしい。
ので、返事が届いて、別人だと判明するまではお嬢様として保護されてあげることにした。
私にも休息は必要だし、今のうちにこの世界のことを情報収集しておくつもり。
別に、昨日の畑仕事のせいで筋肉痛だからってだけじゃないのだよ。
ちなみにお嬢様はクロード情報によると黒髪で、菫色の瞳で、華奢な17歳の女の子だそうだ。
言うまでも無くもちろん別人だけど、よくよく聞いてさらにどこをどう解釈すれば一致点が髪色のみで勘違いできたのか謎すぎるわ。
まぁキースさんは噂のみで、実際そのリアリーテとは面識がないらしいから…いや、やっぱ納得できないな。
「外には出れないように魔法を組ませてもらうよ。これも貴女の為だ、悪く思わないでほしい」
「はいはい私の安全の為ね、ありがとうございまーす。因みに外に行こうとしたらどうなるの?」
「捕獲用の魔法を転用してるから、麻痺して気絶しちゃうよ。帰ってきたら玄関で倒れてるとかやめてね?」
「こっわ!聞いてなかったら試してた!そういうのは聞く前に説明しといてよね」
仕事は、3人でローテーションを組んでいるらしい。
詰所で待機&書類仕事・巡回&外回りの仕事・休みをまわすらしいけど、休みで出歩いても声をかけられることも多いとか。
でも3日に一回休みってよくない?超クリーン。
しかもお昼ご飯は寮に帰ってくるらしいし、夜勤もなく帰ってこれるそうな。
詰所に誰も居なかったら寮に来るように、と一応24時間体勢いつでもお呼び下さいって姿勢らしいけど、歩いた感じスラム的な場所もなかったしきっとまったりした職場なんだろうなぁ。
朝食を食べ終え、私が洗い物をしている間に身支度を済ませた2人に皿を託して見送った。
クロードの部屋の隣は書庫として使っているらしく、好きに見ていいと言われたので早速漁りに行こうと思う。
***
書庫、と聞いて図書室のようなものを想像したけど、実際は物置だった。
平積みされた本の塔がいくつもあり、崩れている山もちらほら。
てっぺんに木彫りの人形がぎっしり配置されている本の山は、何かのアート気取りなんだろうか。
他に布を巻かれた剣、多分木製の車輪、ランプとかの大物も隠れていた。
頭に帽子を3つ程乗せられているクマのぬいぐるみが一番気になるわ。
よく見ると靴や手袋、ペンや口紅なんかも転がっている。
「ゴミ屋敷一歩手前…」
という散らかりっぷりだ。
遠回しに暇なら綺麗にしといて、って言われてるのだとしたらやってもいいけど、整理するにも棚か箱がないとなぁ。
まぁ送ってしまったらしい貴族への手紙の返事が来るまではここで待機なので、用意してくれたらやってあげよう。
とりあえず、今日は読書だ。
るるぶやまっぷるみたいな雑誌があればこの世界の勉強になるし、楽しめるから一石二鳥なんだけど…分厚いハードカバーしかないな。
一番近くにあった本を、とりあえず開く。
ぱらぱら…
ぱたん。
次。
ぱららら…
ぱたむ。
「……なるほど」
字ぐらい読めるわ!ってクロードに言った私だけど、どうやらこの世界の文字は読めないみたい。
やられた…え、勉強しなきゃだめかなコレ…私英語ですら中学から平均点ギリとれるレベルなのに…。
筆記体やタイ語っぽくて、模様にしか見えない。
読書は潔く諦めよう…。
あぁ、本気で学校行きたい。馴染むためじゃなく、純粋に学びたい…。
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