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十一章 笛吹き
227. 気苦労の多い夜
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くつくつとお鍋は煮えていた。
狩った魔獣の骨から旨味たっぷりなスープを作り、魔獣のお肉を軽く炙ってから薬香草と一緒にスープで煮込む。
プラがその場で育てた色とりどりの野菜もたっぷり入れる。
エステラは更にウモウのミルクやチーズ、味噌等で味を整え、最後に葛に似た植物の粉と米粉でとろみをつけた。
エステラがクリームシチューを作っている横では、モモがいつものスライム擬態になってパンを焼いている。
「しっかし、すごい量のスライムだな……」
アンソニーとテントの準備をしながら、ヴェリタスは周囲にずらりと並ぶスライム包囲網を眺めた。
何百もの野生のスライムが集まり、スライム達は、出汁を取った後の骨や野菜屑などを、すごい勢いで食べている。
先行して野営地を確認したハラとヒラが、周囲一帯のスライムを子分にし、更に魔獣が寄りつかないようにして、エステラ達三人とスライム達に快適な野営地を作りあげてしまったのだ。
スライム軍団は、食材の片付けのほかにも、ハラとヒラに魔法を伝授されたり、進化したりと忙しい。
プラから肉に野菜を挟んだものを貰って、暗がりへと消えていくスライムもいる。
「子分たちにもぉ、捜索お願いしたのぉ」
「ここに来る前に、ルタ兄さんと大量の魔獣を狩らされたのは、この子達の分もあったんですね……」
アンソニーもこめかみから流れる汗を、手拭いで拭きながら、スライム達を見る。
「みんなご飯できたわよー」
エステラの声がして、火の周りに集まる。ついでにエステラは、周囲一帯にととのえるの魔法もかける。汗だくだった、ヴェリタスとアンソニー、そしてスライム軍団に食事を配りまわってへとへとになったナードと、付き添いのヴヴも綺麗になった。
「美味しい……っ」
クリームシチューを一口食べて、アンソニーは頬を緩ませる。
「お姉さまたち、ちゃんと食事が摂れてるでしょうか……」
アンソニーは星空を眺めた。
「あんまり期待出来ねぇだろうな……」
ヴェリタスは、ため息を吐く。
「合流したら、美味しいものいっぱい食べさせてあげましょう」
エステラは静かに笑った。
くたくたに働いた後でお腹が膨れたおかげか、ヴェリタスもアンソニーも、ナードもヴヴもテントでぐっすり寝ていた。
「良かった。今夜はみんな眠れないと思ってたの。ありがとう、ヒラ、ハラ」
「タラはぁ? ちゃんとねんねできそう? ヒラとハラが、快眠すやすやねんねの子守歌ぁ歌おうかぁ?」
「そうね、お願いしようかな」
モモがスライム姿で、にゅっと手を出して、エステラと手を繋ぐ。
『タラ、ねんねはテントの中でよ』
モモはもう滑らかに喋れるようになっていた。
「そうだね」
エステラは自分のテントに向かった。
『モモも一緒に、お歌歌うね』
◇◇◇
マグダリーナがこっそり鑑定魔法を駆使したところ、この流民の幌馬車には、聖属性の魔力を吸い取って、動力源にしている魔導具が仕込まれているらしい。回復薬の変質もその影響。そうやって他者から感知されない為の結界を作り、結界の内部では魔法も正常に働かない。ただし、ととのえるの魔法やスライムコラーゲンEXのような、エステラが独自開発した魔法や物は正常に使えるとのこと。
つまり腕輪の魔導具の鑑定魔法は、通常の鑑定魔法と違ったのだ。ゲーミング鑑定画面になるなんて、エステラの仕業でしかあり得ない。おかげで、心の不安が軽いのだが。
夜は魔獣の出没が増えることもあり、幌馬車も隠れるように林に入ると野営の準備をする。
「どうする……魔剣がない。魔獣に襲われたら厄介だぞ」
「ここら辺なら、まだ下位の魔獣しか出ないはずだ。大丈夫だろう」
流民の男達が、魔剣、と囁いているのが聞こえて、マグダリーナとレベッカはびくりと震える。
魔剣に刺されたヴェリタスはどうなったのだろうか……ルシンの気配が近づいていたから、一命は取り留めたと信じたかった。
(女神様……どうかルタが無事でいますように……!!)
マグダリーナが女神に祈っている様子を見て、レベッカも一心に女神に祈る。ライアンはヴェリタスが刺された所は見ていなかったが、二人が熱心に女神に祈っているのを感じて、自身も女神に祈った。
幌馬車の外では、流民達が魔獣に警戒しながら、火を焚いて食事の準備をしている。マグダリーナ達は見張り付きでお手洗いに一度外に出されると、そのまままた幌馬車に押入れられてしまった。
しかも白湯を一杯与えられただけで、食事は無しだ。おそらく、逃げださせないよう、体力と気力を削ぐつもりなのだろう。
負けてなるものかと、流民達が外で干し肉のスープと、水と粉で焼いた硬いパンで食事をしている間に、マグダリーナ達は魔法収納から、卵とバターの入ったふかふかのパンと蜂蜜を出して、こっそり分け合った。
そして今のうちに、マグダリーナの鑑定で分かったことや、それぞれ気づいたことを共有していく。
「つまり、この馬車の中では、聖属性の魔力は全部あの魔導具に吸い取られてしまいますのね……」
馬車の一角にある、大きな水晶玉の付いた魔導具を見る。
「じゃあまず、アレを壊せば良いんだな」
「待って、まだライアン兄さんは無理しちゃだめよ。傷は塞がっても、血がいっぱい流れたんだから、しばらくよく食べて眠って回復に専念しましょう」
レベッカも思案する。
「この馬車の揺れでもびくともしないのですもの。力では簡単に壊せないのかも知れませんわ。明日からはそれとなく探りを入れてみましょう。さ、リーナお姉様の言う通り、ライアンお兄様はお休みになって」
「いや、こんな所でそう易々と寝れないよ……」
「大丈夫ですわ。私もリーナお姉様も、エステラお姉様の新作下着を愛用してますもの。男の人は私達に何もできませんわ」
ドーラ伯母様がびっくりした、防御過多の下着は、新たにカウンター効果も付与された。実際にどうなるのかは、知らないけれど。
それでも安心出来ないのか、ライアンはマグダリーナに言った。
「念の為、リーナは俺とレベッカの陰になる場所にいて」
マグダリーナは素直に頷いて、場所を移動した。
狩った魔獣の骨から旨味たっぷりなスープを作り、魔獣のお肉を軽く炙ってから薬香草と一緒にスープで煮込む。
プラがその場で育てた色とりどりの野菜もたっぷり入れる。
エステラは更にウモウのミルクやチーズ、味噌等で味を整え、最後に葛に似た植物の粉と米粉でとろみをつけた。
エステラがクリームシチューを作っている横では、モモがいつものスライム擬態になってパンを焼いている。
「しっかし、すごい量のスライムだな……」
アンソニーとテントの準備をしながら、ヴェリタスは周囲にずらりと並ぶスライム包囲網を眺めた。
何百もの野生のスライムが集まり、スライム達は、出汁を取った後の骨や野菜屑などを、すごい勢いで食べている。
先行して野営地を確認したハラとヒラが、周囲一帯のスライムを子分にし、更に魔獣が寄りつかないようにして、エステラ達三人とスライム達に快適な野営地を作りあげてしまったのだ。
スライム軍団は、食材の片付けのほかにも、ハラとヒラに魔法を伝授されたり、進化したりと忙しい。
プラから肉に野菜を挟んだものを貰って、暗がりへと消えていくスライムもいる。
「子分たちにもぉ、捜索お願いしたのぉ」
「ここに来る前に、ルタ兄さんと大量の魔獣を狩らされたのは、この子達の分もあったんですね……」
アンソニーもこめかみから流れる汗を、手拭いで拭きながら、スライム達を見る。
「みんなご飯できたわよー」
エステラの声がして、火の周りに集まる。ついでにエステラは、周囲一帯にととのえるの魔法もかける。汗だくだった、ヴェリタスとアンソニー、そしてスライム軍団に食事を配りまわってへとへとになったナードと、付き添いのヴヴも綺麗になった。
「美味しい……っ」
クリームシチューを一口食べて、アンソニーは頬を緩ませる。
「お姉さまたち、ちゃんと食事が摂れてるでしょうか……」
アンソニーは星空を眺めた。
「あんまり期待出来ねぇだろうな……」
ヴェリタスは、ため息を吐く。
「合流したら、美味しいものいっぱい食べさせてあげましょう」
エステラは静かに笑った。
くたくたに働いた後でお腹が膨れたおかげか、ヴェリタスもアンソニーも、ナードもヴヴもテントでぐっすり寝ていた。
「良かった。今夜はみんな眠れないと思ってたの。ありがとう、ヒラ、ハラ」
「タラはぁ? ちゃんとねんねできそう? ヒラとハラが、快眠すやすやねんねの子守歌ぁ歌おうかぁ?」
「そうね、お願いしようかな」
モモがスライム姿で、にゅっと手を出して、エステラと手を繋ぐ。
『タラ、ねんねはテントの中でよ』
モモはもう滑らかに喋れるようになっていた。
「そうだね」
エステラは自分のテントに向かった。
『モモも一緒に、お歌歌うね』
◇◇◇
マグダリーナがこっそり鑑定魔法を駆使したところ、この流民の幌馬車には、聖属性の魔力を吸い取って、動力源にしている魔導具が仕込まれているらしい。回復薬の変質もその影響。そうやって他者から感知されない為の結界を作り、結界の内部では魔法も正常に働かない。ただし、ととのえるの魔法やスライムコラーゲンEXのような、エステラが独自開発した魔法や物は正常に使えるとのこと。
つまり腕輪の魔導具の鑑定魔法は、通常の鑑定魔法と違ったのだ。ゲーミング鑑定画面になるなんて、エステラの仕業でしかあり得ない。おかげで、心の不安が軽いのだが。
夜は魔獣の出没が増えることもあり、幌馬車も隠れるように林に入ると野営の準備をする。
「どうする……魔剣がない。魔獣に襲われたら厄介だぞ」
「ここら辺なら、まだ下位の魔獣しか出ないはずだ。大丈夫だろう」
流民の男達が、魔剣、と囁いているのが聞こえて、マグダリーナとレベッカはびくりと震える。
魔剣に刺されたヴェリタスはどうなったのだろうか……ルシンの気配が近づいていたから、一命は取り留めたと信じたかった。
(女神様……どうかルタが無事でいますように……!!)
マグダリーナが女神に祈っている様子を見て、レベッカも一心に女神に祈る。ライアンはヴェリタスが刺された所は見ていなかったが、二人が熱心に女神に祈っているのを感じて、自身も女神に祈った。
幌馬車の外では、流民達が魔獣に警戒しながら、火を焚いて食事の準備をしている。マグダリーナ達は見張り付きでお手洗いに一度外に出されると、そのまままた幌馬車に押入れられてしまった。
しかも白湯を一杯与えられただけで、食事は無しだ。おそらく、逃げださせないよう、体力と気力を削ぐつもりなのだろう。
負けてなるものかと、流民達が外で干し肉のスープと、水と粉で焼いた硬いパンで食事をしている間に、マグダリーナ達は魔法収納から、卵とバターの入ったふかふかのパンと蜂蜜を出して、こっそり分け合った。
そして今のうちに、マグダリーナの鑑定で分かったことや、それぞれ気づいたことを共有していく。
「つまり、この馬車の中では、聖属性の魔力は全部あの魔導具に吸い取られてしまいますのね……」
馬車の一角にある、大きな水晶玉の付いた魔導具を見る。
「じゃあまず、アレを壊せば良いんだな」
「待って、まだライアン兄さんは無理しちゃだめよ。傷は塞がっても、血がいっぱい流れたんだから、しばらくよく食べて眠って回復に専念しましょう」
レベッカも思案する。
「この馬車の揺れでもびくともしないのですもの。力では簡単に壊せないのかも知れませんわ。明日からはそれとなく探りを入れてみましょう。さ、リーナお姉様の言う通り、ライアンお兄様はお休みになって」
「いや、こんな所でそう易々と寝れないよ……」
「大丈夫ですわ。私もリーナお姉様も、エステラお姉様の新作下着を愛用してますもの。男の人は私達に何もできませんわ」
ドーラ伯母様がびっくりした、防御過多の下着は、新たにカウンター効果も付与された。実際にどうなるのかは、知らないけれど。
それでも安心出来ないのか、ライアンはマグダリーナに言った。
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マグダリーナは素直に頷いて、場所を移動した。
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