42 / 242
三章 女神教
42. 熊と王子と
しおりを挟む
ゲインズ領の奥にランバート領があり、この二領と辺境伯領が、リーン王国三大魔獣ヨクデル領地だと、エステラは言った。
今回はランバート領の森に転移して、熊師匠を探す。
道中、第二王子の件を話すと、アーベル以外は皆驚いた。
アーベルは特に興味がないだけだ。
「第二王子って、どんな子なの?」
エステラがヴェリタスに聞く。
「どうって言われても……公式の場で挨拶くらいしかしたことないしな……俺もよくわかんね」
「リーナはどう思った?」
「え? まあ向こうも混乱してたかも知れないけど、かなり気が強くて傲慢だなって」
ズバリと言ったマグダリーナに、ヴェリタスは苦笑いした。
「まあ、混乱するだろうな。普通はお茶会だのなんだので、まず顔合わせくらいはするもんだからなー」
「そうなの? てっきりシャロン伯母様みたいに家の繋がりで相手は決まってて、結婚するものだと思ってた」
「それにしても、実際の婚約までに何度かお茶会や晩餐なんかで、一応親交するのが普通だよ。母上みたいに問答無用なのは、余程相手に問題があったりするんだよ」
めちゃくちゃ実感のこもった、お言葉だった。
がさりと音がすると、ゲインズ領でよく見る灰色狼が現れた。グレイが素早く討伐する。
そして、熊居ないなあーと思った途端に、現れた。
「よし、まず腕を切り落とせ!」
アーベルの指示に、アンソニーとヴェリタスが風魔法でそれぞれ四つ手熊の左右の前足を二本一気に落とした。
「グレイ、心臓を狙えるか?」
グレイは黙って、剣を構えた。
前足が無くなっても熊は牙を剥き出して、襲ってくる。
グレイが蛇行しながら走りこみ、熊に近づくと、一つ目の心臓に剣を突き刺す。
だが心臓に達する前に熊の腹筋で、剣が動かせなくなった。
「あぶない! ギロチン!!」
熊の牙がグレイを襲おうとするところを、マグダリーナは熊の首ごと切り落とした。
「くっ」
剣を押し込もうと力を込めるグレイに、アーベルは「力ではなく魔力を使え」と指導する。
グレイの身体から、淡く魔力の輝きが立ち上る。
グレイは元々身体強化の魔法を使っていたが、今は冒険者ギルドでアーベルの指導を受けて他の魔法の使い方も会得し始めていた。
「せいっ」
剣を媒体に熊の心臓に魔法を叩き込み、剣を抜くと素早く、そのままもう一つの心臓も突き潰した。
動かなくなった熊の胴体を、アーベルがガンガン叩く。
――本当にガンガンと音がした。
「四つ手熊は、心臓のある腹部周りの胴体が一番硬い。それを考えて対応しないと、一人で討伐はまず無理だ。あとこいつらは火属性の魔獣だから、半端な火魔法で攻撃すると逆に強化する。秒で消炭にする自信がないなら、火魔法は使わない方がいい」
今回は一人ずつ、皆んなのサポートを受けながら、熊の心臓潰し体験で終わる。
犠牲になってくれた熊師匠達に感謝し、残さず素材としてマゴーが解体し、一部はコッコ(オス)達のお腹にも収まった。
「マグダリーナなら、冒険者の研修を受ければ直ぐにFランクになれるが、どうする?」
ショウネシー領に戻ると、アーベルに聞かれたが、とりあえず令嬢としては今のところ必要がない資格なので、遠慮した。
因みにアンソニーとヴェリタスは、今回Eランクに昇格した。
ショウネシー家に帰ると、ダーモットから「第二王子との婚約の話が来たけど、断っておいたから」と何でもなかったかのように言われた。
◇◇◇
学園二日目のクラスの様子に、マグダリーナは少しウンザリした。
まず朝一に、第二王子に捕まった。
「俺はお前に、わきまえろと言わなかったか!」
第一声がこれだ。
「ええ、そうおっしゃいましたが何か?」
「それなのに、お前の方から婚約の申し込みを断るとはどういうことだ! 王族に恥をかかせて良いと思っているのか」
(はあ?)
「承諾いたしましたら、お話しが進んでしまうではありませんか。昨日王子が私と婚約する気はないとおっしゃったので、その意にそったまでです」
「お前は馬鹿か? 俺はわきまえろとも言った。ここはお前は婚約を承諾し、俺がお前を認めぬのが筋だろう!」
(はあ????)
なんだその筋とやらは、である。
「その筋は現実的なものですか?」
「なんだと?」
「バーナード王子は、実際に陛下の意に逆らって、その筋通りにすることができるのですか? 私はお互い状況を考えて、最善と思われる方法を取っただけです。それをご理解いただけないのは残念です。ですが今後私達の間に、理解が生まれる事がないとわかったのは幸いです。ではお先に教室に向かわせていただきます」
意訳:二度と話しかけてこないで、だ。
早足で教室に向かうマグダリーナを、第二王子も早足で追いかけて来た。
一瞬ヒヤッとしたが、追い抜かして先に教室に入って行っただけだった。
どうやら、そうとう負けず嫌いなようだ。
教室に入ると、昨日の第二王子との会話を聞いていた人がいて、なぜだかマグダリーナが第二王子に無理矢理婚約を迫っていると変に拗れて噂になっていた。
噂の発生源は直ぐにわかった。
なんとなく誰が噂を流したのかと鑑定魔法を使ったら、ライアンとレベッカの頭の上に矢印がペカペカしてたからだ。鑑定魔法すごいな。
マグダリーナはとにかく早く、学年を飛び級しようと思った。
テストは、自分で思っていたより好調だった。熊狩に参加したお陰だろう。
アーベルが「脳にも身体強化魔法をかけろ」と言っていたのを思い出して試してみたら、いい感じだったのだ。
お昼休みの時間になって、マグダリーナは食堂へ向かった。
王立学園は無料で使える食堂と、王族や高位貴族が使う有料のサロンがあった。
マグダリーナが入学する前に、サロンでヴェリタスの食事に毒が盛られていたことがあり、それ以来ヴェリタスの昼食はうまみ屋の特製日替り弁当だ。
新年の女神の奇跡で鑑定魔法を取得できていなかったら、危なかったかも知れなかった。
お弁当は食堂の空いてる席で食べているらしい。
マグダリーナは今日の一件で、自分もオーブリー侯爵家にロックオンされてると感じたので、明日以降お弁当にすることに決めた。
丁度食堂でヴェリタスと会えたので、一緒に食事をする。
今朝の第二王子や教室の様子を、不特定多数のいる食堂で話題にすることはできないので、次の熊修行の予定など聞いたりした。
「そう言えば、ディオンヌ商会が貰ったあの島、なんか珍しい果実があったらしくてさ、エステラがめちゃくちゃ喜んでたぞ」
「何かしら? たぶんそのうち、うまみ屋で販売されるわよね?」
「その前に試食持ってくるだろ、絶対」
「そうね! 楽しみだわ」
午後のテストは魔法学の筆記と実技だ。
担任から事情を聞いてる魔法学の先生が、実技には出なくて良いと言ってくれたが、念のため確認する。
「魔法の実技無しでも、学年の飛び級はできますか?」
「いいえ、ショウネシーさんには学年の飛び級は諦めてもらうことになるわね……」
それは、絶対、嫌だった。
「自分で魔法は使えなくても、魔導具で魔法を使う事ができます。それでテストは受けられますか?」
魔導具と聞いて、一瞬先生は皮肉気な笑みを浮かべた。
魔導具とは誰でも特定の魔法を一定の出力で使えるように、作られるものだ。
「それをすると、魔導具でズルをしていると、皆んなに言われるわよ」
「別に構いません。道具を使いこなすのにも熟練が必要だと、見る目のある方には理解していただけると信じてますから」
魔法実技のテストは、遠くの的に魔法を当てるテストだった。
「あなた実技のテスト受けれるの?」
クラスメイトの女子が聞いてくる。
「先生に魔導具使用の許可をいただきましたので、それでテストを受けます」
「ふうん、魔導具ねぇ。それ意味あるの? おままごとみたいね」
どうとでも言うがいい、飛び級の為なら、大人げなくエステラ作魔導具使用も辞さないのだ。
第二王子が的に小さな火球を当て、合格を貰う。レベッカが大袈裟に王子を褒めまくっている。
そう言えば、エステラもハイエルフ達も、あまり火魔法を使っているとこ見たことないなと思った。
素材をダメにするし、森とかで使うと火事になるからだろう。
見た目は派手だが使いにくい魔法かも知れない。
ライアンの火球は的に届かず消えた。
聖魔法はどうするのだろうかと思えば、レベッカは光の玉をぽんと出し、数センチ飛んで消えた。
他の生徒もそんな感じだったので、的に当てた第二王子は優秀なんだろう。
自分はどんな魔法で的に当てるか考えていると、周囲が騒がしくなり、悲鳴も聞こえ出した。
「きゃあああああ」
「熊よ――――!!! なんで学園に熊が!!!」
学園に熊、という強力なワードに、一瞬意識を全部持っていかれたが、校庭で見慣れた巨躯が咆哮しながら向かってくる。
(本当だよ。しかも熊師匠じゃないの!!!)
熊師匠――四つ手熊が二体、学園の運動場を歩いていた。
今回はランバート領の森に転移して、熊師匠を探す。
道中、第二王子の件を話すと、アーベル以外は皆驚いた。
アーベルは特に興味がないだけだ。
「第二王子って、どんな子なの?」
エステラがヴェリタスに聞く。
「どうって言われても……公式の場で挨拶くらいしかしたことないしな……俺もよくわかんね」
「リーナはどう思った?」
「え? まあ向こうも混乱してたかも知れないけど、かなり気が強くて傲慢だなって」
ズバリと言ったマグダリーナに、ヴェリタスは苦笑いした。
「まあ、混乱するだろうな。普通はお茶会だのなんだので、まず顔合わせくらいはするもんだからなー」
「そうなの? てっきりシャロン伯母様みたいに家の繋がりで相手は決まってて、結婚するものだと思ってた」
「それにしても、実際の婚約までに何度かお茶会や晩餐なんかで、一応親交するのが普通だよ。母上みたいに問答無用なのは、余程相手に問題があったりするんだよ」
めちゃくちゃ実感のこもった、お言葉だった。
がさりと音がすると、ゲインズ領でよく見る灰色狼が現れた。グレイが素早く討伐する。
そして、熊居ないなあーと思った途端に、現れた。
「よし、まず腕を切り落とせ!」
アーベルの指示に、アンソニーとヴェリタスが風魔法でそれぞれ四つ手熊の左右の前足を二本一気に落とした。
「グレイ、心臓を狙えるか?」
グレイは黙って、剣を構えた。
前足が無くなっても熊は牙を剥き出して、襲ってくる。
グレイが蛇行しながら走りこみ、熊に近づくと、一つ目の心臓に剣を突き刺す。
だが心臓に達する前に熊の腹筋で、剣が動かせなくなった。
「あぶない! ギロチン!!」
熊の牙がグレイを襲おうとするところを、マグダリーナは熊の首ごと切り落とした。
「くっ」
剣を押し込もうと力を込めるグレイに、アーベルは「力ではなく魔力を使え」と指導する。
グレイの身体から、淡く魔力の輝きが立ち上る。
グレイは元々身体強化の魔法を使っていたが、今は冒険者ギルドでアーベルの指導を受けて他の魔法の使い方も会得し始めていた。
「せいっ」
剣を媒体に熊の心臓に魔法を叩き込み、剣を抜くと素早く、そのままもう一つの心臓も突き潰した。
動かなくなった熊の胴体を、アーベルがガンガン叩く。
――本当にガンガンと音がした。
「四つ手熊は、心臓のある腹部周りの胴体が一番硬い。それを考えて対応しないと、一人で討伐はまず無理だ。あとこいつらは火属性の魔獣だから、半端な火魔法で攻撃すると逆に強化する。秒で消炭にする自信がないなら、火魔法は使わない方がいい」
今回は一人ずつ、皆んなのサポートを受けながら、熊の心臓潰し体験で終わる。
犠牲になってくれた熊師匠達に感謝し、残さず素材としてマゴーが解体し、一部はコッコ(オス)達のお腹にも収まった。
「マグダリーナなら、冒険者の研修を受ければ直ぐにFランクになれるが、どうする?」
ショウネシー領に戻ると、アーベルに聞かれたが、とりあえず令嬢としては今のところ必要がない資格なので、遠慮した。
因みにアンソニーとヴェリタスは、今回Eランクに昇格した。
ショウネシー家に帰ると、ダーモットから「第二王子との婚約の話が来たけど、断っておいたから」と何でもなかったかのように言われた。
◇◇◇
学園二日目のクラスの様子に、マグダリーナは少しウンザリした。
まず朝一に、第二王子に捕まった。
「俺はお前に、わきまえろと言わなかったか!」
第一声がこれだ。
「ええ、そうおっしゃいましたが何か?」
「それなのに、お前の方から婚約の申し込みを断るとはどういうことだ! 王族に恥をかかせて良いと思っているのか」
(はあ?)
「承諾いたしましたら、お話しが進んでしまうではありませんか。昨日王子が私と婚約する気はないとおっしゃったので、その意にそったまでです」
「お前は馬鹿か? 俺はわきまえろとも言った。ここはお前は婚約を承諾し、俺がお前を認めぬのが筋だろう!」
(はあ????)
なんだその筋とやらは、である。
「その筋は現実的なものですか?」
「なんだと?」
「バーナード王子は、実際に陛下の意に逆らって、その筋通りにすることができるのですか? 私はお互い状況を考えて、最善と思われる方法を取っただけです。それをご理解いただけないのは残念です。ですが今後私達の間に、理解が生まれる事がないとわかったのは幸いです。ではお先に教室に向かわせていただきます」
意訳:二度と話しかけてこないで、だ。
早足で教室に向かうマグダリーナを、第二王子も早足で追いかけて来た。
一瞬ヒヤッとしたが、追い抜かして先に教室に入って行っただけだった。
どうやら、そうとう負けず嫌いなようだ。
教室に入ると、昨日の第二王子との会話を聞いていた人がいて、なぜだかマグダリーナが第二王子に無理矢理婚約を迫っていると変に拗れて噂になっていた。
噂の発生源は直ぐにわかった。
なんとなく誰が噂を流したのかと鑑定魔法を使ったら、ライアンとレベッカの頭の上に矢印がペカペカしてたからだ。鑑定魔法すごいな。
マグダリーナはとにかく早く、学年を飛び級しようと思った。
テストは、自分で思っていたより好調だった。熊狩に参加したお陰だろう。
アーベルが「脳にも身体強化魔法をかけろ」と言っていたのを思い出して試してみたら、いい感じだったのだ。
お昼休みの時間になって、マグダリーナは食堂へ向かった。
王立学園は無料で使える食堂と、王族や高位貴族が使う有料のサロンがあった。
マグダリーナが入学する前に、サロンでヴェリタスの食事に毒が盛られていたことがあり、それ以来ヴェリタスの昼食はうまみ屋の特製日替り弁当だ。
新年の女神の奇跡で鑑定魔法を取得できていなかったら、危なかったかも知れなかった。
お弁当は食堂の空いてる席で食べているらしい。
マグダリーナは今日の一件で、自分もオーブリー侯爵家にロックオンされてると感じたので、明日以降お弁当にすることに決めた。
丁度食堂でヴェリタスと会えたので、一緒に食事をする。
今朝の第二王子や教室の様子を、不特定多数のいる食堂で話題にすることはできないので、次の熊修行の予定など聞いたりした。
「そう言えば、ディオンヌ商会が貰ったあの島、なんか珍しい果実があったらしくてさ、エステラがめちゃくちゃ喜んでたぞ」
「何かしら? たぶんそのうち、うまみ屋で販売されるわよね?」
「その前に試食持ってくるだろ、絶対」
「そうね! 楽しみだわ」
午後のテストは魔法学の筆記と実技だ。
担任から事情を聞いてる魔法学の先生が、実技には出なくて良いと言ってくれたが、念のため確認する。
「魔法の実技無しでも、学年の飛び級はできますか?」
「いいえ、ショウネシーさんには学年の飛び級は諦めてもらうことになるわね……」
それは、絶対、嫌だった。
「自分で魔法は使えなくても、魔導具で魔法を使う事ができます。それでテストは受けられますか?」
魔導具と聞いて、一瞬先生は皮肉気な笑みを浮かべた。
魔導具とは誰でも特定の魔法を一定の出力で使えるように、作られるものだ。
「それをすると、魔導具でズルをしていると、皆んなに言われるわよ」
「別に構いません。道具を使いこなすのにも熟練が必要だと、見る目のある方には理解していただけると信じてますから」
魔法実技のテストは、遠くの的に魔法を当てるテストだった。
「あなた実技のテスト受けれるの?」
クラスメイトの女子が聞いてくる。
「先生に魔導具使用の許可をいただきましたので、それでテストを受けます」
「ふうん、魔導具ねぇ。それ意味あるの? おままごとみたいね」
どうとでも言うがいい、飛び級の為なら、大人げなくエステラ作魔導具使用も辞さないのだ。
第二王子が的に小さな火球を当て、合格を貰う。レベッカが大袈裟に王子を褒めまくっている。
そう言えば、エステラもハイエルフ達も、あまり火魔法を使っているとこ見たことないなと思った。
素材をダメにするし、森とかで使うと火事になるからだろう。
見た目は派手だが使いにくい魔法かも知れない。
ライアンの火球は的に届かず消えた。
聖魔法はどうするのだろうかと思えば、レベッカは光の玉をぽんと出し、数センチ飛んで消えた。
他の生徒もそんな感じだったので、的に当てた第二王子は優秀なんだろう。
自分はどんな魔法で的に当てるか考えていると、周囲が騒がしくなり、悲鳴も聞こえ出した。
「きゃあああああ」
「熊よ――――!!! なんで学園に熊が!!!」
学園に熊、という強力なワードに、一瞬意識を全部持っていかれたが、校庭で見慣れた巨躯が咆哮しながら向かってくる。
(本当だよ。しかも熊師匠じゃないの!!!)
熊師匠――四つ手熊が二体、学園の運動場を歩いていた。
123
お気に入りに追加
407
あなたにおすすめの小説

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる