うちのダンナはぽっちゃり男子

つづれ しういち

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88 泣いちゃうもんとはなんぞや

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 実は私、このところやたら早く寝ております。いや早く寝てるのは私だけで、ダンナもムスメも通常運転なのですが。
 特にムスメなんか、ほっといたら友達と深夜まで喋りまくってて心配になるぐらいです。案の定、翌朝は起きられへんしー。

 で、私の話です。
 仕事から帰ってくると、あんまり暑いのですぐにシャワーを浴びるでしょ? よく乗り物の中で本を読みながら帰ってくるので、その続きを読んだり、自分の小説を書いたりしてるとムスメが帰ってくるでしょ?
 んで、お菓子など食べようかときくと「食べてもいいけどご飯が入らなくなるよ。いいの?」と言われるでしょ?
「ほんならもうご飯にしよかー」となって、夕飯を食べるでしょ?

 ほーしたら、もうアカンのですわ!
 何があかんて、もうあの睡魔があかん。
 上のまぶたと下のまぶたがくっついてくるの! 夜更かしとか出来ないの!

 私も若い頃はマンガも描いてて、かなりの夜型で夜更かし大魔王やったんですけど、年取ると夜更かしする体力すら無のうなってくるんですなー。
 もう眠くて眠くてかなわん。
 夜のドラマとか映画はみんな録画。
 ほんで、8時台とかでとっとと寝てまう。

 ダンナは、今は9時前ぐらいに帰宅することが多いので、そうなるとタッチの差で間に合わない。帰ると私がもうぐーすか寝ている。

 んで、このところなんとなーく朝に機嫌がよろしくなさそうなので「どしたん?」と聞いてみた。
 ほうしたら、
「だって……。●さん、早く寝ちゃうんやもん」
 と、かなり拗ねている事が判明。

 もー。
 さすがは寂しがり屋大魔王のぽっちゃり野郎。
 しょうがないので、翌日は歯も磨いて寝る準備万端整えて、帰ってくるのを待っておりました。

「ただいまー」
「おかえりー。ほら、起きてたで? ほらほら!」
「うん」

 素直に嬉しそうなダンナ。
 適当にダンナの服を脱がせて遊ぶ。
 でも私、その後はくるっと後ろを向いて、寝室に直行。

「えっ? もう寝るの?」
「うん」
「もう寝るの?」
「だからうん」

 その後もあんまり何回も聞かれるので、プッツンきた。

「もう! 何回聞いてんねんな。いま4回は聞いたで!」
「もう寝るの?」
「5回目かーい!」

 と、そんな会話をした翌朝。
 出がけに日傘をちょっと持ち忘れていたら、ダンナに
「何してんの」
 と笑われる。ムカついたので
「うるっさい。そんなん言うなら、今日ももう先に寝とくから」
「いいもん。隣で泣くもん」

 ……いや待て。
 私が寝てたら、それはもうほぼほぼ意味がないんでは……?
 寝てる人の隣で泣くことにどんな意味が……??

「まーたしょうもないこと言う。『ぽっちゃり』に書くぞ!」
 途端にダンナの目がキラキラする。
「書いて! ほんでイラストも描いて!」

 なんで要求が増えてんねーん!
 ……でまあ、しょうがないから描きましたわ。


      



 どや! これで文句ないやろ。
 実はこの本文も、基本的にその後乗ったバスの中でスマホのメモ帳に書きましたんやで(笑)。

 ダンナもこれでさぞや満足でしょう。
 ではでは~。
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