うちのダンナはぽっちゃり男子

つづれ しういち

文字の大きさ
上 下
38 / 267

38 手袋どこやとはなんぞや

しおりを挟む



 皆様、明けましておめでとうございます。
 とうとう明けましたね、2018年。
 今年もどうぞ、よろしく御願おんねがい奉ります。

 さてさて。
 この新年早々のサブタイトルがなんであるかと言えば。

 この年末も、毎年と同様、冬休みが始まって年末年始の色んな料理の仕込みやら、お掃除やらにいそしむダンナだったわけですが。
 その日はなんや朝から、ずーっと一人でぶつぶつ言うておりまして。

「おかしいなあ」
「やっぱりない……」
「俺の手袋……」
「どこやってもうたんやろ……?」

 まあ私もあれこれ更新しなければならないものがあってノートパソコンで小説を書いていたので、「いつものよく聞こえる音量の独り言かな~」と思うにとどめて特に相手はせずにいたわけなんですが。
 そこからしばらくして、ダンナがまた部屋の中をうろうろと探し始めたので、娘が気づいて聞きました。
「お父さん、なに探してんの?」
 それで私がなんの気なしに、
「手袋やん。ほら、私が編んであげた片方だけのやつ」って代わりに答えたんですわ。

 ほな、ダンナ、目を丸くして
「え!? なんで知ってんの!?」って問い返してきた。

 え? なんやねんなそのリアクション。

「何を言うてんねんな。さっきから『ない~、手袋ない~』って一人でさんざん言うてたやん」
「え!? そんなん言うてた? 知らんかった……」

 はい?
 あんだけ大きな声で言うてて、実はやっぱり独り言なんですか?
 って言うかその「知らんかった」ってなに?

「●さん、エスパーかとおもた」

 意味がわからん。

 まあとにかく、さっきも言いましたがそれが、前に私が編んであげた指の部分のない手袋でして。冬場はとっても寒くなるコンピューターの部屋で遊ぶ(そればっかりでもないんやけども)ときのためにと、右手用だけを作ってあげたやつだったんですが。
 それも白と薄いピンクとビビッドピンクの毛糸で、鹿や雪の模様なんか入ってる可愛いデザインね。
 自分のは同じものでも水色とグリーンで編んだのですが。

「どうしよう、今朝、ゴミ捨てるのんで集めてたとき、寝起きでぼーっとしてたから……。間違って入ってもうたかなあ……」

 と、えらいしょんぼりしている。
 というか、それより何より「せっかく●さんに編んでもらったのに。●さんが怒りまくる……!」と思って気が気やなかったらしい。
 ま、確かにほんまに失くしてたら激怒は必至やったやろけどね!

 最終的には当のコンピューターの部屋で毛布やらに隠れていただけで、事なきを得たのですが。
 そんなこんなで、一件落着。

 名づけて「ダンナの独り言がはっきりしすぎてハタ迷惑事件」でした。
 って、ネーミング長すぎるがな!
 どこかの県警とかでこんな名前の帳場が立ったらちょっとオモロイかもですね。刑事もんのドラマなんかでもよく見る、部屋の前にめっちゃまじめーな文字でばばーんと筆で書かれるアレ。
 いや基本、凶悪事件でなきゃ帳場なんて立たないわけなんですが。

 そもそも、もう解決しとるけども!
 ちゃんちゃん。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

子供って難解だ〜2児の母の笑える小話〜

珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
10秒で読める笑えるエッセイ集です。 2匹の怪獣さんの母です。11歳の娘と5歳の息子がいます。子供はネタの宝庫だと思います。クスッと笑えるエピソードをどうぞ。 毎日毎日ネタが絶えなくて更新しながら楽しんでいます(笑)

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

運営に【通報】したけどスルーされてしまった件

蒼 飛雲
エッセイ・ノンフィクション
運営に不正を「通報」すれども、しかしそれを取り合ってもらえない底辺作者の悲哀と歯ぎしり。 このままだと、ほんとヤバいんだけど。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...