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15 「アラヴィンダとヴィーラ」
しおりを挟むはいこんにちは~。
あれからあれやこれやと他のインド映画も見て参ったのですが、いろいろ迷った末、やはり「RRR」つながりの作品を先にご紹介しようかなと。
ということで今回はビーム役・タラクさんの主演作「アラヴィンダとヴィーラ」いきまーす。
こちらは比較的最近の作品で、公開は2018年。インド、テルグ語の映画です。
監督はトリヴィクラム・シュリーニヴァース氏。157分。
全体的にリアリティあふれるアクションムービーです。
「RRR」では森に生まれた勇者ビームで、カッコよさとともに純粋なかわいらしさを前面に出していたタラクさんでしたが、今回は悲壮な思いを胸に秘めて戦う、スタイリッシュなカッコよさと強さが同居する魅力的な主人公を、本当にすてきに演じていらっしゃいます。
なんかビームとか「ヤマドンガ」のラジャを知っていると「この人はだれ……? 本当にタラクさん??」と思っちゃうんですけど、この悲しみを秘めた鋭いまなざしのヴィーラから目が離せなくなっちゃう。
タラクさんの演技の幅の広さよ……あまりのすごさに言葉を失ってしまいます。
物語の舞台は現代のインド、南インドはアーンドラ・プラデーシュ州の内陸部、ラーヤラシーマ地方。
ここでは実際に、昔からファクション抗争と呼ばれる地域住民同士の血で血を洗う騒乱が続いていて、その抗争に身を投じる人々をファクショニストと呼んでいるそうです。
そこは田舎の農村地帯であり、昔ながらの農耕社会。カースト上位の一族郎党と、それに支配されあるいは保護されている人々による大きなグループを構成していて、敵対するファクション同士でまことに凄惨な争いがくりかえされてきたのだとか。
インドではこの問題をとりあげた作品も多く、日本でいういわゆる「ヤクザ映画」のように人気があるのだそうな。
親を殺された子が、長じてその復讐を果たし、それを恨んだ相手の子どもや親族がまた復讐をする。延々とつづく血みどろの歴史。これまたまぎれもないインド社会の暗部なのでしょうね……。
物語の主人公ヴィーラ(タラクさん)はそのファクションの親分にあたる人を父にもつ人。つまりいわば「若旦那」。
12年のロンドン留学から戻ってきたところ、出迎えにきてくれた父やおじといっしょにいきなり敵のファクションの襲撃を受けます。そこで父とおじを殺され、怒りにまかせて相手の男たちをつぎつぎに殺していく。これが冒頭のシーン。
にしても、この冒頭シーンが本当に凄惨。
「RRR」でも暴力シーンについて話題になったことは前述のとおりですが、はっきりいってその比ではありません。
チャランさん主演の「ランガスタラム」でもよく登場していた三日月型の鎌(南インドの農村地帯ではよく見られるものらしい)をふり回し、血しぶきにつぐ血しぶきの嵐。もう腕が飛ぶわ、首が裂けるわ……。
ですから暴力表現が苦手とおっしゃる方には無理にはおすすめしません。お避けになるのが吉かと。
とはいえ全編こうかと言うとそうではなくて。むしろヴィーラはどうしようもない怒りと悲しみを抱えつつも結局「このままではいけない」という考えに至ります。それで「だれのことも殺さずに、みんなが平和に暮らせるようにはできないのか」と真剣に考えるようになります。
そのきっかけをくれたのが、都会で出会った大学生のエエトコのお嬢様アラヴィンダ。めちゃくちゃ美人でキュート! そして賢い!
そこまでは厳しい顔ばかりだったヴィーラが、彼女に恋して歌い踊る姿は本当にすてきで、ついついほっこりしてニヤけちゃいます。
そりゃもう、そこはタラクさんですしね!
踊りのキレは本当に素晴らしい!
しかもビームとは違って、全体的に表現が色っぽくてスタイリッシュなんですわよ奥さん!
このアラヴィンダが大学でファクションのことを専攻していて、ヴィーラにいろんな気づきを与えてくれるのが興味深い。
リアル寄りの物語ですのですべてがハッピーとはいかないのですが、最後は希望のある終わりだったのでは……と個人的には思いました。
これもまた何回か見直したい!
なお、これまた今なら「ジャイホー」で観られますのでよろしかったらどうぞ。
歌もほんとうによかった……!
暴力表現が大丈夫なかたには是非ともお勧めしたいです。
では今回はこのあたりで。
ドスティ!
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