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2日目
殺菌
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玄関の開閉音と共に声が聞こえた。
「ただいまー」
翔はお兄さんが帰ってきたことにほっとした。
お兄さんはゴソゴソと靴を脱いでるようで、それが終わったらそのままキッチンの冷蔵庫を開けたようだ。
随分暇だった翔はこの状態から解放されたいと思った。
「お兄さん!俺!こっから出してよ!」
「ちょっと待ってて」
お兄さんは買ってきたものを冷蔵庫の中に移動してるようだ。そんな暇があるなら俺を先に出して欲しい、と翔は思ったが、待ってろと言われたので少し待った。
カチン、と上の方でロックが開く音がしてからお風呂場の扉が開いた。お兄さんの顔が見えた。
ここに入っていたのはだいたい1時間ほどだろうか、それよりは短いか、よく分からなかったが長い時間入っていた気がする。
お兄さんは翔の足枷から管に繋がる鎖を解いてから、翔の足枷を解いた。足が軽くなる。
足枷が外れた足を見て、お兄さんはちょっと顔をしかめた。
「擦れて血が出てる」
翔はそう言われて自分の足を見ると、少しかすり傷みたいになって血が出ているのが見えた。
多分扉の上のロックを外せないか試すために飛び上がった時だ。あの時足枷と足が擦れて怪我したらしい。
逃げようとしたこと等がバレるかドキッとしたが、お兄さんはそっちは気にしてない様子だった。何をしたとしても逃げられないと思われてるのだろうか。
お兄さんは翔をトイレの上に座らせた。
自分は膝まづくようにして翔の足を自分の膝の上に載せた。
足の怪我ぐらいでこんな大事そうに扱われたのが初めてだったので、翔はなんだか気はずかしかった。
「そんぐらいなんでもねーっ!て!」
お兄さんは足の怪我をして血が滲んでる部分にスっと顔を近づけた。そのまま傷口をちろっ、と舐める。
「いっ、」
こちらをちらっと見たかと思えば、また傷口に唇をつけて、そのまま舌で傷口に触れる。
傷口にピリッとした痛みが走り、翔は足をバッと上にあげようとした。しかし、お兄さんが手で翔の細い足をガッチリ掴んでいて、足は動かせない。
しばらくそのまま傷口に暖かい感触を感じたまま待つ。翔の方から見ると、大の大人が自分の下で膝をついて、自分の足に唇と舌をつけている光景は不思議だった。
しばらくしてお兄さんが口を離すと、傷口は少しジンジンとしていた。
「唾液って殺菌効果があるんだって」
お兄さんは自分の口を洗うことも無く、そのまま翔を連れてお風呂場を出た。
すぐ前のキッチンにはカレーの材料が置かれていた。
「足は大丈夫?」
「う、うん…」
お兄さんの方を見上げてそう返すと、お兄さんは嬉しそうにした。
「なら、さっそくお嫁さんにカレーを作ってもらおう!俺はこっちで見てるからさ」
そう言ってお兄さんはキッチンから離れて部屋の方に行ってしまった。
「えっ、」
翔は目の前の材料を見て呆然とする。人参、玉ねぎ、じゃがいも、肉、と、ルー…。とりあえずじゃがいもを手に取る。
(じゃがいもって皮をむくんだっけ…、でもどうやってむくんだろう、素手??)
翔は頭がぐるぐると回って上手く機能しなくなった。
そのまま静止してしまう。
「あははは」
お兄さんが笑った。そっちの方を向くと、お兄さんと目が合う。よっぽど翔が不安そうな顔をしていたのか、お兄さんはしょうがない、といったふうに腰を上げてこちらに近づいてきた。
横に来たかと思うと、お兄さんは翔の背後にたって、そのまま翔を後ろから抱きしめた。
翔はよく分からないまま、静止を続けていた。
お兄さんもしばらくそのままでいた。少し経つと、翔の頭をふさっ、と撫でた。
「よしよし、一緒にやろうか」
お兄さんの方をパッと振り返ると、お兄さんは、ん?という表情で翔を見る。
お兄さんの機嫌がいいみたいで、なんでか分からないが翔は少し嬉しかった。
「ただいまー」
翔はお兄さんが帰ってきたことにほっとした。
お兄さんはゴソゴソと靴を脱いでるようで、それが終わったらそのままキッチンの冷蔵庫を開けたようだ。
随分暇だった翔はこの状態から解放されたいと思った。
「お兄さん!俺!こっから出してよ!」
「ちょっと待ってて」
お兄さんは買ってきたものを冷蔵庫の中に移動してるようだ。そんな暇があるなら俺を先に出して欲しい、と翔は思ったが、待ってろと言われたので少し待った。
カチン、と上の方でロックが開く音がしてからお風呂場の扉が開いた。お兄さんの顔が見えた。
ここに入っていたのはだいたい1時間ほどだろうか、それよりは短いか、よく分からなかったが長い時間入っていた気がする。
お兄さんは翔の足枷から管に繋がる鎖を解いてから、翔の足枷を解いた。足が軽くなる。
足枷が外れた足を見て、お兄さんはちょっと顔をしかめた。
「擦れて血が出てる」
翔はそう言われて自分の足を見ると、少しかすり傷みたいになって血が出ているのが見えた。
多分扉の上のロックを外せないか試すために飛び上がった時だ。あの時足枷と足が擦れて怪我したらしい。
逃げようとしたこと等がバレるかドキッとしたが、お兄さんはそっちは気にしてない様子だった。何をしたとしても逃げられないと思われてるのだろうか。
お兄さんは翔をトイレの上に座らせた。
自分は膝まづくようにして翔の足を自分の膝の上に載せた。
足の怪我ぐらいでこんな大事そうに扱われたのが初めてだったので、翔はなんだか気はずかしかった。
「そんぐらいなんでもねーっ!て!」
お兄さんは足の怪我をして血が滲んでる部分にスっと顔を近づけた。そのまま傷口をちろっ、と舐める。
「いっ、」
こちらをちらっと見たかと思えば、また傷口に唇をつけて、そのまま舌で傷口に触れる。
傷口にピリッとした痛みが走り、翔は足をバッと上にあげようとした。しかし、お兄さんが手で翔の細い足をガッチリ掴んでいて、足は動かせない。
しばらくそのまま傷口に暖かい感触を感じたまま待つ。翔の方から見ると、大の大人が自分の下で膝をついて、自分の足に唇と舌をつけている光景は不思議だった。
しばらくしてお兄さんが口を離すと、傷口は少しジンジンとしていた。
「唾液って殺菌効果があるんだって」
お兄さんは自分の口を洗うことも無く、そのまま翔を連れてお風呂場を出た。
すぐ前のキッチンにはカレーの材料が置かれていた。
「足は大丈夫?」
「う、うん…」
お兄さんの方を見上げてそう返すと、お兄さんは嬉しそうにした。
「なら、さっそくお嫁さんにカレーを作ってもらおう!俺はこっちで見てるからさ」
そう言ってお兄さんはキッチンから離れて部屋の方に行ってしまった。
「えっ、」
翔は目の前の材料を見て呆然とする。人参、玉ねぎ、じゃがいも、肉、と、ルー…。とりあえずじゃがいもを手に取る。
(じゃがいもって皮をむくんだっけ…、でもどうやってむくんだろう、素手??)
翔は頭がぐるぐると回って上手く機能しなくなった。
そのまま静止してしまう。
「あははは」
お兄さんが笑った。そっちの方を向くと、お兄さんと目が合う。よっぽど翔が不安そうな顔をしていたのか、お兄さんはしょうがない、といったふうに腰を上げてこちらに近づいてきた。
横に来たかと思うと、お兄さんは翔の背後にたって、そのまま翔を後ろから抱きしめた。
翔はよく分からないまま、静止を続けていた。
お兄さんもしばらくそのままでいた。少し経つと、翔の頭をふさっ、と撫でた。
「よしよし、一緒にやろうか」
お兄さんの方をパッと振り返ると、お兄さんは、ん?という表情で翔を見る。
お兄さんの機嫌がいいみたいで、なんでか分からないが翔は少し嬉しかった。
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