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1日目
指切り
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部屋に戻ると、翔は風呂場に連れていかれ、汚れた足を洗われた。お兄さんはサンダルを履いていたから汚れていなかった。
外の通路はでこぼこしたコンクリートで、砂もあったので、翔の足の裏にはぽこぽこと凹みがついた。お兄さんは洗いながら、凹凸がついた足のかかとを触って感触を面白がっていた。足の指の間も洗われた。くすぐったい思いがした。
お兄さんが優しい。
足裏のちょっとした痛みはシャワーから出たお湯と共に流れ出ていった。
お兄さんは翔の右腕を掴んで、お風呂場からベッドへ連れていこうとした。
翔は玄関が見えるところで、やっぱり不安になって止まってしまった。
お兄さんが翔を見る。
翔の抵抗は大したものではないし、引っ張ればそのまま連れて行けるのだが、お兄さんはそうせずに、そこで翔に向かい合った。
「ベッド行くの嫌?」
「ベッドに行くのが嫌なんじゃねー…けど……」
セックスというものをするのが怖い。
翔はそう言えずに黙った。
次に逃げるチャンスがあったとしても、ドアのロックを外せるのか、転ばないか、まずお兄さんが翔を追いかけて来れない状況をつくれるのか…。
逃げ道はないのかもしれない。
「怖い?」
そう聞かれて翔は何も言わずに下を向いていた。
「大丈夫だよ」
お兄さんは翔の頭を撫でながら、そう言って唇を重ねてきた。
翔は突然の事でびっくりし、顔を後ろにひこうとするが、お兄さんの手が頭をしっかり掴んでいて、強制的に唇は押し付けられる。
手は結束バンドのせいでまだ後ろから動かせないから、お兄さんの体を押し返すことも出来ない。
初めてのキスに戸惑う。
唇がくっつくと翔はそのままお兄さんの唇が押し付けられる感触に集中してしまう。
お兄さんは唇の間から舌を出して、上唇を舐めてきた。
翔は緊張して口をしっかりと閉じる。
お兄さんは唇を離すと直ぐに、
「緊張しないでいいよ」
と言う。唇に唇の感触が残っているのを気にしていた翔は、唇が離れて喋れるようになったことに少し経ってから気づいた。
そして、拒絶の言葉を言おうと口を開いた。
しかし、一言目を喋るより前にその口にはお兄さんの舌が入り込んできた。
「ぁえ…」
口に出そうとしていた声は消え、その代わり舌を入れられた瞬間に、音の形を保たない変な声が翔の口から漏れた。
翔はその自分の変な声を恥ずかしく感じた。
お兄さんは舌で翔の舌を舐めた後に、口の中を探るように舌を全体に沿わせた。
翔は慣れない感覚にぞわぞわする。
お兄さんは上顎の方をちろちろと舐め始めた。
唾液が絡まり、くちゅくちゅと鳴る音は翔の耳に内側からも外側からも響いてくる気がして、翔は不思議な感覚に落ちた。
翔の舌は動くことが出来ないまま、お兄さんの舌に預けられ、唇は閉じることを忘れ、自分からお兄さんの舌を受け入れるようだった。
翔が目を開けるとお兄さんのまつげがすごく近くにあるのが見えた。
こんなに人と顔を近づけるのは初めてだ。
するとその時、お兄さんの目がぱっちりと開き、目が合った。
その瞬間、舌の裏をなぞられ、翔は、背筋を指でなぞられたようにぞくりとして、背筋が伸びた。背筋が伸びると肩の力は抜け、頭は後ろにそれた。
お兄さんはそのまま唇を離した。
舌には翔の唾液が残り、それが翔の口元から糸を引いている。
お兄さんはその舌で自分の唇を舐めた。
翔は、キスをしてる最中に呼吸をするのを忘れていたようで、唇を離した途端、はぁ、と息を漏らす。
翔の呼吸が落ち着くとお兄さんは翔に、気持ちよかった?と聞いた。
「これからセックスして正式に恋人になるけど、俺は未来の恋人には酷いことしたりしないし、優しくするし、気持ちいいことだけするから安心してね。
…指切りしとこっか?」
と言って、翔の親指同士を縛っていた結束バンドを外し、小指を出してきた。指切りげんまんの指だ。
翔はおそるおそる指切りをした。
お兄さんとした初めてのキスは、翔が今まで生きてきた中で一番気持ちいい体験になった。
外の通路はでこぼこしたコンクリートで、砂もあったので、翔の足の裏にはぽこぽこと凹みがついた。お兄さんは洗いながら、凹凸がついた足のかかとを触って感触を面白がっていた。足の指の間も洗われた。くすぐったい思いがした。
お兄さんが優しい。
足裏のちょっとした痛みはシャワーから出たお湯と共に流れ出ていった。
お兄さんは翔の右腕を掴んで、お風呂場からベッドへ連れていこうとした。
翔は玄関が見えるところで、やっぱり不安になって止まってしまった。
お兄さんが翔を見る。
翔の抵抗は大したものではないし、引っ張ればそのまま連れて行けるのだが、お兄さんはそうせずに、そこで翔に向かい合った。
「ベッド行くの嫌?」
「ベッドに行くのが嫌なんじゃねー…けど……」
セックスというものをするのが怖い。
翔はそう言えずに黙った。
次に逃げるチャンスがあったとしても、ドアのロックを外せるのか、転ばないか、まずお兄さんが翔を追いかけて来れない状況をつくれるのか…。
逃げ道はないのかもしれない。
「怖い?」
そう聞かれて翔は何も言わずに下を向いていた。
「大丈夫だよ」
お兄さんは翔の頭を撫でながら、そう言って唇を重ねてきた。
翔は突然の事でびっくりし、顔を後ろにひこうとするが、お兄さんの手が頭をしっかり掴んでいて、強制的に唇は押し付けられる。
手は結束バンドのせいでまだ後ろから動かせないから、お兄さんの体を押し返すことも出来ない。
初めてのキスに戸惑う。
唇がくっつくと翔はそのままお兄さんの唇が押し付けられる感触に集中してしまう。
お兄さんは唇の間から舌を出して、上唇を舐めてきた。
翔は緊張して口をしっかりと閉じる。
お兄さんは唇を離すと直ぐに、
「緊張しないでいいよ」
と言う。唇に唇の感触が残っているのを気にしていた翔は、唇が離れて喋れるようになったことに少し経ってから気づいた。
そして、拒絶の言葉を言おうと口を開いた。
しかし、一言目を喋るより前にその口にはお兄さんの舌が入り込んできた。
「ぁえ…」
口に出そうとしていた声は消え、その代わり舌を入れられた瞬間に、音の形を保たない変な声が翔の口から漏れた。
翔はその自分の変な声を恥ずかしく感じた。
お兄さんは舌で翔の舌を舐めた後に、口の中を探るように舌を全体に沿わせた。
翔は慣れない感覚にぞわぞわする。
お兄さんは上顎の方をちろちろと舐め始めた。
唾液が絡まり、くちゅくちゅと鳴る音は翔の耳に内側からも外側からも響いてくる気がして、翔は不思議な感覚に落ちた。
翔の舌は動くことが出来ないまま、お兄さんの舌に預けられ、唇は閉じることを忘れ、自分からお兄さんの舌を受け入れるようだった。
翔が目を開けるとお兄さんのまつげがすごく近くにあるのが見えた。
こんなに人と顔を近づけるのは初めてだ。
するとその時、お兄さんの目がぱっちりと開き、目が合った。
その瞬間、舌の裏をなぞられ、翔は、背筋を指でなぞられたようにぞくりとして、背筋が伸びた。背筋が伸びると肩の力は抜け、頭は後ろにそれた。
お兄さんはそのまま唇を離した。
舌には翔の唾液が残り、それが翔の口元から糸を引いている。
お兄さんはその舌で自分の唇を舐めた。
翔は、キスをしてる最中に呼吸をするのを忘れていたようで、唇を離した途端、はぁ、と息を漏らす。
翔の呼吸が落ち着くとお兄さんは翔に、気持ちよかった?と聞いた。
「これからセックスして正式に恋人になるけど、俺は未来の恋人には酷いことしたりしないし、優しくするし、気持ちいいことだけするから安心してね。
…指切りしとこっか?」
と言って、翔の親指同士を縛っていた結束バンドを外し、小指を出してきた。指切りげんまんの指だ。
翔はおそるおそる指切りをした。
お兄さんとした初めてのキスは、翔が今まで生きてきた中で一番気持ちいい体験になった。
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