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1日目
外の景色
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翔はお兄さんが外に出してくれるのが意外だから不自然に感じた。てっきり、捕まえられてまたガムテープで腕を縛られると思っていた。
翔は外の景色を見た。
何となく、自分の家の近くを予想していたが、目の前に広がる景色はそれとは全く違った。
知らない土地だった。
遊びに行くため家を出たのが確か四時頃。
この知らないアパートの一室で起きたのは日暮れ前で、ちょうど今は日が暮れ始めた時間だ。六時ぐらいだろう。
ということは翔の家から二時間ほどかかる遠い場所なのかもしれない。多分、運ばれたとしたら車だから、車で二時間の距離、それは翔が歩いて家に帰れる距離ではないことを表している。
しかし、知らない土地だという以前に、外の景色の強烈な印象は田舎だということだった。
周りに家が見えない。
あるのは川と山と、廃工場のようなさびれた建物だった。そこからは煙も出ていないし、音も聞こえない。
さすがに古すぎて使われなくなったのだろう。
先程までお風呂場の中に居て気づかなかったが、虫の鳴き声が聞こえる。
七月の始め、蝉は一匹だけ頑張って鳴いていた。
「ミーンミンミンミン」
お兄さんは翔の肩を抱いて、
「さ、もう家に入ろう」
と言って、裸足でバスタオルだけ身にまとった翔を家に入れさせようとした。
翔は慌てて
「助けて!!!!!
誰か!!!!!」
と外に向かって叫んだ。
明らかに人がいない廃工場と虫しかいない自然の中で、アパートの他の部屋の住人だけが頼りだと思った。
しかし、お兄さんが余裕の表情で翔を外に出した理由がその時分かった。
「このアパートは、工場の寮が使われなくなったのを俺が買いとったんだ。他に人は住んでないよ。」
お兄さんはそう説明して、
「だから、セックスする時、どんなに大きい喘ぎ声出してもいいからね」
と翔の方を向いて言った。
翔は驚愕した。
セックスという言葉は最近友達から聞いたばかりだった。おちゃらけた友達が、男のちんこを女の股間の穴に入れることをそう言うのだと教えてくれた。気持ちいいことなのだとも言っていた。
翔はその話を聞いてもあまり想像がつかなかった。
しかし、セックスという慣れない言葉の響きは覚えていた。
お兄さんが自分を恋人にすると言っていたことと、自分とお兄さんがセックスをするということが頭の中で繋がった。
後ろの穴を綺麗にされた理由も分かってしまった気がして、ゾッとする。
排泄物があの大きさで穴を通って出るのだから、ペニスを入れることもできるはずだ。
(男と男で…?)
翔はそんなことしたくないと思った。
ここら一帯に人は居ないのだろうか。見た感じだといない。それでも翔はこのお兄さんのところから逃げたくなった。
体を動かして、肩に回されていた腕を緩め、翔はアパートの二階にあるこの玄関から右手にある階段へと走り出した。
お兄さんが追いかけてくる気配がする。
焦るが、振り返らずにそのまま走る。
階段を急いで降りようと一段目に足を降ろした時、足が滑った。本来なら手すりに捕まって留まれるが、今は両手が後ろで結束バンドで繋がれているので手が出せない。
(しまった!!!)
その時、後ろから手が伸びてきて翔の胴体を捕まえた。
翔は外の景色を見た。
何となく、自分の家の近くを予想していたが、目の前に広がる景色はそれとは全く違った。
知らない土地だった。
遊びに行くため家を出たのが確か四時頃。
この知らないアパートの一室で起きたのは日暮れ前で、ちょうど今は日が暮れ始めた時間だ。六時ぐらいだろう。
ということは翔の家から二時間ほどかかる遠い場所なのかもしれない。多分、運ばれたとしたら車だから、車で二時間の距離、それは翔が歩いて家に帰れる距離ではないことを表している。
しかし、知らない土地だという以前に、外の景色の強烈な印象は田舎だということだった。
周りに家が見えない。
あるのは川と山と、廃工場のようなさびれた建物だった。そこからは煙も出ていないし、音も聞こえない。
さすがに古すぎて使われなくなったのだろう。
先程までお風呂場の中に居て気づかなかったが、虫の鳴き声が聞こえる。
七月の始め、蝉は一匹だけ頑張って鳴いていた。
「ミーンミンミンミン」
お兄さんは翔の肩を抱いて、
「さ、もう家に入ろう」
と言って、裸足でバスタオルだけ身にまとった翔を家に入れさせようとした。
翔は慌てて
「助けて!!!!!
誰か!!!!!」
と外に向かって叫んだ。
明らかに人がいない廃工場と虫しかいない自然の中で、アパートの他の部屋の住人だけが頼りだと思った。
しかし、お兄さんが余裕の表情で翔を外に出した理由がその時分かった。
「このアパートは、工場の寮が使われなくなったのを俺が買いとったんだ。他に人は住んでないよ。」
お兄さんはそう説明して、
「だから、セックスする時、どんなに大きい喘ぎ声出してもいいからね」
と翔の方を向いて言った。
翔は驚愕した。
セックスという言葉は最近友達から聞いたばかりだった。おちゃらけた友達が、男のちんこを女の股間の穴に入れることをそう言うのだと教えてくれた。気持ちいいことなのだとも言っていた。
翔はその話を聞いてもあまり想像がつかなかった。
しかし、セックスという慣れない言葉の響きは覚えていた。
お兄さんが自分を恋人にすると言っていたことと、自分とお兄さんがセックスをするということが頭の中で繋がった。
後ろの穴を綺麗にされた理由も分かってしまった気がして、ゾッとする。
排泄物があの大きさで穴を通って出るのだから、ペニスを入れることもできるはずだ。
(男と男で…?)
翔はそんなことしたくないと思った。
ここら一帯に人は居ないのだろうか。見た感じだといない。それでも翔はこのお兄さんのところから逃げたくなった。
体を動かして、肩に回されていた腕を緩め、翔はアパートの二階にあるこの玄関から右手にある階段へと走り出した。
お兄さんが追いかけてくる気配がする。
焦るが、振り返らずにそのまま走る。
階段を急いで降りようと一段目に足を降ろした時、足が滑った。本来なら手すりに捕まって留まれるが、今は両手が後ろで結束バンドで繋がれているので手が出せない。
(しまった!!!)
その時、後ろから手が伸びてきて翔の胴体を捕まえた。
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