およそ原稿用紙1枚の短編集

柊 真詩

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寝苦しい真昼の痛み

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 私は寝返りを打つ。意識は頭の奥にある。
 シーツと服が擦れる音が聞こえ、自分が眠りから覚めつつあるのだと実感した。
 鈍い痛みが頭に、重苦しい空気が部屋に、粘っこくまとわりついている。
 遮光カーテンの隙間から光が漏れていた。
 午後一時。室温三十三度。
 かなり早起きだ。部屋に閉じこもるようになってからは、夕方に起床している。
 寝苦しい部屋の暑さが原因だろう。
 顔にかかった髪を払い、ベッドから下りる。
 光にそっと近寄り、少しだけカーテンを開けてみた。
 あまりの眩しさに、目を細める。眼球の奥が痛い。
 一年前の自分は、熱心に絵を描いていた。
 なぜか、それで救われると考えていたからだ。もしかすると、最後の自分らしさを必死に抱き留めていたのかもしれない。
 今はもう、どこにも私がいない気がする。
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