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Secret27. マテラスとセリシールのデート(through 芭羅美 eyes 後編)
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●登場人物(written by 芭羅美)
・志頭蟹芭羅美:フラムとマテラスの愛を見守る少女。セリシールの悪だくみを知り、阻止すべく立ち上がる!
・マテラス・ダークライト:秘密結社ダーク・ライトの首領。フラムとは両想い。セリシールの悪だくみにより遊園地に誘いこまれる。
・ルメトルド・フラム:レフェドフルールの管理者。セリシールの悪だくみに気づき、現場に乗り込む。はたして、マテラスの危機を救えるか!
・ラフェド・セリシール:魔法少女。マテラスとフラムが仲良くするのが気に食わない。今回はマテラスに狙いを付けたようだ。
・小松春桜子(さくら):芭羅美の唯一の友達。いつかフラム×マテラスの愛のすばらしさを教えてあげたいと思っている。
●前回のお話
あたし、志頭蟹芭羅美。ある日、あたしは衝撃的な光景を目にしてしまった。
あろうことか、マテラス様を魔法少女がたぶらかし、遊園地に誘いこんでいた。
それを見たあたしは何とかマテラス様を魔法少女の手から助けるべく、フラム様を探した。
そして、ついに見つけ、一緒に現場に乗り込むことになった!
◎月△日昼過ぎ、街の遊園地にて。
芭羅美とフラムはマテラスたちの元に転移を開始した。
転移している間、芭羅美は最悪の状況を考える。
そこには呆然とするマテラスと勝ち誇った顔の魔法少女!
彼女はマテラスにこう言ったのだ。
「フラムには隠れた恋人がいる」
「黒髪の美少...年。女の子のような顔をしている」
「男の子にしては小さい体。なぜか女の子の服を着ている?(...きっと彼の美貌を嫉妬したものたちに無理やり着せられたに違いない)」
「彼の愛称は『ひかるん』。熱血漢のフラムは彼を助けてあげた」
「ひかるんの友情はやがて恋へと変わり、ついにフラムに打ち明けてしまった」
「そして、フラムはその告白を受け入...」
「ウソだ~~~~~~!!!」
泣き叫ぶマテラス。
何も信じられなくなったマテラス。その顔には絶望が浮かんでいる。
と、そこまで妄想したところで、突然、目の前が開ける。
「私もマテラスがす...」
魔法少女が何かを言おうとしていた。
急いでマテラスを見る芭羅美!
その顔に悲壮感は無かった。むしろどこか安心した様子すら覚える。
(良かった!)
胸を撫で下ろす芭羅美。最悪の事態は免れたようだ。
「フラムさんと...芭羅美ちゃん?!」
魔法少女が自分の名を呼ぶ。
「どうして、あたしの名前を?でも、そんなことはどうでもいい...あなた、何を企んでいる!」
いや、安心は出来ない。この女は何を考えているか分からない。芭羅美は再び、怒りのオーラを燃やした。
「お前、セリシールだな?これはどういうことだ?説明してもらおうか!」
フラムも激怒している。当たり前だ。自分とマテラスとの仲を引き裂こうとしたのだから。
「こ、これは...」
魔法少女が言葉を濁す。企みがバレて苦境に陥ったようだ。
するとマテラスが立ち上がり、心配そうに話し始めた。
「フラムだったか。お前は何も聞いていないのか?」
おそらく、フラムが自分と同じように、あることないこと吹き込まれたと思っているのだろう。
(大丈夫!二人は魔法少女の戯言などに惑わされたりしない!)
芭羅美は二人の絆を確認して、熱いハートを抑える事が出来なかった。
次の瞬間、フラムがマテラスに迫った。マテラスは、背中を壁にぶつける。
フラムは構わず、壁に強く手をつき、マテラスに低い声でそっとささやいた。
「大丈夫、俺はお前以外見えない」
芭羅美earsは小さくてよく聞こえなかった部分を補完する。
芭羅美は血圧が急上昇!我慢できずに心に思ったことを口にしてしまう。
「こ、これはもしや噂に聞いた『壁ドン』!まさか生で見られるなんて!!」
さらに芭羅美を興奮させるかのように、フラムはマテラスの顎を指で持ち上げ、目と目を合わせる。
「キャ~~~!『あごクイ』!!当然、この後は...」
芭羅美はもう理性が崩壊していた。
目を血走らせながら、フラムとマテラスの様子を覗き込む。鼻から赤い筋が流れた...
フラムはマテラスの耳元に顔を近づけたが、芭羅美eyesは遠近法を無視する。
その結果、見えた光景は唇と唇が近づく光景だった。
「俺を信じろ。お前に思い出させてやる」
フラムは小さくささやいた。もちろん、芭羅美には聞こえていないが、芭羅美earsが声を届けてくれる。
さらに近づいていく唇を見ながら、芭羅美の血圧は限界を超えた。
「神様、今日も祝福をありがとうございます...」
盛大に鼻から血を吹き出しながら倒れていく芭羅美。
芭羅美は薄れていく意識の中で、天がくれた施しにただただ感謝していた。
次に芭羅美が意識を取り戻したとき、そばにいたのはさくらだった。
「あっ、気が付いたんだね!」
さくらは安心したように言った。
周りを見回すと、ここは遊園地内のベンチのようだった。
「なんでさくらちゃんがここに...」
芭羅美が尋ねると、
「私も友達とここに来てたの。そしたら魔法少女が『この子をお願い』って言ってきて...友達はもう帰ったんだけど...」
「魔法少女?!」
芭羅美は反射的に立ち上がる。
「どうしたの?芭羅美ちゃん?」
「何か言ってなかった?魔法少女は」
「そういえば、『魔力に敏感な体質だから私たちの闘いに巻き込まない方がいい』って。すごく心配してたよ」
「やっぱり」
(あたしにこれ以上関わるなという警告!だけど無駄!あたしはフラム様とマテラス様の愛の為なら死ねる!侮ってもらっては困る!)
「家まで送ろうか?」
「いい。考えたいこともあるし...」
「そう。魔法少女は大丈夫だって言ってたけど、気分が悪くなったら、誰かに連絡するんだよ!」
「ありがとう。さくらちゃん!」
芭羅美は帰り道で考え事をしていた。
「マテラス様が無事だったのは本当に良かった。でも...」
(あたしが転移している間に見たあの美少年。誰?見たこともない顔だったけど、何故か心の奥から湧き出てきた)
芭羅美は思考に沈む。
(それにあの子の事を考えると何故か妄想が進む。あたしはマテラス様一筋のはずなのに...)
芭羅美は首を大きく振ると、声に出して自分の気持ちを確かめた。
「あたしはフラム様とマテラス様の愛のみを見つめる。もう、あの子のことは考えない!」
自分がマテラスの秘密のかけらに触れていることに、芭羅美は気づいていなかった。
・志頭蟹芭羅美:フラムとマテラスの愛を見守る少女。セリシールの悪だくみを知り、阻止すべく立ち上がる!
・マテラス・ダークライト:秘密結社ダーク・ライトの首領。フラムとは両想い。セリシールの悪だくみにより遊園地に誘いこまれる。
・ルメトルド・フラム:レフェドフルールの管理者。セリシールの悪だくみに気づき、現場に乗り込む。はたして、マテラスの危機を救えるか!
・ラフェド・セリシール:魔法少女。マテラスとフラムが仲良くするのが気に食わない。今回はマテラスに狙いを付けたようだ。
・小松春桜子(さくら):芭羅美の唯一の友達。いつかフラム×マテラスの愛のすばらしさを教えてあげたいと思っている。
●前回のお話
あたし、志頭蟹芭羅美。ある日、あたしは衝撃的な光景を目にしてしまった。
あろうことか、マテラス様を魔法少女がたぶらかし、遊園地に誘いこんでいた。
それを見たあたしは何とかマテラス様を魔法少女の手から助けるべく、フラム様を探した。
そして、ついに見つけ、一緒に現場に乗り込むことになった!
◎月△日昼過ぎ、街の遊園地にて。
芭羅美とフラムはマテラスたちの元に転移を開始した。
転移している間、芭羅美は最悪の状況を考える。
そこには呆然とするマテラスと勝ち誇った顔の魔法少女!
彼女はマテラスにこう言ったのだ。
「フラムには隠れた恋人がいる」
「黒髪の美少...年。女の子のような顔をしている」
「男の子にしては小さい体。なぜか女の子の服を着ている?(...きっと彼の美貌を嫉妬したものたちに無理やり着せられたに違いない)」
「彼の愛称は『ひかるん』。熱血漢のフラムは彼を助けてあげた」
「ひかるんの友情はやがて恋へと変わり、ついにフラムに打ち明けてしまった」
「そして、フラムはその告白を受け入...」
「ウソだ~~~~~~!!!」
泣き叫ぶマテラス。
何も信じられなくなったマテラス。その顔には絶望が浮かんでいる。
と、そこまで妄想したところで、突然、目の前が開ける。
「私もマテラスがす...」
魔法少女が何かを言おうとしていた。
急いでマテラスを見る芭羅美!
その顔に悲壮感は無かった。むしろどこか安心した様子すら覚える。
(良かった!)
胸を撫で下ろす芭羅美。最悪の事態は免れたようだ。
「フラムさんと...芭羅美ちゃん?!」
魔法少女が自分の名を呼ぶ。
「どうして、あたしの名前を?でも、そんなことはどうでもいい...あなた、何を企んでいる!」
いや、安心は出来ない。この女は何を考えているか分からない。芭羅美は再び、怒りのオーラを燃やした。
「お前、セリシールだな?これはどういうことだ?説明してもらおうか!」
フラムも激怒している。当たり前だ。自分とマテラスとの仲を引き裂こうとしたのだから。
「こ、これは...」
魔法少女が言葉を濁す。企みがバレて苦境に陥ったようだ。
するとマテラスが立ち上がり、心配そうに話し始めた。
「フラムだったか。お前は何も聞いていないのか?」
おそらく、フラムが自分と同じように、あることないこと吹き込まれたと思っているのだろう。
(大丈夫!二人は魔法少女の戯言などに惑わされたりしない!)
芭羅美は二人の絆を確認して、熱いハートを抑える事が出来なかった。
次の瞬間、フラムがマテラスに迫った。マテラスは、背中を壁にぶつける。
フラムは構わず、壁に強く手をつき、マテラスに低い声でそっとささやいた。
「大丈夫、俺はお前以外見えない」
芭羅美earsは小さくてよく聞こえなかった部分を補完する。
芭羅美は血圧が急上昇!我慢できずに心に思ったことを口にしてしまう。
「こ、これはもしや噂に聞いた『壁ドン』!まさか生で見られるなんて!!」
さらに芭羅美を興奮させるかのように、フラムはマテラスの顎を指で持ち上げ、目と目を合わせる。
「キャ~~~!『あごクイ』!!当然、この後は...」
芭羅美はもう理性が崩壊していた。
目を血走らせながら、フラムとマテラスの様子を覗き込む。鼻から赤い筋が流れた...
フラムはマテラスの耳元に顔を近づけたが、芭羅美eyesは遠近法を無視する。
その結果、見えた光景は唇と唇が近づく光景だった。
「俺を信じろ。お前に思い出させてやる」
フラムは小さくささやいた。もちろん、芭羅美には聞こえていないが、芭羅美earsが声を届けてくれる。
さらに近づいていく唇を見ながら、芭羅美の血圧は限界を超えた。
「神様、今日も祝福をありがとうございます...」
盛大に鼻から血を吹き出しながら倒れていく芭羅美。
芭羅美は薄れていく意識の中で、天がくれた施しにただただ感謝していた。
次に芭羅美が意識を取り戻したとき、そばにいたのはさくらだった。
「あっ、気が付いたんだね!」
さくらは安心したように言った。
周りを見回すと、ここは遊園地内のベンチのようだった。
「なんでさくらちゃんがここに...」
芭羅美が尋ねると、
「私も友達とここに来てたの。そしたら魔法少女が『この子をお願い』って言ってきて...友達はもう帰ったんだけど...」
「魔法少女?!」
芭羅美は反射的に立ち上がる。
「どうしたの?芭羅美ちゃん?」
「何か言ってなかった?魔法少女は」
「そういえば、『魔力に敏感な体質だから私たちの闘いに巻き込まない方がいい』って。すごく心配してたよ」
「やっぱり」
(あたしにこれ以上関わるなという警告!だけど無駄!あたしはフラム様とマテラス様の愛の為なら死ねる!侮ってもらっては困る!)
「家まで送ろうか?」
「いい。考えたいこともあるし...」
「そう。魔法少女は大丈夫だって言ってたけど、気分が悪くなったら、誰かに連絡するんだよ!」
「ありがとう。さくらちゃん!」
芭羅美は帰り道で考え事をしていた。
「マテラス様が無事だったのは本当に良かった。でも...」
(あたしが転移している間に見たあの美少年。誰?見たこともない顔だったけど、何故か心の奥から湧き出てきた)
芭羅美は思考に沈む。
(それにあの子の事を考えると何故か妄想が進む。あたしはマテラス様一筋のはずなのに...)
芭羅美は首を大きく振ると、声に出して自分の気持ちを確かめた。
「あたしはフラム様とマテラス様の愛のみを見つめる。もう、あの子のことは考えない!」
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