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Burst20. ワガマーマで情報探し
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「どうやら街のほとんどがこっちのエリアに含まれているようだ」
マリアとグレースはとりあえず、フェンス沿いに歩いて、二つの区域の境界を確かめていた。
「そうですね。観光スポットも全てここにありますし、ショッピング街もこちら側です。こちらに入れる人は向こうのエリアに行く必要はないでしょう」
「だったら、Aカップ以下の女性はどうやって暮らしているんだ?」
「あまり考えたくはありませんが、劣悪な環境で、細々と暮らすしかないでしょう...」
「どうしてそんな政策を...Aカップ以下の女性へのいやがらせとしか思えない!」
「何か、魔物が生み出される理由と正反対の嫉妬が働いているような気もしてきます」
「あの『魔物は恵まれなかった女性の大きな胸に対する嫉妬から生まれる』ってやつか...」
「しかし、何故そんな嫉妬を...もちろん小さな女性が劣っているわけではありませんが、ここはそういう世界観のはずです」
「なんだ?その『世界観』ってやつは...」
「中にいる私たちには変えることのできない決まり事です」
「意味が分からないのだが...」
「私も意味が分かりません。誰かに言わされている気分です」
「とりあえず、いろんな人に聞いてみるしかないか...」
これ以上、追及されると困る誰かはグレースに話題を変えさせた。
それから、マリアとグレースは様々な人に話しかけた。
あちこちにいる警備員や店員さん。冒険者などにも話を聞いてみた。
その結果、分かったことは、
「この国の王様、ワガマーマ公には二人の王子と双子の姫がいる」
「双子の姫の姉の名は『アネノ・ワガマーマ』。『女権担当大臣』として、女性の権利の拡充に務めてきた」
「双子の姫の妹の名は『イモ―ト・ワガマーマ』。最近、隣国の王子様の元へ輿入れしたらしい」
「イモ―ト姫が嫁いだ後、アネノ姫のAカップへの態度が急変した」
「最初は自分の周りから遠ざけるくらいだったが、だんだんエスカレートしていき、ついにはワガマーマ公の反対を押し切り、『貧乳隔離政策』を導入してしまった」
「王宮の人間はなんとか撤回させたいらしいが、妙案がない」
ということだった。
ちなみにオーパイに関する情報は全く得られなかった。みんな、名前すら初耳という顔だった。
「どうやら、イモ―ト姫様の結婚がアネノ姫様の乱心の原因らしいですね。なんとか、ご面会できればいいのですが...」
「マリア師匠はできないのか?たしか、エライヒト家は上級貴族だと聞いたが...」
「私一人では無理です。お父様がいれば何とかなったでしょうが...それに儀礼用の服を持参していません。そのような状況で面会するのは不敬です」
「難しいものだな...それでは心が痛むが、オーパイの情報をもう少し探って、得られなければ早々に退散するしかないな」
「そうですね。オトメさんは何かつかめたでしょうか...」
「気になるか?」
「あのような環境では、まともな宿も取れないでしょう...今から道の駅に戻るのも難しいですし、心が痛みます」
「いっそのこと男装させればどうだ?」
「オトメさんの男装姿...それも素敵です。でもあの可愛らしいお顔はどうしても隠せないでしょう...それにもし他の女性に気に入られでもしたら!」
マリアの顔が陶酔から困惑、そして怒りへと変わる。
「そ、そうだな。さっさと情報を集めて退散しよう!そうしよう!」
グレースはマリアの背中を押して宿へと向かっていった。
・・・
一方、オトメは、なかなか情報が得られないでいた。
貧乳エリアは活気に乏しく、みんな暗い顔をしている。
話しかけても逃げられることも多かった。
(う~~ん、うまくいかないなぁ~。マリアちゃんたちはどうしてるかな...)
そんなことを考えていると、裏通りで一人ぽつんと座っている老婆を見かけた。
「こんにちは!こんなところで一人、どうしたの?」
オトメは気になって話しかけてみた。すると、
「おぉ、こんにちは。わたしゃ、息子夫婦が向こうに住んでいるので、何もやることがないんだよ。こんな年寄りまで胸の大きさで分けるとはねぇ...」
老婆はそう言うと、大きくため息を吐いたが、あまり悲壮感は感じられなかった。
「元気そうだね!良かった!みんな暗い顔してるから...」
「そりゃそうもなるさ。全く、ワガマーマの娘さんたちは問題児ばっかりだねぇ」
「娘さん?」
「知らないのかい。こんなお触れを出したのはワガマーマ公の娘だよ。ホントに困ったもんだ。そういや、ワガマーマ公のお母ちゃんもおてんばだったねぇ...」
「へぇ、それって、お婆さんの若いときの話でしょ?何かやらかしたの?」
「それが、この街にやってきた『ユメミル』とかいう胸が無いのに冒険者やってる変な子について、冒険に出ちゃったんだよ。城の財宝を軍資金にしてね」
「えっ!お姫様がそんなことしていいの?!」
「もちろん、大騒ぎさ!周りの国にまで探偵を派遣して捕まえようとしたんだけど、逃げ足が速くてねぇ...」
「それでどうなったの?」
「結局、『オーパイ』とかいう胸を大きくしてくれるとかいう、怪しげな街までそのユメミルと行って帰ってきたんだよ」
「オーパイ!!その話、詳しく聞かせて!!」
「えらく食いつきがいいねぇ。もしかしてあんたもオーパイで胸を大きくしてもらうつもりかい?」
「そう!正確には『胸の大きさを大きくも小さくもできる』んだけど、私は大きくしてもらうため、仲間は小さくしてもらうためにオーパイを探してるの!」
「おやまぁ、そんな夢物語を信じてるのがまだ、いたなんて...」
「夢物語じゃないよ!旅の途中で胸を大きくしてもらったお婆さんにも出会ったんだから!」
「お婆さんねぇ...そのユメミルっていうヤクザみたいな奴じゃないだろうねぇ?」
「ユメミル?違うよ。確か『ロスト』って言ってた。でも若い頃はガラ悪かったみたいだけど...」
「そんなのがユメミル以外にもいたとはねぇ...」
「そのユメミルって人はどうなったの?今もいるの?」
「それがお姫様は一人で帰って来たんだよ。ユメミルの姿はどこにもなかった...あんなに寂しそうなお姫様を見たのは初めてだったよ。何しろ、お姫様のおてんばは周りの国でも有名だったからねぇ...そのユメミルと一緒に悪さもしてたらしいよ!」
「そのお姫様は?今でもお城にいるの?」
「それが最近、亡くなったんだよ...噂によると最後までユメミルを待っていたとか...ユメミルって何者だったんだろうねぇ...」
「そうかぁ...じゃあ、その話を詳しく知ってる人はいないんだね...」
「そうさねぇ、お姫様はお姫様を可愛がっていたからお姫様なら知ってるかもねぇ...」
「えっ、『お姫様』ってだれがだれ?」
「あぁ、悪いねぇ。昔、ユメミルと旅に出たのが亡くなった『オテンバ』姫様。可愛がっていたのが、今、ろくでもないお触れを出している『アネノ』姫様さ」
「名前までオテンバ...」
「何かおかしいかい。わたしゃ、普通の名前だと思うけどねぇ...」
「いや、おかしいのは私かも...何故か名前を聞くと、その人の個性が分かるの」
「そりゃ、特殊能力だねぇ...もしかして『魔法』かい?」
「えっ!お婆さん、『魔法』知ってるの?!」
「こりゃ、失敗した。今のは聞かなかったことにしておくれ!知られたら牢屋にぶちこまれるからねぇ...あんたも気軽に話すんじゃないよ!」
「ゴメン。分かった。ちなみにこれは『それ』じゃないよ!勘みたいなものかな!」
「そうかい。まぁ、いいさ。さっきの話だけどアネノ姫様なら何か知ってるかもねぇ...でもわたしら庶民は話すどころか会うことも難しいよ」
「ううん!話を聞けただけでも良かった!ありがとう!お婆さん!」
(よし!オーパイの情報ゲットしたよ!マリアちゃんなら貴族だからそのお姫様に会えるかも!明日、聞いてみよう!)
そう考えながら、暗くなってきたので、宿を探すことにした。
マリアとグレースはとりあえず、フェンス沿いに歩いて、二つの区域の境界を確かめていた。
「そうですね。観光スポットも全てここにありますし、ショッピング街もこちら側です。こちらに入れる人は向こうのエリアに行く必要はないでしょう」
「だったら、Aカップ以下の女性はどうやって暮らしているんだ?」
「あまり考えたくはありませんが、劣悪な環境で、細々と暮らすしかないでしょう...」
「どうしてそんな政策を...Aカップ以下の女性へのいやがらせとしか思えない!」
「何か、魔物が生み出される理由と正反対の嫉妬が働いているような気もしてきます」
「あの『魔物は恵まれなかった女性の大きな胸に対する嫉妬から生まれる』ってやつか...」
「しかし、何故そんな嫉妬を...もちろん小さな女性が劣っているわけではありませんが、ここはそういう世界観のはずです」
「なんだ?その『世界観』ってやつは...」
「中にいる私たちには変えることのできない決まり事です」
「意味が分からないのだが...」
「私も意味が分かりません。誰かに言わされている気分です」
「とりあえず、いろんな人に聞いてみるしかないか...」
これ以上、追及されると困る誰かはグレースに話題を変えさせた。
それから、マリアとグレースは様々な人に話しかけた。
あちこちにいる警備員や店員さん。冒険者などにも話を聞いてみた。
その結果、分かったことは、
「この国の王様、ワガマーマ公には二人の王子と双子の姫がいる」
「双子の姫の姉の名は『アネノ・ワガマーマ』。『女権担当大臣』として、女性の権利の拡充に務めてきた」
「双子の姫の妹の名は『イモ―ト・ワガマーマ』。最近、隣国の王子様の元へ輿入れしたらしい」
「イモ―ト姫が嫁いだ後、アネノ姫のAカップへの態度が急変した」
「最初は自分の周りから遠ざけるくらいだったが、だんだんエスカレートしていき、ついにはワガマーマ公の反対を押し切り、『貧乳隔離政策』を導入してしまった」
「王宮の人間はなんとか撤回させたいらしいが、妙案がない」
ということだった。
ちなみにオーパイに関する情報は全く得られなかった。みんな、名前すら初耳という顔だった。
「どうやら、イモ―ト姫様の結婚がアネノ姫様の乱心の原因らしいですね。なんとか、ご面会できればいいのですが...」
「マリア師匠はできないのか?たしか、エライヒト家は上級貴族だと聞いたが...」
「私一人では無理です。お父様がいれば何とかなったでしょうが...それに儀礼用の服を持参していません。そのような状況で面会するのは不敬です」
「難しいものだな...それでは心が痛むが、オーパイの情報をもう少し探って、得られなければ早々に退散するしかないな」
「そうですね。オトメさんは何かつかめたでしょうか...」
「気になるか?」
「あのような環境では、まともな宿も取れないでしょう...今から道の駅に戻るのも難しいですし、心が痛みます」
「いっそのこと男装させればどうだ?」
「オトメさんの男装姿...それも素敵です。でもあの可愛らしいお顔はどうしても隠せないでしょう...それにもし他の女性に気に入られでもしたら!」
マリアの顔が陶酔から困惑、そして怒りへと変わる。
「そ、そうだな。さっさと情報を集めて退散しよう!そうしよう!」
グレースはマリアの背中を押して宿へと向かっていった。
・・・
一方、オトメは、なかなか情報が得られないでいた。
貧乳エリアは活気に乏しく、みんな暗い顔をしている。
話しかけても逃げられることも多かった。
(う~~ん、うまくいかないなぁ~。マリアちゃんたちはどうしてるかな...)
そんなことを考えていると、裏通りで一人ぽつんと座っている老婆を見かけた。
「こんにちは!こんなところで一人、どうしたの?」
オトメは気になって話しかけてみた。すると、
「おぉ、こんにちは。わたしゃ、息子夫婦が向こうに住んでいるので、何もやることがないんだよ。こんな年寄りまで胸の大きさで分けるとはねぇ...」
老婆はそう言うと、大きくため息を吐いたが、あまり悲壮感は感じられなかった。
「元気そうだね!良かった!みんな暗い顔してるから...」
「そりゃそうもなるさ。全く、ワガマーマの娘さんたちは問題児ばっかりだねぇ」
「娘さん?」
「知らないのかい。こんなお触れを出したのはワガマーマ公の娘だよ。ホントに困ったもんだ。そういや、ワガマーマ公のお母ちゃんもおてんばだったねぇ...」
「へぇ、それって、お婆さんの若いときの話でしょ?何かやらかしたの?」
「それが、この街にやってきた『ユメミル』とかいう胸が無いのに冒険者やってる変な子について、冒険に出ちゃったんだよ。城の財宝を軍資金にしてね」
「えっ!お姫様がそんなことしていいの?!」
「もちろん、大騒ぎさ!周りの国にまで探偵を派遣して捕まえようとしたんだけど、逃げ足が速くてねぇ...」
「それでどうなったの?」
「結局、『オーパイ』とかいう胸を大きくしてくれるとかいう、怪しげな街までそのユメミルと行って帰ってきたんだよ」
「オーパイ!!その話、詳しく聞かせて!!」
「えらく食いつきがいいねぇ。もしかしてあんたもオーパイで胸を大きくしてもらうつもりかい?」
「そう!正確には『胸の大きさを大きくも小さくもできる』んだけど、私は大きくしてもらうため、仲間は小さくしてもらうためにオーパイを探してるの!」
「おやまぁ、そんな夢物語を信じてるのがまだ、いたなんて...」
「夢物語じゃないよ!旅の途中で胸を大きくしてもらったお婆さんにも出会ったんだから!」
「お婆さんねぇ...そのユメミルっていうヤクザみたいな奴じゃないだろうねぇ?」
「ユメミル?違うよ。確か『ロスト』って言ってた。でも若い頃はガラ悪かったみたいだけど...」
「そんなのがユメミル以外にもいたとはねぇ...」
「そのユメミルって人はどうなったの?今もいるの?」
「それがお姫様は一人で帰って来たんだよ。ユメミルの姿はどこにもなかった...あんなに寂しそうなお姫様を見たのは初めてだったよ。何しろ、お姫様のおてんばは周りの国でも有名だったからねぇ...そのユメミルと一緒に悪さもしてたらしいよ!」
「そのお姫様は?今でもお城にいるの?」
「それが最近、亡くなったんだよ...噂によると最後までユメミルを待っていたとか...ユメミルって何者だったんだろうねぇ...」
「そうかぁ...じゃあ、その話を詳しく知ってる人はいないんだね...」
「そうさねぇ、お姫様はお姫様を可愛がっていたからお姫様なら知ってるかもねぇ...」
「えっ、『お姫様』ってだれがだれ?」
「あぁ、悪いねぇ。昔、ユメミルと旅に出たのが亡くなった『オテンバ』姫様。可愛がっていたのが、今、ろくでもないお触れを出している『アネノ』姫様さ」
「名前までオテンバ...」
「何かおかしいかい。わたしゃ、普通の名前だと思うけどねぇ...」
「いや、おかしいのは私かも...何故か名前を聞くと、その人の個性が分かるの」
「そりゃ、特殊能力だねぇ...もしかして『魔法』かい?」
「えっ!お婆さん、『魔法』知ってるの?!」
「こりゃ、失敗した。今のは聞かなかったことにしておくれ!知られたら牢屋にぶちこまれるからねぇ...あんたも気軽に話すんじゃないよ!」
「ゴメン。分かった。ちなみにこれは『それ』じゃないよ!勘みたいなものかな!」
「そうかい。まぁ、いいさ。さっきの話だけどアネノ姫様なら何か知ってるかもねぇ...でもわたしら庶民は話すどころか会うことも難しいよ」
「ううん!話を聞けただけでも良かった!ありがとう!お婆さん!」
(よし!オーパイの情報ゲットしたよ!マリアちゃんなら貴族だからそのお姫様に会えるかも!明日、聞いてみよう!)
そう考えながら、暗くなってきたので、宿を探すことにした。
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