伝説の後始末

世々良木夜風

文字の大きさ
上 下
18 / 53

Legend 18. ツィアのお着替え

しおりを挟む
「ふ~~~ん♪ふ~~~ん♪ふ~~~ん♪」
今日のハルはご機嫌だ。
ツィアの腕に体を密着させて、笑顔で鼻歌を口ずさんでいる。
それを微笑ましげに見つめるツィア。

二人は氷の精霊を助けた後、1か月以上、共に旅をしていた。
なぜ、ハルがご機嫌かというと、今日の朝、いいことがあったからだ。
あの日以来、ハルはモンスターハウスで家事を頑張っていた。
帰ってきたら、風呂を沸かし、ツィアの着替えを用意する。
もちろん、下着も忘れずにだ。
そして、ツィアが風呂に入っている間に、汚れた服を洗濯し、夕食を作る。
最近は一人で作れるようになった。
そして、夜は同じ布団で添い寝をする。
朝、起きたら、今度は朝食の用意。
それが済んだら旅立ちの準備をするのだが...
いつも、ツィアは一人で部屋にこもって着替えをする。
今まで、『お手伝いします』と何度もお願いしたが、恥ずかしがって許してくれなかった。
それが今朝、ついに許してくれたのだ。

〇・〇・〇

「仕方ないわね!」
「えっ?!いいんですか?!」
ツィアの言葉に驚くハル。
「『恥ずかしくない』と言えばウソになるけど...女の子同士だしね!...下着...くらいは...」
そう言いつつも、ツィアは頬を赤く染めている。
「ふふふ!きっと綺麗ですよ!」
「もう!ハルったら!」
うれしそうなハルに、口を尖らすツィア。
「じゃ、じゃあ...ワンピースを...」
恐る恐るツィアの普段着のワンピースに手をかけるハル。
ツィアは恥ずかしそうに顔を染めながら、ワンピースから腕を抜いた。
ハルはゆっくりとワンピースを上へと持ち上げていく。
だんだんとツィアの白く細い太ももが露わになっていく。
(思った通りの綺麗な足...)
ハルはうっとりとなる。
やがて白く、可愛らしい布が姿を現した。
(こ、これがツィアさんの大事なところを守っている...薄い...透けて...見えないでしょうか?)
ハルは思わずそこを凝視してしまう。
(やっぱり見えない...でも可愛い!)
下着のデザインにハルは笑顔になってしまった。
そして次に現れたのは余計なものがついていない細いウエスト。
(うわ~~~~!細い!...でも女の子らしい柔らかみもあって...羨ましいです...私も...こんなだったら...)
ハルはツィアの曲線美に魅入られてしまう。
それからついに豊かな胸が姿を現した。
(大きい...それに形も綺麗...下着のデザインも...可愛い...)
ハルは夢中で見つめる。
(大きいだけの私とは違う...私、見られてもいいと思ってましたけど...私のなんか、見てもガッカリするだけですよね...)
ハルはツィアのスタイルの美しさに魅入られると同時にコンプレックスも感じてしまう。
やがて、ツィアからワンピースが脱げて、ツィアが顔を出す。
ギュッと目をつむったその顔は真っ赤だった。
「ど、どう?」
心配そうなツィアの声。それに対し、
「とっても綺麗です!見てて幸せになります!」
ハルがにっこり笑ってそう言うと、
「ホント?ガッカリしてない?」
恐る恐る目を開けるツィア。
「こんな素敵なの初めて見ました!まさに理想です!全女性が羨ましがると思いますよ!」
ハルの笑顔にホッと安心するツィア。
「...良かった!...あの...恥ずかしいから、早くローブ、つけてね!」
それでもまだ赤く染まった顔でツィアが催促する。
「ふふふ!こんな綺麗なのに...もう少し...見させてください!」
ハルはそう言うと、ツィアの体を見つめる。
「もう!本当に恥ずかしいんだからね!」
ツィアが怒るが特に体を隠す様子はなかった。
「恥ずかしいのは私の方ですよ!...私の体、ツィアさんみたいに綺麗じゃありません...きっと...見せても...」
「そんなことない!ハルのもきっと綺麗!!」
ハルが寂しそうな顔でそう言うと、ツィアは遮るように声を上げた。
「えっ?!」
驚くハル。それに対し、
「え、えっと...見たいわけじゃなくて...その...」
ツィアが口を濁すと、
「やっぱり...私のなんて興味ないですよね...」
ハルがへこんでしまう。
「そ、そんなことないわ!機会があったら...」
ツィアがそう言うと、
「な、なら今!」
ハルがワンピースを脱ごうとする。
チラッと綺麗な足が顔を見せた。
「わぁぁぁ~~~~~!!今度でいいから!朝は忙しいから!ねっ!」
そう言ってなんとかやめさせたツィア。
「はい...いつでも...言ってくださいね!」
そんなツィアにハルは恥ずかしそうにそう答えたのだった。

それからハルは、脱がせたワンピースを綺麗に畳み、タンスにしまう。
そして、干してあった、洗濯済みのローブを手に取ると、ツィアの頭から被せる。
(あっ...ツィアさんの綺麗な下着姿が...)
上から順にどんどんとローブに隠されていくツィアの下着姿にハルは一抹の寂しさを感じていた。
(次は...)
袖を通しているツィアをよそに、ハルは腰を縛っている紐を取り出す。
(こ、こうかな?)
意外と難しい。
締めすぎると苦しいだろうし、かといって緩すぎるとウエストのくぼみが強調されない。
またローブの引っ張り具合も難しい。
強く引っ張ると胸が圧迫されてしまうし、逆に弱いと胸の膨らみの主張が足りなくなる。
「こ、こんな感じですか?」
ハルが不安そうにツィアに尋ねると、
「う~~~~ん...これは難しいから仮結びでいいわ!後で直すから!」
ツィアにそう言われてしまった。
「・・・」
その言葉に落ち込むハル。そんなハルに、
「でも最初にしては上出来よ!私もこのバランスを見つけるまでに3カ月もかかったんだから!」
ツィアはそう言って励ます。
「・・・」
少し顔に明るさの戻ったハルにツィアは言った。
「じゃあ、後は髪を梳かしてくれるかしら?」
すると、
「はい!」
名誉挽回とばかりに意気込むハル。
「ふふふ!」
その様子に笑みを浮かべながらツィアはローブのバランスを直す。

櫛を持ってきたハルは、ツィアの髪を梳かし始めていた。
(な、なんて綺麗な髪...それに...ほのかに香るいいにおい...こんな人がこの世に存在するなんて...)
ハルはツィアの髪の美しさに魅了されていた。
(ツヤツヤでなんのクセもない...少し櫛を通しただけでまっすぐに...)
ほどなく、髪は綺麗に整えられた。
「ど、どうでしょう?」
心配そうにツィアに出来上がりを確かめるハル。
「どれどれ?」
鏡を覗き込んで、少し手櫛を通したツィアだったが、
「うん!完璧ね!...明日からもハルに着替えを手伝ってもらってもいい?」
にっこり笑ってそう言う。
「は、はい!」
ハルの顔はこれ以上ないほど明るく輝いたのだった。

〇・〇・〇

(素敵でした...明日からも...毎日...)
ハルは目を閉じてツィアの下着姿を思い出す。
(本当に綺麗...女神様みたい...)
胸の美しい膨らみ。
キュッと締まったウエスト。
優しい曲線のヒップ。
そしてそこから伸びる細く白い足。
全てが完璧だった。

やがて目を開くとハルは考える。
(最初から比べるとすごい進展です!...でも、まだ恋人というには...)
ハルはちょっと寂しくなる。
(そ、そのためには...す、全てを見せ合わないと...)
赤く染まった顔でツィアを見つめるハル。
「どうしたの?」
その様子を見たツィアが不思議そうに聞いてくる。
「い、いえ!なんでもありません...」
そう言って恥ずかしそうに俯くハル。
(ツィアさんの...ありのままの姿...きっともっと綺麗なんだろうな!...いつか...二人で...)
想像すると、おなかの下が熱くなるのを止めることができなかった。
(ダメです!こんなこと考えたら!...もし、ツィアさんにバレたら...)
ハルが必死で頭を冷やそうとしていると、通りすがりの旅人の声が聞こえた。

「おい!お前、知ってるか?西のダンジョンのゴーレムの噂!」
「ああ。魔王が倒されても消えないんだろ?...困るよなぁ...騎士団でも派遣して早く倒して欲しいよ!」

「えっ?!どういうことですか?!」
ハルはその旅人に詰め寄るのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

流美と清華の下着に関するエトセトラ

世々良木夜風
恋愛
流美は可愛い女子高生。 幼馴染の清華とは大の仲良しです。 しかし、流美には秘めた思いが。 美人でいつも自分を守ってくれる清華のことが大好きでたまらないのです! そんな流美には大事な思い出が。 幼い時に清華に助けてもらった時に言った言葉。 「大人になったらお嫁さんになってあげるね!!」 当然、清華は忘れていると思っていたのですが... これはそんな二人が、下着姿を見せ合ったり、お互いに下着のにおいを嗅ぎ合ったりしながら絆を深めていく物語。 二人は無事「両想い」というゴールに辿り着けるのでしょうか? えっ?!順序が逆?! そんな細かいことは放っておいて、走り出してしまったちょっとアブノーマルな恋愛列車。 無事、幸せという終着駅に到着することを祈りましょう!! ※全16話の短めの連載です。お気軽にどうぞ。 〇小説家になろう様にも掲載しています。

マコリン☆パニック!

世々良木夜風
ファンタジー
星乃宮真子は、お金持ちで超美人!スタイルも抜群です! そんな真子は通っているお嬢様高でも、一目も二目も置かれています。 恵まれた環境をエンジョイしていた真子。 しかし、真子はある日、異世界に召喚されてしまいます。 そこにいたのはポワンという、可愛い女の子! その時にふと目にした光景をマコリンは忘れられません。 『他の女の子の...初めて見た...可愛い!』 ポワンは真子にマコリンというあだ名をつけ、『一緒にこの世界で暮らそう』と誘いますが、真子にその気はありません。 なんとか元の世界に戻してもらえたものの、なぜかポワンもついてくることに... すると予想通りというか、マコリンの周りは大騒ぎに! 更に、謎のゲート(異世界への扉)まで現れる始末。 マコリンは困っているかと思いきや、ポワンとのエッチなシチュエーションをひそかに楽しんでいたり... 果たして、マコリンは元の平和な生活を取り戻せるのか? それともポワンとの甘美な日々に溺れてしまうのか? あっと驚く結末が...待っているとかいないとか... 〇小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...