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Legend 10. ハルとの夜
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「お、美味しいわよ!ハルに食べさせてあげられないのがもったいないわ!」
ツィアがハルに声をかける。
「・・・」
さっきからずっと暗い表情のハル。
「初めてにしては上出来よ!これから徐々に覚えていったら...」
ツィアが慰めるが、
「...私...何をしても失敗ばっかりで...こんなんじゃツィアさんのお役に立てませんね...」
そう言って泣きそうになる。
「そんな顔しないで!私はハルの笑顔を見てる時が一番、幸せなの!」
「えっ?!」
ツィアの言葉にハルが驚いてツィアを見つめる。すると、
「と、と、とにかく!!...傍にいてくれるだけで私の役に立ってるから!...家事は徐々に覚えていってくれたらいいわ!」
慌てたツィアは顔を赤くしながら、半分、ハルを励まし、半分、さっきの言葉を誤魔化すように話しかける。
「...はい...」
するとその言葉をどう取ったのか、少しハルの表情が柔らかくなった。
「ふふふ。その調子よ!」
「へへへ...」
ツィアがここぞとばかりににっこりと笑うと、ハルも笑顔になった。
「ふふふ!私の役に立ちたかったらいつもその顔でいてね!」
ツィアが半分、笑って、半分、照れながらハルに言うと、
「はい!!」
ハルは最高の笑顔を見せた。
<ドキッ!>
その笑顔にツィアの心臓が高鳴る。
(ど、どうしたのかしら、私...ハルの笑顔を見たら...)
「どうしたんですか?」
いつの間にかハルの顔を見つめてしまっていたようだ。
ハルが恥ずかしそうにツィアに聞いてくる。すると、
「な、なんでもないわ!もう夜も遅いし寝ましょ!明日は街に着くわよ!」
そう口にするとツィアは誤魔化すように席を立つ。
「はい!」
それを聞いてハルも立ち上がった。
「お休み!」
ツィアが寝室に入ると、
「はい!」
ハルも一緒についてくる。
(どうしたのかしら...何か用事が?)
ツィアはそう思ったが、特に反応することもなくベッドに入る。すると、
「・・・」
ハルも一緒にベッドに入ってきた。
「ハ、ハル!!」
ツィアが真っ赤になって声を上げるが、
「どうしたんですか?」
ハルは平然としている。
「ど、どうして同じ布団に...」
ツィアが混乱した様子で尋ねると、
「傍にいるとお役に立てるんですよね...私の傍は春なのであったかいですし...」
ハルが頬を染めながら答える。
「そ、そういう意味じゃなくて...それに、ここは布団があるからいいのよ!別に部屋があるから、そっちで...」
ツィアはそう説得するが、
「...一緒だと...迷惑ですか?」
ハルは寂しそうに口にする。
「そ、そんなことないけど...」
ツィアが口ごもっていると、
「なら...一緒に...寝たいです...それくらいしか...お役に立てませんし...」
ハルはそう言いながら赤く染まった顔を隠すように布団を持ち上げる。
「で、でも...」
(昨日は大丈夫だったけど...毎日、一緒に寝てたら...いつかは...ってなに考えてるの?!)
ツィアは自分の中から湧いてくる感情に混乱していた。そんなツィアに、
「こっち...向いてください...」
ハルはそんな言葉をかけてくる。
「・・・」
ツィアはその言葉に逆らえず、ハルの方を向いてしまった。
(か、可愛い!!)
ハルの顔を間近に見たツィアは思わずハルを抱きしめそうになる。
しかし、ギリギリ理性がそれを止めた。
(私、考えてみたら下着つけてない...お互い薄着で...下着もつけずに抱き合ったら...)
ツィアは自分を律する自信がなかった。
そんなツィアの気持ちを知ってか知らずか、
「ツィアさんの顔、とっても綺麗です!...これから毎日...独り占めできるんですね...」
ハルはそう言って笑った。
「ハル...」
(私も...ハルを独り占め...心も...体も...ってそうじゃないでしょ!!)
ツィアはどうしてもそちらの方向に考えが行ってしまう。
「幸せ...」
そう言いながら目を閉じたハルに、
(!!...そうよ!こんなに私を慕ってくれるハルを守らなきゃ!!...私がハルの純潔を奪ってどうするのよ!!...大丈夫!気を強く持って!)
ツィアはそう思いながらギュッと目を閉じる。
(どうしちゃったんだろ...私...どうしてこんなにハルを...何?この気持ち...)
ツィアは戸惑いながら眠りにつくのだった。
☆彡彡彡
翌日、
「今朝の料理、少し上手になってたじゃない!この調子で頑張って!」
近くに迫った街に向かいながらツィアがハルに声をかけていた。
「ありがとうございます...でも...着替えは手伝わなくて良かったんですか?」
しかし、ハルはそんなことを聞いてくる。
「き、着替えはいいのよ!そのくらい自分でできるし...」
(きょ、今日は下着をつけてなかったから...着替えを手伝ってもらうと...必然的にハルに全てを見られちゃうことに...)
そんな状況だったツィアは『手伝います』と言うハルを部屋から追い出したのだった。
(いつかは...お互い見せ合うことになるけど心の準備が...ってそうじゃないでしょ!)
ツィアは相変わらず無意識に生じる思考に自分でツッコミを入れていた。
そんなツィアの目にぼんやりと街の輪郭が映る。
それを見たツィアはハルに声をかけた。
「ハルは人間の街は初めてでしょ!ゆっくり見て回りましょうか?」
「はい!楽しみです!」
ハルは笑顔で答える。
(ふふふ。モンスターハウスのおかげで街でしなきゃいけないことは買い物くらいだしね!終わったら、ゆっくり街を見せてあげましょ!)
ツィアはハルに喜んでもらおうと少し意気込んでいた。
☆彡彡彡
「ここが...街...」
ハルが街の中を見て目を輝かせている。
人々が行き交い、建物が立ち並ぶ。
ただそれだけが珍しかった。
「ふふふ!」
その様子を見て、微笑ましげに笑うツィア。
「どうして人間は集まって暮らしてるんですか?」
ハルが聞いてくる。
「それは...そうね!人は弱いからかしら?」
それに対し、少し考えたツィアはそう答えた。
「弱い?...でも強い人間もたくさん見ましたよ!」
ハルはその言葉に納得がいかないようだ。
「魔物が普段、戦うのは冒険者だから...普通の人間はスライムにも苦戦するほど弱いの!だからこうやって街を作って、その中で暮らしてるのよ!」
「そうなんですね!」
ツィアの説明にハルは少し意外そうな顔をする。
「だからと言っちゃなんなんだけど...人間が魔物を怖がるのを理解して欲しいかな!...虫のいい話かもしれないけど...」
ツィアが控えめにそう言うと、
「...なるほど...魔物も自分より強い相手から身を守ろうといろいろ知恵を絞ってます!...人間には人間の事情があるんですね!教えてくれてありがとうございます!」
ハルはにっこり笑い返してきた。
「...ありがとう...」
そんなハルにツィアも微笑み返すのだった。
「それよりも街を案内してください!あれはなんですか?」
少し暗くなった雰囲気を吹き飛ばすようにハルが明るい声で尋ねる。
「ああ。あれは市場よ!いろんな物を売ってるの!ちょうど食材を補充したかったところよ!行きましょう!」
「はい!」
ツィアの言葉にハルは元気よく答える。
二人は手を繋ぐと市場へと向けて歩き出すのだった。
ツィアがハルに声をかける。
「・・・」
さっきからずっと暗い表情のハル。
「初めてにしては上出来よ!これから徐々に覚えていったら...」
ツィアが慰めるが、
「...私...何をしても失敗ばっかりで...こんなんじゃツィアさんのお役に立てませんね...」
そう言って泣きそうになる。
「そんな顔しないで!私はハルの笑顔を見てる時が一番、幸せなの!」
「えっ?!」
ツィアの言葉にハルが驚いてツィアを見つめる。すると、
「と、と、とにかく!!...傍にいてくれるだけで私の役に立ってるから!...家事は徐々に覚えていってくれたらいいわ!」
慌てたツィアは顔を赤くしながら、半分、ハルを励まし、半分、さっきの言葉を誤魔化すように話しかける。
「...はい...」
するとその言葉をどう取ったのか、少しハルの表情が柔らかくなった。
「ふふふ。その調子よ!」
「へへへ...」
ツィアがここぞとばかりににっこりと笑うと、ハルも笑顔になった。
「ふふふ!私の役に立ちたかったらいつもその顔でいてね!」
ツィアが半分、笑って、半分、照れながらハルに言うと、
「はい!!」
ハルは最高の笑顔を見せた。
<ドキッ!>
その笑顔にツィアの心臓が高鳴る。
(ど、どうしたのかしら、私...ハルの笑顔を見たら...)
「どうしたんですか?」
いつの間にかハルの顔を見つめてしまっていたようだ。
ハルが恥ずかしそうにツィアに聞いてくる。すると、
「な、なんでもないわ!もう夜も遅いし寝ましょ!明日は街に着くわよ!」
そう口にするとツィアは誤魔化すように席を立つ。
「はい!」
それを聞いてハルも立ち上がった。
「お休み!」
ツィアが寝室に入ると、
「はい!」
ハルも一緒についてくる。
(どうしたのかしら...何か用事が?)
ツィアはそう思ったが、特に反応することもなくベッドに入る。すると、
「・・・」
ハルも一緒にベッドに入ってきた。
「ハ、ハル!!」
ツィアが真っ赤になって声を上げるが、
「どうしたんですか?」
ハルは平然としている。
「ど、どうして同じ布団に...」
ツィアが混乱した様子で尋ねると、
「傍にいるとお役に立てるんですよね...私の傍は春なのであったかいですし...」
ハルが頬を染めながら答える。
「そ、そういう意味じゃなくて...それに、ここは布団があるからいいのよ!別に部屋があるから、そっちで...」
ツィアはそう説得するが、
「...一緒だと...迷惑ですか?」
ハルは寂しそうに口にする。
「そ、そんなことないけど...」
ツィアが口ごもっていると、
「なら...一緒に...寝たいです...それくらいしか...お役に立てませんし...」
ハルはそう言いながら赤く染まった顔を隠すように布団を持ち上げる。
「で、でも...」
(昨日は大丈夫だったけど...毎日、一緒に寝てたら...いつかは...ってなに考えてるの?!)
ツィアは自分の中から湧いてくる感情に混乱していた。そんなツィアに、
「こっち...向いてください...」
ハルはそんな言葉をかけてくる。
「・・・」
ツィアはその言葉に逆らえず、ハルの方を向いてしまった。
(か、可愛い!!)
ハルの顔を間近に見たツィアは思わずハルを抱きしめそうになる。
しかし、ギリギリ理性がそれを止めた。
(私、考えてみたら下着つけてない...お互い薄着で...下着もつけずに抱き合ったら...)
ツィアは自分を律する自信がなかった。
そんなツィアの気持ちを知ってか知らずか、
「ツィアさんの顔、とっても綺麗です!...これから毎日...独り占めできるんですね...」
ハルはそう言って笑った。
「ハル...」
(私も...ハルを独り占め...心も...体も...ってそうじゃないでしょ!!)
ツィアはどうしてもそちらの方向に考えが行ってしまう。
「幸せ...」
そう言いながら目を閉じたハルに、
(!!...そうよ!こんなに私を慕ってくれるハルを守らなきゃ!!...私がハルの純潔を奪ってどうするのよ!!...大丈夫!気を強く持って!)
ツィアはそう思いながらギュッと目を閉じる。
(どうしちゃったんだろ...私...どうしてこんなにハルを...何?この気持ち...)
ツィアは戸惑いながら眠りにつくのだった。
☆彡彡彡
翌日、
「今朝の料理、少し上手になってたじゃない!この調子で頑張って!」
近くに迫った街に向かいながらツィアがハルに声をかけていた。
「ありがとうございます...でも...着替えは手伝わなくて良かったんですか?」
しかし、ハルはそんなことを聞いてくる。
「き、着替えはいいのよ!そのくらい自分でできるし...」
(きょ、今日は下着をつけてなかったから...着替えを手伝ってもらうと...必然的にハルに全てを見られちゃうことに...)
そんな状況だったツィアは『手伝います』と言うハルを部屋から追い出したのだった。
(いつかは...お互い見せ合うことになるけど心の準備が...ってそうじゃないでしょ!)
ツィアは相変わらず無意識に生じる思考に自分でツッコミを入れていた。
そんなツィアの目にぼんやりと街の輪郭が映る。
それを見たツィアはハルに声をかけた。
「ハルは人間の街は初めてでしょ!ゆっくり見て回りましょうか?」
「はい!楽しみです!」
ハルは笑顔で答える。
(ふふふ。モンスターハウスのおかげで街でしなきゃいけないことは買い物くらいだしね!終わったら、ゆっくり街を見せてあげましょ!)
ツィアはハルに喜んでもらおうと少し意気込んでいた。
☆彡彡彡
「ここが...街...」
ハルが街の中を見て目を輝かせている。
人々が行き交い、建物が立ち並ぶ。
ただそれだけが珍しかった。
「ふふふ!」
その様子を見て、微笑ましげに笑うツィア。
「どうして人間は集まって暮らしてるんですか?」
ハルが聞いてくる。
「それは...そうね!人は弱いからかしら?」
それに対し、少し考えたツィアはそう答えた。
「弱い?...でも強い人間もたくさん見ましたよ!」
ハルはその言葉に納得がいかないようだ。
「魔物が普段、戦うのは冒険者だから...普通の人間はスライムにも苦戦するほど弱いの!だからこうやって街を作って、その中で暮らしてるのよ!」
「そうなんですね!」
ツィアの説明にハルは少し意外そうな顔をする。
「だからと言っちゃなんなんだけど...人間が魔物を怖がるのを理解して欲しいかな!...虫のいい話かもしれないけど...」
ツィアが控えめにそう言うと、
「...なるほど...魔物も自分より強い相手から身を守ろうといろいろ知恵を絞ってます!...人間には人間の事情があるんですね!教えてくれてありがとうございます!」
ハルはにっこり笑い返してきた。
「...ありがとう...」
そんなハルにツィアも微笑み返すのだった。
「それよりも街を案内してください!あれはなんですか?」
少し暗くなった雰囲気を吹き飛ばすようにハルが明るい声で尋ねる。
「ああ。あれは市場よ!いろんな物を売ってるの!ちょうど食材を補充したかったところよ!行きましょう!」
「はい!」
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