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Legend 8. モンスターハウスに泊まろう
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「いい子だったわね!」
「そうですね!可愛かったです!あんなに懐いてくれて...」
ツィアが口にした言葉に、ハルも名残惜しそうに答える。
「そうね。まさかスライムとの別れが惜しくなるなんて思わなかったわ!」
ツィアは少し、感傷に浸っているようだ。
「優しいんですね...」
ハルの言葉に、
「な、なにが?私は何もしてないわよ!」
ツィアは照れてしまう。
「魔物を助ける人間なんて初めて見ました!その上、攻撃されても反撃しないなんて...」
ハルがそう言うと、
「別にハルが助けて欲しそうだったから付き合っただけ!それにまさか助けた魔物の仲間を攻撃できないでしょ!」
ツィアは頬を掻きながら、顔をほんのり赤くしていた。目もハルから逸らしている。
「ふふふ!」
その様子を見たハルがうれしそうに笑った。
「なによ!...それに...良かったの?あの子たちと一緒に行かなくて!」
ツィアは恥ずかしいのか話題を変えた。
「あら?ツィアさんは私を魔界まで送ってくれるんじゃなかったんですか?」
そんなツィアにハルが問いかける。少し意地悪な言い方だ。
「も、もちろん、送ってあげるわよ!...ただ...魔物同士の方がいいかなって...」
ツィアが少し心配そうに聞くと、
「私は...ツィアさんに送って欲しいです!...他の...誰よりも...」
ハルは恥ずかしそうに頬を染めながら答えた。
「そ、そう!それなら一緒に行ってあげる!...でもイヤになったらいつでも出てっていいからね!」
ツィアは偉そうに言うが、恥ずかしさが隠しきれないのか、顔が赤くなっている。するとハルは、
「本当に...出てってもいいんですか?」
そんなことを聞いてきた。
「そ、それは...」
ツィアが言い淀んでいると、
「ふふふ!ウソですよ!私はツィアさんとずっと一緒です!」
ハルがにっこりと笑いかけた。
「もう!...それより、今日はここで泊まりましょうか?」
ツィアはちょっとうれしそうな顔を見せたが、すぐに顔を直すとそんなことを言った。
見ればもうすぐ日が落ちそうだ。
「そうですね!スライムたちに貰ったモンスターハウス、試してみましょうか?」
ハルもそう言って賛成する。
「そうね!中はどうなっているのかしら?」
ツィアは興味津々といった様子でモンスターハウスのドアを開けた。
「なんにもないのね...」
ツィアのガッカリした声が聞こえる。
家の中はがらんどうで広々とした空間が広がっているだけだった。
「今はそうですけど、好きなようにカスタマイズできますよ!」
後から入ってきたハルが言う。
「そうなの?!」
驚いた様子のツィアに、
「はい。魔力を使って部屋や家具を物質化するんです!他のモンスターハウスも内装はいろいろだったと思いますが...」
ハルはそう説明する。
「そういえばそうね...」
ツィアは今まで攻略したモンスターハウスを思い出していた。
十分、強くなったツィアたちのパーティにとって、モンスターハウスは魔物との戦いの経験を積む、絶好のポイントだったのだ。
「で、どうするの?」
ツィアが質問すると、
「えっと...モンスターハウスは魔物の指示にしか従わないので...ツィアさんのご希望の形に私がカスタマイズしますよ!」
ハルはそう答えた。
「そりゃそっか!...人間に勝手に使われても困るしね...」
ツィアが納得していると、
「で、どうします?...ご希望の部屋とか、設備とか...」
ハルがカスタマイズの内容について尋ねてきた。
「そうね...」
ツィアは考え始める。
「リビングと寝室は必要として...」
「ふむふむ。リビングと寝室...」
ハルがツィアの言ったことを復唱している。
「台所は必須よね...後、トイレと...お、お風呂はさすがに無理かしら...」
ツィアが心配しているが、
「『お風呂』って確か体を洗う場所ですよね?...とりあえず頼んでみます!後は?」
ハルはそう言ってくる。
「そ、そうね!頼むだけタダだしね!...後は...洗濯できればって、これは無理よね...まあ、頼むだけ頼んでみて!」
「分かりました!...では...」
ツィアの要望が出揃ったようなので、ハルが早速、モンスターハウスに命令する。
「リビングと寝室と台所とトイレとお風呂と洗濯ができる設備を実装してください!」
<ポンッ!>
その声と共に、家の中身が変わった。
「すごい...」
ツィアが呆気にとられている。
「さあ!中に入りましょう!お風呂もあるといいですね!」
ハルの言葉に、
「そうね!どんな家になったのかしら?」
興味深げに中に入っていくツィアだった。
☆彡彡彡
「ふう...極楽極楽!」
ツィアは今、風呂の浴槽に浸かっていた。
「まさか、本当にお風呂があるなんてね!魔物の文化の方が進んでるのかも!」
そんなことを思ってしまう。
風呂の必要がない魔物がこのような設備を作れるのは驚きだった。
「二日ぶりに体を洗ってスッキリしたわ!これでいつハルにすり寄られても大丈夫...」
ツィアは今日のハルの様子を思い出す。
「ハルったら、妙にくっついて歩いてくるんだもの...それに...」
ふと言葉を止めるツィア。そして頬を染めると、
「...抱き合って、キスしそうになったりね!...えっ?!」
自分で言って、その内容に驚いているツィア。
「ど、どうしてあんなことを...」
ツィアの顔がのぼせではなく、恥ずかしさのために真っ赤になる。
(あの時、私、どうなってもいいと思った...キスも...初めてさえも...もしスライムが邪魔しなかったら...最後まで...)
ツィアの頭の中には、生まれたままの姿で悶えるハルの姿が。
(な、なに考えてるのかしら、私!!大体、ハルがそんなことさせてくれるはずが...)
そう考えると少し悲しくなってくるツィア。
「どうして悲しくなるの?...こんな気持ち、エリザと一緒の時は感じなかった...えっ?!」
自分で言った言葉にツィアは衝撃的な事実に気づく。
(私、今日、エリザのことを思い出したの、これが初めて...今まで忘れたことがなかったのに...)
そして代わりに、
「ハル!」
ふと口にしてみる。
<ボッ!>
顔が焼けるように熱くなった。
(なに?この気持ち...私...もしかして...)
そこまで考えた時、浴室の外から声が聞こえた。
「あの~~~~!ツィアさん、聞こえてますか?」
ハルの声だった。
「な、な、なに?私、別に変なこと考えてないわよ!」
ツィアは飛び上がらんばかりに驚くと、思わずそんなことを言ってしまう。
「『変なこと』?...それより、着替え、持ってきました!お風呂の後は新しい服がいいかと思いまして...」
ハルは一瞬、首を傾げたが、意味が分からないのでとりあえず伝えにきたことを話す。
「あら、気が利くわね!そこに置いといて!」
ツィアが褒めると、
「へへへ...ありがとうございます!...あっ!こっちの服は洗濯しときますね!」
ハルの照れたような声が聞こえる。
「あっ!お願いね!」
ツィアがそう言うと、ハルはツィアの着ていた服を持って出ていったようだった。
「なかなかいいお嫁さんになりそうね!あの子...って私のじゃないわよ!」
真っ赤になって言い訳しているツィア。
「でも、あの『洗濯機』って道具、どうなってるのかしら?自動で洗濯してくれるなんて...」
ツィアは家の中を一通り、見た時に見つけた機械を思い出す。
大きな箱形の入れ物があって、説明に『ここに服を入れると自動で洗い、汚れを綺麗に落とした後に乾燥します』と書いてあったのだ。
「まさか本当に洗濯するための設備があるなんて...」
それはツィアをして仰天させた機械だった。
「魔物の世界ってホント、不思議よね!洗濯も必要ないはずなのに...」
ツィアは風呂や洗濯機などの魔物に必要のない設備まで作れてしまうモンスターハウスに改めて、感心するのだった。
「そうですね!可愛かったです!あんなに懐いてくれて...」
ツィアが口にした言葉に、ハルも名残惜しそうに答える。
「そうね。まさかスライムとの別れが惜しくなるなんて思わなかったわ!」
ツィアは少し、感傷に浸っているようだ。
「優しいんですね...」
ハルの言葉に、
「な、なにが?私は何もしてないわよ!」
ツィアは照れてしまう。
「魔物を助ける人間なんて初めて見ました!その上、攻撃されても反撃しないなんて...」
ハルがそう言うと、
「別にハルが助けて欲しそうだったから付き合っただけ!それにまさか助けた魔物の仲間を攻撃できないでしょ!」
ツィアは頬を掻きながら、顔をほんのり赤くしていた。目もハルから逸らしている。
「ふふふ!」
その様子を見たハルがうれしそうに笑った。
「なによ!...それに...良かったの?あの子たちと一緒に行かなくて!」
ツィアは恥ずかしいのか話題を変えた。
「あら?ツィアさんは私を魔界まで送ってくれるんじゃなかったんですか?」
そんなツィアにハルが問いかける。少し意地悪な言い方だ。
「も、もちろん、送ってあげるわよ!...ただ...魔物同士の方がいいかなって...」
ツィアが少し心配そうに聞くと、
「私は...ツィアさんに送って欲しいです!...他の...誰よりも...」
ハルは恥ずかしそうに頬を染めながら答えた。
「そ、そう!それなら一緒に行ってあげる!...でもイヤになったらいつでも出てっていいからね!」
ツィアは偉そうに言うが、恥ずかしさが隠しきれないのか、顔が赤くなっている。するとハルは、
「本当に...出てってもいいんですか?」
そんなことを聞いてきた。
「そ、それは...」
ツィアが言い淀んでいると、
「ふふふ!ウソですよ!私はツィアさんとずっと一緒です!」
ハルがにっこりと笑いかけた。
「もう!...それより、今日はここで泊まりましょうか?」
ツィアはちょっとうれしそうな顔を見せたが、すぐに顔を直すとそんなことを言った。
見ればもうすぐ日が落ちそうだ。
「そうですね!スライムたちに貰ったモンスターハウス、試してみましょうか?」
ハルもそう言って賛成する。
「そうね!中はどうなっているのかしら?」
ツィアは興味津々といった様子でモンスターハウスのドアを開けた。
「なんにもないのね...」
ツィアのガッカリした声が聞こえる。
家の中はがらんどうで広々とした空間が広がっているだけだった。
「今はそうですけど、好きなようにカスタマイズできますよ!」
後から入ってきたハルが言う。
「そうなの?!」
驚いた様子のツィアに、
「はい。魔力を使って部屋や家具を物質化するんです!他のモンスターハウスも内装はいろいろだったと思いますが...」
ハルはそう説明する。
「そういえばそうね...」
ツィアは今まで攻略したモンスターハウスを思い出していた。
十分、強くなったツィアたちのパーティにとって、モンスターハウスは魔物との戦いの経験を積む、絶好のポイントだったのだ。
「で、どうするの?」
ツィアが質問すると、
「えっと...モンスターハウスは魔物の指示にしか従わないので...ツィアさんのご希望の形に私がカスタマイズしますよ!」
ハルはそう答えた。
「そりゃそっか!...人間に勝手に使われても困るしね...」
ツィアが納得していると、
「で、どうします?...ご希望の部屋とか、設備とか...」
ハルがカスタマイズの内容について尋ねてきた。
「そうね...」
ツィアは考え始める。
「リビングと寝室は必要として...」
「ふむふむ。リビングと寝室...」
ハルがツィアの言ったことを復唱している。
「台所は必須よね...後、トイレと...お、お風呂はさすがに無理かしら...」
ツィアが心配しているが、
「『お風呂』って確か体を洗う場所ですよね?...とりあえず頼んでみます!後は?」
ハルはそう言ってくる。
「そ、そうね!頼むだけタダだしね!...後は...洗濯できればって、これは無理よね...まあ、頼むだけ頼んでみて!」
「分かりました!...では...」
ツィアの要望が出揃ったようなので、ハルが早速、モンスターハウスに命令する。
「リビングと寝室と台所とトイレとお風呂と洗濯ができる設備を実装してください!」
<ポンッ!>
その声と共に、家の中身が変わった。
「すごい...」
ツィアが呆気にとられている。
「さあ!中に入りましょう!お風呂もあるといいですね!」
ハルの言葉に、
「そうね!どんな家になったのかしら?」
興味深げに中に入っていくツィアだった。
☆彡彡彡
「ふう...極楽極楽!」
ツィアは今、風呂の浴槽に浸かっていた。
「まさか、本当にお風呂があるなんてね!魔物の文化の方が進んでるのかも!」
そんなことを思ってしまう。
風呂の必要がない魔物がこのような設備を作れるのは驚きだった。
「二日ぶりに体を洗ってスッキリしたわ!これでいつハルにすり寄られても大丈夫...」
ツィアは今日のハルの様子を思い出す。
「ハルったら、妙にくっついて歩いてくるんだもの...それに...」
ふと言葉を止めるツィア。そして頬を染めると、
「...抱き合って、キスしそうになったりね!...えっ?!」
自分で言って、その内容に驚いているツィア。
「ど、どうしてあんなことを...」
ツィアの顔がのぼせではなく、恥ずかしさのために真っ赤になる。
(あの時、私、どうなってもいいと思った...キスも...初めてさえも...もしスライムが邪魔しなかったら...最後まで...)
ツィアの頭の中には、生まれたままの姿で悶えるハルの姿が。
(な、なに考えてるのかしら、私!!大体、ハルがそんなことさせてくれるはずが...)
そう考えると少し悲しくなってくるツィア。
「どうして悲しくなるの?...こんな気持ち、エリザと一緒の時は感じなかった...えっ?!」
自分で言った言葉にツィアは衝撃的な事実に気づく。
(私、今日、エリザのことを思い出したの、これが初めて...今まで忘れたことがなかったのに...)
そして代わりに、
「ハル!」
ふと口にしてみる。
<ボッ!>
顔が焼けるように熱くなった。
(なに?この気持ち...私...もしかして...)
そこまで考えた時、浴室の外から声が聞こえた。
「あの~~~~!ツィアさん、聞こえてますか?」
ハルの声だった。
「な、な、なに?私、別に変なこと考えてないわよ!」
ツィアは飛び上がらんばかりに驚くと、思わずそんなことを言ってしまう。
「『変なこと』?...それより、着替え、持ってきました!お風呂の後は新しい服がいいかと思いまして...」
ハルは一瞬、首を傾げたが、意味が分からないのでとりあえず伝えにきたことを話す。
「あら、気が利くわね!そこに置いといて!」
ツィアが褒めると、
「へへへ...ありがとうございます!...あっ!こっちの服は洗濯しときますね!」
ハルの照れたような声が聞こえる。
「あっ!お願いね!」
ツィアがそう言うと、ハルはツィアの着ていた服を持って出ていったようだった。
「なかなかいいお嫁さんになりそうね!あの子...って私のじゃないわよ!」
真っ赤になって言い訳しているツィア。
「でも、あの『洗濯機』って道具、どうなってるのかしら?自動で洗濯してくれるなんて...」
ツィアは家の中を一通り、見た時に見つけた機械を思い出す。
大きな箱形の入れ物があって、説明に『ここに服を入れると自動で洗い、汚れを綺麗に落とした後に乾燥します』と書いてあったのだ。
「まさか本当に洗濯するための設備があるなんて...」
それはツィアをして仰天させた機械だった。
「魔物の世界ってホント、不思議よね!洗濯も必要ないはずなのに...」
ツィアは風呂や洗濯機などの魔物に必要のない設備まで作れてしまうモンスターハウスに改めて、感心するのだった。
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