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盛夏
子葉
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ダム、ダム、ダム、
体育館でボールの弾む音が聞こえる。
私は外から体育館を覗いていた。
スパッ!
とボールが華麗に空中に舞い上がり
ゴールのど真ん中を射抜く。
私は見惚れてしまった。
チャイムが鳴り
「では、席に着いて」
先生から私たちは、促されながら
自分の席に着く。
「今日は部活動について、少し話したいと思う。うちの学校は、必ずどこかの部活に所属してもらいます。今日からそれぞれの部活動で仮入部の期間になるから、よく選んで決めて欲しい。」
私は既に決めていた。
放課後になると、みんなは
それぞれどこの部活に行くか
相談しながら決めている。
私は、迷うことなく
体育館に向かった。
そしたら、後ろから声をかけられた。
「もしかして、バスケ部に入る?」
同じクラスの夏美ちゃんだった。
「うん、そのつもり!」
と迷いなく答えた。
「あー、よかった!同じクラスの子がいてホッとしたよ。よろしくね。」
「こっちこそ、よろしく。」
夏美ちゃんとは違う学校だったから
あまりよく知らなかったけど
中学で初めての友人になりそうだった。
そういえば、佐助くんは
どこの部活に入ったんだろう?
気になってはいたが、
違うクラスで
少し残念だなと思いにふけっていると
「集合!」
大きな声が体育館に響いて
部員の人たちが集まってくる。
「新入生たちが仮入部で来てくれているから、まず自己紹介してもらいます!」
朝、見惚れてしまった先輩だった。
「じゃあ、こっちから!」
私と逆から順番に
自己紹介を始めた。
隣の夏美ちゃんの番が終わり
私の番が来た。
「佐々木青彩です。バスケは初めてですが、朝練習している先輩に見惚れてしまい入ろうと思いました!よろしくお願いします。」
拍手が起こった。
緊張で頭が真っ白になって
素直な思いを言葉にして
勢いでなんとか乗り切ろうとやったが
歓迎されているようで嬉しかった。
拍手が鳴り止み
「じゃあ、練習を始めるからハドルを組んで!」
みんなに着いて行き
「ワンツースリー」
「チーム!!!」
と大画面でアクション映画を
観るような迫力で
少しワクワクしながら
練習が始まった。
練習は私が思っていたよりも
ハードで、緊張感があって
走ったり、跳んだり
普段やらないステップワークをして
これでもか!と全力で動いた。
やっている最中は夢中で
辛いけど、
それを楽しんでいるような
感じもあった。
佐助くんもこんな感じで
走ってたのかな?
なんて思ったりしていた。
練習が終わると
その緊張感は和らぎ
先輩後輩関係なく
「今日の練習もキツかったねぇ」
「もう少しで足がつるところだったよ」
なんて笑いながら話す
なんでもない時間が
私には心地よく感じた。
春は桜が咲き乱れ
夏は蝉が大音量で鳴き出し
秋は田んぼの稲穂が実り
冬は町全体が雪化粧をする。
私の周りの世界は
変わらず動き続ける。
そして、1年間の時間は
あっという間に過ぎ去った。
私の世界は一変していた。
私にとって嫌いだった運動は
今では大好きになっていて
喘息なんか忘れてしまうぐらい健康的で
初めからやれないと決めつけて
何もしなかった私が
嘘のように自信をもっていた。
まるで、大きな葉を広げて
おもいっきり太陽を浴びて
咲いているアサガオのように。
生きてる。
そんな当たり前のことを
私の身体が感じとっていた。
体育館でボールの弾む音が聞こえる。
私は外から体育館を覗いていた。
スパッ!
とボールが華麗に空中に舞い上がり
ゴールのど真ん中を射抜く。
私は見惚れてしまった。
チャイムが鳴り
「では、席に着いて」
先生から私たちは、促されながら
自分の席に着く。
「今日は部活動について、少し話したいと思う。うちの学校は、必ずどこかの部活に所属してもらいます。今日からそれぞれの部活動で仮入部の期間になるから、よく選んで決めて欲しい。」
私は既に決めていた。
放課後になると、みんなは
それぞれどこの部活に行くか
相談しながら決めている。
私は、迷うことなく
体育館に向かった。
そしたら、後ろから声をかけられた。
「もしかして、バスケ部に入る?」
同じクラスの夏美ちゃんだった。
「うん、そのつもり!」
と迷いなく答えた。
「あー、よかった!同じクラスの子がいてホッとしたよ。よろしくね。」
「こっちこそ、よろしく。」
夏美ちゃんとは違う学校だったから
あまりよく知らなかったけど
中学で初めての友人になりそうだった。
そういえば、佐助くんは
どこの部活に入ったんだろう?
気になってはいたが、
違うクラスで
少し残念だなと思いにふけっていると
「集合!」
大きな声が体育館に響いて
部員の人たちが集まってくる。
「新入生たちが仮入部で来てくれているから、まず自己紹介してもらいます!」
朝、見惚れてしまった先輩だった。
「じゃあ、こっちから!」
私と逆から順番に
自己紹介を始めた。
隣の夏美ちゃんの番が終わり
私の番が来た。
「佐々木青彩です。バスケは初めてですが、朝練習している先輩に見惚れてしまい入ろうと思いました!よろしくお願いします。」
拍手が起こった。
緊張で頭が真っ白になって
素直な思いを言葉にして
勢いでなんとか乗り切ろうとやったが
歓迎されているようで嬉しかった。
拍手が鳴り止み
「じゃあ、練習を始めるからハドルを組んで!」
みんなに着いて行き
「ワンツースリー」
「チーム!!!」
と大画面でアクション映画を
観るような迫力で
少しワクワクしながら
練習が始まった。
練習は私が思っていたよりも
ハードで、緊張感があって
走ったり、跳んだり
普段やらないステップワークをして
これでもか!と全力で動いた。
やっている最中は夢中で
辛いけど、
それを楽しんでいるような
感じもあった。
佐助くんもこんな感じで
走ってたのかな?
なんて思ったりしていた。
練習が終わると
その緊張感は和らぎ
先輩後輩関係なく
「今日の練習もキツかったねぇ」
「もう少しで足がつるところだったよ」
なんて笑いながら話す
なんでもない時間が
私には心地よく感じた。
春は桜が咲き乱れ
夏は蝉が大音量で鳴き出し
秋は田んぼの稲穂が実り
冬は町全体が雪化粧をする。
私の周りの世界は
変わらず動き続ける。
そして、1年間の時間は
あっという間に過ぎ去った。
私の世界は一変していた。
私にとって嫌いだった運動は
今では大好きになっていて
喘息なんか忘れてしまうぐらい健康的で
初めからやれないと決めつけて
何もしなかった私が
嘘のように自信をもっていた。
まるで、大きな葉を広げて
おもいっきり太陽を浴びて
咲いているアサガオのように。
生きてる。
そんな当たり前のことを
私の身体が感じとっていた。
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