12 / 15
紫
ミヤコワスレ
しおりを挟む
最高潮に紅葉した葉たちは
力を出し尽くし、
地に向かって休息するように
落ちている。
逆に街はイルミネーションで
彩り輝いていた。
でも、その彩りは生命が宿る
色とは違って、表情がない人形を
見ているようだった。
大学の中でも
今年のクリスマスは
どうするのか?という
話題で賑わっていた。
僕は久々に地元に帰って
クリスマスを迎える予定だ。
彼女と過ごすことはなく
彼女を持たない男子たちが集まる
飲み会に参加する。
クリスマスとは到底思えない。
幹事をする紫藤(しとう)に
「参加予定」と
LINEを送り、新幹線で帰宅している。
僕は久々に帰る地元に
少しのワクワクと
どこか寂しいような想いがあった。
クリスマス当日。
地元の駅前の
居酒屋に向かった。
行ってみると
予想以上の人たちが集まっていた。
その中には、彼氏がいない
女子も含まれていて
中学時代に話したことがない
人ばかりであった。
そこに青彩の姿はもちろんない。
「久々だなー、佐助ー!」
「久しぶり!」
幹事の紫藤が声をかけてくれた。
「今何してんだ?」
「東京の大学に行ってるよ。紫藤は?」
「俺は地元で公務員の専門に通ってるよ!」
「へぇ、公務員目指してるんだ。」
他にも久々に会う人たちと
近況を報告をしながら、
楽しく飲んでいた。
そのとき、僕は耳を疑って
しまう会話を聞いてしまった。
「青彩って覚えてるか?」
「あんまり覚えてないな~」
女子たちが僕の後ろで話している。
「うちの母親から聞いちゃったんだけど、白血病になったらしいよ」
一瞬にして、僕は
この世界が真っ暗になってしまった。
飲み会で賑わう会話も
楽しく飲み合う友人たちも
街のイルミネーションのように
感情を持たない"何か"になった。
「ちょっと飲み過ぎたみたい。具合が悪くなってきたから先に帰るわ。すまん」
「大丈夫かよ?わかった」
紫藤は何もかも悟ったように
僕の肩を支えながら、見送ってくれた。
僕は、最後に青彩を引き留めたときの
表情が鮮明に目の前に浮かんだ。
「だから、だったのか…」
その表情は笑っているのに
心の奥底では1人では抱えきれない
悲しみと辛さが見え隠れしていた。
その笑顔を消したくない
見失いたくない
そして、もう一度会いたい。
僕は無我夢中に走っていた。
力を出し尽くし、
地に向かって休息するように
落ちている。
逆に街はイルミネーションで
彩り輝いていた。
でも、その彩りは生命が宿る
色とは違って、表情がない人形を
見ているようだった。
大学の中でも
今年のクリスマスは
どうするのか?という
話題で賑わっていた。
僕は久々に地元に帰って
クリスマスを迎える予定だ。
彼女と過ごすことはなく
彼女を持たない男子たちが集まる
飲み会に参加する。
クリスマスとは到底思えない。
幹事をする紫藤(しとう)に
「参加予定」と
LINEを送り、新幹線で帰宅している。
僕は久々に帰る地元に
少しのワクワクと
どこか寂しいような想いがあった。
クリスマス当日。
地元の駅前の
居酒屋に向かった。
行ってみると
予想以上の人たちが集まっていた。
その中には、彼氏がいない
女子も含まれていて
中学時代に話したことがない
人ばかりであった。
そこに青彩の姿はもちろんない。
「久々だなー、佐助ー!」
「久しぶり!」
幹事の紫藤が声をかけてくれた。
「今何してんだ?」
「東京の大学に行ってるよ。紫藤は?」
「俺は地元で公務員の専門に通ってるよ!」
「へぇ、公務員目指してるんだ。」
他にも久々に会う人たちと
近況を報告をしながら、
楽しく飲んでいた。
そのとき、僕は耳を疑って
しまう会話を聞いてしまった。
「青彩って覚えてるか?」
「あんまり覚えてないな~」
女子たちが僕の後ろで話している。
「うちの母親から聞いちゃったんだけど、白血病になったらしいよ」
一瞬にして、僕は
この世界が真っ暗になってしまった。
飲み会で賑わう会話も
楽しく飲み合う友人たちも
街のイルミネーションのように
感情を持たない"何か"になった。
「ちょっと飲み過ぎたみたい。具合が悪くなってきたから先に帰るわ。すまん」
「大丈夫かよ?わかった」
紫藤は何もかも悟ったように
僕の肩を支えながら、見送ってくれた。
僕は、最後に青彩を引き留めたときの
表情が鮮明に目の前に浮かんだ。
「だから、だったのか…」
その表情は笑っているのに
心の奥底では1人では抱えきれない
悲しみと辛さが見え隠れしていた。
その笑顔を消したくない
見失いたくない
そして、もう一度会いたい。
僕は無我夢中に走っていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる