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蒼の皇国 編
平和の象徴
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時間はほんの少しだけ遡る。
アオに敗北したアイリスは2,3分で目を覚ました。すると、アイリスはコウイチの膝の上に対面で座り、両腕を首に回して抱き付いて来たのだった。
突然の行動にコウイチは対応に戸惑いあたふたとする。
「こ、これはあれですよね? アイリスからの行動なので警察案件ではありませんよね?」
「…………」
アオは汚物を見るような目で見降ろしていた。
そんな目で見ないでくださいと切に願うコウイチを余所に、アイリスは頬ずりをするように突き立てのお餅のような柔らかな頬っぺたを擦り付けて来る。
甘い香りが鼻腔をくすぐってくる。
可愛い幼女に抱き着かれ、周囲には警察さんがおらず、正の感情を与えることを推奨する一派しかいない状況で、更に普段は可愛い女の子達に囲まれながらも我慢しているコウイチが我慢できるはずもなく……コウイチはアイリスの背中に腕を回して優しく抱きしめた。
ドキドキという心臓の鼓動が嫌でもアイリスに伝わってしまう。しかしそれはアイリスも同様のようで、彼女からも高く速い心臓の鼓動が返ってくる。
「さて状況が一段落したところで説明を始めてもよいか?」
白龍皇が今の状況がさも当たり前かのように話を進めていいか首を傾げくる。
何このジジイ。無駄に長く生きすぎて感情が耄碌してるんじゃないでしょうか?
「まあ、ダメだと言われても時間がない故に説明するのだがな」
ふぉっふぉふぉ、とわざとらしく笑いながら白龍皇が説明を始める。
何の説明かというと……なんだったっけか?
「あの鉄の塊――理想郷アヴァロンが落ちる意味だな」
「あーそれそれ!」
「……絶対忘れてた」
アオの冷たい視線が突き刺さる。
「アヴァロンはあんた達との契約を果たしたから破壊しないはずだろ?」
「その認識が間違っている。一年半前、あの時点でアヴァロンはいつ落ちてもおかしくない状況であった。それ故に落ちる前に対処を行おうと襲撃を行った。その結果は知っての通りだ」
「あんたが俺に課題を与えた」
「その通りだ」
「でも、さっきも言ったけど、契約を果たしたことになってるんだからアヴァロンは破壊しないんだろ?」
「あの時点での破壊行為はだ。落ちるのなら話は異なる。あれが落ちれはどうなるか、其方も聞いておるであろう?」
「たしか……広範囲が放射能で汚染されて数十年だか数百年は使い物にならなくなる」
「環境の部分で言えばその通りだ。だが、アヴァロンが落ちることにはもう一つ別の意味がある。しかし、それを話していると時間が足りんのでな……少し情報量はあるが記憶にそのまま送り込むぞ」
そう言うと白龍皇の指先から小さな白い光の球がふわふわと飛んで来て、コウイチの額に当たると弾けて消えた。
その瞬間、コウイチの頭には膨大とも思える量の情報が雪崩れ込み、一瞬気を失いかけた。
「――っ!? って、死ぬわ!?」
「少し情報量が多かったか……すまないことをした。だが、これで理解出来たであろう? アヴァロンが落ちてはいけない意味を」
「……ああ」
アヴァロンの始まりは約300年前。
一人の転移者の少年が中心となった団体が作り出したものだ。
その頃の世界は資源や領地の奪い合いの戦争に明け暮れていた。
日常的に命が奪われる世界。
命の価値がスープ一杯以下の世界。
彼は世界から争いを無くし平和な世の中を作ると決意し、最初はたった一人で世界に挑んだ。
転移者故に……彼はチート染みた力の数々を振りかざして多くの戦争に介入しては力で終結させていった。
しかし、それでも世界から戦争が無くなることは無かった。
いつしか彼は世界から人類がいなくなれば世界は平和になるのではないかと考えるようになっていた。
そんな折、彼に戦争をなくし平和な世の中を作るという想いに賛同する者達が現れた。
それがタマモ、ミドガルズオルム、ウロボロスの三人だった。
四人は力を合わせて世界に戦争の終結を和平を呼び掛けた。
だが賛同するものは多くはいなかった。
悩んだ結果、四人は世界の平和の象徴を作ることにした。
そして作られたのが空中都市アヴァロン。
空中都市アヴァロンは独立国家として名乗りを上げ世界に宣戦布告を行い、国と言う体を成して武力を振りかざすことで世界の国々を交渉のテーブルに付かせた。
チート能力満載の少年と霊長類最強種の三匹に睨まれた各国は条件付きで和平条約にサインを行った。
その条件が”空中都市アヴァロンが空にある限り、あらゆる戦争や紛争を行わない”というものだ。
アヴァロンが落ちる=世界中で戦争が勃発する可能性がある。
「ていうか、なんつー力技で世界を平和にしてんだよ……」
「しかし、それ以外で平和なんぞ実現はせん」
「だって俺たちの世界じゃ――」
「戦争が無いと? 力を持たぬものがいないと?」
「いや、何でもない」
コウイチのいた元々の世界でも戦争はある。大きな戦争こそ今はなくとも世界を探せば紛争地域は存在している。それに国家間での戦争が起きていないのも核兵器という抗いようのない力があるからだ。それは使っていけない力ではあるが。
形は違えどもタマモ達は同じことをやっただけに過ぎない。
「質問を変える。あんた達は世界に戦争をさせたいのか? そんなことをしたら逆に環境破壊が進むんじゃないのか?」
「戦争をさせたいというのは過ちではあるが、環境破壊に関して言えば戦争をしてくれた方が人類の人口が減る。つまり、星を汚す者が減るのは歓迎というわけだな」
空中都市アヴァロンは存在しない方が三皇にとって都合がよいということなのだろう。
「しかしだ。勘違いはしてくれるなよ、少年。ワシらは別に大量殺戮を求めている訳ではない。其方の存在があるからこそ、あの鉄の塊には希望は残してある」
「希望?」
コウイチが首を傾げるとアイリスがぎゅっと強く抱き着き、耳元で「ごめんなさい」と小さな声で呟いた。
白龍皇が目を伏せる。
「動力が起動するまでに40分。それを捻り出すにはあと二つ、あの鉄の塊を物理的に支えられる存在があればいい。その一番簡単に手に入れられるピースはここにある」
アヴァロンを物理的に支えられる存在。
ああ、とコウイチは合点がいった。
「俺は二人を誘き出す為のエサだったのか」
「そういうことだ。夜天とハクであれば十二分の役割になる。だが、其方らは派閥が異なるから容易にアヴァロンの問題に介入してはならんのだ」
「派閥が異なるって? 共存とか殲滅とかいうあれのことだよな? 俺、何処にも入っていないと思うんだけど……」
いや、と白龍皇が首を横に振って否定する。
「其方やハクは、世間的には”傍観派”と認識されている」
「そんなつもりは……」
ない、と言いかけたところで、アイリスがまだ「ごめんなさい」と謝るのだった。
「どうしたんだ、アイリス。別にお前が悪い訳じゃないだろ?」
アイリスは首を横に振る。
「違うの。私のせいなの」
「え?」
「私が……傍観派の王様だったクロの力を受け継いだ”夜天”だから……だから、私の周りで派閥に入ってない人はみんな傍観派だって思われちゃってるの」
想像もしたことなかった事実にコウイチはつい唖然としてしまう。
アイリスの身体が急に震えだす。
「アイリス、いつから知ってたんだ?」
「……一緒に、暮らし始めた時から」
そんなことを教えるのは恐らくアオかレナーテだろう。
立場上、アイリスの教育方針に関してコウイチは何も言えない。子供を育てたことは愚か、彼女は生物ではなく精霊なのだ。勝手も違う。
でも、心は小さな女の子なのだ。
「ずっと一人で抱え込んでたのか」
「……ごめんなさい」
震えるアイリスの頭を撫でる。
「爺さん、因みに俺たちがアヴァロンの問題に介入したらどうなるんだ?」
「派閥という存在が崩壊する。その結果、今まで上に居る者の圧倒的な存在で抑え込まれていた者達が暴れ出す。人間共の戦争とは比較にならん大問題に発展するだろうな」
天秤に掛けるまでもなかった。
コウイチには程度はわからない。でも、恐らくはメギド・レナーテとの戦争……あんな感じの争いが世界各地で勃発するということだろう。
「アイリス、ごめんな。俺の方こそ気づいてやれなくって」
「ううん、コウイチは悪くないよ」
「俺のせいだよ」
元々、黒剣:夜天を作ってしまったのはコウイチだ。
その責任は全てコウイチにある。
アイリスがこんな状態になってしまった時に心に決めていたが、今、更にコウイチはアイリスのことを生涯支えて行こうと決めたのだった。
「もう一つ、隠してることも話してしまう」
おもむろにアオが檻の中にプリンを一つ置きながらアイリスを睨みつけた。
アイリスの身体がビクンっと強く跳ねた。
「むしろ、私はそっちを話せと言ったはず」
「……話さないとダメ?」
「ダメ、絶対、今すぐ。紅いのに出来るだけ時間を引き延ばすように言っておいたけど、あと5分くらい。さっさと話してしまう」
「……うぅぅぅ」
「お前が言わないなら私が――」
「あーあー、もう!? 自分で言うから、アオお姉ちゃんは黙って!?」
アイリスが顔を真っ赤にして叫ぶとコウイチの胸に顔を埋めた。
そして、「あのね」と言葉を頭に付けてぽつりぽつり話し始めるのだった。
アオに敗北したアイリスは2,3分で目を覚ました。すると、アイリスはコウイチの膝の上に対面で座り、両腕を首に回して抱き付いて来たのだった。
突然の行動にコウイチは対応に戸惑いあたふたとする。
「こ、これはあれですよね? アイリスからの行動なので警察案件ではありませんよね?」
「…………」
アオは汚物を見るような目で見降ろしていた。
そんな目で見ないでくださいと切に願うコウイチを余所に、アイリスは頬ずりをするように突き立てのお餅のような柔らかな頬っぺたを擦り付けて来る。
甘い香りが鼻腔をくすぐってくる。
可愛い幼女に抱き着かれ、周囲には警察さんがおらず、正の感情を与えることを推奨する一派しかいない状況で、更に普段は可愛い女の子達に囲まれながらも我慢しているコウイチが我慢できるはずもなく……コウイチはアイリスの背中に腕を回して優しく抱きしめた。
ドキドキという心臓の鼓動が嫌でもアイリスに伝わってしまう。しかしそれはアイリスも同様のようで、彼女からも高く速い心臓の鼓動が返ってくる。
「さて状況が一段落したところで説明を始めてもよいか?」
白龍皇が今の状況がさも当たり前かのように話を進めていいか首を傾げくる。
何このジジイ。無駄に長く生きすぎて感情が耄碌してるんじゃないでしょうか?
「まあ、ダメだと言われても時間がない故に説明するのだがな」
ふぉっふぉふぉ、とわざとらしく笑いながら白龍皇が説明を始める。
何の説明かというと……なんだったっけか?
「あの鉄の塊――理想郷アヴァロンが落ちる意味だな」
「あーそれそれ!」
「……絶対忘れてた」
アオの冷たい視線が突き刺さる。
「アヴァロンはあんた達との契約を果たしたから破壊しないはずだろ?」
「その認識が間違っている。一年半前、あの時点でアヴァロンはいつ落ちてもおかしくない状況であった。それ故に落ちる前に対処を行おうと襲撃を行った。その結果は知っての通りだ」
「あんたが俺に課題を与えた」
「その通りだ」
「でも、さっきも言ったけど、契約を果たしたことになってるんだからアヴァロンは破壊しないんだろ?」
「あの時点での破壊行為はだ。落ちるのなら話は異なる。あれが落ちれはどうなるか、其方も聞いておるであろう?」
「たしか……広範囲が放射能で汚染されて数十年だか数百年は使い物にならなくなる」
「環境の部分で言えばその通りだ。だが、アヴァロンが落ちることにはもう一つ別の意味がある。しかし、それを話していると時間が足りんのでな……少し情報量はあるが記憶にそのまま送り込むぞ」
そう言うと白龍皇の指先から小さな白い光の球がふわふわと飛んで来て、コウイチの額に当たると弾けて消えた。
その瞬間、コウイチの頭には膨大とも思える量の情報が雪崩れ込み、一瞬気を失いかけた。
「――っ!? って、死ぬわ!?」
「少し情報量が多かったか……すまないことをした。だが、これで理解出来たであろう? アヴァロンが落ちてはいけない意味を」
「……ああ」
アヴァロンの始まりは約300年前。
一人の転移者の少年が中心となった団体が作り出したものだ。
その頃の世界は資源や領地の奪い合いの戦争に明け暮れていた。
日常的に命が奪われる世界。
命の価値がスープ一杯以下の世界。
彼は世界から争いを無くし平和な世の中を作ると決意し、最初はたった一人で世界に挑んだ。
転移者故に……彼はチート染みた力の数々を振りかざして多くの戦争に介入しては力で終結させていった。
しかし、それでも世界から戦争が無くなることは無かった。
いつしか彼は世界から人類がいなくなれば世界は平和になるのではないかと考えるようになっていた。
そんな折、彼に戦争をなくし平和な世の中を作るという想いに賛同する者達が現れた。
それがタマモ、ミドガルズオルム、ウロボロスの三人だった。
四人は力を合わせて世界に戦争の終結を和平を呼び掛けた。
だが賛同するものは多くはいなかった。
悩んだ結果、四人は世界の平和の象徴を作ることにした。
そして作られたのが空中都市アヴァロン。
空中都市アヴァロンは独立国家として名乗りを上げ世界に宣戦布告を行い、国と言う体を成して武力を振りかざすことで世界の国々を交渉のテーブルに付かせた。
チート能力満載の少年と霊長類最強種の三匹に睨まれた各国は条件付きで和平条約にサインを行った。
その条件が”空中都市アヴァロンが空にある限り、あらゆる戦争や紛争を行わない”というものだ。
アヴァロンが落ちる=世界中で戦争が勃発する可能性がある。
「ていうか、なんつー力技で世界を平和にしてんだよ……」
「しかし、それ以外で平和なんぞ実現はせん」
「だって俺たちの世界じゃ――」
「戦争が無いと? 力を持たぬものがいないと?」
「いや、何でもない」
コウイチのいた元々の世界でも戦争はある。大きな戦争こそ今はなくとも世界を探せば紛争地域は存在している。それに国家間での戦争が起きていないのも核兵器という抗いようのない力があるからだ。それは使っていけない力ではあるが。
形は違えどもタマモ達は同じことをやっただけに過ぎない。
「質問を変える。あんた達は世界に戦争をさせたいのか? そんなことをしたら逆に環境破壊が進むんじゃないのか?」
「戦争をさせたいというのは過ちではあるが、環境破壊に関して言えば戦争をしてくれた方が人類の人口が減る。つまり、星を汚す者が減るのは歓迎というわけだな」
空中都市アヴァロンは存在しない方が三皇にとって都合がよいということなのだろう。
「しかしだ。勘違いはしてくれるなよ、少年。ワシらは別に大量殺戮を求めている訳ではない。其方の存在があるからこそ、あの鉄の塊には希望は残してある」
「希望?」
コウイチが首を傾げるとアイリスがぎゅっと強く抱き着き、耳元で「ごめんなさい」と小さな声で呟いた。
白龍皇が目を伏せる。
「動力が起動するまでに40分。それを捻り出すにはあと二つ、あの鉄の塊を物理的に支えられる存在があればいい。その一番簡単に手に入れられるピースはここにある」
アヴァロンを物理的に支えられる存在。
ああ、とコウイチは合点がいった。
「俺は二人を誘き出す為のエサだったのか」
「そういうことだ。夜天とハクであれば十二分の役割になる。だが、其方らは派閥が異なるから容易にアヴァロンの問題に介入してはならんのだ」
「派閥が異なるって? 共存とか殲滅とかいうあれのことだよな? 俺、何処にも入っていないと思うんだけど……」
いや、と白龍皇が首を横に振って否定する。
「其方やハクは、世間的には”傍観派”と認識されている」
「そんなつもりは……」
ない、と言いかけたところで、アイリスがまだ「ごめんなさい」と謝るのだった。
「どうしたんだ、アイリス。別にお前が悪い訳じゃないだろ?」
アイリスは首を横に振る。
「違うの。私のせいなの」
「え?」
「私が……傍観派の王様だったクロの力を受け継いだ”夜天”だから……だから、私の周りで派閥に入ってない人はみんな傍観派だって思われちゃってるの」
想像もしたことなかった事実にコウイチはつい唖然としてしまう。
アイリスの身体が急に震えだす。
「アイリス、いつから知ってたんだ?」
「……一緒に、暮らし始めた時から」
そんなことを教えるのは恐らくアオかレナーテだろう。
立場上、アイリスの教育方針に関してコウイチは何も言えない。子供を育てたことは愚か、彼女は生物ではなく精霊なのだ。勝手も違う。
でも、心は小さな女の子なのだ。
「ずっと一人で抱え込んでたのか」
「……ごめんなさい」
震えるアイリスの頭を撫でる。
「爺さん、因みに俺たちがアヴァロンの問題に介入したらどうなるんだ?」
「派閥という存在が崩壊する。その結果、今まで上に居る者の圧倒的な存在で抑え込まれていた者達が暴れ出す。人間共の戦争とは比較にならん大問題に発展するだろうな」
天秤に掛けるまでもなかった。
コウイチには程度はわからない。でも、恐らくはメギド・レナーテとの戦争……あんな感じの争いが世界各地で勃発するということだろう。
「アイリス、ごめんな。俺の方こそ気づいてやれなくって」
「ううん、コウイチは悪くないよ」
「俺のせいだよ」
元々、黒剣:夜天を作ってしまったのはコウイチだ。
その責任は全てコウイチにある。
アイリスがこんな状態になってしまった時に心に決めていたが、今、更にコウイチはアイリスのことを生涯支えて行こうと決めたのだった。
「もう一つ、隠してることも話してしまう」
おもむろにアオが檻の中にプリンを一つ置きながらアイリスを睨みつけた。
アイリスの身体がビクンっと強く跳ねた。
「むしろ、私はそっちを話せと言ったはず」
「……話さないとダメ?」
「ダメ、絶対、今すぐ。紅いのに出来るだけ時間を引き延ばすように言っておいたけど、あと5分くらい。さっさと話してしまう」
「……うぅぅぅ」
「お前が言わないなら私が――」
「あーあー、もう!? 自分で言うから、アオお姉ちゃんは黙って!?」
アイリスが顔を真っ赤にして叫ぶとコウイチの胸に顔を埋めた。
そして、「あのね」と言葉を頭に付けてぽつりぽつり話し始めるのだった。
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