【完結】痴漢希望の匿名くん

にのまえ

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 ニットの裾を口に押し込まれると、当然だが腹部が丸出しになった。チラチラと乳首まで覗いているのが汚れたガラスに映っている。東塔の薄い唇が耳に近づくのまで見えたのに、秋人は逃げることも避けることもせずにただ背中を震わせた。

「三十二分の電車で、階段から一番遠い痴漢定番の車両って、何から何までしっかり指定して。あの掲示板を見てるみんな、ガチの痴漢希望者だって全員ちんぽイライラさせながらこの電車に乗ってきたんだよ。わかってる? 変態大学生の困った趣味に、痴漢されたい変態趣味に、危機管理できる大人は付き合えないの。秋人くんのこと、困った子だなってみんな見てるよ」
「んっ♡♡ ンっ♡♡ ほんな、おと、ぉ、お……っ♡♡♡」
「ガラス見てみなよ。みんなと目が合うよ。あのいやらしい書き込みはこの子なのかって、大人みんなムラムラしてるよ」
「っふ、う……っ♡♡♡ ……ッ、んんっ♡♡」

(っ本当に、目が合う、見られてる……ッ♡♡♡ 誰も顔逸らさないし、ぜっ、絶対、先輩の言う通りだ……っ♡♡ 俺の書き込み知ってるんだ……ッ♡♡ やっ、やばい、やばい、やばい……ッ♡♡♡ ザーメン全部絞られたいこともっ♡♡ メスイキ大好きな未成年だってこともっ♡♡ ちっ、痴漢妄想で毎日オナニーしてることもっ♡♡♡ みんなに知られてるっ♡♡♡ みんな知ってる中で、っ、ま、まんこ、いじられてる……ッ♡♡♡ ……おっ♡♡ おっ♡♡ おっ♡♡♡ 激し……ッ♡♡♡ これ絶対……ッ♡♡ おっ、音、響いてる……っ♡♡ ぐちょぐちょ音聞かれてる……っ♡♡♡ 違、きっ、聞かせてるっ♡♡♡ 何されてるかっ♡ どれだけ激しくされてるかっ♡ 俺のまんこがどうなってるか先輩みんなに聞かせてる……っ♡♡♡ んおっ♡♡ おッ♡♡ おッ♡♡ んおッ♡♡ 電車の中でっ♡♡ ちんぽ出してっ♡♡ メス穴いっく……ッ♡♡♡ いぐっ♡♡ いぐっ♡♡ いぐっ♡♡ いっぐッ♡♡♡ んっおぉおお……ッ♡♡♡ 乳首捏ね、まで、ぇ♡♡♡ 見えてるっ♡♡♡ 俺のメス乳首ぴちぴち弾かれてるの絶対見えてるっ♡♡♡ おっ♡♡ おっ♡♡ おぉおおッ♡♡♡ 放置ちんぽ、びくびくして、っこれ、これいっぐぅ……ッ♡♡♡ 乳首と穴でいぐっ♡ こんなんメス、俺本当にメス、ぅッ♡♡♡ あ~~~イッグ♡♡♡ イグッ♡♡ イグッ♡♡ イッグぅッ♡♡♡ 痴漢イグッ♡♡♡ 痴漢でイグッ♡♡♡ 満員電車で丸出しにしたちんぽイッグ、ぅ、ううッ♡♡♡)

 再びの仰け反り姿勢で、秋人はゴムの中に吐精した。その間も前立線を押しつぶすように捏ねられ、指に合わせて少ない精液がゴムの中に飛ぶ。
 ガクガク震えて、仰け反って、全身硬くして腰を震わせて。誰にだって絶頂したとわかるだろうに、彼の指は止まらない。
 当たり前だ。ザーメン全部絞られるまで責められたいと、書いたのは他ならぬ秋人だった。

「っほ、ぉ、おッ♡♡♡」
「……まんこくん♡」
「ふぁ、ああ……ッ♡♡♡」

 蕩けた声が出てしまったのは甘い声のせいなのか耳に吹きかけられた息のせいなのか、それとも、人格を無視したその呼び名のせいなのか。
 そんな卑猥な言葉、頭では思い浮かべても口に出したことなんてなかった。けれど囁かれ、お前のことだとばかりに中を掻き回されると、熱いほどの内壁が相手の指に絡んでしまう。萎えかけている勃起がぴくぴくと跳ねた。

 その様子に笑いながら、相手は低く尋ねてくる。

「まんこくんみたいな真面目な子、なんで痴漢されたいの? 触ってもらうためにこの沿線を選んだの?」
「違っ、お、おっ♡♡ おッ♡♡ ちが、ぅ、う♡♡ 痴漢、っ、路線って、しらっ、なくてっ♡♡ 何も知らなっ、あっ、おッ♡♡ なんでっ♡ 勃たな、気持ちい、っ、んぉおお……っ♡♡」
「は?いまさら清純ぶっても遅いよ、このマゾまんこ」
「ちっ、ちがうっ♡♡♡ ちがいますっ、違います、ぅう~~ッ♡♡♡」

 ふと遠く咳払いが聞こえる。カメラのシャッター音を誤魔化すようなわざとらしい咳き込みだと感じたが、それは撮られたい秋人の妄想かもしれない。
 秋人は吐き出したニットの裾を伸ばし股間を隠しながら小声で続ける。

「上京して、きょうみ……っ♡♡ そういうの、しっ、知って、されたいって、ずっと、ずっとぉ……♡♡♡」
「ずっとオナニーしてた? 素朴で真面目な大学生しながら、まんこくん、家では痴漢妄想オナニーしてたの?」
「っして、してましたっ! してた、ぁ、あああっ♡♡ そっ、その呼び方、やだ、やっ、やめてください……っ♡♡♡」

 痴漢が多いと聞き、十代の想像と性欲が煽られてしまった。毎日乗る路線だ。噂話すら生々しく、やがてこの身にも起こってほしいと願うようになった。
 東塔は笑い、「駄目だよ」と優しい声で言う。

「本名呼ばれたい? どこの大学の何年生か、みんなに知られたい?」
「や、やだっ♡♡ やだっ♡♡♡」
「うん。だから仕方ないよね。それに……この穴。まんこくんのことなんて知らない、ただ穴にしか興味のない知らない人に痴漢されたと思って喜んでた。まんこくん、人格じゃなくてこのまんこのこと可愛がられたかったんだよね?」
「っそ、そんな、こと、ぉ……ッ♡♡♡」
「知らない人に痴漢されたかったんでしょう? 名前も年齢も知らないまま、匿名で、このエロ穴、いじらせるつもりだったんでしょう?」

 そんなこと考えていなかった。身元を知らせるなんて思ったこともなかったが、同じように、知らせないことに特別な理由も意味もなかった。
 けれど前立腺をこすりながら指でピストンされると、口に出したこともない卑語で呼ばれると、段々頭が染まってしまう。みんなが頼る立派な部長。インターンでほとんど社会人のように働いている大人びた先輩。彼の言う通りだと思ってしまう。

「っふ、ぅ、う……っ♡♡ ぁ、……っお、おッ♡♡ 勃って、な、なぃ、い♡♡♡ 勃ってない、のに、気持ちい……っ♡♡ そっ、そこ、きもちい……っ♡♡」
「頑張って勃たせて。ほら、ザーメンゴム落とすよ? 電車に痴漢されたマーキングしちゃうよ。押さえて、まんこくん」
「ぅ、う、ん……っ♡♡」
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