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傍らから屈み込むような姿勢で逆手に握ったそれを緩やかに擦る。今までを振り返っても特別変なことはしていないと思ったが、伊勢田の下半身は驚くほど反応し、また本人もらしくなく焦っていた。
刺激する手首を両手で掴み、伊勢田は非難というより戸惑いの目で俺を見上げる。
「なに、っ、なんだよ、妙なやる気を出すなよ! お前こそ、こっ、こういう趣味があったのか!?」
「やる気なんて出してない、……と思う。普通じゃない? 伊勢田だって普段、その、最初のうちは普通に話をするじゃん」
「そりゃ、一緒に暮らしてるんだ、言っておくことを思い出したりするだろ」
「思いついたことを言ってるんだろ。俺だってそうしてるだけだ」
「…………」
「聞き役になるのが初めてだからじゃないか」
「……そ、そうかもしれない……」
主導権を持っていない側はどうしてもされるがままになる。接触にしても会話にしてもだ。今日は逆転しているから戸惑うのだろうと指摘すれば、ピンと来てない顔ながらも伊勢田は頷いた。
止めるようだった手が恐る恐ると退いたので、俺は刺激を再開する。手を伸ばす姿勢がきつく、気付けば額と額で体温を測るように彼の上にかぶさっていた。
「っ、ふう、ふう……♡♡」
「……『オナホ』、って呼んだほうが良い?」
「ッ! お、おい、変なこと言うな……っ♡ う、うぅ……っ♡♡」
「だって……自分でこのシール買ったって言うから。そういうごっこ遊びが好きなのかなって」
「それは……、た、ただの、お前を飽きさせないために、使えるなって持ってきただけの……んっ! ん……っ♡♡ ふ、ふ……♡♡」
「オナホって呼ばれたくない?」
「はあ……ぁ、あ……♡♡ 呼ばれたいやつは、っ、い、いねえ、だろ……ッ♡♡」
それは常識的な答えだったが、彼自ら残した文字を見下ろすと、その常識が遥か彼方に感じられた。
伊勢田のものは燃えるように熱かったが自分の頭だって妙に煮えている。俺は無意識に真っ赤な耳をついばみながら考えた。呼ばれたいやつなんていない。呼ばれたくない。いつもなら素直に飲み込むことに、今日は何だか反発心がこみ上げる。
「……でもオナホじゃん」
「ッ、ん、ん……!」
唇をすべらせるように耳から喉へ移動しながらの呟きは肌に直接響いただろう。うめき声を唇で直に感じながら手を伸ばせば、足の間、いつも俺を締め付けて搾る奥に指が届いた。
伊勢田のそこは普段よりずっと硬い気がしたが、何度も侵入している指だ、入れ方も飲み方もお互い心得ている感じで二本指は容易く入る。陰茎より熱い内部を撫で回しながら俺は続ける。
「そう書いてある。伊勢田のここ、今日は俺のオナホなんでしょ?」
「ぅあ♡♡ うあ♡♡ あ、あっ♡♡ 待て、待てって、ぅあっ、あっ♡♡」
「違うの? 俺以外のオナホ?」
「う~~~っ♡♡」
伊勢田は膝を引き寄せるように軽く丸まり緊張する。俺の指もぎゅうぎゅうと強く締め付けられた。
射精はしていなかったが、弛緩と共に「はあっ」と大きく息をつく伊勢田はまるで絶頂したような雰囲気だ。痙攣のように締め付けてくる内部を優しく優しく撫でながら俺は囁き声で問う。
「……伊勢田? なに?」
「ふう……ふう……っ♡♡ ちょ、っと……イクやつ……っ♡♡ あ、甘イキ……っ♡♡」
「そんなのもあるんだ。それは……射精とは違う? 続けて平気なやつ?」
「ん♡♡ うんっ♡♡ つづッ、続けて、いい、続けて……っ♡♡ あっ♡♡ あっ♡♡ ぅんっ、ん、ん……ッ♡♡♡」
「……甘イキね……。でも、オナホって勝手にイッていいのかな?」
俺は全然サドマゾヒズムに詳しくなくて、それは純粋な疑問だった。ごっこ遊びの役割的に良くないことじゃないのかと。
甘イキというのは軽い絶頂感を思わせる言葉だが、体は全然収まらないようだ。あるいは増幅させるものなのか。伊勢田はいつもより夢中になっている感じで、頭も普段ほど働かないのか、彼は快感に喘ぎながらも慌てた調子で訴えた。
「っごめん! かって、勝手に、うあッうあッ♡♡♡ かっ、勝手にイッた……っ♡♡ ごめんっ♡♡ んんんっ、ん、んお、おお……ッ♡♡」
「……っ」
「俺は本真のオナホ……っ♡♡ 本真だけのオナホなのにっ♡♡ か、勝手にイッたっ♡♡♡ わるい、悪いオナホだった、よ、良くないオナホ……ッ♡♡♡」
「……うん。ちんぽも入れてないのにね」
「うあっあっあっあッ♡♡♡ そこ駄目だそこ、そこ、そこ……ぉ、お……ッ♡♡♡ そこイクところ、お、お……ッ♡♡ そこ簡単にイク、イクとこ、イクとこ……ッ、おぉおお……ッ♡♡♡」
上に乗った彼がいつも狙う場所を押し込むと伊勢田は全身を緊張させて丸まる。膝が胸元に触れそうなほどの姿勢で膝も大きく開いていたので、指を飲み込んでいる場所も濡れた陰茎も全部見えた。
「…………」
刺激する手首を両手で掴み、伊勢田は非難というより戸惑いの目で俺を見上げる。
「なに、っ、なんだよ、妙なやる気を出すなよ! お前こそ、こっ、こういう趣味があったのか!?」
「やる気なんて出してない、……と思う。普通じゃない? 伊勢田だって普段、その、最初のうちは普通に話をするじゃん」
「そりゃ、一緒に暮らしてるんだ、言っておくことを思い出したりするだろ」
「思いついたことを言ってるんだろ。俺だってそうしてるだけだ」
「…………」
「聞き役になるのが初めてだからじゃないか」
「……そ、そうかもしれない……」
主導権を持っていない側はどうしてもされるがままになる。接触にしても会話にしてもだ。今日は逆転しているから戸惑うのだろうと指摘すれば、ピンと来てない顔ながらも伊勢田は頷いた。
止めるようだった手が恐る恐ると退いたので、俺は刺激を再開する。手を伸ばす姿勢がきつく、気付けば額と額で体温を測るように彼の上にかぶさっていた。
「っ、ふう、ふう……♡♡」
「……『オナホ』、って呼んだほうが良い?」
「ッ! お、おい、変なこと言うな……っ♡ う、うぅ……っ♡♡」
「だって……自分でこのシール買ったって言うから。そういうごっこ遊びが好きなのかなって」
「それは……、た、ただの、お前を飽きさせないために、使えるなって持ってきただけの……んっ! ん……っ♡♡ ふ、ふ……♡♡」
「オナホって呼ばれたくない?」
「はあ……ぁ、あ……♡♡ 呼ばれたいやつは、っ、い、いねえ、だろ……ッ♡♡」
それは常識的な答えだったが、彼自ら残した文字を見下ろすと、その常識が遥か彼方に感じられた。
伊勢田のものは燃えるように熱かったが自分の頭だって妙に煮えている。俺は無意識に真っ赤な耳をついばみながら考えた。呼ばれたいやつなんていない。呼ばれたくない。いつもなら素直に飲み込むことに、今日は何だか反発心がこみ上げる。
「……でもオナホじゃん」
「ッ、ん、ん……!」
唇をすべらせるように耳から喉へ移動しながらの呟きは肌に直接響いただろう。うめき声を唇で直に感じながら手を伸ばせば、足の間、いつも俺を締め付けて搾る奥に指が届いた。
伊勢田のそこは普段よりずっと硬い気がしたが、何度も侵入している指だ、入れ方も飲み方もお互い心得ている感じで二本指は容易く入る。陰茎より熱い内部を撫で回しながら俺は続ける。
「そう書いてある。伊勢田のここ、今日は俺のオナホなんでしょ?」
「ぅあ♡♡ うあ♡♡ あ、あっ♡♡ 待て、待てって、ぅあっ、あっ♡♡」
「違うの? 俺以外のオナホ?」
「う~~~っ♡♡」
伊勢田は膝を引き寄せるように軽く丸まり緊張する。俺の指もぎゅうぎゅうと強く締め付けられた。
射精はしていなかったが、弛緩と共に「はあっ」と大きく息をつく伊勢田はまるで絶頂したような雰囲気だ。痙攣のように締め付けてくる内部を優しく優しく撫でながら俺は囁き声で問う。
「……伊勢田? なに?」
「ふう……ふう……っ♡♡ ちょ、っと……イクやつ……っ♡♡ あ、甘イキ……っ♡♡」
「そんなのもあるんだ。それは……射精とは違う? 続けて平気なやつ?」
「ん♡♡ うんっ♡♡ つづッ、続けて、いい、続けて……っ♡♡ あっ♡♡ あっ♡♡ ぅんっ、ん、ん……ッ♡♡♡」
「……甘イキね……。でも、オナホって勝手にイッていいのかな?」
俺は全然サドマゾヒズムに詳しくなくて、それは純粋な疑問だった。ごっこ遊びの役割的に良くないことじゃないのかと。
甘イキというのは軽い絶頂感を思わせる言葉だが、体は全然収まらないようだ。あるいは増幅させるものなのか。伊勢田はいつもより夢中になっている感じで、頭も普段ほど働かないのか、彼は快感に喘ぎながらも慌てた調子で訴えた。
「っごめん! かって、勝手に、うあッうあッ♡♡♡ かっ、勝手にイッた……っ♡♡ ごめんっ♡♡ んんんっ、ん、んお、おお……ッ♡♡」
「……っ」
「俺は本真のオナホ……っ♡♡ 本真だけのオナホなのにっ♡♡ か、勝手にイッたっ♡♡♡ わるい、悪いオナホだった、よ、良くないオナホ……ッ♡♡♡」
「……うん。ちんぽも入れてないのにね」
「うあっあっあっあッ♡♡♡ そこ駄目だそこ、そこ、そこ……ぉ、お……ッ♡♡♡ そこイクところ、お、お……ッ♡♡ そこ簡単にイク、イクとこ、イクとこ……ッ、おぉおお……ッ♡♡♡」
上に乗った彼がいつも狙う場所を押し込むと伊勢田は全身を緊張させて丸まる。膝が胸元に触れそうなほどの姿勢で膝も大きく開いていたので、指を飲み込んでいる場所も濡れた陰茎も全部見えた。
「…………」
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