22 / 25
教えて小谷崎さん2
5*
しおりを挟む デーアは結婚し、デーア・アルメヒティヒとなった。ヴァイスハイトが侯爵家を継いだので、アルメヒティヒ侯爵夫人になる。アンジュはゲニーがオラーケル家の婿養子になりゲニー・オラーケルとなったので、名前は変わらずオラーケル侯爵夫人になった。
ヴァイスハイトは文官になり、新人らしく事務仕事から始め、デーアも外務関連の部署の文官になった。だがある日定期的に行われる討論会で発言する機会があり、ヴァイスハイトはその場で宰相であるブライ侯爵に気に入られ、文官になって一ヶ月で宰相補佐に抜擢される。一方ゲニーは魔法の研究がしたいということで魔法団の第五部署、研究職の部署に就きたかったのだが、師匠である魔法団総帥のレーラー・ムスケルに第三部署の副団長の座が例の王子とその右腕を陥れるための事件で空白になったからなれと言われ、しぶしぶその座に就いた。第三部署は所謂戦いの時の皮切りの部署で、怪我も絶えなく、最悪命も落とす。なので治癒魔法が得意な者を集めた魔法治癒士もその部署に配属される。アンジュは治癒魔法が得意だったので、必然と第三部署に配属され、実質ゲニーの部下になった。
忙しい毎日だったが毎晩のように愛し合っていた二組の夫婦の蜜月は想像よりも甘く、両家の使用人が見てられないと恥ずかしがるほどだった。それは隠居し田舎へ引っ込んだ両親たちにも届いていて、孫が見られるのも早いと期待も必然と高くなっていた。
元々仲の良い四人は、週末各屋敷に交代で集まり食事を共にし、ついでにその日は泊まることになっている。
いつものように食事も終えて、四人だけでリビングルームでお茶を飲んでると、ヴァイスハイトが口を開く。
「これは極秘情報だが、隣国のクリーク帝国が我がエーデルシュタイン王国に攻め入る計画を立ててるらしい」
「それでか。師匠も最近眉間にしわ寄せて各団長たちと会議を重ねてるのは」
納得といったようにゲニーが頷く。
「ってか、極秘情報言っていいの?! ヴィーは仮にも宰相補佐でしょ?!」
アンジュがヴァイスハイトに突っ込み、デーアは心配そうにヴァイスハイトを見つめた。
「ちゃんと許可は取ってある。明日にはデーアの部署にも、ゲニーたちの部署にも通達される予定だ」
何事にも抜かりないヴァイスハイトが失態を犯すわけはなく、デーアは安心し胸を撫でおろす。
とうとう新生活になり三ヶ月が過ぎようとした頃、隣国のクリーク帝国がエーデルシュタイン王国に攻め入ってきた。事前に情報が入っていたエーデルシュタイン王国の応戦の支度は万全だった。魔力が少なく銃や剣など武力に優れているクリーク帝国と、魔力が多く魔法に優れているエーデルシュタイン王国の戦いの勢力は明白で、エーデルシュタイン王国が優勢である。ヴァイスハイトは宰相と共に戦略にあたり、ゲニーは魔法団総帥からの命令で戦いの最前線に出て、軍の指揮をとることになった。
ゲニーの帰りを待つアンジュは心細くなり、デーアのいるアルメヒティヒ家に住まわせてもらうようになった。
「ゲニーが最前線で指揮をとってから怪我人はいるもの、死者は出てないそうよ」
デーアは朝食の席で浮かない顔をしていたアンジュを励ました。愛する夫がいつ命を落とすか分からない状況の妹の心境は手に取るようにわかる。
「うん。ヴィーも被害が少ないような戦略を立ててるって聞いたよ。大丈夫、ゲニーが死ぬわけないよね」
そう言った可愛い妹が何とも辛そうにしていて、デーアは思わずアンジュを抱きしめる。
「そうよ。ゲニーなら大丈夫だわ。それに死んだらアンジュが未亡人になって、もしかしたら家のために再婚するかもしれないわ。ゲニーがそれを許すとは思えないもの。何がなんでも生き延びると思うわ。アンジュに対する執着心は底知れないもの」
「そこは執着より愛情と言って欲しいけど。ふふ、そうね。ゲニーなら死んでも自分に魔法をかけて生き返ってきそう。あと執着心はデーアの愛しの旦那様も底知れないよ? だって戦場から毎日朝晩と手紙が来るんでしょ?」
アンジュはやっと頬を緩まし、姉を揶揄った。
「あら、それはアンジュの愛しの旦那様もじゃなかったかしら? ゲニーの場合小さな花束も手紙につけて送ってくるみたいじゃない。アンジュもその花を毎回押し花にして大切にとってあるんでしょ? 羨ましいわ。ヴィーに見習って欲しいと言おうかしら?」
アンジュに揶揄われ、姉も負けじと目の前の妹を揶揄い返す。
そして二人はふふっと笑い合った。
ヴァイスハイトは文官になり、新人らしく事務仕事から始め、デーアも外務関連の部署の文官になった。だがある日定期的に行われる討論会で発言する機会があり、ヴァイスハイトはその場で宰相であるブライ侯爵に気に入られ、文官になって一ヶ月で宰相補佐に抜擢される。一方ゲニーは魔法の研究がしたいということで魔法団の第五部署、研究職の部署に就きたかったのだが、師匠である魔法団総帥のレーラー・ムスケルに第三部署の副団長の座が例の王子とその右腕を陥れるための事件で空白になったからなれと言われ、しぶしぶその座に就いた。第三部署は所謂戦いの時の皮切りの部署で、怪我も絶えなく、最悪命も落とす。なので治癒魔法が得意な者を集めた魔法治癒士もその部署に配属される。アンジュは治癒魔法が得意だったので、必然と第三部署に配属され、実質ゲニーの部下になった。
忙しい毎日だったが毎晩のように愛し合っていた二組の夫婦の蜜月は想像よりも甘く、両家の使用人が見てられないと恥ずかしがるほどだった。それは隠居し田舎へ引っ込んだ両親たちにも届いていて、孫が見られるのも早いと期待も必然と高くなっていた。
元々仲の良い四人は、週末各屋敷に交代で集まり食事を共にし、ついでにその日は泊まることになっている。
いつものように食事も終えて、四人だけでリビングルームでお茶を飲んでると、ヴァイスハイトが口を開く。
「これは極秘情報だが、隣国のクリーク帝国が我がエーデルシュタイン王国に攻め入る計画を立ててるらしい」
「それでか。師匠も最近眉間にしわ寄せて各団長たちと会議を重ねてるのは」
納得といったようにゲニーが頷く。
「ってか、極秘情報言っていいの?! ヴィーは仮にも宰相補佐でしょ?!」
アンジュがヴァイスハイトに突っ込み、デーアは心配そうにヴァイスハイトを見つめた。
「ちゃんと許可は取ってある。明日にはデーアの部署にも、ゲニーたちの部署にも通達される予定だ」
何事にも抜かりないヴァイスハイトが失態を犯すわけはなく、デーアは安心し胸を撫でおろす。
とうとう新生活になり三ヶ月が過ぎようとした頃、隣国のクリーク帝国がエーデルシュタイン王国に攻め入ってきた。事前に情報が入っていたエーデルシュタイン王国の応戦の支度は万全だった。魔力が少なく銃や剣など武力に優れているクリーク帝国と、魔力が多く魔法に優れているエーデルシュタイン王国の戦いの勢力は明白で、エーデルシュタイン王国が優勢である。ヴァイスハイトは宰相と共に戦略にあたり、ゲニーは魔法団総帥からの命令で戦いの最前線に出て、軍の指揮をとることになった。
ゲニーの帰りを待つアンジュは心細くなり、デーアのいるアルメヒティヒ家に住まわせてもらうようになった。
「ゲニーが最前線で指揮をとってから怪我人はいるもの、死者は出てないそうよ」
デーアは朝食の席で浮かない顔をしていたアンジュを励ました。愛する夫がいつ命を落とすか分からない状況の妹の心境は手に取るようにわかる。
「うん。ヴィーも被害が少ないような戦略を立ててるって聞いたよ。大丈夫、ゲニーが死ぬわけないよね」
そう言った可愛い妹が何とも辛そうにしていて、デーアは思わずアンジュを抱きしめる。
「そうよ。ゲニーなら大丈夫だわ。それに死んだらアンジュが未亡人になって、もしかしたら家のために再婚するかもしれないわ。ゲニーがそれを許すとは思えないもの。何がなんでも生き延びると思うわ。アンジュに対する執着心は底知れないもの」
「そこは執着より愛情と言って欲しいけど。ふふ、そうね。ゲニーなら死んでも自分に魔法をかけて生き返ってきそう。あと執着心はデーアの愛しの旦那様も底知れないよ? だって戦場から毎日朝晩と手紙が来るんでしょ?」
アンジュはやっと頬を緩まし、姉を揶揄った。
「あら、それはアンジュの愛しの旦那様もじゃなかったかしら? ゲニーの場合小さな花束も手紙につけて送ってくるみたいじゃない。アンジュもその花を毎回押し花にして大切にとってあるんでしょ? 羨ましいわ。ヴィーに見習って欲しいと言おうかしら?」
アンジュに揶揄われ、姉も負けじと目の前の妹を揶揄い返す。
そして二人はふふっと笑い合った。
21
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる