18 / 25
教えて小谷崎さん2
1
しおりを挟む
「……知恵熱、どうですか?」
「ち、ちえ、ねつは……」
彼の前で思い出すこともできない醜態を晒した次の日。俺は自室のベッドで弱々しく呟いた。
初めての情報に触れ過ぎた子供が夜に熱を出すよくある現象。自分にはもちろん起こるはずないが、否定の声は小さくなる。
昨夜彼に教えられた行為や感覚はすべて初めてのものだった。脳が処理落ちしただろうと言われたら、まさしくそうだと答えたい。自分の痴態、言動を、知恵熱を出すほどの脳の過処理のせいにしてしまいたい。
「知恵熱は……」
けれど自分でも嘘だとわかる嘘はつけない。言い張る勇気も持てなくて、だから俺は何も言えなかった。
小谷崎さんは無言で俺の額からタオルを取った。彼は氷水にタオルをくぐらせながら言う。
「最初に風邪じゃないって言い出したのは大浦さんなのにな。何でもないから寝てたら治るって。でも、知恵熱でもなんでも、その不調は俺のせいですから」
「そ、それは……」
「大浦さんが失神してからもずっと全裸のまま弄り回して、いかせまくって、連続絶頂で全身ガチガチに緊張させまくったから。ねえ、俺のせいでしょう?」
「っ!! っそ、それは……!」
「俺のせいなので俺が看病する」
責任感のような、優越感のような。断言する小谷崎さんに俺は返す言葉を持たなかった。
湿布式の冷却剤に慣れない俺は、この時代にも濡れたタオルを好んでいた。冷却剤に比べたら冷やすだけなのに手間がかかる。サラリーマンの貴重な週末、一日タオルを絞り続けているというのに額に触れる指は優しい。
小谷崎さんの瞳は優しい。声は優しい。掛け布団越しの胸に触れる手は優しい。
何もかも優しいのに、彼の言葉だけ優しくない。
「とは言えそろそろ、熱下げません?」
「は?」
「アナル開発を再開したら熱が下がると思うんですよ」
「ア……っ!! ア!? っそ、そんなことしません!! 急に何を……!!」
「いや、大浦さん目が覚めた瞬間から弱ってる雰囲だったので言えなかったんですけど、多分これただの発情ですよ?」
発情?
面食らって言葉を失う俺に、ベッド横に座っている小谷崎さんは当たり前といった顔で続ける。
「一晩中弄り回したので全身くたくたで、暑いしだるいしってなれば風邪と誤解するのも仕方ないけど、この発熱はただの興奮状態です。メスイキ覚えさせたくて射精させなかったんで、体が出したいってアピールしてるだけなんですよ。まあ連続ドライで朝方には勃起しなくなってたんで、自覚なくて当然ですけど……。……これはただ射精したいだけなんだって……こうしたら自分でもわかるかな?」
「ぁ、あ……っ♡」
「ち、ちえ、ねつは……」
彼の前で思い出すこともできない醜態を晒した次の日。俺は自室のベッドで弱々しく呟いた。
初めての情報に触れ過ぎた子供が夜に熱を出すよくある現象。自分にはもちろん起こるはずないが、否定の声は小さくなる。
昨夜彼に教えられた行為や感覚はすべて初めてのものだった。脳が処理落ちしただろうと言われたら、まさしくそうだと答えたい。自分の痴態、言動を、知恵熱を出すほどの脳の過処理のせいにしてしまいたい。
「知恵熱は……」
けれど自分でも嘘だとわかる嘘はつけない。言い張る勇気も持てなくて、だから俺は何も言えなかった。
小谷崎さんは無言で俺の額からタオルを取った。彼は氷水にタオルをくぐらせながら言う。
「最初に風邪じゃないって言い出したのは大浦さんなのにな。何でもないから寝てたら治るって。でも、知恵熱でもなんでも、その不調は俺のせいですから」
「そ、それは……」
「大浦さんが失神してからもずっと全裸のまま弄り回して、いかせまくって、連続絶頂で全身ガチガチに緊張させまくったから。ねえ、俺のせいでしょう?」
「っ!! っそ、それは……!」
「俺のせいなので俺が看病する」
責任感のような、優越感のような。断言する小谷崎さんに俺は返す言葉を持たなかった。
湿布式の冷却剤に慣れない俺は、この時代にも濡れたタオルを好んでいた。冷却剤に比べたら冷やすだけなのに手間がかかる。サラリーマンの貴重な週末、一日タオルを絞り続けているというのに額に触れる指は優しい。
小谷崎さんの瞳は優しい。声は優しい。掛け布団越しの胸に触れる手は優しい。
何もかも優しいのに、彼の言葉だけ優しくない。
「とは言えそろそろ、熱下げません?」
「は?」
「アナル開発を再開したら熱が下がると思うんですよ」
「ア……っ!! ア!? っそ、そんなことしません!! 急に何を……!!」
「いや、大浦さん目が覚めた瞬間から弱ってる雰囲だったので言えなかったんですけど、多分これただの発情ですよ?」
発情?
面食らって言葉を失う俺に、ベッド横に座っている小谷崎さんは当たり前といった顔で続ける。
「一晩中弄り回したので全身くたくたで、暑いしだるいしってなれば風邪と誤解するのも仕方ないけど、この発熱はただの興奮状態です。メスイキ覚えさせたくて射精させなかったんで、体が出したいってアピールしてるだけなんですよ。まあ連続ドライで朝方には勃起しなくなってたんで、自覚なくて当然ですけど……。……これはただ射精したいだけなんだって……こうしたら自分でもわかるかな?」
「ぁ、あ……っ♡」
21
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?


【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!


禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる