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変に中身を見ないと、そう示したいのだろうか。共有リビングのソファに座った大浦の隣に、小谷崎は何気ない様子で腰を下ろした。
動画を止め、Wi-Fiの設定画面をいじる手元は早すぎて何をしているのかわからない。見下ろしているとその手が止まり、改めて見上げられる。
大浦は慌てて首を振った。
「いや! そんなことない。大きいんだから大きいねって、天気の話みたいなものだろう。ただ……ほら、俺は気が小さいから。大きいのになって自分で思うんだ。さっきも……ビクついて、その、変だったろう。ごめん」
「ゲイ動画流してる場面に人が来たらビクつきますよ、誰でも」
「……そ、それ、やっぱり男同士の……?」
「え? はい、男ですよ。どっちも」
「そ、そうなのか……」
だろうとは察していたが、他人からお墨付きをもらうといよいよ恥ずかしくなってしまう。
大浦は赤面症の頬を擦った。
「ご、ごめん、赤くなってるだろう。そういう体質で……それにびっくりした。田舎者だから、そういうものって馴染みがなくて」
「俺も地方出身だからわかります。もちろんたくさんいたんでしょうけど、都会ほど大っぴらにはしないから」
「ああ。お、驚いて、それで、……固まった」
「大浦さん、普通のエロ話もしないから」
薄く笑われ、こんな体格ではたかが知れているのに大浦は首を引っ込めるように小さくなった。
性的なものに、少なくとも一般的な男ほどに馴染めない。欲の薄さは都会に出てから生まれたコンプレックスだ。
「……本当に田舎者なんだよ。畑ばっかりで一番歳が近くて五歳下みたいな……だから、あの、あまり……あまり、知識もないし……」
「男でそれって珍しいですね。勝手に覚えちゃうものじゃないですか?」
「か、体に合わなかったっていうか……」
「……駄目だ、ちょっとこれ、一旦開通しちゃった感じですね」
あれこれ話しているうちに、小谷崎は何かを理解したらしい。
面食らう大浦に小谷崎は何かを説明してくれる。共有設定だとか、スマホが許可を出してるだとか、新しいOSなら選べる拒絶設定が古い機種だから使えないだとか。
「データをスマホに送れるし、スマホからもデータを取れる。そういう設定を、大浦さんはいつの間にかオンにしてたみたいです。だから送りつけられた。今それはオフにしましたけど、さっきの動画は『もってるべきもの』って扱いになって毎回ダウンロードするよう通知が来ちゃいます。スマホのアップデート通知みたいに」
「そ、それは困るな……」
「……大浦さん、ちょっと来てくれますか」
「え? う、うん」
動画を止め、Wi-Fiの設定画面をいじる手元は早すぎて何をしているのかわからない。見下ろしているとその手が止まり、改めて見上げられる。
大浦は慌てて首を振った。
「いや! そんなことない。大きいんだから大きいねって、天気の話みたいなものだろう。ただ……ほら、俺は気が小さいから。大きいのになって自分で思うんだ。さっきも……ビクついて、その、変だったろう。ごめん」
「ゲイ動画流してる場面に人が来たらビクつきますよ、誰でも」
「……そ、それ、やっぱり男同士の……?」
「え? はい、男ですよ。どっちも」
「そ、そうなのか……」
だろうとは察していたが、他人からお墨付きをもらうといよいよ恥ずかしくなってしまう。
大浦は赤面症の頬を擦った。
「ご、ごめん、赤くなってるだろう。そういう体質で……それにびっくりした。田舎者だから、そういうものって馴染みがなくて」
「俺も地方出身だからわかります。もちろんたくさんいたんでしょうけど、都会ほど大っぴらにはしないから」
「ああ。お、驚いて、それで、……固まった」
「大浦さん、普通のエロ話もしないから」
薄く笑われ、こんな体格ではたかが知れているのに大浦は首を引っ込めるように小さくなった。
性的なものに、少なくとも一般的な男ほどに馴染めない。欲の薄さは都会に出てから生まれたコンプレックスだ。
「……本当に田舎者なんだよ。畑ばっかりで一番歳が近くて五歳下みたいな……だから、あの、あまり……あまり、知識もないし……」
「男でそれって珍しいですね。勝手に覚えちゃうものじゃないですか?」
「か、体に合わなかったっていうか……」
「……駄目だ、ちょっとこれ、一旦開通しちゃった感じですね」
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面食らう大浦に小谷崎は何かを説明してくれる。共有設定だとか、スマホが許可を出してるだとか、新しいOSなら選べる拒絶設定が古い機種だから使えないだとか。
「データをスマホに送れるし、スマホからもデータを取れる。そういう設定を、大浦さんはいつの間にかオンにしてたみたいです。だから送りつけられた。今それはオフにしましたけど、さっきの動画は『もってるべきもの』って扱いになって毎回ダウンロードするよう通知が来ちゃいます。スマホのアップデート通知みたいに」
「そ、それは困るな……」
「……大浦さん、ちょっと来てくれますか」
「え? う、うん」
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