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希望(3)*
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「久しぶりだから、下手になってたらどうしよう」
「へ……っ、下手に、なってるほうがいいよ。かわいい」
「格好いいと思われたいのに」
「ッ……!」
人肌に馴染んだローションは体を驚かせなかったけれど、会話を交わしていたせいで息を呑んでしまった。
純也は人肌の粘液でその場所を探ろうとするけれど、長いブランクに奥はは拒むような反応を見せた。明良は自分の体だと言うのにもどかしさに首を振ってしまう。
純也は違うことを感じたらしい。彼がそっと明良の顔を覗き込んで問う。
「明良さん、もしかしてここ、ずっと?」
「…………」
何と答えたらいいのだろう。
他人に触れさせてないのはもちろんだ。けれど自分でも慰めようとしなかったのは、どうしても純也の愛撫とくらべてしまうからだった。彼の指じゃない。そう思うと頭が冷えて、一時は男としての処理も放棄していた。
そんなこと言えるはずがない。
「それは……だから……」
誤魔化す言葉を探す明良に、純也は少し上擦った声を被せる。
「明良さんも、もしかして俺のこと」
「…………」
「俺のこと考えて、それで、その、そのせいで逆にできなかった?」
きゅっと口をつぐむが、ノーコメントこそ答えだ。純也は花が咲くように笑んで、明良の胸に額をグリグリとこすりつけた。
「嬉しい。明良さんはずっと、俺のこと待っててくれたんだ」
「じ、自分でしなかっただけだろう!?」
「俺以外は明良さん自身でも嫌だったんだよね? 俺が良かったんだよね?」
「それは……それは……」
いつか。未来のどこかで。そんな風に曖昧に願っていたけれど、会いたかったのは本当だ。
明良はふと暇ができる度、この街に来て本屋やゲームセンターや、純也と歩いた場所をうろついた。それは半分夢に浸るためだったが、もう半分には「もしかして」という卑しい希望を持っていた。再会という希望にはもちろん、またそういう関係を持つことも含まれていた。
「……それは、そう、だけど」
「明良さん……!」
見つめ合うだけで満たされる。ほっとリラックスした隙に、油断している内部にぬめる指が侵入してきた。
「っ、じゅん、くん……!」
息を詰めると同時につい責める声を出してしまう。純也は「ごめんね」と謝罪とキスをしながらも中を探るのをやめなかった。
「ぅ、あ、あ……っん! ぁ、あ……」
その指は明良の性感を覚えていたし、明良の体も、彼のことを覚えていた。かたくなだったその場所は、一瞬の拒絶なんかなかったように彼の愛撫を受け入れる。
「っ、純也、あ、じゅん、じゅんや……っ」
すぐさまとろけた体と声に、三年間清らかだったという純也も煽られたようだった。ジーンズ越しにも存在感を持つものが、時折明良の肌に触れる。
純也が興奮している、という事実が、明良の体をより一層とろかす。
「ふぁ、あ、あ……そこ、そこ……っ好きだ、純也、そこ」
「……ん。全部覚えてるよ」
「あ! あっ、じゅ、じゅんや、あ……っ!」
「へ……っ、下手に、なってるほうがいいよ。かわいい」
「格好いいと思われたいのに」
「ッ……!」
人肌に馴染んだローションは体を驚かせなかったけれど、会話を交わしていたせいで息を呑んでしまった。
純也は人肌の粘液でその場所を探ろうとするけれど、長いブランクに奥はは拒むような反応を見せた。明良は自分の体だと言うのにもどかしさに首を振ってしまう。
純也は違うことを感じたらしい。彼がそっと明良の顔を覗き込んで問う。
「明良さん、もしかしてここ、ずっと?」
「…………」
何と答えたらいいのだろう。
他人に触れさせてないのはもちろんだ。けれど自分でも慰めようとしなかったのは、どうしても純也の愛撫とくらべてしまうからだった。彼の指じゃない。そう思うと頭が冷えて、一時は男としての処理も放棄していた。
そんなこと言えるはずがない。
「それは……だから……」
誤魔化す言葉を探す明良に、純也は少し上擦った声を被せる。
「明良さんも、もしかして俺のこと」
「…………」
「俺のこと考えて、それで、その、そのせいで逆にできなかった?」
きゅっと口をつぐむが、ノーコメントこそ答えだ。純也は花が咲くように笑んで、明良の胸に額をグリグリとこすりつけた。
「嬉しい。明良さんはずっと、俺のこと待っててくれたんだ」
「じ、自分でしなかっただけだろう!?」
「俺以外は明良さん自身でも嫌だったんだよね? 俺が良かったんだよね?」
「それは……それは……」
いつか。未来のどこかで。そんな風に曖昧に願っていたけれど、会いたかったのは本当だ。
明良はふと暇ができる度、この街に来て本屋やゲームセンターや、純也と歩いた場所をうろついた。それは半分夢に浸るためだったが、もう半分には「もしかして」という卑しい希望を持っていた。再会という希望にはもちろん、またそういう関係を持つことも含まれていた。
「……それは、そう、だけど」
「明良さん……!」
見つめ合うだけで満たされる。ほっとリラックスした隙に、油断している内部にぬめる指が侵入してきた。
「っ、じゅん、くん……!」
息を詰めると同時につい責める声を出してしまう。純也は「ごめんね」と謝罪とキスをしながらも中を探るのをやめなかった。
「ぅ、あ、あ……っん! ぁ、あ……」
その指は明良の性感を覚えていたし、明良の体も、彼のことを覚えていた。かたくなだったその場所は、一瞬の拒絶なんかなかったように彼の愛撫を受け入れる。
「っ、純也、あ、じゅん、じゅんや……っ」
すぐさまとろけた体と声に、三年間清らかだったという純也も煽られたようだった。ジーンズ越しにも存在感を持つものが、時折明良の肌に触れる。
純也が興奮している、という事実が、明良の体をより一層とろかす。
「ふぁ、あ、あ……そこ、そこ……っ好きだ、純也、そこ」
「……ん。全部覚えてるよ」
「あ! あっ、じゅ、じゅんや、あ……っ!」
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