【完結】冷酷な悪役令嬢の婚約破棄は終わらない

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アリシアは宮殿の廊下を進みながら、次の動きを慎重に考えていた。外の騒動は彼女の計画の一部であり、それを利用して王子とその周囲の者たちを混乱させる狙いがあった。しかし、その背後にはもっと深い目的があった。

「アリシア様！」

突然、エリザが駆け寄ってきた。その表情には緊張と不安が浮かんでいた。

「予定よりも早く、暴動が始まりました。計画を再調整する必要があります」

アリシアはうなずき、エリザに冷静な声で指示を出した。

「わかった。次の段階に進むわ。東の庭園に向かいなさい。そこで待機している部隊に指示を」

エリザは即座に行動を開始し、アリシアもまた自分の役割を果たすために動き出した。彼女は宮殿内の秘密の通路を利用して、王室の宝物庫へと向かっていた。

宝物庫には、この国の未来を左右する重要なアイテムが保管されていた。それを手に入れることが、アリシアの真の目的だった。王子を毒殺することも、暴動を起こすことも、すべてはこの目的を達成するための手段に過ぎなかった。

アリシアが宝物庫にたどり着くと、厳重な警備が施されていることを確認した。だが、彼女はすでにその対策も講じていた。

「ここで終わるわけにはいかない...」

彼女は心の中でそう誓い、持っていた鍵を慎重に差し込んだ。その瞬間、背後から声が響いた。

「アリシア！」

驚いて振り返ると、そこにはルーカスが立っていた。彼の顔には深い悲しみと怒りが浮かんでいた。

「ルーカス...なぜここに？」

「君がここに来ることは予想していたんだ。もうやめよう、アリシア。このままでは君自身が破滅する」

その言葉にアリシアは一瞬ためらった。しかし、彼女の決意は揺るがなかった。

「ごめんなさい、ルーカス。でも、私はこの国の未来のために、どうしてもこれを手に入れなければならないの」

アリシアは再び鍵を回し始めた。その瞬間、ルーカスが彼女の腕を掴んだ。

「本当にそれが君の望む未来なのか？」

アリシアの瞳に一瞬の涙が浮かんだ。しかし、彼女は冷静さを保ち続けた。

「これは、私の選んだ道。たとえどんな結果になろうとも、私は進むしかないの」

その言葉にルーカスは深いため息をつき、アリシアの手を離した。

「わかった。でも、君が望む未来が本当に正しいかどうか、僕には疑問が残る」

アリシアは微笑みながらも、その瞳には決意が宿っていた。

「ありがとう、ルーカス。あなたの気持ちは分かっているわ。でも、これが私の運命なの」

彼女は鍵を回し、宝物庫の扉を開けた。その中には、国の未来を変える力を持つ秘宝が輝いていた。

「これで全てが変わる...」

アリシアはその秘宝を手に取り、静かに呟いた。その瞬間、彼女の心に新たな決意が生まれた。