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第17話 その子、サイエンティストでございました。
しおりを挟むハァ。やっべ。言葉が見つかんねーよ。んだこれ?人→馬→人馬、次はどうなるのこれ?俺、変なモンスターとかになったりしないよね。体分裂したり、角が生えてきたりしたらもう死ぬしかないじゃん。
「あの~すみません」
「ん~、どったの? 顔をもう少し変えて欲しかった?」
「あっ、違くて、これなんですか?」
「何って……[変態]だよ。アンタ、馬からケンタウロスになれたの。それも、私好みの顔を着けてやったんだから、ちょっとは有り難く、思いなさいよ」
「……。戻してください」
「えっ? なんて?」
「いや、戻して、お願い。僕、馬でいいです。馬がいいです。これは、もう色んな意味で最悪です」
「いやいや、絶対にそっちの方が良いに決まってんじゃん! 喋れるんだよ! 人の言葉がわかるんだよ!」
前々から、人の言葉は理解してたから。ズーーっと聞き取れてたし……。こんなので街を出歩いてみろよ、王国の騎士様に討伐されかねないだろうが……。
「あ~うん。感謝はしている。その心意気というか、でもなんかちょっとテイストが違うっていうか……」
「え~、せっかく私の実験の第一号になる予定だったのにぃ~」
「実験?」
「そっ! 私の新しいスキルを取得するための実験第一号くん! それがお馬さん、アンタです!」
うわぁ。俺、実験の道具だったのかよ。全然女神でもなんでもなかったわこの子。サディスト入ってるわ。
「でも、なんで俺なんか?」
「だって、アンタ独り身っぽかったし、馬がこの世界から一頭ぐらい消えてもいいかなって」
怖っっっわ。この子、完全にマッドサイエンティストのそれじゃん。ナムルのじじいどういう教育してるんだよ。
「あ~うん。そう言うのはよくないぞ。お馬さんだって生きてるんだ、生き物の命は平等! 道徳をもっと学んでほしいなぁ」
「だって、ナム爺が言ってたよ? この世には、ギャルか、美女か、ギャルしか居ないって」
あのくそ亀◯人何を教育してんだよ。
「いいか、とにかくだ! 俺を元に戻してくれないか? 次いでに俺が、ちゃんとした倫理と道徳を教えてやる!」
「えぇ~。わかったよ。そこまで、言うなら……」
中々に素直な子じゃないか。これなら——
「あっ」
「えっ、どうした?」
「無いわ」
「ん? 何が無いんだ?」
「薬、退化薬が無い」
「えっ?」
「あー、申し訳ないけど、このままじゃ戻れないっぽい」
……嘘でしょ?
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