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第16話 進化とはそういうものだろう

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 俺は、小屋から出て来たその子に少し、というかだいぶ見惚れてしまっていた。別にロリではない……がしかしだ。男として、いいや馬として、一回でいいからJkを馬乗りさせてあげたいという、そんな願望があるだろう。さあ、乗って来てくれ。乗ってください、お願いします。

 絶対に君を楽しませる自信がある。俺と、一緒に風にならないか?俺はその子に熱い視線を送った。

「ねぇ、ナムじい。あの馬は何?」

「おう。忘れとったわい。どうやら、ワシの魔法陣にお馬さんが引っ掛かったちまったみてぇでな」

「へぇ。じゃあ、あの黒馬は1匹だけなんだ。こんな、辺境の土地に……家族も無しか。なるほど」

 なんて、良い子なんだ!俺の事を気遣ってくれてるのか、そんな、見ず知らずの馬に優しいなんて……。

「じゃあ。そうだね。うん、決めた。そこの馬、ちょっと小屋の中に来てよ」
「ブルッ、ヒヒーーーーーーン(はいいい! 馬場がただいま参ります!)」

 俺は颯爽とかけて、ジャンプが足りずに湖へと落ちた。バシャーーンと水飛沫が舞っているであろう。ヤベェ、この湖深い!助けて、溺れ死ぬ!水中でもがくが、どうやら馬は泳げない。四本足が絡まりあって、すごい事になってる。ヤベェ。

「もう。しょうがないな。[ウインドインパクト]!」

 彼女が何やら水面で叫んだ瞬間に、水が全部空中に吹っ飛び、俺は湖のそこに脚をつけた。なんだこれは?湖の水が全て空中に浮いている。

「お馬さん、今だから、お家に入って来てよ。これ、浮かしとくの結構大変だし、重いから」

 すぐ様湖から、外に出て、ちゃんとした小屋のある陸地に着地した。

「リリース」

 ——瞬間だった。空中の水が全部、湖に戻っていき、元どおりになる。このJKやんべぇ。

「ヒーーン(ありがとうございますぅ♡)」

 俺は、すがる様にJKに体を寄せたんだが、少し嫌がられた気がする……。

「まっ、中に入りなよ」
「ブルッフウ(了解!)」

 小屋の中は、まあシンプルな家みたいな感じで、ハンモックとかを除けば、机、ベッド、タンスとか、鏡だな。あとは、色んな本とか、試験管とか、薬品っぽいのが棚にズラリ。

「私、今さあ。ちょっと新しいスキルの練習しててさ。その名も[変態メタモルフォーゼ]」
「ヒンッ?(ん? どういう事だ?)」
「あーその、つまり! あなたは今お馬さんだから、私好みのイケメンなお兄さんに変態させてあげるの!」
「……」

 神来たぁぁぁぁ!!この子は女神か?ありがとう、俺、もう馬やだったんです!さいっこうだぜぇぇ。やっとスローライフで自分の村とか色々と作れる!

「ヒヒン!(お願いします!)」

 俺は、丁寧に頭を下げて、目線で懇願した。

「ウンウン。まだ、試作段階だけど、ちょっとやってみようよ♡。じゃあ、そこの紫色の液体のんで」

 これかな?机の上にコップとその中に、紫色のジュース……。ちょい毒々しいが関係ない、ええい!俺はついばむ感じでコップの中の液体を空にした。

「よっし、じゃあ行くよ!スキル発動![変態メタモルフォーゼ]」

 怪しい光に包まれ、俺は目を瞑った。何やら、体が変化していってる。これはすごい。

「ヒヒーーン(うおおおおおおっ!)」
____________________________




「オッケー! 終わったよ! 鏡、見てご覧」
「ひひん。あれ?俺、喋れてる?喋ってる! 人だ、人になったんだ! やったあ!!」

 俺は、鏡で自分の姿をチェックした。

 これは、イケメンだ。黒髪のサラサラしてる短髪に、くっきり二重、まつげも長くて、顔はアンニュイな感じだろうか?肌も白くて、好青年になってる。完璧だ。体も、あれ、上半身裸!あっでも体つきも申し分ないな。

「いやぁ。本当に感謝」

 うん?なんかおかしくないか?足がおぼつかない。体を反転させたいのに、上半身だけ、JKの方を向くなんて、変だ。まるで、下半身が、俺の……。なんだこれ?

 下半身が、黒くて、よくよく見たら、尻尾が生えてる。人間は尻尾が生えるのか?いや、生えないだろう、それにこれは、蹄か?おい、ちょっと待て。この体毛、それにこの足。この、パターンはまさか嘘だろ……。これ、







 ケンタウロスだ……。
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