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ゆきちとお母さん
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人生おじさんの本当の名前は、『ゆきち』と言いました。
これは、ゆきちが、小学校に入る前くらいの小さな頃のお話しになります。
ゆきちは、お母さんと手を繋ぎながら、公園を散歩をするのが大好きでした。お母さんもゆきちと公園のお花を見ながら散歩するのが、何よりも楽しみでした。
そして、お母さんは、公園の一番奥に咲いている、花びらを5枚つけた真っ赤な花が何よりも大好きでした。どの花よりも茎が真っ直ぐで、凛とした姿を気に入っていました。
暑い日が続くある日、急にお母さんの体調が悪くなり、家から少し離れた場所の診療所に入院する事になりました。
ゆきちは、1人では、お見舞いには行けませんでした。そして、入院から何日か経ち、お母さんの体調が落ち着いたので、ゆきちはお父さんと一緒にお見舞いに行けることになりました。
お母さんがいる診療所は、いつも行く公園を越えたところに有りました。
診療所に着くとゆきちは、病室に走り込み、お母さんの顔を見たら嬉しくなりました。お母さんもゆきちが入ってきた事に気がつき、笑顔になりました。
「お母さん…」
「ちゃん良い子にしてた…」
「うん…」
お母さんに抱きついたら、いつものように甘い匂いがしました。そして、お母さんとおしゃべりをしました。
ゆきちは、お母さんのお顔をもう一度、よく見ました。なぜかほっぺたが、ぺちゃんこで、いつもより白く見え、ちょっと元気が無いように思えました。
「お母さんちょっと待っててね…」
「ゆきち…どこに行くの…」
ゆきちは、急に病室を出て、診療所から出て、隣にあるお母さんと散歩する公園へ行きました。そして、公園の奥の方まで行きました。
「これだ…」
何かをつかんで、それを持って、診療所に向かって、また走りました。
「はあ、はあ、もう少しだ…」
診療所の入り口が見えました。お母さんの病室まで、階段もかけ上がりました。
「はあ…はあ…お母さんこれ…」
「何…ゆきち…」
公園から持ってきた物をお母さんの前に差し出しました。お母さんは困った顔になり、涙をポロリと流したので、ゆきちはびっくりしてしまいました。
お母さんはゆきちの頭を撫でながら言いました。
「ゆきち、ありがとうね…でもね…ゆきち、お花を見てごらん…」
「あっ…」
「そうね…」
「ごめんなさい…」
ゆきちは、ちぎってきたお花を見ました。お花は、ゆきちが力一杯握っていたので、茎がクネクネして、花びらもおじきをして元気がありません。
「ゆきち…お花はね、生まれた場所で花を咲かせ、そこで一生を終えるのよ…だから、綺麗なお花を咲かせるの…」
「うん…」
ゆきちも自分のしたことを気がつき、泣きはじめてしまいました。
「ゆきち、どんなことがあっても、一生懸命に生きなさい…」
「えーん、えーん…うん…」
お母さんは優しくゆきちを抱きしめました。ゆきちは、ポロリと思ったことが、口からこぼれました。
「お母さん、早く帰って来て…」
「そうね…おりこうにして、待っててね…」
それから何日か経った雨の日の夜、お母さんは、安らかなお顔で、天国に行きました。
そのあと、ゆきちの元へ、何も話さないお母さんが、帰ってきました。
「お母さん…」
「…」
それが、ゆきちにとって、初めて最愛な人を失くした時でした。
これは、ゆきちが、小学校に入る前くらいの小さな頃のお話しになります。
ゆきちは、お母さんと手を繋ぎながら、公園を散歩をするのが大好きでした。お母さんもゆきちと公園のお花を見ながら散歩するのが、何よりも楽しみでした。
そして、お母さんは、公園の一番奥に咲いている、花びらを5枚つけた真っ赤な花が何よりも大好きでした。どの花よりも茎が真っ直ぐで、凛とした姿を気に入っていました。
暑い日が続くある日、急にお母さんの体調が悪くなり、家から少し離れた場所の診療所に入院する事になりました。
ゆきちは、1人では、お見舞いには行けませんでした。そして、入院から何日か経ち、お母さんの体調が落ち着いたので、ゆきちはお父さんと一緒にお見舞いに行けることになりました。
お母さんがいる診療所は、いつも行く公園を越えたところに有りました。
診療所に着くとゆきちは、病室に走り込み、お母さんの顔を見たら嬉しくなりました。お母さんもゆきちが入ってきた事に気がつき、笑顔になりました。
「お母さん…」
「ちゃん良い子にしてた…」
「うん…」
お母さんに抱きついたら、いつものように甘い匂いがしました。そして、お母さんとおしゃべりをしました。
ゆきちは、お母さんのお顔をもう一度、よく見ました。なぜかほっぺたが、ぺちゃんこで、いつもより白く見え、ちょっと元気が無いように思えました。
「お母さんちょっと待っててね…」
「ゆきち…どこに行くの…」
ゆきちは、急に病室を出て、診療所から出て、隣にあるお母さんと散歩する公園へ行きました。そして、公園の奥の方まで行きました。
「これだ…」
何かをつかんで、それを持って、診療所に向かって、また走りました。
「はあ、はあ、もう少しだ…」
診療所の入り口が見えました。お母さんの病室まで、階段もかけ上がりました。
「はあ…はあ…お母さんこれ…」
「何…ゆきち…」
公園から持ってきた物をお母さんの前に差し出しました。お母さんは困った顔になり、涙をポロリと流したので、ゆきちはびっくりしてしまいました。
お母さんはゆきちの頭を撫でながら言いました。
「ゆきち、ありがとうね…でもね…ゆきち、お花を見てごらん…」
「あっ…」
「そうね…」
「ごめんなさい…」
ゆきちは、ちぎってきたお花を見ました。お花は、ゆきちが力一杯握っていたので、茎がクネクネして、花びらもおじきをして元気がありません。
「ゆきち…お花はね、生まれた場所で花を咲かせ、そこで一生を終えるのよ…だから、綺麗なお花を咲かせるの…」
「うん…」
ゆきちも自分のしたことを気がつき、泣きはじめてしまいました。
「ゆきち、どんなことがあっても、一生懸命に生きなさい…」
「えーん、えーん…うん…」
お母さんは優しくゆきちを抱きしめました。ゆきちは、ポロリと思ったことが、口からこぼれました。
「お母さん、早く帰って来て…」
「そうね…おりこうにして、待っててね…」
それから何日か経った雨の日の夜、お母さんは、安らかなお顔で、天国に行きました。
そのあと、ゆきちの元へ、何も話さないお母さんが、帰ってきました。
「お母さん…」
「…」
それが、ゆきちにとって、初めて最愛な人を失くした時でした。
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