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王様、王妃様救出作戦その8

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  キカザルと踊り子軍団の手により、伊吹を踊り子軍団の1人に仕立て、地下の牢屋まで行くことになりました。

「オーヤ、伊吹さんちょっと汚れてるみたいだから、そこで顔を洗ってもらって…」
「伊吹さん、こちらにどうぞ…」
「はい…」

 オーヤは、伊吹を桶に水を貯めているところに連れて行き、ひしゃくで、水をすくうと顔を濡らされ、何か泡を顔に塗られました。そして、またひしゃくの水で洗い流されました。

「伊吹様、水で流しますね…」
「はー、何か、さっぱり…」
「顔を拭きますね…」
「やわらかい手ぬぐいだね…」
「こちらに座ってください…」

 伊吹は、布で顔を拭かれた後に、目の前に鏡のあるところに座らされました。踊り子軍団の人達は、あれやこれやと言いながら、引き出しから、派手な洋服や靴やアクセサリーを出して、伊吹の前の机の上に置いていきます。

 化粧は、芝居小屋の役者をしていたので、白いどうらんを塗ったり、目の周りに赤いくまどりをしたり、口紅をさしたりしていました。

 キカザルは、ふわふわした物で、粉を付けてポンポンと伊吹の顔を叩きます。その後、ブラシで顔をなぞりました。顔の周りに甘い香りが漂います。

 鏡を見るとどうらんより薄い白い粉が、顔全体に付いてました。今度は、筆のような物で、眉毛を書き、目の周りも薄い青色を引き、頬には、少し赤い小さいポンポンで、ぽんぽんされるとほんのり、頬が赤くなりました。

 洋服や靴やアクセサリーを準備し終わった踊り子軍団は、キカザルが伊吹に化粧するのを見学していました。

「伊吹様、すごく綺麗…」
「ほんとですわ…」
「私より美人だわ…」

 踊り子軍団達は、ため息を漏らしていました。そして、最後に赤い液体を筆に付けて、伊吹のくちびるに塗りました。

「簡単なお化粧だけど、上々ね…」
「すごく綺麗…」
「あとは、伊吹さんこの洋服に着替えてちょうだい…」
「はい…」

 伊吹は、洋服に着替えるのに上を脱ぎ、下のズボンを脱いだ後にふんどしのヒモをほどくとふんどしを取りました。

「キャッ…」
「キャー」
「ギャー、キャー…」

 踊り子軍団は、伊吹がふんどしを取り、全裸になったので、みんな叫びました。そして、目を手を当てて隠しています。

「伊吹さん、下着のひらひらしたの…外さなくていいわよ」
「あっ、そうなんだ…」

 実は、キカザルは以前は男性だったので、そこまで、ビックリしませんでした。伊吹に下着を付けさせると着替える洋服を渡して、着るように言いました。そして、アクセサリーを腕と首につけて、靴を履くように言い、鏡の前に立たせました。

 伊吹は、鏡を見ると目の前にいる女性が、凄く綺麗だと思いました。それが、自分だと思うとなぜか、男性を惚れさせる美人フェロモンが涌き出てきました。それは、キカザルも踊り子軍団も気がつきませんでした。
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