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王様、王妃様救出作戦その4

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 キカザルと踊り子軍団の5人は、夕方、お城に戻りました。王女ヨギンの元へ行こうとすると側近の家来から、寝込んでいて、お会いできない事を聞きました。

 キカザルと踊り子軍団は、同じ部屋で生活しています。自分たちの部屋に戻り、夕御飯を準備して、食べながら話し合いをしました。

「これは、明日、大チャンスだわ…」
「キカザル様、そうですね…」
「このまま、ヨギン様が寝てたらいいですね…」
「この状況は、伊吹さん達に伝えておいた方が、良いわね」
「キカザル様、どうやって、伝えますか?」
「そうね、誰かが、東の洞窟まで、行ってちょうだい…」

 踊り子軍団は、全員女性で構成させており、名前はそれぞれ『オーヤ』『ヒート』『ナーカ』『クース』『コー』が、年の順になります。

 キカザルは、この状況を伊吹に教えた方が良いと思い、踊り子軍団の中で一番年上で、しっかりしているオーヤに伊吹のところに行くようにお願いしました。

「オーヤ、申し訳ないけど、伊吹さんのところへ、王女ヨギンが寝込んでいる事を伝えて来て、ちょうだい…」
「はい、キカザル様、わかりました…言って参ります…」

 キカザル達は、城の入口に行くと門番にトレーニングしてくると言い、みんなで、外に出るとオーヤに伊吹のダブル十手トライアングルを持たせて、東の洞窟まで、走らせました。

「オーヤお願いね、あっそれから、これは、伊吹さんの大切な物だから、持っていって…」
「わかりました…必ず、届けます…」
「オーヤ頑張って…」
「オーヤ気をつけて…」
「オーヤお願いね…」
「オーヤ行ってらっしゃい…」

 オーヤは、東の洞窟に向かって、走り出しました。真っ暗の中を走って行くともうすぐのところで、黒い獣が、立ち塞がりました。黒ヒョウの魔獣のに遭遇してしまいました。この魔獣は、王女ヨギン指示で、解き放った魔獣でした。

 オーヤは、このままだと魔獣に食べられてしまうと思い、オーヤ最大攻撃の踊りをその場で踊り攻撃しますが、この魔獣には、効きませんでした。そこへ突進して来て、前足で攻撃してきました。オーヤは、とっさに避けましたが片足に黒ヒョウの前足がヒットしてしまいました。

 もう、攻撃の踊りが出来ないので、そこで、もう一方の足で、高速スピンをして、結界の踊りを始めました。その時、懐に入れていた伊吹のダブル十手が、擦れて小さく音を出しました。

「キン、キン、キン…」

 その作用によって、結界は増幅して、強固なものになり、黒ヒョウが前足で、攻撃しても跳ね返してしまいました。しかし、オーヤの体力が尽きて、高速スピンが止まると防御結界は、崩壊してしまうところでした。

 その頃、伊吹とミザルは、イワザルのようかん作りを手伝っていました。

「あっ、俺のダブル十手が呼んでる…」
「何にも聞こえませんわよ…」
「伊吹様、大丈夫ですか…お疲れでは…」

 その場にいたミザルもイワザルも十手の音は聞こえませんでした。

「じゃあ、行ってきます…伊吹忍術奥義葉隠れ転移!」

 伊吹の周りに葉っぱの渦が出きるとゆっくりになり、葉っぱがパラパラと落ちると伊吹の姿は、消えてしまいました。次の瞬間には、オーヤの元に葉っぱの渦が、現れました。

 オーヤは、体力の限界で、その場で倒れてしまいました。
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