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魔踊り子キカザルと踊り子軍団その1

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 次の日になり、魔踊り子のキカザルは、踊り子軍団の5人を連れてお城を出発しました。

 以前、三大魔獣の一匹のダッコンを東の洞窟で見かけたので、避けてましたが、音の方角からして、一番怪しい東の洞窟に向かいました。今日は、ダッコン対策も考えていました。

 ダッコン対策用に、キカザルが中心になり、踊り子軍団5人と踊る『五芒星高速ダンス』を習得していました。そして、ダッコンが、現れたら、すぐにフォーメーションを取れるように特訓もしてきました。

 五芒星高速ダンスは、キカザルを円の中心にし、踊り子軍団の5人が、五角形を描くように高速で踊る事により、誰も近寄らせない強固な結界を張り事が出来ます。

 ダッコンでも、近づせないようにできるので、飛び付かれて魔力を吸われないようにする事が出来る結界魔方陣です。

 キカザル達は、東の洞窟に近づくと凄く大きい建物と長細い家のような物が、いくつか建ってるので、変わりように驚きました。

 こっそりと大きい建物の方に近づいていき、その入口らしきところまで、誰にも見つからずに行きました。

 その入口の扉を引いてみると偶然にも開いておりました。そこから中を覗くとまた扉が見えました。そこまで、また行き、扉を引くとそこも開いていました。

 また中を覗くと今度は、大きいホールになっていました。手前には、段々になった椅子が並んでおり、その先には、綺麗な広い舞台がありました。

「えっ、凄いわね…この舞台…なんでこんなところに…」
「キカザル様、舞台の上に上がってみましょうよ…」
「そうね…みんな、気をつけてね、行くわよ」
「はい」
「はい」

 キカザルは、踊り子軍団と舞台の上に上がり、客席を見渡しました。踊り子軍団のメンバーは、あちこちをキョロキョロと見ていました。

「凄いわ、客席が段々になってて、どの席も舞台が見やすくなってるわ…」
「キカザル様、ここで、踊って良いでしょうか?」
「そうね、こんな素敵な舞台で、踊ってみたいわね…」
「誰もいないですから…」
「そうね…みんないつもの場所に立って、踊るわよ」
「はい、お願いいたします」
「はい…」

 キカザルと踊り子軍団は、最初は思い思いに身体を動かしていましたが、だんだんと揃って踊り始めました。そして、何とも言えない床の感覚が踊りやすく、踊りに夢中になっていきました。

 そこへ、突然、客席の方から、拍手が鳴り響きました。

「ぱちぱち、すごい、踊りですね…」
「えっ、誰なの…」
「えっ」
「えー」

 キカザルと踊り子軍団は、我に返り、一斉に音のする客席の方を見ました。そこには、拍手をする男性が、真ん中辺りの席に座っており、そのひざの上には、猫のような獣がいました。

 キカザルは、もう一度、猫のような獣を見るとダッコンみたいな魔獣だったので、みんなに急いで、五芒星高速ダンスのフォーメーションの声をかけました。

「あっ、ダッコンよ、みんな例のフォーメーションよ…」
「はい」
「はい…」

 キカザルを中心になり、踊り子軍団の5人は、等間隔に立ちフォーメーションを組むと五芒星高速ダンスを始めました。

 伊吹は、また違う踊りが始まったと思い、

「これまた凄い踊りだ…よし、俺もダブル十手トライアングルで、音頭を取ろう…」

 その男は、床にダッコン?らしき魔獣を置くと腰に差していた二つの棒を叩き鳴らし始めました。その音は、五芒星高速ダンスに合って、
踊っていると気持ち良く、心が洗われるようでした。

 そこへ、伊吹の十手の乱打を聞きつけて、ミザルとイワザルが、舞台の建物にやってきました。

「伊吹様、どうなさったんですか…」
「あっ、舞台にキカザル達がいますよ…」

 キカザル達は、伊吹の十手トライアングルの音に合わせて、一心に踊り続けました。
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