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魔四天王の魔獣師のザルその3

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 その頃、東の洞窟ではキラーバード数十匹が、伊吹達と戻ってくるとスライム魔導師は叫びました。

「キラー…バード!?…伊吹っ!」
「ごめんなさい…お魚取ってきます…ピヨピヨバード達行こう…」

 伊吹は、またスライム魔導師に怒られると思い、導師の好きなお魚を取りにピヨピヨバードと洞窟を飛び出しました。

「次から次と…伊吹には驚かさせぱっなしじゃわ…」
「導師、どうやら伊吹には、周りの者を惹き付ける能力があるようですね…」
「伊吹様は世界一のイケメンですわ…」
「ミザル様の言う通りです…」
「にゃ、にゃー」
「うがー、うがー…」

 みんなは、キラーバード達が戻って来ても良いように洞窟の中に鳥小屋の作成を始めました。だんだんと洞窟の中が賑やかになってきましたが、手狭になってきました。

 その頃、ザルは、城を出て、東の洞窟方面へ向かい、近辺を探しました。全然見つかりませんでした。あきらめて、トボトボと歩いていると大きい川に出ました。

 ザルは、しばらく川面をぼーっと見つめていると急にどうでもよくなり、川に身投げしました。

 ちょうどその頃、伊吹は、ピヨピヨバードがいろんな属性に変化したので、それぞれのピヨピヨバードに役割を持たせて、魚を取って、さばいて、塩焼きにしました。

 水属性のピヨピヨバードは川に飛び込ませ魚を取らせ、木属性は、たき木とハーブを集めさせ、風属性がウィンドカッターで魚のお腹をさばき、土属性が岩塩を出して魚に塩をふり、火属性は、たき火に火をつけて、魚に炎をはきました。

 その時、川上の方から毛皮におおわれた獣のような物が流れてきたので、伊吹は、慌ててピヨピヨバードに川から連れてくるように命令すると群れになり、川から魔法を使い引っ張り出し、伊吹のそばに降ろしました。

 伊吹は、その獣を見ると傷だらけのおさるさんだったので、がっかりしました。てっきり、猪で、焼いて持って帰れば、みんなに喜ばれると思ってました。

 伊吹は、魔法で外傷を直しましたが、意識は戻らないので、洞窟に連れて帰ることにしました。

「なんだ…おさるさんか…ホワイトチユ! 傷は治ったけど意識は戻らないな…洞窟に連れて帰ろう」

 伊吹は、おさるさんをおんぶして、ピヨピヨバードにはお魚を持たせて、洞窟に戻りました。

「ただいま、導師ごめんなさい…お魚焼いて来ましたよ…」
「伊吹か、怒っとらんぞ…その背中のいるのは…あっザル?」
「あっザルですわ…」
「ザルさん大丈夫ですか?」
「川上から流れてきました…」
「魔獣ベアードンがいなくなって、王女ヨギンに怒られ、川に流されたのね…」
「そうなんだ…怒られたんだ…」

 伊吹は、ザルを背中から降ろし、ベッドに寝かせ、考えました。

「そうか…クマードンは、おさるさんの大切なお友達だったのか…」

 伊吹は、クマードンの寝床に行き、おさるさんの元に連れてきました。クマードンは、ザルを見るなり、顔をペロペロし始めました。

「うきー、なんだうきー…ベアードン!?」
「ウガ、ウガー!」

 ザルとクマードンは、お互い泣きながら、抱き合いました。

「あれ、クマードンの主従関係は伊吹様では…サーチ! ザルになってるわ…」
「おさるさんは、大切なお友達がいなくなり、王女に怒られて可愛そうだったんで戻してあげました…怒られるのは怖い…」
「さすが、伊吹様…」

 ミザルとイワザルは、ザルに状況を話ました。

「わかったうきー、もう城には戻れないので…伊吹様うきー、ご主人様になってうきー」
「もう、おさるさんは仲間だぞ…」
「伊吹様、主従関係を結んであげて…」
「わかった…シモベ! それから、ベアードンは、クマードンになったからね…」
「クマードン!」
「うが、うがー」

 魔獣師ザルは、伊吹の仲間になりました。
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