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お城で奉納芝居
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公演も連日、大盛況で、梨乃亜も伊吹もいっぱしの役者として、板についてきました。そして、今日はお城での奉納芝居の日で、芝居小屋での公演は休みです。
朝から芝居の荷物をまとめて、お城からのむかえを待ちます。三平座長が忘れ物は無いか、確認します。梨乃亜一行も自分の持ち物をもう一度確認します。
「みんな、忘れ物の無いように…」
「おらの大事な枝2本は、入れただ!」
「美代、枝は、そこら辺に落ちてるから…」
「あの枝のしっくり感は、他にないのだ!」
「あっそうですか…殿様怖い…急に切られないですかね…」
「伊吹が、失敗したら…切られるかも…ふふふ」
「梨乃亜様怖い…」
しばらくすると馬に乗った侍や芝居の荷物を運ぶ人足に役者を運ぶかごも数台来ました。
「三平劇団殿、おむかえに上がりました」
「お願いいたします」
梨乃亜は、かごに乗りなれてますが、美代を乗せたかごは、美代が中ではしゃいで揺らしているので、かごかきは、肩にずっしりと重さを感じて、すでに泣きが出てます。伊吹は、怖いと言うことで、歩いてついていきます。
「梨乃亜様、かごって良いだすね…」
「あまり、かこの中で動かないでください…重い…」
「こんな、暗くて狭いところは怖いので、走ってついていきます…」
しばらく行くとお城の中に入っていき、かごが止まり、広い庭におろされました。庭には演芸が出来る立派な舞台が建ててありました。
毎年、奉納芝居をしている三平座長が、てきぱきと荷物の置場所を指示をしてから、初めての梨乃亜達に舞台の中を案内します。
「いつもより、広い舞台ですが、のびのびとやってください…」
「立派な舞台ですね…あちら側にお殿様がいらっしゃるのですね…」
「あっちから…切りつけるのか…こっちに逃げよう…」
「おらは、ここら辺で、立ってたら良いだすか?」
「さすが名人大木! 美代さん頼みましたよ…」
「へへへ、ほめられた…」
衣装に着替えて、立ち位置の確認をして、演者は舞台上で正座をして待ちます。
「徳山の殿様のおなりー」
ぞろぞろと家老と侍達と女中たちに囲まれて、立派な着物を着た、優しい顔立ちの男前の青年がやってきました。そして、真ん中に座ると舞台に向かって、声をかけました。
「三平殿ご苦労、城下でも評判の演目とのこと待っておった…皆の者も楽しんでおくれ…」
「徳山のお殿様には、お目をかけていただき、三平劇団は幸せでございます…本日は、一番の演目をお見せいたします…お願いいたします」
徳山のお殿様がお声をかけていただき、三平座長が挨拶を返して、一旦幕がおります。梨乃亜は、伊吹のお尻をぱんっと叩き、自分にも気合いを入れました。美代も定位置に枝を2本持って、立ちました。
いつも通り、順調に芝居が進んでいきます。伊吹もやる気が出て調子に乗って、軽い遊び人を演じ、梨乃亜も恋する娘を一途に演じます。美代はびたっとその場に立ち、時より枝を揺らして、風が吹いてる表現をします。
時より、殿様側から声があがり、お殿様や家老たちも見入っています。その中に侍のひとりだけ緊張した面持ちで、殿様の背後を見ていました。この者は、黒の盗賊団の残党で、かねてから城に忍び込み、家来のふりをしていた忍びの者でした。
芝居は後半に入り、遊び人の伊吹に梨乃亜姫が、足にすがりつくところです。殿様側の侍たちは、すでにべっぴんな梨乃亜姫が一途に恋する姿に夢中になっており、伊吹に罵声が上がります。いつもは、町娘が前列できゃーきゃーしてにいるので、気にならなったが、焦りました。
「この! たわけものー」
「この遊び人、ひどいでございます…」
「姫さん可愛そう…振り向いてやっておくれ…」
伊吹は、侍たちが切りかかって来られるかもと思いましたが、おもいっきり、すがりつく姫をあしげにしました。
「えー、可愛そうー」
「この、うつけものー」
芝居は次の場面になり、実はこの遊び人は、お奉行さまで悪党の悪事をあばくため、遊び人のふりをしていたところで、姫様が悪党に狙われないように、冷たくしていたのでした。
そして、悪党たちを一網打尽にして、おしらすの場で、裁き懲らしめました。
「なるほど、そうであったかー」
「それでは、しょうがないのうー」
そのことにより、お奉行遊び人は、お殿様からおほめでお城に呼ばれ、そこで恋破れたお姫様と対面して、あらためて自分の気持ちを話して、両思いになり芝居は幕になりました。
朝から芝居の荷物をまとめて、お城からのむかえを待ちます。三平座長が忘れ物は無いか、確認します。梨乃亜一行も自分の持ち物をもう一度確認します。
「みんな、忘れ物の無いように…」
「おらの大事な枝2本は、入れただ!」
「美代、枝は、そこら辺に落ちてるから…」
「あの枝のしっくり感は、他にないのだ!」
「あっそうですか…殿様怖い…急に切られないですかね…」
「伊吹が、失敗したら…切られるかも…ふふふ」
「梨乃亜様怖い…」
しばらくすると馬に乗った侍や芝居の荷物を運ぶ人足に役者を運ぶかごも数台来ました。
「三平劇団殿、おむかえに上がりました」
「お願いいたします」
梨乃亜は、かごに乗りなれてますが、美代を乗せたかごは、美代が中ではしゃいで揺らしているので、かごかきは、肩にずっしりと重さを感じて、すでに泣きが出てます。伊吹は、怖いと言うことで、歩いてついていきます。
「梨乃亜様、かごって良いだすね…」
「あまり、かこの中で動かないでください…重い…」
「こんな、暗くて狭いところは怖いので、走ってついていきます…」
しばらく行くとお城の中に入っていき、かごが止まり、広い庭におろされました。庭には演芸が出来る立派な舞台が建ててありました。
毎年、奉納芝居をしている三平座長が、てきぱきと荷物の置場所を指示をしてから、初めての梨乃亜達に舞台の中を案内します。
「いつもより、広い舞台ですが、のびのびとやってください…」
「立派な舞台ですね…あちら側にお殿様がいらっしゃるのですね…」
「あっちから…切りつけるのか…こっちに逃げよう…」
「おらは、ここら辺で、立ってたら良いだすか?」
「さすが名人大木! 美代さん頼みましたよ…」
「へへへ、ほめられた…」
衣装に着替えて、立ち位置の確認をして、演者は舞台上で正座をして待ちます。
「徳山の殿様のおなりー」
ぞろぞろと家老と侍達と女中たちに囲まれて、立派な着物を着た、優しい顔立ちの男前の青年がやってきました。そして、真ん中に座ると舞台に向かって、声をかけました。
「三平殿ご苦労、城下でも評判の演目とのこと待っておった…皆の者も楽しんでおくれ…」
「徳山のお殿様には、お目をかけていただき、三平劇団は幸せでございます…本日は、一番の演目をお見せいたします…お願いいたします」
徳山のお殿様がお声をかけていただき、三平座長が挨拶を返して、一旦幕がおります。梨乃亜は、伊吹のお尻をぱんっと叩き、自分にも気合いを入れました。美代も定位置に枝を2本持って、立ちました。
いつも通り、順調に芝居が進んでいきます。伊吹もやる気が出て調子に乗って、軽い遊び人を演じ、梨乃亜も恋する娘を一途に演じます。美代はびたっとその場に立ち、時より枝を揺らして、風が吹いてる表現をします。
時より、殿様側から声があがり、お殿様や家老たちも見入っています。その中に侍のひとりだけ緊張した面持ちで、殿様の背後を見ていました。この者は、黒の盗賊団の残党で、かねてから城に忍び込み、家来のふりをしていた忍びの者でした。
芝居は後半に入り、遊び人の伊吹に梨乃亜姫が、足にすがりつくところです。殿様側の侍たちは、すでにべっぴんな梨乃亜姫が一途に恋する姿に夢中になっており、伊吹に罵声が上がります。いつもは、町娘が前列できゃーきゃーしてにいるので、気にならなったが、焦りました。
「この! たわけものー」
「この遊び人、ひどいでございます…」
「姫さん可愛そう…振り向いてやっておくれ…」
伊吹は、侍たちが切りかかって来られるかもと思いましたが、おもいっきり、すがりつく姫をあしげにしました。
「えー、可愛そうー」
「この、うつけものー」
芝居は次の場面になり、実はこの遊び人は、お奉行さまで悪党の悪事をあばくため、遊び人のふりをしていたところで、姫様が悪党に狙われないように、冷たくしていたのでした。
そして、悪党たちを一網打尽にして、おしらすの場で、裁き懲らしめました。
「なるほど、そうであったかー」
「それでは、しょうがないのうー」
そのことにより、お奉行遊び人は、お殿様からおほめでお城に呼ばれ、そこで恋破れたお姫様と対面して、あらためて自分の気持ちを話して、両思いになり芝居は幕になりました。
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