微笑みの梨乃亜姫

魚口ホワホワ

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伊吹、役者になる?

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 梨乃亜姫一行は、もう少しで西の大国に入るところでした。

「伊吹、先に西の大国の様子を見て来てちょうだい…」
「嫌ですよ…怖いところでしょ…」
「まだ、いっでるだね…」
「それじゃあ、この書状を持ってていいわ、これがあれば、大丈夫よ、はい…」
「おおー、じゃあ行ってきます!」
「なぐずなよ…」

 伊吹は書状を任されたのが嬉しくなり、全速力で駆けました。西の大国の入口まで来るとふと、役人に「書状を見せろ!」と言われた時にすんなり出せれるか、心配になりました。

「よし、書状を出す練習をしよう!」
 
 近くに河原があったので、そこで練習することにしました。ふところに書状を差して、素早く取り出し、ぱらぱらと中を開き、一言言う練習を始めました。

「しゅった! ぱらぱら…、…、この書状が目に入らぬ…開くのが遅いな…もう一回」

 書状をたたみ、またふところに差して、準備が出来ました。

「早く、素早く! 早く、素早く!」

 気合いを入れて、ふところの書状をつかみました。

「しゅった! ぱらぱら…びりっ…ひゅー…えっ?、ひぇー…」

 勢い良く開き過ぎてしまい、書状は半分に破けてしまい、驚いた拍子に手を離してしまい、風に飛ばされ、川の中へ、あっという間に流されていってしまいました。

「えっ、やばい…どうしよう…どうしょう…しょうがない、書状を作ろう…まずは紙だな…」

 伊吹は、書状を偽造するために紙を探しに西の大国へ入りました。紙が置いてあるところを探しました。

「紙…、紙…、あった!」

 瓦版屋で、紙が積んであるのを見つけました。そして、お店の人に1枚わけて貰えるようにお願いしました。

「紙を1枚欲しいのだが…」
「まいど! 3文になりやす!」
「銭は無いのですが…」
「なんだ! じゃあ、あっちに行ってくれ…」
「お願いだ…何でもするから…」
「おっ!良く見ると男前だな…よし、この百枚の瓦版を全部売ってきてくれ!」
「わかった…」

 伊吹は、百枚の瓦版を持って、人がたくさんいた芝居小屋の前に行き、売り始めました。ちょうど、芝居が終わったところでした。

「瓦版いらんかねー!」
「あらっすごい男前がいるわね…1枚ちょうだい…」
「本当だっ!男前ねー」
「私にもおくれ…」

 芝居見物に来ていた娘達が、男前を見つけて、長い行列を作り、瓦版を買っていきました。それを見ていた芝居小屋の座長は、伊吹に声をかけてきました。

「兄さん、兄さん、芝居に出ないかい…」
「でも、この瓦版を売らないと…紙がもらえない…です…」
「よし、わかった、全部買ってやる…その代わり芝居に出てくれ…交渉成立だ」
「はい…?」
 
 とりあえず、売れれば紙が貰えるならということで、芝居?に出ることになり、瓦版屋に戻り、百枚売れた分の銭を渡しました。

「えっ! もう売れたの?」
「はい、売れちゃいました…紙を1枚ください」
「あいよ…兄さん、うちで働かないか?」
「いや…芝居?に出ないと…さよなら…」
「やっぱり…役者だったのか…」

 伊吹は、紙を1枚貰い、急いで芝居小屋に戻りました。座長に次の芝居に出るように言われ、とりあえず、立っていて、「にこっ」とするだけで良いと言われました。

 その頃、梨乃亜と美代は、伊吹がなかなか戻ってこないので、しょうがないので、西の大国に入りました。

「伊吹が戻ってこないから、書状もお城に見せられないわ…」
「そうだすな、どこをほっつき歩いてるだ…」
「とりあえず、町の中を見て参りましょう」
「はい、だす…」

 梨乃亜達は、町の中を見てまわる事にしました。西の大国は、梨乃亜の城下町の何倍もあり、いろんなお店屋さんがあり、お城も凄く立派でした。
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