微笑みの梨乃亜姫

魚口ホワホワ

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最強のお供たち?

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 貧乏長屋であの女の子に会い、元気な顔を見せてくれたので、梨乃亜は一安心して、足取りも軽く道中を進みます。

 進んで行くと山道に入り、山を越えると関所があり、そこを抜けると宿場町があります。明るいうちにそこに着きたいと山道を急ぎました。

「この山を抜けると関所だから…気をつけて行きましょう!」
「あい!わかりました」
「何か、出そうな道ですね~」
「伊吹、そだな事を言うと出るわよ…」

 美代が、伊吹に突っ込むと林がガサガサと揺れると人影が2つ出てきました。その影は棒を持った大柄なむきむきした筋肉をした山賊でした。

「おまえら、金目の物をおいてけ!」
「怪我したくなかったら、大人しくしろ!」

 梨乃亜と美代は、身構えて、伊吹は2人の後ろに隠れました。

「何やってるの!伊吹」
「そうだす!伊吹行けって!」
「ひえぇ、怖いですよ、何か棒持ってるし…」

 しょうがないので、美代が男たちの前に立ちはだかりました。

「おらが相手する、かかってこい!」
「なんだと、このでか女…」
「痛い目みたいのか!」

 山賊たちは、持っていた棒で、美代に殴りかかりました。美代は、一本の棒を避けて、もう一本の棒を素手受けるとそれをおもっきりひねりました。その棒を持っていた男は、宙に浮き投げ飛ばされました。

「ぎゃー」
「やろー!これでもくらえ!」

 もうひとりがまた棒で殴ってきましたが、今度は美代の正拳が早く、胸に当たり、ボキッと音がなり、後ろに吹っ飛ばされました。どうやら、肋骨を数本折られたようです。

「いたたー!」
「覚えてやがれ…」

 それを見ていた投げ飛ばされた男は、かなわないと思い、肋骨を折られた男を抱えると林の方へ逃げて行きました。

「梨乃亜様大丈夫だすか?」
「美代!やりすぎよ…」
「えっ、軽く殴っただけだすよ…」
「そうなの?まあ、いいわ…それにしては、伊吹はだらしなさすぎよ」
「だって、怖いんですもの…」

 男前の顔から涙が流れました。それを見た梨乃亜は、呟きました。

「男前、金も力もなかりけりかあ…って言うものね」
「男前じゃないですよ…」
「じゃあ、次に山賊きたら、守ってね」
「えーっ、無理です…」

 山道を進み、山を越えて、もうすぐで、関所というところで、また周りの林がガサガサと揺れると次々と筋肉むきむき男や刀を持った侍などが、50人くらいに囲まれました。

「こいつらです、さっき襲ってきた連中は…」
「えー?襲ってないけど?」
「ひえぇ、あのでか女が凶暴なんです!」
「乙女にむかって、失礼だす!」
「とりあえず、先生方やっちゃって下さい…」

 さきほどより、屈強な男たちや殺気だってる侍が刀を構えて、襲いかかろうとしています。梨乃亜は、伊吹のお尻を蹴り、その男たちの中に放り込みました。

「いたー、ひえー、怖い…」

 男たちは、容赦なく伊吹に襲いかかってきたと思うと伊吹は急に身構えると次々と男たちを素手で殴ったり、投げたりと俊敏な動きで、倒していきます。

「怖いけど、何かやる気が出てきて、身体が勝手に動く…」

 梨乃亜も美代も参戦して、男たちをばったばったと倒していきました。あっという間に50人の男たちは、やられてしまいました。
 
 実は、梨乃亜は伊吹の使い方を忍者の頭から聞いていました。伊吹は典型的な女に尻にしかれるタイプで、尻を叩くと動けるようになるのです。それを知っていたので、お尻を蹴ってやる気を出させました。案の定、上手くいきました。
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