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梨乃亜姫は、お城に戻りましたが、部屋の中にこもり泣いています。術が本物ではなかった事もそうですが、お母さんが亡くなって、泣いていた女の子の泣き顔が、心から離れません。
「わらわ、どうしたらよいのだろう…」
殿様も奥方も家老も女中もみんな心配しておます。そして、大奥方様も心配して、梨乃亜姫の元へ行きました。
「梨乃亜や…入るぞよ…」
「はい、どうぞ…」
「…話しておくれ…」
「お婆様…わらわはどうする事も…出来なかった…」
「この世には、どうする事も出来ない事はたくさんあるからのう…」
「あの…おさなごの悲しみが忘れられません…」
「そうか…悲しみは厄介だね…心に張り付く…」
「どうしたら…あの子を笑顔にさせることが…」
大奥方様は、泣いている梨乃亜姫を優しく抱きしめて、諭しました。
「考えるのじゃ…考えて、考えて、知恵を出すのじゃ…」
「知恵…?」
「そう…知恵を得るには、色んな事を聞いたり、見たり…と見聞を深めるのじゃ…」
梨乃亜姫は、救いの光りが射したようにおぼろげながら、自分のする事を見つけました。
「お婆様ありがとう…」
「何か、掴んだようだね…」
「はい!」
「良かったのう…」
大奥方様は、安心して梨乃亜姫の部屋を出ていきました。
「よし!」
梨乃亜姫は、涙を拭くとお殿様のお部屋に向かっていきました。
「お父様、今、よろしいでしょうか?」
「おお、梨乃亜姫か…入れ」
お殿様の広い部屋には、家老やお付きの人達がいましたが、察して、皆、部屋から出て行きました。
「お話がございます…」
「おう、元気になったようじゃのう…話しとは…」
「はい、ふたつお話がございます…」
「ふたつか…話してみろ」
梨乃亜細姫は、お殿様に話しました。
「ひとつ目は、この度、城下の先の長屋街にまいりました…そこには、銭に苦労している者達が、たくさん住んでおりました」
「わしもそこは、知っておるぞ…」
「はい、そこの者達からも金のしゃちほこの上納金を取っております」
「そうなのか?」
「はい、はっきり聞きました…そこまでして、このお城に金のしゃちほこは、必要でございますか?」
お殿様は、初めてそんな話を聞いて、困惑して、家老を呼びました。
「姫から聞いたが、城下の先の長屋からもしゃちほこのお金を集めたのか?」
「あっはい…城下の有志が勝手に集めに行ったようでございます…」
「ぼかもん!何をやっとおる…すぐ返して参れ…とった銭の倍を戻してやれ」
「あっ!はい、わかりました」
家老は、慌てて部屋を出るとお金を管理しているところに行きました。
「姫、これで良いか?」
「はい、ありがとうございます…」
「もうひとつの話は、なんだ?」
「はい、お願いがございます…他の領の城下町を見て周りたいのでございます」
お殿様は、難しい顔になりましたが、何か思いついたように話を始めました。
「わかった…でも今のままではだめじゃ…」
「えっ、お願いでございます…」
「まあ、まて…最後まで話を聞きなさい」
「はい…」
「今日から、半年間は勉学と剣の稽古と町の常識を学びなさい」
「勉学ですか…」
「そうだ…今のままでは、行かせられない…我が領の外では何が起こるか…姫の姿で行けば、すぐ狙われる…町娘として行った方が安心じゃ…」
「わかりました…半年間、やり遂げます」
梨乃亜姫は、目標に向かって、気持ちを新たにして、お殿様の提案に従いました。早速、自室に戻り、勉学を始めました。
「わらわ、どうしたらよいのだろう…」
殿様も奥方も家老も女中もみんな心配しておます。そして、大奥方様も心配して、梨乃亜姫の元へ行きました。
「梨乃亜や…入るぞよ…」
「はい、どうぞ…」
「…話しておくれ…」
「お婆様…わらわはどうする事も…出来なかった…」
「この世には、どうする事も出来ない事はたくさんあるからのう…」
「あの…おさなごの悲しみが忘れられません…」
「そうか…悲しみは厄介だね…心に張り付く…」
「どうしたら…あの子を笑顔にさせることが…」
大奥方様は、泣いている梨乃亜姫を優しく抱きしめて、諭しました。
「考えるのじゃ…考えて、考えて、知恵を出すのじゃ…」
「知恵…?」
「そう…知恵を得るには、色んな事を聞いたり、見たり…と見聞を深めるのじゃ…」
梨乃亜姫は、救いの光りが射したようにおぼろげながら、自分のする事を見つけました。
「お婆様ありがとう…」
「何か、掴んだようだね…」
「はい!」
「良かったのう…」
大奥方様は、安心して梨乃亜姫の部屋を出ていきました。
「よし!」
梨乃亜姫は、涙を拭くとお殿様のお部屋に向かっていきました。
「お父様、今、よろしいでしょうか?」
「おお、梨乃亜姫か…入れ」
お殿様の広い部屋には、家老やお付きの人達がいましたが、察して、皆、部屋から出て行きました。
「お話がございます…」
「おう、元気になったようじゃのう…話しとは…」
「はい、ふたつお話がございます…」
「ふたつか…話してみろ」
梨乃亜細姫は、お殿様に話しました。
「ひとつ目は、この度、城下の先の長屋街にまいりました…そこには、銭に苦労している者達が、たくさん住んでおりました」
「わしもそこは、知っておるぞ…」
「はい、そこの者達からも金のしゃちほこの上納金を取っております」
「そうなのか?」
「はい、はっきり聞きました…そこまでして、このお城に金のしゃちほこは、必要でございますか?」
お殿様は、初めてそんな話を聞いて、困惑して、家老を呼びました。
「姫から聞いたが、城下の先の長屋からもしゃちほこのお金を集めたのか?」
「あっはい…城下の有志が勝手に集めに行ったようでございます…」
「ぼかもん!何をやっとおる…すぐ返して参れ…とった銭の倍を戻してやれ」
「あっ!はい、わかりました」
家老は、慌てて部屋を出るとお金を管理しているところに行きました。
「姫、これで良いか?」
「はい、ありがとうございます…」
「もうひとつの話は、なんだ?」
「はい、お願いがございます…他の領の城下町を見て周りたいのでございます」
お殿様は、難しい顔になりましたが、何か思いついたように話を始めました。
「わかった…でも今のままではだめじゃ…」
「えっ、お願いでございます…」
「まあ、まて…最後まで話を聞きなさい」
「はい…」
「今日から、半年間は勉学と剣の稽古と町の常識を学びなさい」
「勉学ですか…」
「そうだ…今のままでは、行かせられない…我が領の外では何が起こるか…姫の姿で行けば、すぐ狙われる…町娘として行った方が安心じゃ…」
「わかりました…半年間、やり遂げます」
梨乃亜姫は、目標に向かって、気持ちを新たにして、お殿様の提案に従いました。早速、自室に戻り、勉学を始めました。
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