世界樹スローライフ

文字の大きさ
上 下
1 / 2

1.種生

しおりを挟む
プロローグ

 ある日遥か上空から一粒の種が落ちて来た。

 地面が近づくにつれ次第に意識が鮮明になってくる。絶賛スカイダイビング中のこのおれ 樫木冬也かしぎとうやはこの状況を半ば諦め楽しんでた。


 

 
 俺は29歳独身山バカな会社員樫木冬也かしぎとうや、ようやく迎えた長期休暇にも関わらず俺は趣味の山登りに励んでいた。

 今回の目標は、日本一の難所であるジャンダルム攻略、内心ビビりながらも中学からの友人であり、最近結婚した月島裕樹つきしまゆうきと覚悟を決めながら馬の背へ登り始めた。

 登るうちに霧が濃くなりガスってしまったが、落ちたら死があるため、焦らず一歩一歩確実に進んで行く。そんな時でもあいつ裕樹は俺の後ろを登りながら、少し寂しげに語り始めた。

「冬也、これを登頂したら山登り引退するわ」

「えっ……」

 突然の告白に動揺した俺だが続けて裕樹は言った。

「すまんな、俺も結婚したしこの登山だって妻に土下座して、これをラストにするからと言って、渋々許してくれたしな笑」

 彼も新婚ホヤホヤだし、いずれは一緒に登るのも終わる頃だと思っていた。正直早い気もするがこれも致し方がない。

 俺は寂しさを押し殺しながらも答えた。

「裕樹…いままでありがとな」

「冬也ぁグスン……お前がそんなこと言うなんて、成長したなぁ……よし俺たちの最後の登山、最高ものにしようぜ!」

「おう!絶対最高の思い出にしよう!……でもな今それを言うのは完全にフラグじゃねえか」

「まぁこまけぇ事は気にすんなハハハハ」

「はぁ……」

 俺は呆れながらも登っていた時それは突然起きた。

「ラァーーク!!!!」

 揺れを感じた数秒後、けたたましい掛け声と共に頭上からおびただしい数の岩が転がり落ちて来た。

 避けられない、そう確信した俺は裕樹だけでも生き残らせるため命綱を切りながら岩と受け止めようとした。

「伏せろおぉーーーー…………

 叫びなら俺は滑落した。

「とうやあぁァアア……………………

 裕樹の声が消えてゆく……俺には岩と共に落ちていく感覚だけが残っていった。

 再び意識が戻った瞬間俺は真っ白な空間にいた。
 
『あなたは実験体に選ばれました。
 転生しますか?YES/NO
 この表示は残り100秒で消滅します。』
※選択されなかった場合自動的にNOになります。

 突如タッチパネル的な何かが出現し、説明し始めた。なんだこれと、戸惑いつつも俺はYESを選択した。

『転生が承諾されました。個体名 樫木冬也は第四十五の世界〈マグナ・アルボス〉へ転生されます。』

「えっちょまっt」

 こうして俺は何故か種になって、空から落ちていた。落ちている最中色々分かった事がある。まず手足の感覚がないのと、何故か目がないのに三人称のように周りの風景が捉える事が出来ることだ。

 手足の事は置いといて、見える景色はまるで別世界だ、翼竜みたいのが空を飛び、奥の方ではまるで進撃の○人みたいな超巨大な壁が見える。さっきの空間で言っていたマグナなんとかと言う世界で間違い無さそうだ。

 そして困った事が一つある…………どうやって着地するかだ。

  地面が近づきもうだめだと思った時脳内にウィンドウが現れた。

『羽を展開しますか?YES/NO』

 なんの事かさっぱり分からんがとにかくYESと心の中でつぶやいた。

『承諾しました。スキル〈アルスミトラ〉を起動します。』

 その瞬間背中から何かが飛び出してきた。なんとまるで戦略爆撃機のような羽が展開されていた。

「すげ~きもちぃーーーー!!」

 俺は羽を使いながら滑空し、空の旅を楽しんだ。すると森が超え、広大に広がる草原が顔を出した。そこに行けるように羽を展開、縮小を使い、飛行機のように滑空した。

ズズズズ////

 草原に衝突するとまたあのウィンドウが脳内に現れた。

『ここに決定しますか?YES/NO』

 説明も何もないが、おそらくここに根を生やすか決めろと言う事だろう。

 もちろんYESを選択

『承諾しました。始まりの成長 イニティウム・クレスクントを開始します。』

 このアナウンスと共に俺の意識は停止した。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!

七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ? 俺はいったい、どうなっているんだ。 真実の愛を取り戻したいだけなのに。

【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。  これが全ての始まりだった。 声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。  なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。 加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。  平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。 果たして、芳乃の運命は如何に?

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

婚約破棄された令嬢の恋人

菜花
ファンタジー
裏切られても一途に王子を愛していたイリーナ。その気持ちに妖精達がこたえて奇跡を起こす。カクヨムでも投稿しています。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

処理中です...