世界樹スローライフ

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1.種生

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プロローグ

 ある日遥か上空から一粒の種が落ちて来た。

 地面が近づくにつれ次第に意識が鮮明になってくる。絶賛スカイダイビング中のこのおれ 樫木冬也かしぎとうやはこの状況を半ば諦め楽しんでた。


 

 
 俺は29歳独身山バカな会社員樫木冬也かしぎとうや、ようやく迎えた長期休暇にも関わらず俺は趣味の山登りに励んでいた。

 今回の目標は、日本一の難所であるジャンダルム攻略、内心ビビりながらも中学からの友人であり、最近結婚した月島裕樹つきしまゆうきと覚悟を決めながら馬の背へ登り始めた。

 登るうちに霧が濃くなりガスってしまったが、落ちたら死があるため、焦らず一歩一歩確実に進んで行く。そんな時でもあいつ裕樹は俺の後ろを登りながら、少し寂しげに語り始めた。

「冬也、これを登頂したら山登り引退するわ」

「えっ……」

 突然の告白に動揺した俺だが続けて裕樹は言った。

「すまんな、俺も結婚したしこの登山だって妻に土下座して、これをラストにするからと言って、渋々許してくれたしな笑」

 彼も新婚ホヤホヤだし、いずれは一緒に登るのも終わる頃だと思っていた。正直早い気もするがこれも致し方がない。

 俺は寂しさを押し殺しながらも答えた。

「裕樹…いままでありがとな」

「冬也ぁグスン……お前がそんなこと言うなんて、成長したなぁ……よし俺たちの最後の登山、最高ものにしようぜ!」

「おう!絶対最高の思い出にしよう!……でもな今それを言うのは完全にフラグじゃねえか」

「まぁこまけぇ事は気にすんなハハハハ」

「はぁ……」

 俺は呆れながらも登っていた時それは突然起きた。

「ラァーーク!!!!」

 揺れを感じた数秒後、けたたましい掛け声と共に頭上からおびただしい数の岩が転がり落ちて来た。

 避けられない、そう確信した俺は裕樹だけでも生き残らせるため命綱を切りながら岩と受け止めようとした。

「伏せろおぉーーーー…………

 叫びなら俺は滑落した。

「とうやあぁァアア……………………

 裕樹の声が消えてゆく……俺には岩と共に落ちていく感覚だけが残っていった。

 再び意識が戻った瞬間俺は真っ白な空間にいた。
 
『あなたは実験体に選ばれました。
 転生しますか?YES/NO
 この表示は残り100秒で消滅します。』
※選択されなかった場合自動的にNOになります。

 突如タッチパネル的な何かが出現し、説明し始めた。なんだこれと、戸惑いつつも俺はYESを選択した。

『転生が承諾されました。個体名 樫木冬也は第四十五の世界〈マグナ・アルボス〉へ転生されます。』

「えっちょまっt」

 こうして俺は何故か種になって、空から落ちていた。落ちている最中色々分かった事がある。まず手足の感覚がないのと、何故か目がないのに三人称のように周りの風景が捉える事が出来ることだ。

 手足の事は置いといて、見える景色はまるで別世界だ、翼竜みたいのが空を飛び、奥の方ではまるで進撃の○人みたいな超巨大な壁が見える。さっきの空間で言っていたマグナなんとかと言う世界で間違い無さそうだ。

 そして困った事が一つある…………どうやって着地するかだ。

  地面が近づきもうだめだと思った時脳内にウィンドウが現れた。

『羽を展開しますか?YES/NO』

 なんの事かさっぱり分からんがとにかくYESと心の中でつぶやいた。

『承諾しました。スキル〈アルスミトラ〉を起動します。』

 その瞬間背中から何かが飛び出してきた。なんとまるで戦略爆撃機のような羽が展開されていた。

「すげ~きもちぃーーーー!!」

 俺は羽を使いながら滑空し、空の旅を楽しんだ。すると森が超え、広大に広がる草原が顔を出した。そこに行けるように羽を展開、縮小を使い、飛行機のように滑空した。

ズズズズ////

 草原に衝突するとまたあのウィンドウが脳内に現れた。

『ここに決定しますか?YES/NO』

 説明も何もないが、おそらくここに根を生やすか決めろと言う事だろう。

 もちろんYESを選択

『承諾しました。始まりの成長 イニティウム・クレスクントを開始します。』

 このアナウンスと共に俺の意識は停止した。

 
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