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妖精の森編
水は電気を通しやすい
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「い、今のは何だ?」
金髪美女は森にこだまする声に反応し、亜人の女性を守る様に周囲を警戒し剣を構える。
エスカは、その声が何なのか、大体の予想は付いていた。
「そんなに心配する事ではないと思いますよ」
「そ、そうなのか? エスカ殿がそう言うのなら……」
「ええ。多分、どこかのおバカさんが、おバカな事をした結果、誰かがおバカさんの餌食になったのでしょう」
「お、おバカ?」
金髪美女は、エスカの言葉を不思議そうに聞いていると、そのおバカが現れた。
「聞こえてますから。おバカを三回も言った事、聞こえてましたから」
「あら? そうですか?」
「あら? そうですよ、オパイ・ザ・グレートさん」
大三郎は、胸の前に両手で水を掬うような形にし、エスカ達の前に現れた。
「パニティーさんは居られましたか?」
「うん。ここに居る」
大三郎は、両手の中にグッタリとしているパニティーを見せる。
「パニティーさんに、何をなさったのです?」
「んと、まぁその……。神技を見たいって言うから……」
「神技? ですか?」
「う……ん。サノスのクエストの時に、身に付いたって言うか……付けられたと言うか……」
大三郎は、親に問い詰められた時の子供のように、俯きながらもごもご言うように話す。
「ああ、クリア報酬の。その神技スキルを、パニティーさんに使ったと?」
「はい。本当に使えるとは思ってもみなかったので、試しにやってみました」
あはは、と笑う様に話す大三郎を見てエスカは溜息をつく。
「はぁ~。馬鹿だ馬鹿だとは思ってましたけど、ここまで馬鹿だとは思いませんでしたよ」
「これ見よがしに、バカを連呼しているエスカ・デ・ゴザールは、神技の事を何一つ教えてくれなかったよね?」
「普通に説明しても、杉田様は理解されないと思いましたので」
「じゃあ、猿でも分かるように説明してもらえませんか?」
「猿ですか? ぴったりですね」
「ゴリラには言われたくないですけどね」
「教えませんよ」
「(はい。僕に猿はぴったりです)今に見てろよ、チクビ・ザ・グレート」
無表情のエスカの眉毛がぴくりと動く。
「すみません。思ってる事と言ってる事が逆になりました。僕に猿はぴったりです。今に見てろよ、ビック・ザ・ニュウリン」
パリン、パリンとエスカの周りに電光が走り、エスカの髪がふわりと浮く。
それを見た大三郎は、すかさず手に持っているパニティーを見せる。
このままエスカがライトニングを唱えると、パニティーまでもがライトニングを喰らってしまう。
「くっ……」
「すみません。思ってる事も言ってしまいやした」
苦虫を噛みつぶしたような顔をするエスカ。
大三郎は見下すように顎を上げ、勝ち誇った憎たらしい顔でエスカを見る。
「どうしやした? この猿めに、ご教授してくださるのですよね? こちら猿。ロケットチクビ打ち上げセンター、応答せよ」
「ぐっ……」
「どうしやした? あ、秒読みした方が宜しかったですか? では、チクビ発射まで3、2、1、0、発射! あるぇ? チクビ発射しませんね~? 変なチクビだからかなぁ? どれどれメンテしてあげようか? あ、ダメだ。俺、乳首免許ピンク1級しか持ってないから、ブラックチクビ特殊免許なんて持って無かったわ。あははは」
パニティーを持っている大三郎は、積年の恨みと言わんばかりに言いたい放題だった。
エスカは、今にも怒りが爆発しそうに、全身をぷるぷると震えさせていた。
「あ、後で覚えときなさいよ……」
「え? 私の乳輪は椎茸だって? そうなの? 凄いね」
エスカは更に怒りが込み上げたのか、電撃呪文が今にも発動しそうになり、髪の毛がぶわっと逆立つ。
大三郎はすかさずパニティーを見せる。
「くぅっ……」
「短気を起こすと、唯一の取柄のどたぷんが垂れるよ。垂れチチ妖怪、ツインカム一反木綿ターボ、秋名の峠は私が走る。byエスカ豆腐店。はは」
「死ぬ覚悟は出来てるみたいですね……」
「そんなに怒ると、尻まで垂れるぞ。ダブルツインカムきたろーどーんターボ改」
「貴方が何を言っているのか分かりませんが、私をバカにしているのは分かります」
「バカにしてないよ。垂れたおっぱいを振り回して、ぼぉーくも自由にぃとーびたーいなぁ~、はぁい、チチコプターって思ってるだけで」
「貴方、いつか誰かに本気で怒られますよ?」
「ええ、私こと、杉田大三郎の中の人が暴走しかけていますので、そろそろ止めていただかないと、本気でヤバいと思います」
「はぁ~。本当に何を言っているのか分かりませんが、とりあえずパニティーさんをそこに置いて川の方に行って頂けませんか?」
「川? 何で?」
「杉田様のご要望に応えます」
「え? ご要望?」
大三郎は、何の事を言っているのか分からなかったが、エスカが何かをしてくれるみたいなので、とりあえずパニティーを置いて川の方へ行く。
「この辺で良い?」
「もう少し川に沿って歩いてください」
大三郎は言われるがまま川岸を歩く。
エスカ達から大分離れた所で呼び止める声が聞こえた。
「杉田様! その辺で良いです!」
「ここ?!」
「はい!」
大三郎は立ち止まり、エスカの方を見ると、何やら呟いているように見える。
その近くに居た金髪美女は、慌てた様子でパニティーを拾い上げ、亜人の女性の手を引き、小走りに木の後ろへと隠れる。
それを見た大三郎は思う。
(あ、これ、ヤバいやつだ……)
その瞬間、エスカが大声で叫んだ。
「ダーリンのぉ~……、バカーーーーー!!!」
「その台詞は本当に言っちゃダメなヤツだぎゃあああああああああ!!!」
ドドーン! と、轟音を立て、空から特大の雷が大三郎めがけ落ちた。
そして、雷を受けた時にする由緒正しいポーズをとり、更にレントゲンを撮ったような骨まで見える伝統的な落雷の受け方をした。
パニティーはその轟音で目を覚ます。
「ん……んん。……あれ? ここは?」
パニティーは起き上がり周りを見ると、金髪美女が両手で自分を持ち、顔面蒼白になりながら硬直して一方向を見つめている。
「あ! お前、私に何をするつもりだ?!」
だが、金髪美女は一方向を見たまま、パニティーの叫び声に全く反応しない。
「おい! ……?」
再び呼びかけてみたが、金髪美女は反応を示さない。
不思議に思い、金髪美女が見ている方を見てみると、エスカから100メートルほど離れた川岸に大三郎が倒れていた。
「スギタ! まさか……、お前がやったのか?!」
パニティーは金髪美女に振り向き、叫び声に近い問いかけをしたが、金髪美女は真っ青な顔をしたまま硬直している。
その時だった。
金髪美女が、ビクッと飛び跳ねるに近い驚きをした。
パニティーは「うわっ」と、声を上げ金髪美女の手の中で転ぶ。
「いたたた……。いきなり何するんだ?!」
パニティーは怒鳴り声を上げるが、それにすら金髪美女は反応せず、大三郎の方を見つめたままパニティーに見向きもしない。
それどころか、青白い顔が更に青くなりガタガタと震えだした。
金髪美女は、一体何を見ているんだと、パニティーは手から飛び上がり、大三郎が倒れている方を見る。
すると、倒れていた大三郎がビクビクっと体を動かし、両膝を着いた状態で、大袈裟な腕立てをするように地面に両手を広げ、首をカクカク動かしている。
それはまるで、ホラー映画に出てくる、きっと来ちゃうあの女性のようだった。
「スギタ! 大丈夫だ……た……か? ……」
パニティーの心配する声が徐々に小さくなっていく。
それもそのはず、7日目にきっと来ちゃったあの女性が、井戸っぽい所から出てくるように大三郎は動き出していたからだった。
「下がって!」
エスカの叫び声で木の陰から見ていたパニティー、金髪美女、亜人の女性三人が我に返る。
しかし、自分達の目の前で起きている事が信じられない金髪美女は、驚きの余り身動きすら出来ない状態だった。
「ライトニング!」
電撃特有のパパーンと言う破裂音にも似た音と共に、電撃が大三郎めがけて走る。
が、きっと来ちゃった大三郎は、ゴキブリ並みの信じられない素早い動きで電撃をかわす。
「くっ!」
エスカは再度ライトニングを唱えるが、それすらも不気味な不死身なケダモノだの如く避ける。
「お、おい。人間の女! ス、スギタはどうしちゃったんだ?」
エスカはパニティーに振り返ることなく話す。
「特大の電撃を受けて第二の人格が目覚めてしまったようです」
「第二の人格?」
「はい。人間には、何時も活動している主人各と、普段は眠っている副人格の二つの人格があるんです」
「じゃ、じゃあ、今のスギタはスギタじゃないのか?」
「正確にはもう一人の杉田様です」
「もう一人のスギタ? ど、どうするんだ? 人間のお――危ない!」
エスカがパニティーとの会話に気を取られている隙に、異常な速さで大三郎がエスカに飛びかかる。
「くっ!」
エスカはライトニングを唱えようとしたが、間に合わない。
飛び掛かる大三郎を避けようとした時、エスカは呪文の使い過ぎで足に力が入らずよろめいてしまう。
その瞬間、エスカは大三郎に手を捕まれ抱きかかえられてしまう。
もうダメだ……。そう思った時。
「大丈夫か? エスカ」
「え?」
転びそうなエスカを大三郎が抱きかかえていた。
「俺が悪いとは言え、魔法を使い過ぎると体に負担が掛かるんだろ? あまり無理するな」
「え? え?」
大三郎はエスカを起こした後、木の陰に居る三人に近づく。
金髪美女は見た事も無い凄まじい電撃魔法を見た上、直撃を喰らって生きている大三郎に驚愕し過ぎて身動き一つ出来なかった。
「先ほどは失礼した。君達二人に危害を加えるつもりは無くても、覗き見をするような事をしてしまった事は詫びる。すまなかった」
大三郎は営業で徹底的に仕込まれた礼儀正しいお辞儀で頭を下げた。
「……あ、……いや、その」
言葉が出ない金髪美女に、大三郎は頭を上げ言葉を続ける。
「でも、こちらにも事情があったのでそれは理解してほしい」
「え、……あ、……はい」
金髪美女は、今までの事が無かったかのように振る舞う大三郎に混乱していた。
「それと、後ろの亜人の女性」
「……?!」
「言葉が分かるなら、こちらの謝罪を受け取って欲しい。もう一度言うが、君達に危害を加える気は無い」
金髪美女と亜人の女性はお互いを見て、大三郎の言葉に嘘は無い事を理解する。
「ただ。先ほども言ったが、こちらにも事情がある。もし、君達が妖精を傷つける行為をするのであれば、俺とエスカはそれに対処しなければならない。意味は分かるよね?」
それを聞いた金髪美女は初めて真面に声を出す。
「わ、私達は妖精を傷つけるような事はしない!」
「俺達はそれを信じて良いのかい?」
「無論だ! ここに来たのはこの方の呪いを解くためだ」
「呪い?」
「そう。……一年前、ある魔術師がこの方に呪いをかけたのだ」
それを聞いたエスカが金髪美女に近寄り問い始める。
「呪いと聞こえたのですが? 詳しく聞かせていただけませんか?」
「嘘をつくな!!」
その時、今まで黙っていたパニティーが大声で言う。
「う、嘘とは何だ?!」
「お前たち冒険者が、半年前ここに来て、私の妹を斬ったじゃないか!」
「妹?」
「そうだ! 忘れたとは言わせないぞ!」
パニティーは涙を浮かべながら怒りを露にする。
「ここに来たのは、今回が初めてだが……」
「嘘をつくな!」
「嘘ではない! 二ヶ月前、ここに呪いを解く場所があると聞いて旅をして来たのだ!」
「嘘だ!」
「嘘じゃない!」
パニティーと金髪美女のやり取りを見ていた大三郎とエスカが割って入った。
「二人とも落ち着け」
「そうです。とりあえず、こちらの方の話は私が聞きますから、杉田様はパニティーさんを落ち着かせてください」
「ああ。パニティー、少しあっちで話をしよう?」
「……。分かった」
大三郎がパニティーを連れて川岸に歩いて行く。
「さて。杉田様が真面な内に話をしてしまいましょう」
「あ、ああ」
エスカと金髪美女が木陰に座り話を始めた。
一方、大三郎とパニティーは、川岸にある腰を掛けれる程度の岩の上に座る。
「パニティー? 少しは落ち着いたかい?」
「う、うん……」
「そうか、良かった」
「……スギタ、何か……ちょっと違う」
「そうかい?」
「うん……神の技を使ってた時と今のスギタ……違う」
「まぁ、どんな技か良く知らないでパニティーに使っちゃったからね。ごめんな」
「い、いや……。別に良い」
「許してくれる?」
「うん……」
「良かった」
大三郎は爽やかな笑顔でパニティーに笑いかける。
それを見たパニティーは頬を赤らめて俯いてしまう。
「パニティー?」
「な、なに?」
「ちょっと頬が汚れてるな」
「え?」
大三郎は人差し指で優しくパニティーの頬を摩る。
パニティーは少し恥ずかしそうに首をすぼめた。
「よし。……あ、でも、まだ汚れてるな」
「い、いいよ。友達と遊んでてよく汚すし」
「パニティーは女の子なんだから綺麗にしないと。可愛い顔が勿体ないよ」
「か、可愛い……」
大三郎は立ち上がり川へと歩いて行く。
パニティーは頬を赤らめながら大三郎に声をかける。
「ス、スギタ。ど、どこへ行く?」
「ん? ああ。今、ハンカチを持って無いからさ、袖を川の水で濡らしてくるだけだよ」
「袖を? なぜ濡らすんだ?」
「濡れた物で拭いたほうが綺麗になるだろ?」
「もしかして、私の顔を拭く為に自分の袖を濡らすのか?」
「そうだよ」
パニティーは慌てて大三郎を止めようとするが、大三郎はニコッと微笑んでパニティーに言う。
「可愛い顔が台無しのままなのは俺が嫌なんだ。これは俺の我儘。パニティーが気にする事じゃない」
「で、でも……」
「俺の我儘を聞いてくれないか?」
大三郎は優しい爽やかな笑顔で言う。
パニティーは顔を赤らめ無言のまま頷くとフラフラっと岩の上に降りる。
そして、大三郎は再び川へと歩き出す。
◇
「私の名はメルロ・ラ・ディエレと申します、メルとお呼びください。そして、こちらの方はソフィーア・パル・ラムダンと申します」
金髪美女からその名前を聞いたエスカは驚いた表情をする。
「ラムダンと言えば、五家大富豪の一つじゃないですか? もしかして、ディエレと言う名は国王から名誉剣技章と名誉魔術章を代々承っている名家ではないですか?」
「そうですが……」
金髪美女のメルロは歯切れの悪い返答をする。
「何か、事情でもおありですか?」
「事情と言うか……。私はディエレ家の人間の中で一番の……落ちこぼれ……なので、本当は家の名を出せる資格は無いのです」
そう言い俯くメルロに、呪いを掛けられ亜人の顔になっているソフィーアが、メルロの手を掴み首を振る。
「……ソフィーア様」
ソフィーアは地面に文字を書く。
”私に様をつけないで。友達でしょ?”
それを見たメルロは、ソフィーアの手を握り返し目に涙を浮かべる。
「ごめんなさいソフィーア。……私の所為で。本当にごめんなさい」
エスカは、これは深い事情がありそうと思っていると、メルロが振り向きエスカに願い出た。
「エスカ殿! 私に電撃魔法を教えてください!」
「え? ライトニングですか?」
「はい! ソフィーアの呪いを解き、あの憎き魔術師を成敗しなければなりません! お願いします。どうか、この通り……」
メルロは片膝を着き、右手を胸に当て、左手を地面に着き頭を下げた。
これは正式な作法であり、王家以外にこの作法をする時は服従の意味になる。
流石のエスカもこれには困った。
大三郎の面倒を見なければならないのに、魔法を教えなければならないとなると体一つでは足りない。
だが、正式な作法をした者に対して願いを断れば、断られた相手の家の名に傷がつき、下手をすれば断られた者は破門、あるいは勘当されてしまう。
「ん~……。(こんな時、何時もの杉田様が居てくれれば、バカな事を言いだして話をうやむやにしてくれるのに……)」
「……駄目だろうか?」
考え込むエスカにメルロは不安そうに尋ねる。
「……。分かりました」
「本当か?! エスカ殿?」
「ただし、条件があります」
「な、何だろうか?」
「私は杉田様と共に神のお告げ、クエストをこなさなければなりません。ですから、魔法をお教えしますが、二の次三の次になる事が多々あると思います。それでも宜しいですか?」
「構わない! 是非、教えていただきたい!」
「分かりました。この事は杉田様にもお話しますが宜しいですか?」
「ああ。あの方も、最初はただの変質者かと思ったが、先ほどの接し方を見る限り紳士であったから、私達の事を話しても構わない」
「紳士?」
エスカは小首をかしげる。
「ではエスカ殿。早速ではあるが、もう一度あのライトニングを見せては貰えないだろうか?」
「……。あと、一撃くらいは強雷を放てますね。良いでしょう。その後はもう少しお話を聞かせていただきますよ?」
「ああ、いいとも!」
エスカはスクッと立ち上がり、少し離れると、川に向かってライトニング(強)を放つ。
そして、川に腕をひたしている大三郎は感電する。
「あばばばばばばばばば!!!!」
金髪美女は森にこだまする声に反応し、亜人の女性を守る様に周囲を警戒し剣を構える。
エスカは、その声が何なのか、大体の予想は付いていた。
「そんなに心配する事ではないと思いますよ」
「そ、そうなのか? エスカ殿がそう言うのなら……」
「ええ。多分、どこかのおバカさんが、おバカな事をした結果、誰かがおバカさんの餌食になったのでしょう」
「お、おバカ?」
金髪美女は、エスカの言葉を不思議そうに聞いていると、そのおバカが現れた。
「聞こえてますから。おバカを三回も言った事、聞こえてましたから」
「あら? そうですか?」
「あら? そうですよ、オパイ・ザ・グレートさん」
大三郎は、胸の前に両手で水を掬うような形にし、エスカ達の前に現れた。
「パニティーさんは居られましたか?」
「うん。ここに居る」
大三郎は、両手の中にグッタリとしているパニティーを見せる。
「パニティーさんに、何をなさったのです?」
「んと、まぁその……。神技を見たいって言うから……」
「神技? ですか?」
「う……ん。サノスのクエストの時に、身に付いたって言うか……付けられたと言うか……」
大三郎は、親に問い詰められた時の子供のように、俯きながらもごもご言うように話す。
「ああ、クリア報酬の。その神技スキルを、パニティーさんに使ったと?」
「はい。本当に使えるとは思ってもみなかったので、試しにやってみました」
あはは、と笑う様に話す大三郎を見てエスカは溜息をつく。
「はぁ~。馬鹿だ馬鹿だとは思ってましたけど、ここまで馬鹿だとは思いませんでしたよ」
「これ見よがしに、バカを連呼しているエスカ・デ・ゴザールは、神技の事を何一つ教えてくれなかったよね?」
「普通に説明しても、杉田様は理解されないと思いましたので」
「じゃあ、猿でも分かるように説明してもらえませんか?」
「猿ですか? ぴったりですね」
「ゴリラには言われたくないですけどね」
「教えませんよ」
「(はい。僕に猿はぴったりです)今に見てろよ、チクビ・ザ・グレート」
無表情のエスカの眉毛がぴくりと動く。
「すみません。思ってる事と言ってる事が逆になりました。僕に猿はぴったりです。今に見てろよ、ビック・ザ・ニュウリン」
パリン、パリンとエスカの周りに電光が走り、エスカの髪がふわりと浮く。
それを見た大三郎は、すかさず手に持っているパニティーを見せる。
このままエスカがライトニングを唱えると、パニティーまでもがライトニングを喰らってしまう。
「くっ……」
「すみません。思ってる事も言ってしまいやした」
苦虫を噛みつぶしたような顔をするエスカ。
大三郎は見下すように顎を上げ、勝ち誇った憎たらしい顔でエスカを見る。
「どうしやした? この猿めに、ご教授してくださるのですよね? こちら猿。ロケットチクビ打ち上げセンター、応答せよ」
「ぐっ……」
「どうしやした? あ、秒読みした方が宜しかったですか? では、チクビ発射まで3、2、1、0、発射! あるぇ? チクビ発射しませんね~? 変なチクビだからかなぁ? どれどれメンテしてあげようか? あ、ダメだ。俺、乳首免許ピンク1級しか持ってないから、ブラックチクビ特殊免許なんて持って無かったわ。あははは」
パニティーを持っている大三郎は、積年の恨みと言わんばかりに言いたい放題だった。
エスカは、今にも怒りが爆発しそうに、全身をぷるぷると震えさせていた。
「あ、後で覚えときなさいよ……」
「え? 私の乳輪は椎茸だって? そうなの? 凄いね」
エスカは更に怒りが込み上げたのか、電撃呪文が今にも発動しそうになり、髪の毛がぶわっと逆立つ。
大三郎はすかさずパニティーを見せる。
「くぅっ……」
「短気を起こすと、唯一の取柄のどたぷんが垂れるよ。垂れチチ妖怪、ツインカム一反木綿ターボ、秋名の峠は私が走る。byエスカ豆腐店。はは」
「死ぬ覚悟は出来てるみたいですね……」
「そんなに怒ると、尻まで垂れるぞ。ダブルツインカムきたろーどーんターボ改」
「貴方が何を言っているのか分かりませんが、私をバカにしているのは分かります」
「バカにしてないよ。垂れたおっぱいを振り回して、ぼぉーくも自由にぃとーびたーいなぁ~、はぁい、チチコプターって思ってるだけで」
「貴方、いつか誰かに本気で怒られますよ?」
「ええ、私こと、杉田大三郎の中の人が暴走しかけていますので、そろそろ止めていただかないと、本気でヤバいと思います」
「はぁ~。本当に何を言っているのか分かりませんが、とりあえずパニティーさんをそこに置いて川の方に行って頂けませんか?」
「川? 何で?」
「杉田様のご要望に応えます」
「え? ご要望?」
大三郎は、何の事を言っているのか分からなかったが、エスカが何かをしてくれるみたいなので、とりあえずパニティーを置いて川の方へ行く。
「この辺で良い?」
「もう少し川に沿って歩いてください」
大三郎は言われるがまま川岸を歩く。
エスカ達から大分離れた所で呼び止める声が聞こえた。
「杉田様! その辺で良いです!」
「ここ?!」
「はい!」
大三郎は立ち止まり、エスカの方を見ると、何やら呟いているように見える。
その近くに居た金髪美女は、慌てた様子でパニティーを拾い上げ、亜人の女性の手を引き、小走りに木の後ろへと隠れる。
それを見た大三郎は思う。
(あ、これ、ヤバいやつだ……)
その瞬間、エスカが大声で叫んだ。
「ダーリンのぉ~……、バカーーーーー!!!」
「その台詞は本当に言っちゃダメなヤツだぎゃあああああああああ!!!」
ドドーン! と、轟音を立て、空から特大の雷が大三郎めがけ落ちた。
そして、雷を受けた時にする由緒正しいポーズをとり、更にレントゲンを撮ったような骨まで見える伝統的な落雷の受け方をした。
パニティーはその轟音で目を覚ます。
「ん……んん。……あれ? ここは?」
パニティーは起き上がり周りを見ると、金髪美女が両手で自分を持ち、顔面蒼白になりながら硬直して一方向を見つめている。
「あ! お前、私に何をするつもりだ?!」
だが、金髪美女は一方向を見たまま、パニティーの叫び声に全く反応しない。
「おい! ……?」
再び呼びかけてみたが、金髪美女は反応を示さない。
不思議に思い、金髪美女が見ている方を見てみると、エスカから100メートルほど離れた川岸に大三郎が倒れていた。
「スギタ! まさか……、お前がやったのか?!」
パニティーは金髪美女に振り向き、叫び声に近い問いかけをしたが、金髪美女は真っ青な顔をしたまま硬直している。
その時だった。
金髪美女が、ビクッと飛び跳ねるに近い驚きをした。
パニティーは「うわっ」と、声を上げ金髪美女の手の中で転ぶ。
「いたたた……。いきなり何するんだ?!」
パニティーは怒鳴り声を上げるが、それにすら金髪美女は反応せず、大三郎の方を見つめたままパニティーに見向きもしない。
それどころか、青白い顔が更に青くなりガタガタと震えだした。
金髪美女は、一体何を見ているんだと、パニティーは手から飛び上がり、大三郎が倒れている方を見る。
すると、倒れていた大三郎がビクビクっと体を動かし、両膝を着いた状態で、大袈裟な腕立てをするように地面に両手を広げ、首をカクカク動かしている。
それはまるで、ホラー映画に出てくる、きっと来ちゃうあの女性のようだった。
「スギタ! 大丈夫だ……た……か? ……」
パニティーの心配する声が徐々に小さくなっていく。
それもそのはず、7日目にきっと来ちゃったあの女性が、井戸っぽい所から出てくるように大三郎は動き出していたからだった。
「下がって!」
エスカの叫び声で木の陰から見ていたパニティー、金髪美女、亜人の女性三人が我に返る。
しかし、自分達の目の前で起きている事が信じられない金髪美女は、驚きの余り身動きすら出来ない状態だった。
「ライトニング!」
電撃特有のパパーンと言う破裂音にも似た音と共に、電撃が大三郎めがけて走る。
が、きっと来ちゃった大三郎は、ゴキブリ並みの信じられない素早い動きで電撃をかわす。
「くっ!」
エスカは再度ライトニングを唱えるが、それすらも不気味な不死身なケダモノだの如く避ける。
「お、おい。人間の女! ス、スギタはどうしちゃったんだ?」
エスカはパニティーに振り返ることなく話す。
「特大の電撃を受けて第二の人格が目覚めてしまったようです」
「第二の人格?」
「はい。人間には、何時も活動している主人各と、普段は眠っている副人格の二つの人格があるんです」
「じゃ、じゃあ、今のスギタはスギタじゃないのか?」
「正確にはもう一人の杉田様です」
「もう一人のスギタ? ど、どうするんだ? 人間のお――危ない!」
エスカがパニティーとの会話に気を取られている隙に、異常な速さで大三郎がエスカに飛びかかる。
「くっ!」
エスカはライトニングを唱えようとしたが、間に合わない。
飛び掛かる大三郎を避けようとした時、エスカは呪文の使い過ぎで足に力が入らずよろめいてしまう。
その瞬間、エスカは大三郎に手を捕まれ抱きかかえられてしまう。
もうダメだ……。そう思った時。
「大丈夫か? エスカ」
「え?」
転びそうなエスカを大三郎が抱きかかえていた。
「俺が悪いとは言え、魔法を使い過ぎると体に負担が掛かるんだろ? あまり無理するな」
「え? え?」
大三郎はエスカを起こした後、木の陰に居る三人に近づく。
金髪美女は見た事も無い凄まじい電撃魔法を見た上、直撃を喰らって生きている大三郎に驚愕し過ぎて身動き一つ出来なかった。
「先ほどは失礼した。君達二人に危害を加えるつもりは無くても、覗き見をするような事をしてしまった事は詫びる。すまなかった」
大三郎は営業で徹底的に仕込まれた礼儀正しいお辞儀で頭を下げた。
「……あ、……いや、その」
言葉が出ない金髪美女に、大三郎は頭を上げ言葉を続ける。
「でも、こちらにも事情があったのでそれは理解してほしい」
「え、……あ、……はい」
金髪美女は、今までの事が無かったかのように振る舞う大三郎に混乱していた。
「それと、後ろの亜人の女性」
「……?!」
「言葉が分かるなら、こちらの謝罪を受け取って欲しい。もう一度言うが、君達に危害を加える気は無い」
金髪美女と亜人の女性はお互いを見て、大三郎の言葉に嘘は無い事を理解する。
「ただ。先ほども言ったが、こちらにも事情がある。もし、君達が妖精を傷つける行為をするのであれば、俺とエスカはそれに対処しなければならない。意味は分かるよね?」
それを聞いた金髪美女は初めて真面に声を出す。
「わ、私達は妖精を傷つけるような事はしない!」
「俺達はそれを信じて良いのかい?」
「無論だ! ここに来たのはこの方の呪いを解くためだ」
「呪い?」
「そう。……一年前、ある魔術師がこの方に呪いをかけたのだ」
それを聞いたエスカが金髪美女に近寄り問い始める。
「呪いと聞こえたのですが? 詳しく聞かせていただけませんか?」
「嘘をつくな!!」
その時、今まで黙っていたパニティーが大声で言う。
「う、嘘とは何だ?!」
「お前たち冒険者が、半年前ここに来て、私の妹を斬ったじゃないか!」
「妹?」
「そうだ! 忘れたとは言わせないぞ!」
パニティーは涙を浮かべながら怒りを露にする。
「ここに来たのは、今回が初めてだが……」
「嘘をつくな!」
「嘘ではない! 二ヶ月前、ここに呪いを解く場所があると聞いて旅をして来たのだ!」
「嘘だ!」
「嘘じゃない!」
パニティーと金髪美女のやり取りを見ていた大三郎とエスカが割って入った。
「二人とも落ち着け」
「そうです。とりあえず、こちらの方の話は私が聞きますから、杉田様はパニティーさんを落ち着かせてください」
「ああ。パニティー、少しあっちで話をしよう?」
「……。分かった」
大三郎がパニティーを連れて川岸に歩いて行く。
「さて。杉田様が真面な内に話をしてしまいましょう」
「あ、ああ」
エスカと金髪美女が木陰に座り話を始めた。
一方、大三郎とパニティーは、川岸にある腰を掛けれる程度の岩の上に座る。
「パニティー? 少しは落ち着いたかい?」
「う、うん……」
「そうか、良かった」
「……スギタ、何か……ちょっと違う」
「そうかい?」
「うん……神の技を使ってた時と今のスギタ……違う」
「まぁ、どんな技か良く知らないでパニティーに使っちゃったからね。ごめんな」
「い、いや……。別に良い」
「許してくれる?」
「うん……」
「良かった」
大三郎は爽やかな笑顔でパニティーに笑いかける。
それを見たパニティーは頬を赤らめて俯いてしまう。
「パニティー?」
「な、なに?」
「ちょっと頬が汚れてるな」
「え?」
大三郎は人差し指で優しくパニティーの頬を摩る。
パニティーは少し恥ずかしそうに首をすぼめた。
「よし。……あ、でも、まだ汚れてるな」
「い、いいよ。友達と遊んでてよく汚すし」
「パニティーは女の子なんだから綺麗にしないと。可愛い顔が勿体ないよ」
「か、可愛い……」
大三郎は立ち上がり川へと歩いて行く。
パニティーは頬を赤らめながら大三郎に声をかける。
「ス、スギタ。ど、どこへ行く?」
「ん? ああ。今、ハンカチを持って無いからさ、袖を川の水で濡らしてくるだけだよ」
「袖を? なぜ濡らすんだ?」
「濡れた物で拭いたほうが綺麗になるだろ?」
「もしかして、私の顔を拭く為に自分の袖を濡らすのか?」
「そうだよ」
パニティーは慌てて大三郎を止めようとするが、大三郎はニコッと微笑んでパニティーに言う。
「可愛い顔が台無しのままなのは俺が嫌なんだ。これは俺の我儘。パニティーが気にする事じゃない」
「で、でも……」
「俺の我儘を聞いてくれないか?」
大三郎は優しい爽やかな笑顔で言う。
パニティーは顔を赤らめ無言のまま頷くとフラフラっと岩の上に降りる。
そして、大三郎は再び川へと歩き出す。
◇
「私の名はメルロ・ラ・ディエレと申します、メルとお呼びください。そして、こちらの方はソフィーア・パル・ラムダンと申します」
金髪美女からその名前を聞いたエスカは驚いた表情をする。
「ラムダンと言えば、五家大富豪の一つじゃないですか? もしかして、ディエレと言う名は国王から名誉剣技章と名誉魔術章を代々承っている名家ではないですか?」
「そうですが……」
金髪美女のメルロは歯切れの悪い返答をする。
「何か、事情でもおありですか?」
「事情と言うか……。私はディエレ家の人間の中で一番の……落ちこぼれ……なので、本当は家の名を出せる資格は無いのです」
そう言い俯くメルロに、呪いを掛けられ亜人の顔になっているソフィーアが、メルロの手を掴み首を振る。
「……ソフィーア様」
ソフィーアは地面に文字を書く。
”私に様をつけないで。友達でしょ?”
それを見たメルロは、ソフィーアの手を握り返し目に涙を浮かべる。
「ごめんなさいソフィーア。……私の所為で。本当にごめんなさい」
エスカは、これは深い事情がありそうと思っていると、メルロが振り向きエスカに願い出た。
「エスカ殿! 私に電撃魔法を教えてください!」
「え? ライトニングですか?」
「はい! ソフィーアの呪いを解き、あの憎き魔術師を成敗しなければなりません! お願いします。どうか、この通り……」
メルロは片膝を着き、右手を胸に当て、左手を地面に着き頭を下げた。
これは正式な作法であり、王家以外にこの作法をする時は服従の意味になる。
流石のエスカもこれには困った。
大三郎の面倒を見なければならないのに、魔法を教えなければならないとなると体一つでは足りない。
だが、正式な作法をした者に対して願いを断れば、断られた相手の家の名に傷がつき、下手をすれば断られた者は破門、あるいは勘当されてしまう。
「ん~……。(こんな時、何時もの杉田様が居てくれれば、バカな事を言いだして話をうやむやにしてくれるのに……)」
「……駄目だろうか?」
考え込むエスカにメルロは不安そうに尋ねる。
「……。分かりました」
「本当か?! エスカ殿?」
「ただし、条件があります」
「な、何だろうか?」
「私は杉田様と共に神のお告げ、クエストをこなさなければなりません。ですから、魔法をお教えしますが、二の次三の次になる事が多々あると思います。それでも宜しいですか?」
「構わない! 是非、教えていただきたい!」
「分かりました。この事は杉田様にもお話しますが宜しいですか?」
「ああ。あの方も、最初はただの変質者かと思ったが、先ほどの接し方を見る限り紳士であったから、私達の事を話しても構わない」
「紳士?」
エスカは小首をかしげる。
「ではエスカ殿。早速ではあるが、もう一度あのライトニングを見せては貰えないだろうか?」
「……。あと、一撃くらいは強雷を放てますね。良いでしょう。その後はもう少しお話を聞かせていただきますよ?」
「ああ、いいとも!」
エスカはスクッと立ち上がり、少し離れると、川に向かってライトニング(強)を放つ。
そして、川に腕をひたしている大三郎は感電する。
「あばばばばばばばばば!!!!」
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