画家志望のニートが異世界で無双する件。

野の木

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序章

助けたら契約しちゃった

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まずは、このドラゴン?を助けないとな。枝切り鋏でグルグルに巻かれてる縄の部分を切るか!多分自力で飛べるだろうし。木に結ばれているとこ切ったら、そのまま落ちてくるだろうけどキャッチは難しい。

まずはスキル発動。
今必要なのは、描画と実現。
長い枝切り鋏を思い浮かべて、指をかざす。すると、空間が光ってキャンパス的なスペースが現れる。指で描き上がった物が浮かび上がってくる。立派な枝切り鋏の完成だ。

「すげぇー!めっちゃ便利かも。」

他のも描いてみたいけど、今はドラゴン?救出が先だ!!

そっと枝切り鋏を持ち上げたのだが、軽い。ビックリするぐらい軽い。もしかして元が絵だから?これだったら、余裕でドラゴン?の所まで上げられる。

「すごいけろー!」

あー!動かないでよ!何だかはしゃいでるけど、動くと定まんないから!!もう!!
 
「ちょっと動かないでー!これから切るから!!」

「ごめんけろ!わかったけろー!」

ぶらーんっと動かなくなった。切り替え早っ!?まっ、その方がやりやすいし。
ゆっくりと鋏を結び目のある縄の隙間に入れる。ザクッと縄の切れる音が響いた。

切れた縄がスルスルと解けていく。
身体が自由になり、下へと落ちて…は来なかった。

パタパタッ

「脱出!!だけろー!」

ドラゴン?は羽根をパタパタさせて降りてくる。

「ありがとう!油断してたら、罠にかかったけろ。助かったけろ!」

「いやいや、今後は気を付けるんだよ。ところで君はドラゴンで合ってる?」

どう見てもドラゴンだけど、飛べるトカゲじゃないだろうし、恐竜だったりして!?

「オイラはピクシードラゴンって言われてるけろ!これでも、成体なんだけろ!」

「へぇー、そうなんだ!家族とかは?他に仲間はいないの?」

「いないけろ!最も種族としては稀有なのだけろ!」

えっへん!!

って、威張る事じゃないよ?貴重な種族だから、狙われたんでしょ!?
この子、危機感無いなさそうだなぁ。

「ドラゴンで、その上貴重なのはわかったよ。この森で生活してるの?」

「色々な場所を飛んでるけろ!拠点は特に無いけろ。この森は何度も来てる場所だけろ!」

ほぉー。あっちこっち移動してるのか。
だったら、このピクシードラゴンを狙った罠だったとは限らないな。たまたま、引っかかってしまったと考えた方が良いかも。
それと、何度も来ている場所って事はこの森に詳しそうだし、出口まで案内してもらえないかなぁ?

「ねぇ。助けたお礼って事で、俺を森の出口まで案内してくれないか?とりあえず、この森から出たいんだけど。」

「おー!良いけろよ!助けてくれた恩人けろ。森から出るの手伝うけろ!」

「ありがとう。助かるよ。と、その前にスキルの使い方も何となくわかったし、靴作るから待って!」

大急ぎで、靴を作成。
よし!とりあえずはこれで何とか歩けるだろう。
それにしても、随分と素直なドラゴンだな。これで良く生き延びて来れたなぁ。人間だってもっと警戒するぞ?普通。このままだと、悪い人間に騙されてもおかしくなさそう。


サクサクと進むドラゴンについて歩いて行く。途中に小川があって、スキルで出した水筒に汲んだ所でふと思い出した。

「そういえば俺の事、渡人って言ってたけど…?詳しい事知ってる?」

「あぁ。渡人っていうのは、この世界じゃない所からこの世界に必要とされてやって来た人間の事けろ。何かしらの理由があって、この世界の神が呼んだけろ。」

俺、神様らしき人に会ってないけど?気付いたら、この森にいたし。
大体において、俺ベッドで寝てたはずなのに異世界に飛ばされるってどういう事?酷くね?

「この森は、人間達にに繋がっているだのへの入口だの言われてる森けろ。そんな森に一人でいる兄さんは間違いなく渡人けろ。特殊なスキルも持ってるし、きっとこの世界に必要な物けろ!」

ちょっと興奮気味に羽根をパタパタさせてるけど、多分俺、そんなに重要な奴じゃないよ?きっと。

しばらく歩くと、獣道ではあるが一本の細いまっすぐな道に出た。

「もうすぐ、森を抜けるけろ!」

最初にいた所に比べると、木々の合間から陽射しが照り付けて、視界が明るい。
ドラゴンの言う通り、もうすぐ森の出入口なのだろう。少しずつ、道が歩きやすいものへと変わっていく。

木のトンネルを抜けると、そこは…

「すっげー!!」

「森を抜けたけろー!!」

大草原が広がっていた。
見渡す限り、何も無い。ただ、草花が鬱蒼うっそうと生えている。
兎にも角にも、ここから村?町?に向かわないとな!!

「ありがとう。助かったよ。じゃあ俺は人のいそうな所を目指すから、君も罠に掛からないように気を付けてね!バイバイ!!」

元気で!と手を振って別れる…って何で付いてくるの??

「ねぇ?もしか、しなくても付いて来てる…よね?」

「当たり前けろ!兄さん、オイラの主になるけろ!一緒に行くけろよ!!」

「あるじ…って?えっ?な、何で?」

どういうこと?


ピコン

《サポート致します。

ある一定の期間、魔物と心を通わせると主従関係の仮契約がなされます。
契約を双方が合意すると、契約が成立致します。契約した魔物は、貴方の従魔となり、一緒に行動する事なります。

ちなみに、現在、ピクシードラゴン一体との仮契約が成されております。
合意致しますか?
→はい
→いいえ
お選び下さい。

以上  》


………だから、以上って。
マジで?ピクシードラゴン一体ってどう考えても、目の前にいる子だよな?えっ?主従関係って、どうすれば良い訳?

「兄さん兄さん!主なってけろ!一緒に旅するけろ!」

うん。嫌そうじゃないし、むしろお願いされてるし…。もう、どうにでもなれ!

合意致しますか?→はい



……
………

契約完了致しました。


「あっ!!従魔なったけろ!やったやった!これでいつでも一緒けろー!一緒に旅するけろよー!!」

わーいわーいと嬉しそうに俺の周りを飛び回るピクシードラゴン。





ベッドに寝たら異世界に来てピクシードラゴン助けて従魔にしちゃいました。ってこんな事ありますかね?俺、これからどうしたらいいの?
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