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試供品は退魔のフレグランス
試供品は退魔のフレグランス⑤
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「あら、まぁ、まぁ! 本当に美味しそうな坊やだこと!」
褐色の肌を惜しげも無く晒すサキュバスは、その身をくねらせながらルークににじり寄り、豊かな胸をムニっと腕に押し当てた。
「お前のような下品な女等に堕ちはしないぞ」
「そうかしらねぇ? この前お相手したオジサマは、即堕ちだったわよ? でも、ウフフ。手強い方が燃えるわぁ~~」
逞しい肉体に美女が唇を這わす光景はステラには刺激が強すぎた。
ドキドキと煩く鳴る心臓を手で押さえる。
(他人にこんな触れ方するんだ!? 凄い……。何の意味があるんだろ?)
興味津々である。
目的を忘れ去り、観戦者モードに入ったステラに、ルークは必死な目を向けてきた。
「ス、ステラ……。何故嬉々とした顔をしてるんだ? 助けてくれ……、う……あぁ……」
「ハッ!? ルークお兄様、しっかりするです!」
漸く我に返り、ルークの状況を冷静に観察する。
苦しげなさまを見ると、傍目に分からぬよう、サキュバスに凶悪なワザを使われているのかもしれない。
早く救ってあげないと大惨事になるのだろう。
床の上でもつれ合う二人にジリジリと近付き、小瓶の蓋を外す。
「いや~ん! この細長い紐が邪魔~~」
「くっ! そこはダメだ!」
サキュバスはルークのベルトに悪戦苦闘している。
隙だらけの今だったら、トロいステラでも“聖水Ex”を浴びせ掛ける事が出来そうだ。
「とぅ!」
瓶の中身を二人に向かって振りかけると、アンジェリカの香りが辺りに立ち込めた。
一体どうなっただろうか。ステラはビクビクと様子を伺う。
ルークは顔にかかった聖水Exを手で拭い取っていて、特に変わった様子はない。
しかしサキュバスの方は……。
呆然とした表情でルークを凝視していたかと思うと、すっくと立ち上がり、レイチェルへ歩み寄った。
ポピーと共に酒を酌み交わしていたレイチェルは怪訝な表情で、自らが呼び出した悪魔と対峙する。
「どうしたのさ?」
「何がなんだか分からないけど、ヤル気がなくなっちゃったのよねん」
「ふーむ? じゃあ、他のサキュバス呼んで来てよ」
「残念ねぇ、こんな良い男を前にしてるのに性欲が消えて無くなるなんて~」
サキュバスはガックリとしながら去っていった。
聖水Exのおかげで彼女は戦意が喪失したのだろうか?
色々刺激がすぎて、頭がこんがらがっているステラだったが、ルークの無事が保証されたのかとホッとする。
「効いたのかな?」
床に直接胡座をかいたレイチェルがケタケタ笑う。
「サキュバスはもう一体来るから、再チャレンジ出来るよ!」
「えぇ!? もう聖水Exは残って無いですよ!」
小瓶を逆さに振ってみせると、彼女はパチパチと瞬きした。
「使い切りアイテムって意味?」
「使うのはこれが初めてなので、分からないです……」
魔法陣からは再びピンクの煙が立ち上がり、今度は黒髪ロングのアマゾネスが現れた。
上気した顔と、トロけた眼差しは先ほど現れたサキュパス以上の有様。
スペード型の尻尾をユラユラ揺らしつつ、四つん這いでルークに向かっている。
「“聖水Ex”の効果は一度きりなのかもしれません……」
「あー、絶対絶命のピンチってやつ? ルークさんにとっての」
身体中に赤いアザを散らされたルークが、絶望したような面持ちでこちらを見ている。
かける言葉が見つからず、ステラは彼の為に胸の前で十字を切った。
ポピーだけが悠然と構え、思考停止状態のステラにやるべき事を伝える。
「聖水Exを作って来い」
「わぁぁ! 急いで作ります!」
執事に馬車に乗せられて店に行き、もう一度スキルで聖水を加工して戻ってくるまでの間、なんと三十分程!
ダイニングルームで目にする事になった惨状は、そこに居た者達だけの内緒だ。
◇◇◇
翌朝、一緒に朝食をとるジョシュアに昨夜の出来事をかいつまんで話すと、彼は腹を抱えて笑った。
「アッハッハ! 随分楽しい事してたんだね! オレも同席したかったな!」
「ルークお兄様が来たのは偶然だったし、ジョシュアが同席していたら、貴方がサキュバスの餌食になったんじゃないですか?」
「ポピー様ならそれもあり得るな。怖い怖い」
ジョシュアは何かを思い出したのか、顔を青くさせ、温かいスープを口に運んだ。
その様子を眺めていると、何となくホッコリした気持ちになる。
数日一緒に朝の時間を過ごした事で、習慣化してしまったのか、彼は七時ピッタリに二人分の朝食を持ってステラの部屋に来てくれた。
ベッドに眠っていたステラは、身支度を整える間も無く朝食をとることになったのだが、昨日の会いたい気持ちが残っていたので、シフォンのネグリジェの上にカーディガンだけ羽織ってテラスの席に座った。
前までだったらこんな服装で人と会うなんて考えられなかったけど、もう何度もこの姿を見られているので、どうでも良くなっている。
「オレにも、その強化版の聖水を見せてくれない?」
「ちょっと待ってて下さい」
椅子から立ち上がり、自分の部屋のデスクの上に置いた小瓶を持って来る。
ジョシュアに手渡すと、彼は朝日に翳してみたり、蓋を開けて香りを嗅いでみたりした。
「良い香りだね」
「アンジェリカっていうハーブの香りに近いんです。悪魔に匂いを嗅がせると、どうやら悪事を働く気が無くなるみたいでした」
「へぇ! 良いアイテムを開発したね。通常の聖水は現状だとお守りに毛が生えたくらいの効果しかなかったのに」
「アジ・ダハーカさんの素材で強化出来たんです。これでフレグランスを作って、開店と同時に試供品として王都の人達に配ってみます」
「良いアイディアだね。君を見込んで正解だった。フォローは幾らでもするから、遠慮無く言ってよ」
「えーと、では、このくらいのサイズの小瓶を大量に欲しいです! 試供品用に!」
指をコの字に曲げて、ジョシュアに見せると、「了解だよ!」と頷かれる。
彼とお仕事の話をするのはなかなかに楽しい。
褐色の肌を惜しげも無く晒すサキュバスは、その身をくねらせながらルークににじり寄り、豊かな胸をムニっと腕に押し当てた。
「お前のような下品な女等に堕ちはしないぞ」
「そうかしらねぇ? この前お相手したオジサマは、即堕ちだったわよ? でも、ウフフ。手強い方が燃えるわぁ~~」
逞しい肉体に美女が唇を這わす光景はステラには刺激が強すぎた。
ドキドキと煩く鳴る心臓を手で押さえる。
(他人にこんな触れ方するんだ!? 凄い……。何の意味があるんだろ?)
興味津々である。
目的を忘れ去り、観戦者モードに入ったステラに、ルークは必死な目を向けてきた。
「ス、ステラ……。何故嬉々とした顔をしてるんだ? 助けてくれ……、う……あぁ……」
「ハッ!? ルークお兄様、しっかりするです!」
漸く我に返り、ルークの状況を冷静に観察する。
苦しげなさまを見ると、傍目に分からぬよう、サキュバスに凶悪なワザを使われているのかもしれない。
早く救ってあげないと大惨事になるのだろう。
床の上でもつれ合う二人にジリジリと近付き、小瓶の蓋を外す。
「いや~ん! この細長い紐が邪魔~~」
「くっ! そこはダメだ!」
サキュバスはルークのベルトに悪戦苦闘している。
隙だらけの今だったら、トロいステラでも“聖水Ex”を浴びせ掛ける事が出来そうだ。
「とぅ!」
瓶の中身を二人に向かって振りかけると、アンジェリカの香りが辺りに立ち込めた。
一体どうなっただろうか。ステラはビクビクと様子を伺う。
ルークは顔にかかった聖水Exを手で拭い取っていて、特に変わった様子はない。
しかしサキュバスの方は……。
呆然とした表情でルークを凝視していたかと思うと、すっくと立ち上がり、レイチェルへ歩み寄った。
ポピーと共に酒を酌み交わしていたレイチェルは怪訝な表情で、自らが呼び出した悪魔と対峙する。
「どうしたのさ?」
「何がなんだか分からないけど、ヤル気がなくなっちゃったのよねん」
「ふーむ? じゃあ、他のサキュバス呼んで来てよ」
「残念ねぇ、こんな良い男を前にしてるのに性欲が消えて無くなるなんて~」
サキュバスはガックリとしながら去っていった。
聖水Exのおかげで彼女は戦意が喪失したのだろうか?
色々刺激がすぎて、頭がこんがらがっているステラだったが、ルークの無事が保証されたのかとホッとする。
「効いたのかな?」
床に直接胡座をかいたレイチェルがケタケタ笑う。
「サキュバスはもう一体来るから、再チャレンジ出来るよ!」
「えぇ!? もう聖水Exは残って無いですよ!」
小瓶を逆さに振ってみせると、彼女はパチパチと瞬きした。
「使い切りアイテムって意味?」
「使うのはこれが初めてなので、分からないです……」
魔法陣からは再びピンクの煙が立ち上がり、今度は黒髪ロングのアマゾネスが現れた。
上気した顔と、トロけた眼差しは先ほど現れたサキュパス以上の有様。
スペード型の尻尾をユラユラ揺らしつつ、四つん這いでルークに向かっている。
「“聖水Ex”の効果は一度きりなのかもしれません……」
「あー、絶対絶命のピンチってやつ? ルークさんにとっての」
身体中に赤いアザを散らされたルークが、絶望したような面持ちでこちらを見ている。
かける言葉が見つからず、ステラは彼の為に胸の前で十字を切った。
ポピーだけが悠然と構え、思考停止状態のステラにやるべき事を伝える。
「聖水Exを作って来い」
「わぁぁ! 急いで作ります!」
執事に馬車に乗せられて店に行き、もう一度スキルで聖水を加工して戻ってくるまでの間、なんと三十分程!
ダイニングルームで目にする事になった惨状は、そこに居た者達だけの内緒だ。
◇◇◇
翌朝、一緒に朝食をとるジョシュアに昨夜の出来事をかいつまんで話すと、彼は腹を抱えて笑った。
「アッハッハ! 随分楽しい事してたんだね! オレも同席したかったな!」
「ルークお兄様が来たのは偶然だったし、ジョシュアが同席していたら、貴方がサキュバスの餌食になったんじゃないですか?」
「ポピー様ならそれもあり得るな。怖い怖い」
ジョシュアは何かを思い出したのか、顔を青くさせ、温かいスープを口に運んだ。
その様子を眺めていると、何となくホッコリした気持ちになる。
数日一緒に朝の時間を過ごした事で、習慣化してしまったのか、彼は七時ピッタリに二人分の朝食を持ってステラの部屋に来てくれた。
ベッドに眠っていたステラは、身支度を整える間も無く朝食をとることになったのだが、昨日の会いたい気持ちが残っていたので、シフォンのネグリジェの上にカーディガンだけ羽織ってテラスの席に座った。
前までだったらこんな服装で人と会うなんて考えられなかったけど、もう何度もこの姿を見られているので、どうでも良くなっている。
「オレにも、その強化版の聖水を見せてくれない?」
「ちょっと待ってて下さい」
椅子から立ち上がり、自分の部屋のデスクの上に置いた小瓶を持って来る。
ジョシュアに手渡すと、彼は朝日に翳してみたり、蓋を開けて香りを嗅いでみたりした。
「良い香りだね」
「アンジェリカっていうハーブの香りに近いんです。悪魔に匂いを嗅がせると、どうやら悪事を働く気が無くなるみたいでした」
「へぇ! 良いアイテムを開発したね。通常の聖水は現状だとお守りに毛が生えたくらいの効果しかなかったのに」
「アジ・ダハーカさんの素材で強化出来たんです。これでフレグランスを作って、開店と同時に試供品として王都の人達に配ってみます」
「良いアイディアだね。君を見込んで正解だった。フォローは幾らでもするから、遠慮無く言ってよ」
「えーと、では、このくらいのサイズの小瓶を大量に欲しいです! 試供品用に!」
指をコの字に曲げて、ジョシュアに見せると、「了解だよ!」と頷かれる。
彼とお仕事の話をするのはなかなかに楽しい。
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